嚆矢の巻 漆
少し遅れましたが次話です
「――よう! 智慧じゃねえか!」
横から声。思わず視線を向ければ祓魔士の制服を着崩した祝が。
「祝!」
外見気にせず芦屋が正面から抱きついてくる。
「お前、昨日までボロボロだったよな!? あの大怪我はどうしたんだよ」
いつまでたってもしがみついてくる祝を無理矢理と引き剥がす。
「槐教官の秘薬で元通りだ。飲んだ直後は激痛で転げ回ったけど」
「槐教官ていや……さっきの人か?」
「そうだ、祓魔士の医療班の人らしくてな。秘伝の薬を処方されたんだ」
「神籬の関係者ならありえそうな話だ。ともかくお前さんが復帰して嬉しいぜ俺」
少し涙目になっているのは見間違いだろう、そうしておこう。
「よ」
祝の横にいた月島さんが軽い調子で挨拶してくる。
「昨日振り」
「お土産美味しかった?」
お土産……おそらくあの赤い水か。
「ああ、お陰様で」
「それは良かった。次の分は無いから」
「気をつけるよ。そうだ、お礼を……」
「要らない。ツケにしておくから、いつか徴収する」
月島さんのあの水が無ければ自分は今頃どうなっていたか……言葉だけの感謝では足りないほどだ。
「分かったよ。出来れば控えめな礼で済めば良いけど」
「それはその時のお楽しみ。それより合宿の班決めはどうするの?」
「ああ、その事だけど……」
真澄さんの提案を2人に説明する。
「マジか、智慧と真澄さんがいれば百人力だぜ」
「微力ながら頑張るよ」
助けてくれた月島さんや心配してくれていた皆がいるのだ、全力で貢献しなければ。
「これで6人揃ったし。放課後に柊教官に届を出せそうね」
「そう言えば他の2人はどうしたんだ?」
「え? ああ、土御門さんはあの茶髪の女の子、もう一人の嘉月は最前列に座ってるちっこい奴だぜ」
一瞬だけ、祝の表情が曇ったのは気のせい……だろうか?
「折角だし挨拶してくるよ」
「おう、あちらさんは初対面だしそれがベストだろうな」
太刀片手にまずは男子の方へ。
席の合間を通り、祝が指さした男子へと歩み寄る。
「あの」
斜め後ろから呼びかけると、こちらを振り向く男子生徒。
「何か用かな」
自分と同い年だろうが、少し幼げの残る柔和な顔立ちと細身ので小柄な体格。
「ええと、源智慧っていいます。来週からの合宿で同じ班になったから……」
「源? もしかして君が噂の『宗家』の人かい」
「まあ、その宗家で間違いないと思います……多分」
すると、一気に表情が明るくなる男子生徒。
「それじゃあ入隊試験の山で老齢の狒々を斬ったのは君なんだね?」
「ええまあ……」
「どうだった? 狒々は強かったかい? 他の群れはどうやって?」
おっと、これは実に個性的な方だぞ……
「十分強かったよ、新人の祓魔士が相手していい妖怪じゃなかった。他の群れはその時一緒にいた人が頑張ってくれたかな」
「おおー! いいなあ、僕もその場に居たかったよ……おっと申し遅れたね。僕は嘉月棗、新しく入学したばかりだけど入る前から妖怪を祓っていたからある程度実戦には慣れているんだ」
差し出された右手と握手を交わし――掌が普通の人の様に柔らかいことに気付く。
(タコも無ければ古傷もない……)
「智慧くん、今度時間があったら一戦どうかな? 宗家の人とは稽古したことないから凄い興味があるんだ」
「俺でよろしければ」
「やったあ! いやあ楽しみだなあ、祓魔士の開祖の一族に伝わる剣術かぁ……」
少々個性的な性格だが、悪いやつでは無さそうである。
「それじゃあ」
「うん!」
嘉月に別れを告げ、そのままの足で少し離れた土御門さんの所へ。
(男女比が半々でよかった)
あまりそこら辺は気にならないが、流石に会って間もない女子に囲まれて数日を過ごすのは躊躇いがある。
背筋正しく椅子に掛けた、明るい茶髪の女子生徒。
長めの髪を綺麗な琥珀色の装飾が付いた髪留めで結い上げており、整った顔立ちと相まって上品というか良家のお嬢様といった雰囲気がある。
「あのー……」
「はい、なんでしょう?」
整った顔がこちらを向く。
「始めまして源智慧です。同じ合宿の班になったのでご挨拶に……」
「なんとも真面目な方ですね。私は土御門葛葉といいます、合宿の間はよろしくお願いしますね」
土御門……? どこかで聞いたことがある名字だ……
「その表情だとさしずめ土御門と言う苗字のことですよね?」
「えっ、いやまあ……」
「ご想像通りの陰陽師の一族の者です。神籬へ来たのは知見を広げるためです」
「ああ……! 陰陽庁長官の」
「祖母がそうですね。かくいう源さんも祓魔士開祖の一族ですよね?」
「土御門さんの知名度に比べたら全く……それに開祖とは名ばかりの山間に住む貧乏一家ですよ」
「そうご謙遜なさらず――すると、宗家の方と言うことは噂の体質は本当なのですか?」
「ああ、妖怪に寄られる呪いですか? 本当ですよ、神籬に来るまで毎日のように妖怪が村に来てましたし」
おかげで齢16にしてこの有様である、恨めしいとは思っていないが。
すると、周りにいた生徒の何人かが一瞬だけこちらを向き、何事も無かったかのように戻ってゆく。
「噂は本当だったんですね……」
「まあ、妖怪絡みの事件や事故が毎日のように起きてる時勢ですしそんなに珍しくはないかと」
――すると、後ろから足音。
「おおい智慧よ、訓練場にそろそろ移動しようぜ」
「もうそんな時間か……そうだ、よろしければ土御門さんも――」
振り返るがいつの間にやら土御門さんの姿がそこには無く、見れば教室を出ていった後ろ姿が見えた。
「……まあ流石に馴れ馴れしかったか」
「陰陽師は他の奴と馴れ合わない性分の奴が多いからなあ。ま、合宿の時に同じ班なんだし大丈夫だべ」
「そうなのか、陰陽師とは初めて話すからさ」
「そんなもんよ。ちなみに俺は別枠だから普通の陰陽師とは正反対だぜ」
親切にも真澄さんと月島さんが待っていてくれたので、4人で教室を後にする。
「確認なんだけど訓練場てこの敷地内のどこら辺にあるんだ?」
「至る所に点在してるわ。各四方に数か所、私達1年生が使うのは南側の第三訓練場ね」
「1年生は第三ね、了解したよ」
校舎を出て、日差しの差す外へと出る。
「しかしあれだよあ、学園から新都まで歩きだと片道そこそこあるのは辛いよな」
「学園資料だと新都行きのバスが出てるんだろ? 別段問題ないだろ」
「いやいや、せっかくの学生生活なんだからよ。放課後は気軽にパーッと遊びに行きてえじゃん?」
「本業は祓魔士でしょう私達」
「おうおう、半端なく真面目だねえ真澄さん。おい智慧よ、お前さんの相方に何か言ってやってくれよ」
「ええ、俺に振るのか」
「相方なんだから宥めるのも仕事の内だろ」
「相方じゃないんだけどな……」
祝の言い分は大いに同意できる、むしろ自分も人並みの生活を送ったことが無かったのでこういうやり取りは嬉しい程。
「まあまあ真澄さん、始終肩気張りっぱなしじゃあ身体に酷だ、芦屋くらい肩の力を抜かないと」
「ちょっと芦屋くん。源くんも貴方の毒気にやられてるじゃない」
「毒気って酷えなあ」
「月島さん、貴方からも男性陣に何か言ってあげてよ」
まるで巻き込むように月島さんを話に引きずり込む真澄さん。
「私はサボり推進派」
「月島さん、貴方まで?」
他愛のないやり取り、これが普通の人の会話なのだろう――なんとも感慨深いものだ。
「だがよ真澄さん。放課後に新都へ行けるってことは、新都住みの奴なら気軽に家に人を招けるって事だぜ?」
「何が言いたいのかしら?」
「つまり、智慧を色々な所に引きずり回せるって事よ」
祝の言葉に何かを察知したのか、真澄さんの眉がピクリと上がる。
「ああなるほどなるほど……それはいい事ね」
ニコニコと不自然な笑みを浮かべる真澄さん。
「ねえ源くん? 神籬に来るまで鍛錬しかやって来なかったのよね?」
「へ? まあそうだけど……」
「じゃあ街とかに遊びに行ったことはないのよね?」
「ああ、周りは山しかなかったから」
「なら、落ち着いた日のオフの時、私が新都を案内してあげる」
「えっ」
「大丈夫、学園から新都に出てるバスなら片道30分も掛からないし、生徒寮は門限もないから」
「いや、そこまでしな――」
芦屋が首に手を回してきて言葉を遮られる。
「まあまあ智慧ちゃんよう、断る前に少し考えようぜ?」
「暑苦しいぞ祝」
「お前さんは女の子のお誘いを無下にするってのか」
「いや、そういう訳では……」
ぐいと顔を寄せられ、2人に聞こえないよう耳打ちしてくる。
「あのなあ、真澄さんは1年生内でもトップクラスの美人なんだぜ。普通に生きててこんな事そうそうにねえんだからご厚意預かれっての」
「なら祝が行けばいいじゃないか」
「かーっ! この剣術バカは! 据え膳食わぬは男の恥って知らねえのか」
「知ってるよそれくらい。でも新入生でうつつ抜かしてたら教官からどやされるぞ」
「分かってねえなあ、ようは息抜きよ息抜き。四六時中肩張ってたら身い持たないぜ。お前もさっき言ってたろ?」
「ぐっ……」
祝の言っていることは至極マトモなこと。
「だから素直にご厚意を受け取っておけって」
「……はあ、分かったよ」
「真澄さん、智慧の奴はOKだとよ!」
ニコリと笑みを浮かべる真澄さん。
「了解、それじゃあ時間空いた時に打ち合わせね」
「どうかお手柔らかに……」
そうこうしている間に辿り着いたのは、下が土で覆われた拓けた長方形の場所。
何故か四方には注連縄が巻かれた大きな木の柱が立ち、その中には既に何人かのクラスメイト達がいた。
「ここがそうなのか」
「そう、基本的な訓練を行う屋外訓練場ね。個人同士の打ち合いから式神を使った大規模な集団戦とか色々と使ってるわ」
「また素振り100回から始まるのは億劫だよなあ、反復練習は別でいいんじゃねえの?」
「芦屋くんは火廣金が短い奴だから問題ないでしょ。それに100回なんて朝の洗顔と同じくらいじゃない」
「おお怖」
見れば嘉月さんや土御門さんもいる。
(嘉月は……なんだあれは、籠手なのか? 随分とゴツいというか……)
普通の具足であれば籠手は地味な色合いの物だが、嘉月の籠手は白地に錦で織られた織物のように派手な紐で組まれたど派手な色合いの物。
だが、見た事のある古来の和甲冑の籠手ではなくどちらかと言えば西洋甲冑のガントレットに近い形状である。
(初めて見る武器……いや武具か?)
もう片方の土御門さんは両手には何も持っておらず、陰陽師と言っていたから式札などで祓うのだろうか。
「智慧は――駄目だな、こいつも剣術一辺倒だ。素振りは朝飯前か」
「え? ああ、毎日朝晩100回ずつ立てた赤樫に打ち込みしてたよ」
「うへえ……赤樫ていや木刀とかの素材側じゃねえか、やっぱり源はヤベえな」
「そう? 木に打ち込みするの普通だと思ってたけど……ちなみに源くん、竹の表畳巻斬った事ある?」
「真剣?」
「当たり前でしょ、木刀で竹は斬れません」
切っ先を薄刃に削り落として、渾身の秋水でなら斬れそうだが……言うとまた何かいわれそうだから黙っておいた方がいいか。
「まあ、何でも斬れるよう教えられたから大体の刀剣でなら」
「本当に? それじゃあ鎖鎌とか脇差でも?」
「一応は」
アレは斬るのでは無く斬り裂く物だが……
「うおぉーん、月島さんこの2人怖えよお」
片鎌穂の短槍を組み立てていた月島さんに助けを求める祝。
「情けない男」
「酷え!」
巻藁すら斬れないようでは妖怪の首は刎ねられない。そう鶫から教えられた――実際に斬ってみろと言われた時はかなり動揺したが。
「だから100回なんて誤差よ誤差。祓魔士なんだから真面目に訓練しないと」
「うへえ……俺の得物で素振りってあんまり意味ないんだけどなー……」
渋い顔の祝の言葉につい返してまう。
「そういえば芦屋の火廣金は見た事が無いな。一体何を使っているんだ?」
暗器の類なのは分かるが、不自然な膨らみや暗器を隠す所作を完璧に隠しているという事は小型の物だろうか。
「俺のか? うーん、教えてやってもいいが……何か分かるか?」
「そうだな……鉄貫とか?」
「第一投から超変化球過ぎんだろ……違うな」
「それじゃあ峨嵋刺か」
「どうしてイロモノ路線なんだよ……しょうがねえヒントだ。比較的有名な武器だぜ、角指や寸鉄みたいなドマイナーな物じゃない」
暗器で有名どころ……? なんだか矛盾している言葉のような――
ふと一つの答えが頭に浮かぶ。
「……ああ! 分かったぞ苦無か?」
「正解だ」
芦屋が背中の方に一瞬だけ手を回し、戻った両手には二振りの小振りな刃物――『苦無』が握られていた。
「世間一般だと苦無は暗器の分類なんだが実際は多目的道具。いわば軍隊のサバイバルナイフみたいなモンなんだよ」
「ほー」
村の道場で一通りの暗器は触った事があるので苦無もある程度は扱える。
柄の輪の部分に人差し指を通し、器用にクルクルと回転させる祝。
「言うのも難だけど、苦無じゃあ妖怪相手は厳しいんじゃないか?」
「そこを本業の陰陽道でカバーする訳よ。まあ、火廣金自体が相当な破魔の力を持ってるし斬れりゃあ何でもいいわけさ」
なんとも据わった考えである。
「大型の妖怪が出てきたらその小さい刃で祓うのは難しんじゃないのかしら?」
横から真澄さん。
「デカブツは智慧か真澄さんにお任せするさ。俺は小物と外野が専門だからな」
「さっそく班の中のポジションを確立しようとしているわね……」
――何とも祓魔士らしい会話をしていると、訓練場に祓魔士の制服を身に着けた数名がやって来る。
「おっと訓練開始だ」
足早にやって来た祓魔士の前に整列し始めるクラスメイト達。
習って並び――1人が口を開く。
「これより訓練を始めます。まずは各人の火廣金の素振り100回、その後は訓練刀を使った2人組での打ち合い、最後に式神を使った模擬訓練を行いますので、忘れないように」
歳は40半ばだろうか、腰には黒鞘入りの打刀と小太刀を帯び、身体の芯の置き方からして中々の熟練者と見られる。
「それでは初め!」
慣れた様子のクラスメイト達が互いに距離を取って、手にした刀や槍を振り始める。
「それじゃあな、サボってるとシバかれるから気をつけろよ?」
祝がそそくさと端の方へ逃げてゆき、月島さんもジェスチャーだけで別れを告げると、拓けた方へと去ってゆく。
「それじゃあ源くん、後で打ち合いの相手よろしくね?」
「えっ」
少し離れ、腰から刀を引き抜くと、打って変わった真剣な表情で素振りを始める真澄さん。
(俺も素直に素振りしとくか……)
3日振りの感触。やはりこの握りなれた具合は、村での鍛錬の際に振るっていた太刀と遜色変わりないもの。
(どうして進級祝いの一振りが、昔から振っていた物と同じ長さに同じ重さなんだ……? まるで、これを最初から渡す前提のような……)
だが、月季や鶫の性格ならそう言った事情は先に話してくるはず……だが、今の今までこの太刀の事は何も話していなかった。
(訳があって話していなかったか、もしくは俺に秘密にしていたか)
だが、握りなれた感覚だったからこそ入学試験を突破できたのだ。色々と気にはなるが、今は新人祓魔士として邁進する方が優先だろう。
上段からただひたすらに刃を振り下ろす。
余分な動きを簡略化し、切っ先を天から地へ、幾度も幾度も振り下ろしてはまた戻す。
『必殺の一刀は上段からの振り下ろしの一閃。極めた者は斬鉄を成し遂げる』
剣を教えてくれた月季の言葉だ。払い、薙ぎ、突き、袈裟、受け、往なし――様々な状態があるが最もシンプルで最も難しいのが『振り下ろし』なのである。
幼少の頃、自分の目の前で月季が道場に置いていた兜を一刀のもと両断した光景を今でも覚えている。
鈍い金属の悲鳴や鬼の力に物言わせた音ではなく、澄み渡った綺麗で甲高い音が響き渡り――刀が鉄を斬った。
まあ、その後は案の定というか鶫に叱責と関節技を極められて謝っていたのだが……
(技で斬るのではなく己で斬る……なんとも難しい話だ)
頭の中で数え――100回目の振り下ろしで刃を止め、残心。
鞘に太刀を仕舞い――正面に立っていた祓魔士の人に目が留まる。
先程号令を掛けた壮年の祓魔士の男性。
「いやはやお見事。身体に心在らず、刃に心在りといった所かな」
「いえ、未だ精進の身です。褒められるような腕ではありません」
僅かに白髪が混じった、物腰柔らかそうな柔和な表情の祓魔士の男性。
「おやそうかな? 名高き源の剣術や鋭き技と言えど、その剣を振るうのは源くん自身だ。私から見た君の剣は中々の物だと思うけれども――ああ、申し遅れました私は祓魔士の伊東忠明と申します」
「源智慧です」
名前を知られているという事は教官側で自分の名前が有名になっているのか、それともこの教官が生徒の名前をよく覚えているのか……
押し黙っていると、教官が顎に手を添え何やら考えている様子。
「……ふむふむ、今年は少し趣向を凝らしてみた方が新人へのいい刺激になるかもしれない」
そう言い残し、教官が端の方へと歩いていくと、踵を返して再びこちらを見る
「一同止め!」
教官の一声で一同が手を止める。
「えー、毎年同じ訓練で教導役のこちらも飽きが来ておりましたので今年から別な訓練で君達一年生を稽古つけたいと思います――大谷君!」
伊東教官の元に駆け足でやって来る20代辺りの男性祓魔士。
遅れて他の祓魔士の方々もやって来ると、何やら話し合いが始まる。
「ねえ源くん、さっきの教官は何て仰ってたの?」
近くの真澄さんが刀片手に尋ねてくる。
「趣向を凝らすとか、新人へのいい刺激とか……よく分からなかった」
「……嫌な予感がするのは気のせいかしら?」
「少なくとも普通の訓練で終わらなさそうな気がするな……」
数分と経たない内に教官がこちら――生徒側を向く。
「えー、それではただ今より全員で地稽古を行ってもらいます。稽古相手は――」
言葉の途中、大谷と呼ばれた祓魔士の男性が、腰のベルトに通していた縦長のポーチから紙切れの束を取り出すと――頭上へと放り投げる。
導入はもう少しで終了となります。
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