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疾風ガール  作者: メリット5
仲間
8/20

夜警ら

 三番コースは、県内有数の飲み屋街と国道を通る一番面倒なコース。

 ゆっくり飲み屋街を通過し、飲酒運転の車を探す。交番から二人の警察官が走って出てくる。酒絡みの事案でも発生したのだろう。

「あの前のワンボックス。声かけるか…」

「分かりました」

 一ノ瀬の指示でワンボックスを止めることにした。莉奈が赤色灯のスイッチを押し、マイクを手に取る。

「前のワンボックスの運転手さん。左に寄せて止まって下さい」

 莉奈の声に周りを歩く人が振り向いた。周りの人が気付いているのに、ワンボックスは止まらない。

「パトカーの前のワンボックスの運転手さん。止まって下さい」

 やっと気づいたのか、ハザードが点灯し、ワンボックスが左に寄って止まる。

「よし、行ってらっしゃい」

 一ノ瀬がワンボックスの後方に覆面パトカーを止めた。

  莉奈はシートベルトを外すと、ワンボックスの運転席へ歩いて向かう。

「運転手さん。窓開けてもらえますか?」

 車内で何かを探していたのは、見た目三十代の男性。顔は少し赤いかも。

「何ですか?職質?」

「飲酒の取締りしてまして。運転手さん、飲んだりしてませんかね?」

 莉奈の問いかけに首を振る男性。

「息吐いて貰えますか?」

 微かに酒臭がする。

「運転手さん飲んでますよね?」

「飲んでないって」

「じゃあ、パトカーでお酒計らせて貰えますか?」

 莉奈が覆面パトカーを指差した。一ノ瀬がパトカーから降り歩いて来る。

「運転手さんすぐに済みますので、ちょっとだけ協力して貰えますか?」

 一ノ瀬の助け舟もあり、渋々ドライバーをパトカーに乗せることが出来た。

「まず、うがいして貰えますか?」

 紙コップと水を渡す。ドアを開けて水を吐いたドライバー。

「この風船パンパンになるまで一気に膨らませて下さい」

 莉奈の渡した風船が一気に膨らむ。このドライバーの肺活量はすごいみたい。

「この検知管使って計らせて貰います。未開封であることを確認して貰えますか?」

 両手で丁寧に検知管を渡すと、ドライバーは興味津々に受け取った。

「はい。確認しましたよ」

 ドライバーから両手で検知管を受け取り、両端を折る。

 一ノ瀬は、ただ莉奈の様子を黙って見るのみ。

 検知管をポンプに繋げ、風船を付ける。ポンプで風船の空気を吸い、しばらく待つ。

「飲酒検知初めてですか?」

「初めてです。検知も警察に止められたのも」

「じゃあ、ドキドキだぁ…」

 一ノ瀬が適当な会話をして、時間を潰す。この会話も本当は、莉奈がしなくてはならないし、将来的に、白バイで一人で勤務すれば、一人で会話をもたせないといけない。

 規定の時間が経ったため、莉奈は検知管の目盛りを見る。

「数値は基準値ギリギリ行ってないですね」

 莉奈は数値を読み上げた。

「どうなりますか?」

「検挙の対象ではないので、厳重注意という形ですね。次回から気を付けて下さい」

 一ノ瀬がドライバーに声をかける。

 ギリギリ検挙出来なく、とても悔しい。

 その後、ワンボックスを一ノ瀬が運転し駐車場に止め、家族の迎えを待つこととなった。一ノ瀬がワンボックスを運転していたため、莉奈は覆面パトカーを運転することとなった。

  また、クリープ現象走りになり、一ノ瀬にけなされた。

  家族にドライバーを無事引き渡し、厳重注意とし、警らを再開させる。

「惜しかったな。さっきの」

「ですね。あと少しでしたから」

 基準値を超えなかったなら仕方ない。

「はい。一時不停止」

 莉奈は、素早くサイレンを吹鳴させた。


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