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終末の足音

とてつもない魂だった。

二百近い騎士達の魂が、この手中にある。

特に、ロザリンドが嬲り殺した、アルファードという騎士の魂は、それ一つでミノタウロスをもう一体、創ってお釣りがくるほどだった。


そのロザリンドは、最奥の部屋、何もない洞穴部屋の隅で小さくなっている。

闘いに夢中で、俺の指示をすっぽかし、退却する騎士どもにとどめを刺せなかったのだ。

中でも、ガーランドと言う騎士は中々惜しい魂を持っていた。

ミノタウロスにまともな傷を付けた、唯一の騎士でもある。


あぁいった人間も、いるのだ。

あの脆弱な身体で、魔物と張り合ってくるのは、不気味ですらある。

ロザリンドにしても、不死能力が無ければ、軽く捻られていただろう。


まとまった魂が手に入った事でもあるので、本格的にダンジョンを充実させねばならない。


「ロザリンド。」


「はっ。」


「罰として、ダンジョンの清掃を命じる。あの者共の肉片一つ、残すな。」


「は、はっ。寛大な処置に感謝いたします。」


「スライムの使用は禁止な。」


「えっ?」


いや、スライム使ったら掃除にならんだろう。

入り口から引き剥がして、適当に放り込めば終わってしまう。


「明日の夜、いや、明後日の朝まで時間をやろう。綺麗にしておけよ。」


「承知致しました。すぐに取り掛かります!」


霧に変化して、部屋を出て行く。

霧に酸の性質を持たせて、溶かすのだろう。


人相手の戦闘ならば、負ける要素のない能力だ。


やはり、遊び過ぎだな。あいつ。





その日、王国は震撼した。

ダンジョン攻略にあたっていた、ファールーン王国騎士団第六隊が壊滅。『聖騎士』アルファード=ドゴール隊長以下、王国騎士188名、傭兵158名、冒険者87名が戦死。

生き残ったのは、副隊長『剛剣』ガーランドの他、王国騎士11名、傭兵46名、冒険者112名。

その半数が重傷を負い、野営地からの退却すら不可能な状況であった。


第六隊はダンジョン内部のごく僅かな情報と引き換えに、継戦能力を完全に喪失、再建の為、数年の活動停止を余儀無くされる。


発生から一月も経たぬダンジョン攻略に失敗したばかりか、ダンジョン攻略の実績を持つ隊長の戦死に、王国は揺れた。

増援の派遣を決定し、国内諸侯領から選りすぐりの猛者が集められた。


また、第六隊隊長に、『剛剣』ガーランド=フォーゲルが昇格。ダンジョン近郊の拠点にて、部隊の再建を命じられる。


第六隊が確認した魔物として、『牛頭の巨人』ミノタウロス、『古の災厄』ヴァンパイアが挙げられており、派遣当初から攻略は絶望視されていた。


近隣諸国にも攻略失敗の報は届き、第二陣に大使の派遣を決定する。


世界は未だ知らない。


後の世に『災厄を統べる者』と謳われる者の存在を。


しかし、その時は刻一刻と迫っていた。

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