第2話
1946年5月20日午前9時
中立諸国連邦構成国ローマ連邦王国 オルビア 臨時世界会議議場
この日ローマ連邦王国領都市オルビアに設置されている数百人収容可能な議会場には、200人程の中年から老年層の高級で品の良いスーツや民族衣装で身を固めた人々...各国の指導者達が集まっていた
そして午前9時丁度に議長...軍服に身を包んだ直哉が入ってきて議長席に座り全体を見渡すと話し始めた
「本来なら挨拶でもするべきなのだろうが、この緊急事態に置いてはその時間すら惜しいので省略させていただく...賢明なる皆様方も理解しているであろうこの事態、恐らく異世界に我々は飛ばされたのは間違いないだろう。」
この直哉の言葉に出席者達は頷いたり、隣の人々に目を向けたりした
「その理由としては皆様もご理解している通り、例えば今こうして私の話しているのは扶桑語(日本語)であるのに関わらずそれぞれの母国語として聞こえ理解できている事、そして南北アメリカ大陸が移動しているの事と世界最大の紛争地域である天朝及び朝鮮地域一帯が綺麗に切り取られたように存在している事、あの日発生した地震が世界各国共通で震度3という現象というのが最大の理由です...間違えても我々の知る世界ではこの様な現象など起きたことは無かった!」
続けられた直哉の言葉に大西洋連邦のアメリカ連邦国大統領のアイゼンハワーは頷き、席から立ち上がった
「まさしくその通りだ、間違えてもこのような現象は全知全能なる神ぐらいしか行えないだろうと確信している...そして今この場をお借りして正式に扶桑帝国とハワイ王国に感謝の意を表明したい、我々の船を保護し物資を供給しただけでは無くそれぞれの故郷に送り出してくれた事に感謝する。」
この言葉に出席している扶桑帝国代表の田沼興次とハワイ王国代表の島津マルは立ち上がると
「我が国は当然の事をしたまで、現に我が国の船も同じように帰国の途に就いている。」
「我が国も同じである、当然の事をしたまで。」
と返した
直哉はその言葉を聞き終わると、再び話し始めた
「では再開させていただく...あの全世界で発生した地震の後、いち早く立て直した扶桑帝国とハワイ王国は情報収集を開始した、そして判明したのは本来アメリカ大陸の西海岸から700キロが大海原となっていたという事...そしてその先には大陸と思われる陸地を発見した事だ。 この情報については事前に公表した通り、現在は扶桑帝国海軍ハワイ王国駐留艦隊及びハワイ王国海軍第2哨戒艦隊が監視についている...そしてここからがつい先程緊急で入った報告です、読み上げます...『我所属不明艦隊発見、現在艦載機による監視中、進路はハワイ王国方面』...との事です、信じられない事に私も驚いています、実際には4回中継艦を挟んでおりますので一部間違えている恐れもありますが。」
この直哉の言葉に出席者達は騒めき始めた
そしてマルが立ち上がった
「既に我がハワイ王国ではこの哨戒艦隊からの報告を基に非常事態宣言を出し、沖合に艦隊を展開し陸軍に関しても即応予備役の動員を行っております!」
そしてマルの言葉に続くように田沼も話し始めた
「我が扶桑帝国も南方方面艦隊及び南方方面軍団に対し出撃命令を出し、ハワイ王国に向かっております、そしてここからが我が扶桑帝国からの正式な提案です...この非常事態に際し我々は大戦後の枠組みとなっている『人類共存態構想』の元団結すべきだと考え、今現在を持って国家間の競争を一時的に凍結させ合同で対処すべきだと表明する。 具体的には陣営関係無く軍隊及び専門家達を派遣し調査を行う事、そして各国同時に軍拡を行い備える事だ。」
この田沼の提案を受け、直哉は昼食休憩を兼ねて4時間の休憩とその後投票を行う事を宣言した
そして4時間後、投票が行われた
その結果は
「では休憩も終わり、全員揃ったようなので...扶桑帝国代表の田沼興次殿の提案である『人類共存態構想』に基づく協力体制の構築に対する投票の結果公表を行わせていただく...参加国121ヶ国の内投票国121ヶ国、結果は賛成89中立21反対11! よって『人類共存態構想』による協力体制の構築に向け動く事をここに決定する! 尚その詳しい内容に関しては明日より審議し決定する事にする! しかし接近中の所属不明勢力に対する対応に関しては今この日の内に決定するものとする。」
その後ハワイ王国に向け各国の主力艦隊と外交官が出発する事なり、その後1週間議会は続き細部まで詰められ協力体制がとられていく事となった