詩和翔太一周年記念番外Ⅱ 歓迎会?
今回の番外編は、〝展ラブ〟と〝死姫〟のコラボです。
読んでいない方に興味を少しでも持っていただけたらなぁ、という詩和の考えです。
本編にはまったく関係ないのでご注意を。
放課後。夜は魈と綾を二次元部の部室へと案内していた。因みに、梨花は先に行って歓迎会の準備をしている。その他の四人も梨花を手伝っているようだ。五人とも反対しなくてよかった、と夜は内心ホッとしていた。
「ねぇ、夜君。教室からかなり離れてるけどホントにこっちで合ってるの?」
「いや、毎日行ってるのに間違えようもないだろ……。でも、確かに初めて来る人はこんなところにあるのか? とは思うだろうな。俺も最初は迷ったし」
「でも、部活として認められるの苦労したんじゃないのかな?」
「あぁ、そこはまぁ、理事長に頼み込んだよ。ちょっとした知り合いでね」
「夜君、それはコネというのでは?」
「……」
夜は目を逸らした。魈は察した。そして、理解した。この先は聞かない方がいいだろうと。色々と苦労したのだろう。
休み時間などに部活動の内容を聞いたのだが、どれも部活としては反対されそうな内容だった。アニメを鑑賞、ラノベ執筆、ゲームで交流を深める。確かに、アニメは素晴らしいものを教えてくれるし、小説を書くことで物語の構成や心情を理解することが出来るし、同じゲームをして仲良くなれるというのはあるだろう。しかし、それを部活でやるというのはかなり難しいはずだ。
魈は許可を出した理事長が何を思って許可を出したのかわからなかった。きっと、何か夜達のためになるのだろうとでも思ったのかもしれない。
まぁ、その時の理事長は……。
「ん? 二次元部? いいね、楽しそうだ。え? 生徒会の許可が下りない? いいよ、私が出そう。なぁに、心配するな。生徒の自主性を尊重するのが私の教育方針だからね!」
と、部活内容が面白い! の一言で生徒会の無理を言って許可を出させたのだ。何も夜達のためにやったわけではない。結果としてはそうなのだろうが……。
因みに、理事長の教育方針を簡略すると、〝生徒に全部任せれば私の仕事は減る!〟だ。いい加減理事長辞めさせられそうだ。それでも、生徒からは結構な人気を持っているのだからある意味凄い人物である。
そうして更に歩くこと数分。扉に二次元部と貼り紙が貼られた扉の前に辿り着いた。二年C組の教室からは十分くらいの場所だろうか。ナギ高がどれだけ大きい高校なのか実感した。
「さて、ここが二次元部だ。多分、そろそろあいつらの準備も終わってる頃だろうし入ろうか」
「え、準備って何の?」
夜が扉を開けた瞬間、
――パン、パパン!
突然鳴った破裂音に、魈と綾は二人して身体を跳ねさせた。そして、上から振ってくる紙吹雪。目の前にはよくパーティーなどで見る三角形の紐付いてるやつ――クラッカーを持つ四人の綾と同じくらいの美少女と梨花がいた。
もしかして、準備ってこれのこと? と魈は夜達に感謝の言葉を述べようとしたその時、
「おにいちゃん、お帰りなさい!」
「ナイト~、さっそくゲームやろうよ!」
「夜クン、少し遅いんじゃないかい?」
「ルナ先輩、アドバイスを貰いたいんですけど……」
「え、もう来たの!?」
「うん、そうだよね、俺なんかを歓迎する訳ないよね」
どうやらあのクラッカーは夜のためのものだったらしい。毎日これをやってるかは夜の反応を見ればわかるが、驚いているから初めてなのだとわかる。どうしてこんな紛らわしいことするんだろう、と魈は不思議に思う。
「あのなぁ、お前等言う言葉が違うだろうが。そのクラッカーは何のために鳴らしたんだよ」
「おにいちゃんを歓迎するためだよ?」
「歓迎するのは俺じゃなくて魈と光崎さんだろ。ほら、俺なんかどうでもいい奴なんだって遠くを見つめてる」
夜の視線の先には、その場に三角座りしていい笑顔で窓の外を眺めている魈の姿があった。綾は気にしない、気にしないと魈の背中をさすさすしている。ある意味信じられない光景だった。これをどこかにいる綾の幼馴染君が見たら魈が責められていたい違いない。
「何処に行っても俺は独りなんだね。うん、わかってた、わかってたよ……」
「ほら、元気出して如月君。私は如月君の味方だよ?」
このままではマズイ。このまま魈をあのままにしておけば病んでしまう。これ以上病ませてなるものか! 四人もいれば十分だから! これ以上増えないで!
「おい魈元気出せって。ほら、今歓迎会始めっから」
「いいえ、俺にはお構いなく。ほら、そこに夜月さんを待っている彼女さんたちがいるじゃないですか。俺初めて見ましたよ、リアルハーレム」
「目ぇ覚ましてくれ魈! 何処をどう見たらハーレムに見えるんだよぉ!」
夜は魈の肩を掴み前に後ろにと揺さぶる。魈の頭ががくんがくんと揺れる。早く止めないと首が折れてしまうかもしれない。
「……ん? ここは?」
「やっと正気に戻ったか。ほら、早速歓迎会を……」
「あれ、ハーレム王の夜月さんじゃないですか」
「お前はっ倒すぞ」
その後、無事に魈ははっ倒された。そこまで痛くなかったというのは夜には内緒である。きっと、本気じゃなかったに違いない。事実、夜が本気になったら人は後頭部から床に落ちる。魈は内心、夜に感謝しつつ嬉しくもあった。何も、魈がドが付くほどのMだからではない。こういったTHE・友達というような関係が嬉しかったのだ。冗談を言い合い、時に喧嘩をするという関係が嬉しかったのだ。おこがましいかもしれないが。
「ありがとう、夜君」
「え、お前もしかしてそっちの……」
「違うよ!」
でも、夜には伝わらなかったらしい。哀しいかな、哀しいかな……。
「如月君、私は別に構わないからね!」
「だから違うよ!」
綾にも勘違いされた。しかも気遣われた。少しの虚しさを覚える魈だった。
ども、詩和です。お読みいただきありがとうございます。
さて、今回はいかがでしたでしょう。楽しんでいただけたなら幸いです。
それと、今回短くてすみません! 何せテスト終わりなものでダラダラしてたものですから……。
それと、この番外が終わるまでは本編はお休みです。楽しみにしていてくれているであろう読者の皆様、大変申し訳ございません。
やっぱり、優しいショウだと違和感があるのは何ででしょう。二週間前くらいはずっとそうだったのに……。
それと、あかり達の自己紹介は次回です。わかりづらくてすみません。
さて、今回はこの辺で。
この番外を期に、二つの作品を読んでいただけたら幸いです。
それでは次回お会いしましょう。ではまた。




