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疾風ガール  作者: メリット5
仲間
6/20

神戸プリン

「莉奈ちゃん。お疲れ様。これあげる」

 神戸がプリンを莉奈の机の上に置く。神戸の大好物のプリン。冷蔵庫に常に大量にストックされており、誰かがこっそり食べると激怒することもしばしば。小隊長はじめ、神戸プリンと呼び、恐れている代物。

「ありがとうございます。ありがたく頂きます」

 思わず莉奈は、笑顔がこぼれる。あの恐れているプリンが自分のデスクにある。

「俺もプリン欲しい」

 庁舎に帰って来た一ノ瀬が言う。

「莉奈ちゃんへのご褒美だから、お前にはあげない」

「まぁいいや。さっき一個拝借したから」

「勝手に食うなって言ってるだろ」

 神戸は確認に冷蔵庫へ向かう。一ノ瀬は終始ニヤニヤしていた。

「本当に一個ない。一ノ瀬お前、何度言えば分かるんだよ」

 ものすごく剣幕で迫ってくる神戸に、思わず莉奈の顔も強張る。

「じゃあ、名前でも書いてくれる?神戸って残りの十二個に」

 一ノ瀬の言葉に、神戸の怒りが爆発しかけているのが莉奈にも分かった。

「今、莉奈ちゃんにあげたから、残りのプリンは十一個ですけど!」

  そこ?怒るとこ、そこ?思わず莉奈は笑いが込み上げてくる。ここで笑ったらヤバイ。必死に笑いを堪える。

「プリンごときでそんな怒るな神戸。あと一昨日、俺も一個拝借したからな」

 ちゃっかり自分もプリンを食べていた小隊長の近藤。意外にお茶目なところがある。

「小隊長まで。もう、プリン誰も食べるなよ」

「分かった分かった」

 近藤が言うとブツブツ言いながら神戸は自分のデスクに向かう。プリン事件がひと段落し、いつもの雰囲気に戻る。

「書類作成終わったら電話かけて。俺、整備工場に行ってるから」

 一ノ瀬は一言、言うと直ぐに庁舎を出て行く。

  この江乃町庁舎の敷地は広く、交通機動隊、機動捜査隊、整備工場とが同じ敷地に建っている。近くには自動車警ら隊の庁舎があり、江乃町は警察の庁舎が集中している。

「そろそろ、夜警ら(よるけい)の時間か…」

 近藤が呟くと神戸がそうですねと呟く。白バイ隊員は、一日中白バイに乗っている訳ではなく、夜間は覆面パトカーに乗り換え勤務する。

「七瀬は書類作成してていいからな」

「もう、西堀署(にしぼりしょ)身柄(みがら)関係の書類は作って来たので、もうすぐで終わります」

 珍しく優しい近藤に、なぜかムズムズするというか変な感覚がする。

「そうか。じゃあ、出かけるか」

 近藤はヘルメットと抱え、相勤者(あいきんしゃ)の神戸より先に庁舎を出て行く。

「いざ、狩へ」

 神戸も切符鞄(きっぷかばん)を持って近藤の後を追う。

  二人が庁舎から出るのと同時に書類作成が終わり、莉奈も立ち上がる。確か一ノ瀬は整備工場にいるはず。

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