おねがいがあります
「おねがいがあります」
「今度はどうしたの?」
妹は珍しく真面目な顔をして話しかけてくる時は大概、どっかの友人同様におかしな事を言い出す合図みたいなもの。
真剣に受け止めるだけ無駄骨だけど、可愛い妹の言うことだとついつい付き合っちゃう。
「あたしになにかしらあった、あたしはねこちゃんになります」
「………んん?」
「かわいいねこちゃんがおねえちゃんになついてきたら、そのこはあたしなのでかわいがってください」
「んー……?」
これは、つまり死んじゃう様な事があったら猫に生まれ変わる予定だから甘やかせと。
この妹は毎度ながらおかしな事を言うけど、今回は飛びっきりだな。
まぁ、幼稚園児の言う事なんてそういうもんか。
「そっか。なら猫ちゃんになった時の希望はある?」
「ごはんはかりかりなのがいいです。おやつにはあいすくりーむかぷりん、ときどきばさしやおおとろをごはんにつけてください。ちきんはだいこうぶつです」
猫はアイスクリームやプリンは食べないなぁ、糖分やカロリーが高すぎて病気になるし。
でも最近はペットフードも色々あるし、ペット用のもあったり?
まぁそれはそれとしてこの妹、馬刺しや大トロって趣味が渋いな
そもそも二つとも人間様も庶民だと早々口に出来ない高級品だし。
「カリカリタイプね。他にはある?」
「べっどはふわふわだけど、しっかりからだをささえてくれるのがいいです。ていはんぱつなの」
「低反発か。まぁ座布団とかのサイズなら買えはするかな」
「あそぶときはおねえちゃんがいっしょにつきっきりでまんぞくするまであそんでください。それときちんとあそんだあとはなでなでして、そのあとにひざにあたしをのせてぶらっしんぐもおねがいします」
「VIP待遇もここに極めりな感じだね」
人間の時よりも贅沢する気満々。
「おねむのときはおねえちゃんといっしょにねるので、よふかししないで、あたしをつぶさないようにねがりとかしないでねむってください」
「あ、低反発のはお昼寝用なんだ」
「あとくびわはくるしそうなのでつけなくていいです。でも、かわいいおようふくはきたいです」
「おしゃれさんだね」
猫になって服を着ると、絶対邪魔だし体温調整のバランスも崩れそうな感じがするけど、まぁ通気性のいいのを選べばまだ大丈夫かな?
「いじょうです。ねこちゃんになったときは、これでおねがいします」
「はい、わかりました」
うん、今日も私の妹は可愛い。