第1話 出会い
新しい趣味を見つけるため、
はじめて小説を書いてみました。
読むに堪えないところもあると思いますが、よかったら読んでみてください。
書きたいことを書くのは難しいですね。
『あなたはいらない人・・・』
その言葉が頭から離れなかった。
この世界から拒絶されたと思った。
一刻も早く消えてしまいたかった。
〇〇年 8月某日
僕らは、暑く照りつける砂漠を歩いていた。
『あ、あついー』
「いくらなんでもへばりすぎだろ。一般人でももう少し体力あるぞ
まあこの辺だと思うからもうすこしがんばってくれ」
『あいーー』
不眠不休で丸2日歩き続ける一般人ってどんな奴だよ。
などと思いながら、僕はだるそうに返事をした。
僕は世界を救う救世主カインのお供をしている。
30年前、異世界からの侵略者達によってこの世界は滅亡しかけていた。
多くの町が燃やされ、人々は殺されていった。どこから来たのか、何の目的で現れたかわからない。
侵略者達は妖魔と呼ばれる怪物達を従え、ただ略奪と虐殺を繰り返していた。
何とか生き延びた人々は集まり村を作り、侵略者達の目を盗んで暮らしていた。そんな村が世界中に点々としている。
カインはこの世界にある大陸の最西端に位置するロンド村の出身である。
ロンド村には古くから伝わる預言書があり、そこにはこう記してある。
「生まれたときより光に包まれ、神の力を授かった救世主あらわる。
右手に神の痣を持つ3人の救世主と共に邪悪なる者をうち倒し、世界に平和がおとずれるであろう」
カインは光に包まれて生まれて、強大な<ギフト>を持つ救世主として育てられ力が成熟する25歳の日に3人の仲間を探すべく旅に出た。
僕と彼は2年前に出会い、今も仲間を探す旅を続けている。
なかなか仲間の手がかりが見つからず、やっとの思いで神の痣を持つといわれる者の情報を入手した。
その者はこの大陸の中央砂漠の村で神の子として崇められているらしい。
数時間あるくにつれ、砂漠のオアシスが見えてきた。
僕は思わず
『あーもうだめです。あそこで休憩しましょう。人気はなさそうですが』
カインはあきれて
「わかったよ。休憩しよう。ただ村はこのあたりのはずだが・・・」
外から見る分には人の気配はない。誰もいないのであろうと足を踏み入れたが
カインはその瞬間何者かの気配を感じ取ったようだ
結構広いオアシス。湖が広がり木々が生い茂っている。
『あー気持ちいーー』
僕は、すぐさま服を脱ぎ捨て湖に飛び込んだ。
気持ち良く浮かんでいると、湖の底にただならぬ大きなものが影が迫ってきた。影は際限なくどんどん
大きくなっていく。
『た、助けてー』
思わず声を上げた
「早く上がってこい」
カインの声を聞く前に僕はフルスロットルのクロールでなんとか湖を這い出て、大急ぎで服を着た。
なんと巨大な大王イカの怪物が顔を出した。
体長10mほどある大王イカは僕とカイン襲いかかってきた。
カインは涼しい顔をして、右手を握り念を込めた。右手は光り輝き、カインが大王イカに向かって握った拳を繰り出すと光が飛び出し、大王イカは一瞬で黒焦げになった。
『さすがっすねー』
--<ギフト>
この世界には特殊な力を持つものがいる。
・火を出す
・空を飛ぶ
・物を手で触れず自在に操る
・透視する
力は大なり小なりだがその力を駆使し、人々は妖魔と戦ったり結界を張って村を守ったり、生活のため獲物を狩ったりしていた。
カインは神に選ばれた子として特に強大な力を秘めており、光のエネルギー主とした太陽のギフトと呼ばれるものを有している。(まあ普通の身体能力も怪物なみだけど)
逆に、稀に何のギフトを持たない者もいて、その者たちは<ギフトレス>と呼ばれている。
僕もそのうちの一人だ。--
「おかしい。やはり人の気配がする」
カインがそうつぶやいた瞬間 背後より声がした。
「この村に何の用がありますか?」
振り返ると老人が立っていた。
気づくと老人の後ろに、周りにはたくさんの人たちが集まっていた。
この老人はこの村の村長のようだ。
カイルは村長に言った。
「私達は世界を苦しめている侵略者を打つため、共に戦う救世主を探しています。」
村長は静かに答えた。
「私たちはギフトレスの集まりです。あなた様のような力を持つ方のお役にたつ者はおりません」
カインは不思議そうに返した。
「ただこの村には何やら結界が張っているようですが、どなたが・・・」
「私よ!」
村人の集団のさらに後ろから女性の声がした。
村人の集団を押しのけその女性が割って入ってきた。
村長はあわててその女性に問いかけた。
「サ、サラ様よろしいのでしょうか」
「いいのよ。その男は気づいているようだし。で、私がその救世主とやらだったらついて来いと・・・」サラと呼ばれた女性は、カインを睨みつけた。
「世界を救うためにお願いします。」
カインは頭を深く下げてお願いした。
「嫌よ。世界を救うだかなんだか知らないけどそんなこと知ったことないわ」
とサラは吐き捨て再び村人の群れ戻り帰って行った。他の村人もぞろぞろと散って行った。
「そういうことですので、お引き取りください。ただ、お疲れのようですので今晩はわたくしの家にお泊りください。」
村長は申し訳なさそうに言った。
その日の晩、僕は疲れ果てすぐに床に入りうとうとしていた。
意識が遠ざかる中、村長とカインの会話が聞こえる。
「私たち村人もこのような状況をなんとかしたい。
サラ様の力が必要なら、旅立って世界を救ってほしい。ただサラ様はやさしいお方です。
自分がいなくなれば力のない私たちを守るものがいなくなるのであのようなことを。」
「そうですか・・・。サラさんのお気持ちはわかります。
ただ何もしなければ何も変わりません。」
「私たちも自分の身が自分で守れないことを恥ずかしく思います。」
なんで何も悪いことをしていなくて生きているだけで恥ずかしい思いをしなければいけないんだろう。
その夜僕はある夢を見た。
目の前に祠がある。誰にも見てもらえず、手入れもしてもらえず廃れた祠。
祠に手をかざすと、見知らぬ洞窟の中にいた。
一人の少年が僕の前に立っていた。
悲しそうな目で僕に言った
-悲しいね。自分で・・だ・・なのに本質は・・・ない。-
ちょっとよく聞こえなかったが、そもそも訳分からん。
『は?何訳わからんこといっているんだ?』
-今日の村人たち。君と同じ目をしてたね-
なぜかとてつもなく腹が立った。
『うっさい。お前に何が分かるんってんだ』
大声で怒鳴った瞬間に目が覚めた。
静かだ・・・・
早く寝たために夜中に起きたらしい。
完全に目が覚めたので、散歩がてら今日村に入った日に行った湖を訪れた。
また大王イカが襲ってきたりして・・・
ビビりながら恐る恐る湖に近づいた。
「大丈夫よ。昼の化物は私が出したものだから」
突然声がした。
湖の近くに人影がある。
月明かりで何とか見ることができた。
サラだった。
「あなたは・・・・」
『カインさんのお供をしているものです』
「そう。あなたも救世主とかいう人?」
『いいえ。僕はギフトレスです。』
サラは驚いた様子だったがすぐに平静を取り戻し聞いた。
「そんな人がなんでお供をしているの?」
僕は自分のこれまでの経緯を話した。
僕は2年前以前の記憶がない。
ロンド村の入り口で倒れていたところを村人に見つかり、村人に拾われた。
カインが旅に出る前日のことだった。
通常ギフトを持つものが右手の甲にできる十字の痣がなかったため、ギフトレスということだった。
つまり神に見捨てられた者の証拠だった。
この者をどうしようかと村人間で協議していると、カインが
「この人を旅連れて行きたいと思います。記憶喪失みたいですがこの人も旅をしているうちに自分を取り戻すかもしれませんし。」
「ですが、何の役にも立たないし、足手まといでは。」
カインは言い切った。
「一人よりよほど心強いし、なにより役に立たない人なんていません。」
なんの根拠もないけど、単純に役に立つといってもらえたのが嬉しかった。
気づけばこう答えていた。
『お願いします。連れて行ってください。』
何の記憶もないけど、実はすごい人だったりしてっていう淡い期待をしていたけれど、実際カインを
見ているとそんな期待も崩れ落ちていった。神に授けられたという力もすごいけれども、
剣技、体術、体力どれをとっても常人離れしていて太刀打ちできなかった。
それでも少しでも役に立とうと思って必死だった・・・
「そうだったんだ」
初対面の人の話を真剣にうなずきながら、サラは聞いてくれた。
性格きつそうってイメージだったけど実は良い人かも。
サラは右手の甲の痣を僕に見せた。
「目」の形をした痣だ。神に選ばれた救世主の証である。
正直、気持ち悪って思ったけどこう言った。
『救世主の証ですね。すばらしい。』
といった瞬間
「気持ち悪いでしょう・・・」
自分の考えが読まれたみたいでドキッとした。
サラは続けた
「こんなもので、人の良し悪しを区別するなんて馬鹿みたい。力はないけどやさしい人はたくさんいるのに。ギフトレスとかいうふざけた名前で区別された人がどんな扱いを受けているか知ってる?」
なんか怒られてる気がした。僕もその一人なんですけど・・・
ギフトレスと呼ばれる人は、常に危険に晒されたこの世界での役割がない。そういう人は力を持つものから守られながらも苦しみのはけ口にされ、迫害を受ける。多くの人は現状に我慢して耐えていくが、何人かはたまらず村を抜け出す。そういう人が集まって、このオアシス村のような村ができたりもする。
『はい。あまり良い印象を受けません。』
と答えると、さっきの夢を思い出してまた腹がたった。
「私が守らなきゃ・・・」
サラは思いつめた表情でつぶやいた。
ギャーーーーーーーーーーーーーーッ
突然叫び声が村中に響いた。
急いで駆け付けると、村の中央に人型の猛獣が立っていた。
寝込みを襲われた者もいるらしく、もう4,5人は喰われている。
叫び声をあげた人は、腰を抜かしてブルブル震えて猛獣に襲われようとしている
『妖魔!!!』
「嘘!結界を張っていたはずなのに!」
サラは叫んだ。
「こんなところに、まだ力を持たない人間が住んでいるとはな。」
猛獣の妖魔は言って村人に手をかけようとした。
「やめろーーーー!!!」
サラは叫んで、妖魔を睨みつけた。
すると妖魔は目を充血させ、目、耳、鼻、口から緑色の血を吐いて膝をついた
『え?』
僕は思わず口に出した。
「これも私の能力の一つ。念動力で対象者の脳に圧力をかけ破壊する。」
サラは自慢げに答えたが、僕は背筋がゾッとした。
なかなかエグイ能力をお持ちで。
暗闇の中、人影が宙を舞い、光輝く剣が妖魔に止めをさす。
カインだ。
首をはねられた妖魔は絶命し、死体ごと蒸発した。
『カインさん遅いですよ』
「すまない。でも俺が出る幕でもなかったかな」
サラは落ち込んでつぶやく
「どうして結界が破られたの?普通の人は通すけど、邪悪なものは確実に弾かれるはずなのに」
カインが答える。
「おそらく何者かが手を引き、一時結界を弱めたのでは?あの程度の妖魔では破ることは難しいはず」
その後、サラは再度結界を張り直した。今度はカインも力を加え結界を強化した。
一夜明け、亡くなった村人を皆で埋葬し、祈りを捧げた。
そして、カインと僕を含む村人全員が集められ会合が開かれた。
村長がサラに言った。
「サラ様。世界を救う旅に出てください。これはあの後村人全員で、決めた意見です」
「えっ!?」
サラは驚いて声を上げたが、村長は続けた。
「今回、サラ様の結界を破るような者も現れました。
今何もしなければずっとこのようなことが続きます。何より私たちは力がないけれどももう逃げながら生活するのは嫌なんです。自分たちの身は自分たちで守りたい。」
村人全員、決意を表した目をしている。侵略者、妖魔から逃げ、更には同じ人間たちからも逃げ続けた村人たちは自己嫌悪に陥っていたが、誇れる自分を夢見ていた。ただ何もしなければ変わらないことに気付いたのだ。力はないけれども訓練して鍛えることはできる。戦う勇気を持つことができた。
「そこの青年に教えられました。」
村長は僕を見て言った。
僕は照れながら
『まあなんというか、似たような境遇で他人とは思えないというか・・・』
カイルはいつの間にと驚いた顔をしていたが、微笑ましい表情に変わった。
サラは僕を睨みつけたが、村長に向き直って
「わかりました。私が旅に出て、すべての元凶を立ってきます。ただ3つお願いがあります。
1つは、私が旅立つ前にこの村に全身全霊の結界を張らせてください。数年は持つと思います。」
2つ目は、どうしようもないと思ったら逃げてください。逃げることは決して恥ではありません。
惨めでも生きていたらまたやり直せる。
3つ目は・・・・生きて、もう一度会いましょう」
村人達は涙を流し、村長が代表して言った
「ありがとうございます。お元気で」
村人達は僕たち3人を見えなくなるまで手を振ってくれた。
「あんた、あんな勝手なこと言って責任とれるんでしょうね」
道中で、サラは僕に言った。
『責任はお二方に・・・僕はサポートということで』
「調子の良いことですねー」
『涙流して感動してたくせに・・・』
「泣いてないわよ、てかなんで私だけタメ口?」
『だって新入りだし』
「なにそれ、あたし上下関係とか大っ嫌いだし・・・」
二人のやり取りをカインは笑いながら見ていた。
仲間は後2人。てか当てもなくどこ向かってるんだろう。
また本文修正しつつ、次話をUpしていきます。