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4.レイチェル様の社交界デビュー

修行を終えての翌朝は、父様の説教が始まりました。

二ヶ月で済むはずが、なんで三ヶ月もかかっているのかと。

説教が終わらなそうなので、素直に自白しました。

「血が騒いじゃって」と。

それを聞いた父様は額に手を当てて、遥か彼方の空を見て遠い目をしました。


父様の母様、つまり祖母様はとてもすごい方です。

フライパンと包丁を武器にわずか一週間でSSSランクになった女傑です。

7歳で壮絶な戦いを繰り広げ、数々の伝説を創りました。


父様が回想と現実逃避をしている間に、天使レイチェル様が来ました。

「リズー、お説教終わった?一緒にお茶をしよう」

「はい、いいですよ」


レイチェル様と中庭に行く途中、スヴァリウス様がこちらを見て勝ち誇ったようなお顔をされました。

スヴァリウス様の後ろには、将来的に美少女になりそうな私と年が変わらなそうな女の子が歩いています。

あの子は専属侍女なのでしょう。

私がレイチェル様を守るための修行中、ご自分はずっと専属侍女がずっとそばにいたぞという自慢なのですね。分かります。

私の彼女の第一印象は、『使えなさそう』でした。

この世界の専属執事や侍女は、戦闘特化されています。護衛を兼ねた付き人とでもいうのでしょうか。戦闘は必須スキルなんですよね。

ひょっとしてあの攻略対象者様は、顔だけで選んだのでしょうか?

それなら、ドン引きですね。旦那様は何も言わなかったのでしょうか?ご自分も専属執事がいるにもかかわらず。

旦那様と奥様はワガママ王子に甘いので、おそらくそれを許してしまったのでしょう。

レイチェル様には、「お姉ちゃんでしょ!」と言ってままを許したことがないんです。酷いですね。ありえないですよね。

ゲームのレイチェル様は、こうやって悪役令嬢の道を歩んでいったんですね。おかわいそうに。


レイチェル様と中庭でお茶をしていると、メイド長が来ました。

今日は、レイチェル様の社交界デビューの衣装作りのために業者が来ます。

メイド長によると、今日は旦那様と奥様とスヴァリウス様で王都に出て買い物をするそうです。さすが、ワガママ王子。今日は、レイチェル様の衣装作りのための業者が来ることが前々から決まっていたのに、今日の朝、急に王都に買い物に行きたいと言ったそうです。

レイチェル様は少し不満そうにしながらも、「仕方ないわ」と諦めたように言いました。

旦那様と奥様のセンスは壊滅的なので、レイチェル様には悪いですがいない方がいいです。また王都で、趣味の悪い置物を買って来られなければいいですけど。


レイチェル様の衣装作りの生地選びから始まりました。

次々に指示を出し生地を選び業者と打ち合わせるメイド長と、隣でレイチェル様を見てハァハァと鼻息荒くさせるメイド長補佐。

私はとりあえず、素早くメイド長補佐を椅子に縄で縛りつけました。

近くにいたメイドさんたちが、メイド長補佐をさらに縄で縛りました。

数時間後、やり切った表情をしたメイド長と業者がいました。


一ヶ月後の今日、レイチェル様の社交界デビューです。

今日のレイチェル様は、マジ天使です。

会場は、王城の庭園。周りには、木が植えてあります。

私は、木に登って上からレイチェル様を見守ります。

何事も起こらなそうなので、持ってきたリンゴを食べています。

しばらくすると、初対面にもかかわらずレイチェル様に食ってかかる態度の悪い小娘がいました。

アレは、ヒロインのサポートキャラ、カリーナ・ピエール・ロベール。

ピエール・ロベール男爵家の令嬢です。

ぽっとで貴族になって貴族生活に馴染めないヒロインに、貴族としての在り方と礼儀を教え、『個人保護法どうなった!?』レベルのストーカー並みの情報網を持つサポート少女だったはず。なにがどうしてそうなった!?

レイチェル様に悪意をぶつけてありえないことを言っているのではないですか。

私は思わず、手に持っていた食べかけのリンゴを握り潰しました。残ったのは、リンゴの芯だけです。

アレは、私と同じ転生者決定ですね。なので私は遠慮することなく、あの小娘の後頭部にリンゴの芯を投げつけました。そしたら、あの小娘は気絶した。

普通なら、周りの子たちがカリーナ・ピエール・ロベールを心配するのですが、ここにきてからの彼女の態度は目に余ることなので、誰も心配する子がいません。ほっとかれています。


翌日、レイチェル様のお祖父様に呼び出されました。

現在、レイチェル様のお祖父様はこの国の宰相をしています。家督を息子に譲り、宰相職に就いたそうです。

私は、社交界デビューの場でのレイチェル様のご様子とカリーナ・ピエール・ロベール男爵令嬢がレイチェル様に意味不明な言いがかりをつけていたことを報告しました。

チクリではありません。報告です。

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