いくつになっても
私、なにも特別な努力をしてこなかった。
なにも、一生懸命になれるものがなかった。
だから、オリンピックアスリートみたいな熱い悔し涙も、嬉し涙も、この先一生流すことなんてないと思ってた。
平凡な主婦で、平凡な母で、平凡な中年女性。それが私だ。
この地球に、この世界に、この時代に、埋もれたまま生きて、死ぬ。
でも、べつにそれは悲しいことじゃない。
いわゆる普通の人生だ。だから、不満なんて言わず受け入れて、自分の役割を全うして、明るく真面目に日々を刻んでゆこうと思っていた。
それなのに……
私は今、人生で初めての努力をしている。
こんなに毎日、コツコツと続けたことはない。
百、五百、千、二千、五千、一万!
文字を連ねる、文字が連なる。
私が書いたものが、誰かに読まれる。
なんて幸せ! 涙が溢れるほどに。
誰かが、わたしの書いたものを好きと言ってくれる。
それだけでもう、全てが赦されたように思える。
私が書くものは、私だけの物語よ。
文法? なろうのお約束? PV? ポイント? そんなもん関係なーーい!
何ものにも囚われず、もっと自由に。
喜んで! 怒って! 哀しんで! 楽しんで!
私は、あなたのために書く! 読んでくれるあなたのために!
そして、何より私は、自分のために書く!
いつか、喜びの涙を流すために。