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それぞれのステータス

 それぞれ違った色の光が収まると、ステラ・プレアスには文字が刻まれていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

如月魈(きさらぎ しょう) Lv.1 人間族(アンフィルマ) 16歳 男 


称号:吸血族(ヴァンピシャス)の紅帝

職業:不明


筋力:50

体力:50

魔力:0

耐性力:50

敏捷力:50


固有能力:言語理解

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 魈のステータスは、言ってしまえば何の面白味もなく、何の特徴もないステータスだった。


 ただ、一つだけ取り上げるとすれば、魔力のステータスが零なことだろうか。


 一般的な平均ステータスがどのくらいかはわからないが、魈は召喚された者。ならば、絶対に特殊な何かが備わっているはず! なんなら、ステータスが五十というのはもしかしたら凄いことなのかも……!


「因みに、ステータス値の平均は五十であるぞ」


 はい、何の特徴もございませんでした。ステータスは平均値。しかも、魔力値は零である。


 どういうことでしょう。魈は、召喚された選ばれし者だったはずだというのに。


 魈は、まさかの自分のステータスにその場で四つん這いに崩れ落ちた。どうやら、異世界の神は召喚された者は異世界最強というテンプレ展開を知らないようだ。というか、ステータス値零って、零って……!


 因みに、どうして異世界の言語が理解出来るかは、ステータスの〝固有能力〟欄に書かれている【言語理解】のお陰らしい。この能力があれば、どんな言語だろうと理解することが可能のようだ。日本だったらチート級の能力である。


 そして、職業欄が不明。日本では学生だったが、この世界では違うのだろうか。


 しかし、ツッコミたいことが山程ある中、一つだけ気になることが……。


「皆、自分のステータスを確認したな? では、一人ずつステラ・プレアスを持って来てくれ」


 誰が勇者なのか、勇者がどんなステータスや固有能力を持っているのかを確認するため、ハイドリヒはステラ・プレアスの提示を要求する。他人のステータスを見るのは気が引けるが、その人の実力を理解していなければ連携は取れない。まぁ、魈はともかく、優輝と賢吾が魈と連携を取ろうとするかはわからないが。


 最初にステラ・プレアスをハイドリヒに渡したのは優輝だった。何の抵抗もなく、ステラ・プレアスを渡し、ハイドリヒは受け取りステラ・プレアスを見る。


 そして、視線を上から下へ動かし、また上に戻した。信じられない物を見たような目でそれを、二、三度繰り返す。そして、目を見開いた。


「こ、これは……ッ!?」


 そして、ハイドリヒは驚愕といった表情で声を上げた。気になり、魈達も優輝のステータスを確認する。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

七瀬優輝(ななせ ゆうき) Lv.1 人間族(アンフィルマ) 16歳 男


称号:勇者

職業:勇者


筋力:500

体力:500

魔力:500

耐性力:500

敏捷力:500


固有能力:言語理解/炎雷属性適性/水氷属性適性/風土属性適性/聖光属性適性/炎雷属性耐性/水氷属性耐性/風土属性耐性/聖光属性耐性/剣術/魔法合成/魔力回復/気配察知/魔力察知/限界突破

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 異世界チートここに極まれりな優輝のステラ・プレアスの内容。


 ステータスは破格。平凡なステータスが魈の五十らしいが、優輝はその十倍である五百である。つまり、ゲームに例えて言うならば、魈が相手に与えるダメージが十ダメージならば、優輝は百ダメージを与えるのだ。何処からどう見てもチートなステータスである。


 そして、魈には一切なかった固有能力が十以上も存在している。しかも、どれも戦闘に役立つであろう能力。優輝が勇者なのも納得出来るほどの能力が勢揃いだ。魈さんは空を仰ぎ見ようと上を見た。天井のシャンデリアがとても眩しい。


 それにしても、魈の職業が“不明”だったのに対し、どうして優輝は今現在で職業が“勇者”なのだろうか。


「う、うむ。流石は勇者殿だ。レベル一で平均の十倍ものステータスとは……。固有能力の数も常人離れしておるし、何より聖光属性に適性があるということは勇者で間違いないだろう。職業と称号も勇者であることが何よりの証拠だ」


 魈はハイドリヒの聖光属性が勇者の証ということに疑問を抱いた。何それ、俺に無いよ? と。


 どうやら、ハイドリヒの説明によれば、勇者には聖なる光を操るという伝承があるらしい。それが、聖光属性とのことだ。つまり、聖光属性は勇者である何よりの証拠。うん、俺に無いね。隠れてないよね? 隠れてないね。


「では、優輝殿よ。インゴッドに手をかざし、己が望む武器を頭に浮かべてくれ。さすれば、インゴッドは勇者の想いに応え、形を成すだろう」


 どんな仕組みかは知らないが、勇者の望んだ武器を理解、解釈し、瞬時に姿を望むものへと姿を変える。それが、この特殊なインゴッドのようだ。


 優輝はハイドリヒの言う通りに自分の望む武器を頭に思い浮かべ、インゴッドに手をかざした。すると、優輝の意図でも汲み取ったのか、インゴッドは先程優輝のステラ・プレアスから放たれた時と同じ金色(こんじき)色に光り出した。


 すると、インゴッドは徐々に姿形を変え、遂には二本の剣になった。真白のボディに金色色の線が幾本か奔っている。インゴッドが一つなのに、剣が二本出来るって……と魈はツッコみたい衝動に駆られた。


「こ、これが俺の武器……」

「ふむ。勇者に相応しい聖なる武器だな」


 そうして、優輝は聖なる剣――聖剣を二、三度振る。そうすれば、光の軌道が空に描かれる。よく見ると、剣の刃の部分が少し光っている。まさしく、聖剣。あながち、ハイドリヒの言うことも間違いではないのかもしれない。


 その後、ハイドリヒは綾達のステラ・プレアスも確認していった。嫌な予感が魈の脳裏を過る。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

光崎綾(こうさき あや) Lv.1 人間族(アンフィルマ) 16歳 女


称号:勇者

職業:治癒術士

 

筋力:100

体力:180

魔力:480

耐性力:150

敏捷力:270


固有能力:言語理解/炎雷属性適性/水氷属性適性/風土属性適性/聖光属性適性/魔法合成/同時詠唱/魔力回復

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

椎菜美琴(しいな みこと) Lv.1 人間族(アンフィルマ) 16歳 女


称号:勇者

職業:剣士


筋力:240

体力:290

魔力:220

耐性力:210

敏捷力:380


固有能力:言語理解/炎雷属性適性/水氷属性適性/風土属性適性/聖光属性適性/剣術/斬撃/天歩/予測

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

新田賢吾(あらた けんご) Lv.1 人間族(ヒューマ) 16歳 男


称号:勇者

職業:拳士


筋力:380

体力:340

魔力:80

耐性:290

敏捷力:200


固有能力:言語理解/炎雷属性適性/水氷属性適性/風土属性適性/聖光属性適性/炎雷属性耐性/水氷属性耐性/風土属性耐性/鋼鉄化/衝撃波

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 流石に、優輝のように全部が全部高いというわけではないにせよ、魈からしてみれば、誰も彼もがチートそのものだった。ねぇ、おかしくない? 神様贔屓しすぎじゃない? もう少し俺に優しくしてもいいんじゃない!? と嘆きたくなる程、魈と称号に勇者を持つ四人の差は歴然だった。


 というか、どうして魈は他とは違うのだろうか……。


 そうして、ステラ・プレアスを確認した後、優輝と同じように綾達もインゴッドに手をかざす。すると、やはり綾は桜色、美琴は菫色、賢吾は藍色に光出し、各々が想う形へと変化していく。


 綾は、長い木の枝の先端に桜色の宝玉が付いた魔導士とか魔法を主に使うような人が持っていそうな長杖。杖の先端には桜を模った金属で出来た日本で言うアクセサリーが付いている。優輝の聖剣と同じように名前を付けるとするならば、桜杖(おうじょう)だろうか。


 美琴は、刀身が反っており、片側にしか刃がない。いうならば、日本刀だろうか。黒と金の糸で編まれた柄に、菫の花が描かれた鯉口。漆で塗られているのか黒光りする鞘。魈の心の奥底に封じられていた中二な自分が顔を出している。超カッコいい! と。名前は文句なしに黒刀である。名前も超カッコいい!


 賢吾は、手にはめられるようになっている籠手だ。藍色を主体とし、白色の線が奔っている。賢吾が実際にはめて拳を打ち付けているが、打ち付ける度に火花が散っている。重厚そうな見た目通り喰らったらひとたまりもないだろう。名前は……普通に籠手でいい気がするが、藍拳(らんけん)と呼称することにしよう。


「では、最後にお主じゃな。名は?」

「……如月魈です……」

「うむ。では、ステラ・プレアスを見せてくれ」


 魈はどうせ馬鹿にされるんだろうな……。あんな凄いステータス見た後だもんなぁ……とやさぐれていた。まぁ、やさぐれるのも仕方ないと思う。


 だって、あれほどのステータスを見せられたのだ。異世界転移なんてお断りだが、来てしまった今では勿論、最強を目指すつもりだった。自分の好きなキャラ達は最強な上にカッコいい。だからこそ、そんなカッコいい最強主人公達が好きなのだ。そんな彼らを目標にするのは当たり前というもの。


 だというのに、自分は平凡を地で行き、最強主人公になり得るステータスを持っていたのは魈を除いた四人だった。エデン様とやらに選ばれたのは魈ではなく、優輝達勇者四人組だったのだ。


 そんなこんなでやさぐれてしまっているのである。まぁ、この態度のままハイドリヒと応対するのは如何なものかとは思うが。


 ハイドリヒはそんなことは気にせずに魈から受け取ったステラ・プレアスを確認する。気にしないのは、王様としての貫禄か、はたまた勇者候補の一人だからか。


 そうして、ハイドリヒは先程の優輝のステラ・プレアスを確認したときのように目を見開いた。一体、何に驚いたのだろうか。別に、驚く要素は皆無だと思うのだが……。いや、確かに驚くよね。ステータスが魔力以外平均なんだもんね。その魔力も零だもんね。


「魈殿。いや、如月。これはお主のステラ・プレアスで間違いないな?」

「……? 間違いないはずですけど……」


 魈は他の人とは違う呼び方に首を傾げつつ、ハイドリヒの質問に答えた。


「そうか。皆の者! 至急その男を捕らえよ!」

「「「「「はッ!」」」」」

「……え?」


 ハイドリヒの叫びに、魈は訳がわからないと間抜けな声を漏らし、ハイドリヒを取り囲うようにして待機していた近衛兵達は即座に己の武器を構え、魈へと向けるのだった。


大幅に変更するにあたり、前話の『異世界〝アースト〟』が長くなってしまったため、2019/03/19に割り込み投稿しました。

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