目覚め
俺が洞窟に戻ると、少女は目を覚ましていた。どうしよう、俺、ドラゴンだから怖がらせちゃうよね。あそこの岩影から看病するしかないかな?
「ここは・・・?」
少女はうとうととしながら周りを見渡し、俺を見つけてしまった。
「ひゃ!!ど、ドラゴン!!」
ヤバい見つかった!!どうしようどうしよう!!俺はパニクってしまい、自身が喋れることを忘れて咆哮をだしてしまった。
「グオオオオオ!!」
「キャアアアア!!」
「あ、ご、ごめん。」
「ふぇ?あなた、喋れるんですか?」
「え、あ、はい。」
少女は俺の返事に驚き興味深そうにこちらを見始めた。
「あの、出身は?」
「え?」
俺は唐突にそんなことを聞かれたのですぐに返事が返せなかった。
「えっとここですけど。」
「ここ!?」
俺の返事に少女は驚愕していた。
「ここは賢者様が住んでいた洞窟ですよ!!」
「ええ!?」
俺はこの洞窟の正体に驚いた。俺、そんなところで産まれたの!!だから本があんなにあったのか。まぁ、それのおかげで色々知識がついたんだけどね。
「あの、なぜ私はこんなところに?は!!まさか私を食べるために?」
「そんなことしませんよ!!元々人間なんだし。」
「元々何ですか?」
最後の部分は呟きぎみに言ったので聞こえなかったみたいだ。
「いや何でもない。」
「そうですか・・・。それよりもなぜ、私がここに?」
「それは、魔狼に教われて怪我してたから回復させようと。」
「そうだったんですか。でも、そんな風に考えるドラゴンは普通いませんのに。」
「そうなんですか!?」
始めて知った。だとしたら他のドラゴンはどんな感じなんだろう?物スッゴく狂暴なのかな?
「でも、あなたはスッゴく優しいドラゴンさんなのですね。称号にも如実に現れていますし。」
「え、そうですか?人として当然だと思いますが?」
「あなたは人ではありませんよ。」
「そうでした。」
ん?てか称号にも如実に現れていますし?ステータス見られてるの!!
「あの、俺のステータス見えてるんですか?」
「ええ、見えていますよ。私も鑑定眼持っていますし。」
「そうなんですか。」
本にはまぁまぁ珍しいスキルだって書いてあったのになぁ。俺、手にいれたときスッゴい喜んだのが恥ずかしく思えてきた。
「そうだ!俺、食べ物とってきたんで食べますか?」
「ええ、いただきます。」
俺はスキル魔道書の鋼魔法で網を出し取ってきた薪をくべブレスで火をつけた。そして、魔狼の肉を焼き始めた。なかなか美味しそうな匂いが漂い始め。よだれが出てくる。葉っぱを皿がわりにし、肉と森で採った果物を盛り、さらに鋼魔法で鍋を作り、水を注ぎ、魔狼の骨を入れ煮込みだしを取る。そこにキノコと山菜を入れ、スープを作った。
「どうぞ。」
「はい、いただきます。」
「怪しまないんですか?毒が入ってるんじゃないかとか。」
「私はあなたが持つ称号を信じますので。称号は神様からいただけるとても神聖なモノですから。」
「そうですか。」
なんか、すぐ騙されちゃいそうなタイプだな。俺はそう思い少女と食卓を共にした。