詩和二周年記念番外Ⅰ プロローグ
これは、詩和翔太二周年を記念とした番外編で、展ラブと死姫のコラボとなっております。
正直、やりたい放題な番外編ですし、長ったらしい番外編でもあります。
本編とはまったく関係ないので、コラボなんかよりさっさと最新話書けという方は二周年記念番外が終わるまでお待ちください。
詩和二周年を祝ってくれる方はぜひ、お読みください。
ある日のこと。
「はぁ、疲れた。眠い。帰りたい」
「そんなこと言わないでよ、ナイト。ほら、敵来るよ?」
二次元部ではいつも通りの時間が流れていた。
夜とまともに戦えるように練習しているあかりと梨花。パソコンとにらめっこをしている瑠璃と玲奈。そして、お互いに背中を合わせて座り、今も敵を蹂躙している夜と夏希。まったくもって変わらない日常だった。
寝不足気味のためか愚痴を零す夜に、夏希は集中して! と叱咤する。毎日見ているとはいえ、あかり達からしてみれば羨ましい光景なことに変わりはないのだ。
信頼し合っている二人だからこそ、同じゲームを遊んでいたからこそ、二人は盟友でもあり、相棒でもある。
もしかしたら、夏希との絆は、妹であるあかりよりも深いのかもしれない。負ける気なんてさらさらないけど。
だからこそ、二人の関係が羨ましいのだ。悔しいけど。
「アリス、そっち行ったぞ」
「うん、ナイトもそっちおねがい!」
「わかった。ふっふっふ、俺の力にひれ伏せ!」
まぁ、夏希とSaMをしている時だけ夜は中二病が再発するので、滅多にみれない夜を見ることが出来る点に関しては夏希に感謝しなくてはいけないのだが。だって、おにいちゃん可愛いんだもん。
そうこうしている内に敵を蹂躙し終えたようで。
「やったな、アリス」
「うん!」
二人はこつんと拳を合わせて、笑い合った。正直、本当に羨ましい。
すると、夜のスマホから電子音が鳴った。どうやら、誰かからメールが来たらしい。何だろう、最近この展開を何処かで見たことがあるような気がするんだが……。 まぁ、気のせいだよね!
夜は不思議に思いながらもメールを開いた。
「えーっと、なになに? 『君は、生まれる世界を間違えたと感じたことはないかい?』」
「ねぇ、ナイト。それって……」
「あぁ。完璧ノゲ〇ラだよな」
メールの本文を見て、夜と夏希はお互いに感じたことを言い合った。即ち、この文見たことあるんだけど、と。
一体、どういう目的でこんなメールを送ってきたのかはわからない。正直、いたずら以外の何物でもないと思う。因みに、誰から届いたメールかはわからない。
「生まれる世界を間違えた、か……」
「ナイトはどう思うの?」
「ん~、そうだな。別に間違えたとは思わないな。今でも十分楽しいし」
結局はそういうことなのである。この日常を、世界を楽しめていなければ別の世界に生まれたかったと思うかもしれない。だけど、少なくとも今が楽しいのだ。幸せなのだ。だから、間違えたとは思わないのである。そもそも、生まれる世界なんて自分で選べるわけがないのだ。
「そう言う夏希はどうなんだ?」
「僕? 僕はナイトと一緒にいるこの時間が楽しいから間違ったなんて思わないよ?」
「そ、そうか……」
「うん!」
満面の笑みを浮かべながらそう言う夏希に、夜は気恥ずかしいやらなんやらで頬を掻いた。本人が気付いていないならそれでいいが……、めっちゃ恥ずかしいこと言ってるけど?
「……うぅ、夏希ズルイ……」
「さらっと凄いこと言ってるわね、夏希ちゃん」
「夜クンも満更でもなさそうだね……。私という彼女がいながら……」
「瑠璃先輩、本当何時まで引っ張るんですか、それ。この前散々言われたじゃないですか」
「玲奈クン、それは言わないお約束だよ。そもそも、世界線が違うからね?」
そんな二人を見て、五者五様の反応をするあかり達。瑠璃と玲奈に関しては多分言ってはいけないことを言っていると思うのだが、気にしない方がいいだろう。
「まぁ、返答くらいはしとくか」
「どうする? スマホから腕生えてきたら」
「いやいや、流石にそれはないだろ?」
そうして、夜は慣れない手つきで文字を入力していく。ゲームに関しての操作は完璧なのだが、文字入力に関してはド素人なのである。というか、最近の女子高校生の入力スピードがおかしなだけで、夜は普通なはずなのである。というか、本当なんであんなに早く打てるんですかね?
「とりあえず、『間違えたとは思っていない。だが、異世界に行けるもんなら行ってはみたいな』と送ってみた」
「確かに、異世界には行ってみたいよね」
「だよな。チート能力で俺TUEEEE! とかしたい」
そうして、異世界に思い馳せていると。
『いいや、間違えている。我がそれを教えてやろうではないか』
突如聞こえた声とともに、夜達の足元が急に光り出した。咄嗟のことに、みんなしてへ? と間抜けな声を漏らす。
夜と夏希は顔を見合わせ、ギギギと壊れたロボットのように下を向いた。そこには、幾何学模様が。
「なぁ、アリス」
「ナイト、これって……」
まさか……と思った束の間、部屋は真っ白な光に包まれた。
光が収まると、そこには誰の姿も残っておらず、瑠璃がゲームをしたままだったが故に、玲奈が執筆中だったが故に付けっぱなしだったパソコンの光が怪しく部屋を照らしていた。
夜達に訳のわからないメールが届いた頃。ショウの元にもメールが届いていた。
ショウはもう触らないと思っていたスマホを取り出した。使い古されたスマホカバーに、妹から貰ったストラップの付いているスマホを。
「ショウ、それなに?」
「これか? スマホって言って、俺の世界の便利な道具だ。遠くの相手と会話出来たり、どんなことでも知れる」
「ショウのいた世界、すごい……」
「でも、この世界に来て使えるか試した時は使えなかったはずなんだけどな。なんで、今更メールなんざ届くんだ?」
この世界にスマホを持っているのはショウ以外に勇者組の四人だろう。しかし、ショウの連絡先を知らないはずだ。だから、勇者四人の誰かからメールが届いたという可能性はゼロである。
だからといって、ショウの連絡先を知っている人からのメールという可能性も限りなくゼロに近いだろう。ショウの連絡先を知っているのは父親、母親、妹の三人である。友達の連絡先? 友達いないからねぇよそんなの。
そんなことはさておき。ここは異世界である。日本から異世界へ、メールが届くとは思えない。メールがどういう仕組みで送られているのかはわからないが、世界が違うのだから届くはずはないだろう。
なら、一体誰からのメールなのか。ショウは訝しみながらメールを確認した。リアは横から覗き見る。
「……よめない」
「だろうな」
「なんて、かいてあるの?」
「『君は、生まれる世界を間違えたと感じたことはないかい?』って書いてあるな。……ノ〇ノラかよ」
ショウは既視感しかないその文章に、呆れながらもツッコんだ。
「うまれる世界?」
「あぁ。間違えるも何も、そもそも端から選べねぇだろうが」
「ショウはどうおもう?」
「……間違えたなんて思いたくない。今まで俺の歩んできた道を俺が否定するわけにはいかねぇしな。それにしても、どうすればいいんだ? このメール。返信とかした方がいいのか?」
こういった迷惑メールとかいたずらメールの類には反応しない方がいいとは思うが、多少の気がかりがある。どうして、この世界でメールが届いたのか。メールの内容も気になってしまう。だって、どっからどう考えてもノゲノ〇の台詞なんだもの。
「とりあえず、『てめぇは誰だ?』とでも送っとくか」
答えてくれるとは思わないが、聞かないよりはマシである。もしかしたら、教えてくれるかもしれないし。まぁ、これで名乗ってきたらただの馬鹿か。
すると、そう時間を置かずに返信メールが返って来た。返信はやっ。ずっと待ってたとかないよな?
「あぁ? 『質問に答えろ』だァ? チッ、めんどくせぇ」
ショウは苛立ちを露わにしながら、指を走らせ、返信メールを送る。
すると、やっぱりすぐに返信が来た。いや、ほんとにメール待ってたりしないよな? 好きな人からのメールを待つ女の子みたいなことしてないよな?
メールを確認しようとすると。
「ねぇ、ショウ。なんてかいたの?」
「『間違えてる訳ねぇだろ』って送ってやった。リアと会えたのに、今の俺が間違いな訳ねぇだろ」
すんごい小っ恥ずかしいことを言っているが、気にしたら負けだとショウはメールを確認しようとしたその時。
『ならば、我が考え直させてやろうではないか』
何処からか声が聞こえた瞬間、足元に魔法陣が現れた。
「またか!? またこの展開なのか!?」
「ショウ! 手をつかんで!」
リアの言葉にショウは咄嗟に反応し、リアの手を握りしめた。絶対に離して堪まるかと、力強く握りしめた。
そうして、光は収まった。しかし、当然といえば当然か、二人の姿はそこになかった。残るのは、風に弄ばれ揺れる草花の音と川のせせらぎだけだった。
ども、詩和です。お読みいただきありがとうございます。
さて、今回はいかがでしたでしょう。楽しんでいただけましたか?
何とか今日中に間に合ってほっとしてます。お陰でテスト勉強の〝テ〟の字もしてないですけどね。やべぇ、俺死んだわ。
とりあえず、今日で詩和はなろうに投稿を始めてから丸々二年が経過しました。いやぁ、よく逃走せずここまで続けたな、俺。よく頑張った!
ここまで続けられたのも、すべて読んでくれている方々のお陰です。本当に、ありがとうございます! これからも、面白い物語を書けるように頑張ります。
……そういえば、内容に触れてませんでしたね。まぁ、タイトル通りプロローグです、以上。
さて、ぶっちゃけ書くことないんで今回はこの辺で。明日は別の番外編を投稿予定です。間に合うかどうかは別として、ですけどね?
それでは次回お会いしましょう。ではまた。




