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恐怖と孤独


神秘の森から離れた森の中…一人になった。いつも側にいた精霊たちは居なくて、どんどん暗くなってくる森。

 

 寂しくて怖くて視界が霞む…涙が溢れていた。


 私…これからどうしたらいいの? みんなも居なくて……寂しい。離れ離れなんてやだ! 

 


 

 するとキュウウっとお腹がなった。


 「グスン…お腹減った…」


 ハッと思い出し、空間を開ける。これはピンクの小鳥さんに教えてもらったおまじないだ。

 

 その中には今までに貰った沢山の実が入っていた。

 それを一つ取り出し食べる。口いっぱいに広がる甘くて優しい味にまた、涙が溢れた。精霊の住処らくえんで過ごした日々を思い出したのだ。

 涙を流しながら実を頬張り、お腹いっぱいになり少し落ち着く。

 

 「良かった、食べ物はある…」


 これで、餓死する恐れが消えた。

 

 しかし、まだ安心できない。ここは森の中、辺りはもう暗い。もしかしたら獣に襲われるかもしれない…そんな恐怖を感じていた。遠くから獣の鳴き声が聞けえた。

 

 その度に震え上がりそばに生えていた木に張り付く。体を縮め辺りを警戒しながら朝を迎え…精神的に疲れた。いつ殺されるか分からない恐怖、時折近くで聞こえる獣の鳴き声、風で揺れる木々…。

 

 それを思い出しても震える。

 空間を開け実を一つ取り出し食べる。すると眠気は無くなり不思議と力が湧く。

 

 そして、どこへ向かっているのか、どこに行けばいいのかわからないまま歩き出す。

 自分の居場所がない…、しかしここにずっといる訳にもおらず、歩き出したのだ。

 

 獣人…歩きながらピンクの小鳥さんに言われた自分の種族について考える。気づいたのだが、自分は目と耳…匂いに敏感だった。あんなに暗い森の中もよく見えていた。人間だった頃は目が悪かった気がする、それに夜はあんなにはっきりと見えていなかった気もする。


 それに、目に力を込めると不思議ともっと奥、もっと奥も見渡せるのだ。どこまで見れるのかまだ、分からない。

 


 ふと……自分と同じ種族の獣人はどうしているのかと考えた。

 希少で、人間に狙われる獣人。どう過ごしているのだろう……。もしかしたら、どこか人のいない秘密の場所で……それとも、もう自分以外は居ないのか…。

  



 バキッ 


 「!!!!」


 考え込んでいると直ぐそばで木の折れる音がした。自分ではない…

 

 なら…?

 

 振り返ると、少し離れた木々の間から銀色の鎧をまとった男がこちらを見ていた。 

  



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