3.そうだ、ギルドに行こう
異世界ファンタジーを舞台にした小説などでよくある『ギルド』もこの世界にあります。
今更ですが、この世界はズーチルボール。国名は、ゴルゴンゾーラマスカルポーネ です。
乙女ゲームに関係ないと思えるギルドですが、本編にはぶっちゃけ関係ありません。
設定だけあるのです。
実は、この乙女ゲームの脚本家が別のゲーム会社に勤めていた時に、ケンカ別れして辞めたのです。その時考えていた設定の一部をこの乙女ゲームに入れてみました★というやつです。
その脚本家は、別ジャンルのゲームの脚本家だったので、何がどうして乙女ゲームに走ったのかは誰も分かりません。
【ギルド】
薬草採取から、魔物相手の戦闘の依頼を受付け登録者に依頼を行う所。
Eランク・・・薬草などの採取依頼
Dランク・・・なんでも屋(街の便利屋)
SS~Cランク・・・強さ別の魔物退治
SSSランク・・・魔法を使う魔物退治
ちなみに、SSSランクになるとギルドから本人に依頼が届く。
この世界に魔法は存在しますが、人は魔法を使えません。
強い魔物だけが、魔法を使えるのです。
この魔法を使える魔物は、SSSランクの者しか倒せません。
特定の方法で、魔力ありの魔物を従え操ることができますが、禁忌とされていることなのでそれを行うことはこの世界では禁じられています。
ちなみに、操ることは禁じられていますが、契約するのは禁じられていません。
魔物と契約する物好きがいないので、めったにいないということもあります。
私は6歳半になった頃から、ギルドに登録できるように父様から必要な技術を叩きこまれ、そして訓練を受けています。
天使レイチェル様をお守りするためです。
いずれ行くであろう、魑魅魍魎が跋扈する乙女ゲームの舞台『マスケークリス学園』。そこで出会う不届き者を叩きのめすためです。
レイチェル様を守る訓練をするなら、手早く実践がいいよね!というような軽いノリです。目標は、最低でもSSSランクになることです。
ギルドに着きました。
今から、登録をしようと思います。
二人の女性がギルドの登録の受付をしているのですが、カワイイ系のお姉さんの方に多く並んでいます。
覇者の雰囲気を醸し出すお姉さんの方には誰も並んでいません。
私は、もちろん覇者の雰囲気を出すお姉さんのところで登録をします。
並んでいないっていいですよね。
「登録をお願いします」
「この紙に必要事項をお願いします」
紙に必要事項を書き、お姉さんに渡しました。
「チェダー家の子ですか。このカードに血を一滴垂らしてください」
「ちょっと待って下さい、先輩。まだ、子どもですよ!」
隣の受付のお姉さんが抗議してきました。
「サミアさん、チェダー家は子どもでもギルド登録は常識です。問題ありません」
【チェダー家】
専属の執事や侍女に代々なる一族。
自分で主を選ぶので、誰かに命令されて護ることはない。もちろん、命令できない。
SSSランクを輩出する名家。
ギルド内でいえば、チェダー家は有名。
7歳でギルド登録は当たり前。
8歳からの登録だと実家や一族すべてから、落ちこぼれの烙印を押される。
基本、二ヶ月でSSSランクになる。
二ヶ月でSSSランクになったのに、それ以降の期間も続けて依頼をこなすと初代に近い性格と判断される。ぶっちゃけ、戦闘狂。
「というわけです。分かりました?」
「はい」
チェダー家というだけで、そこにいるギルド登録者には大注目を浴びています。
カードに血を垂らし終え、登録を完了させました。
「説明は?」
「省略で」
「分かりました。では、軽くSランクからの依頼にしてみますか?」
「オッケー」
隣の受付のお姉さんは、どこか遠い目をしながら登録の手続きをしています。
ここ一ヵ月魔物討伐の依頼を受け、言えることはSSランクまでの魔物なら父様の方が強いということです。軽く、しばき倒せました。
そして、SSSランクの魔物に挑戦することになりました。
『俺より強い奴に会いに行く』というノリで、依頼を受けます。
あのお姉さんは色々な諦めの境地で私を見て、覇者の雰囲気を持つお姉さんは当然だという風に依頼を受け付けてくれました。
依頼場所の村に行くと、不死鳥が炎を吹いて暴れていました。
私が行くと、その場にいる人は絶望的な顔をします。
子どもが行くと当然の反応ですね。
私の武器は、伝説の『チランキ』という鉱物でできた箒です。ものすごく、丈夫です。なぜ、箒かというといつも手にしている物だからです。いわゆる、体の一部と表現しても差し支えないものですね。もちろん、箒としても使えますよ。
私は、不死鳥に狙いを定めると家の屋根に登り、ジャンプして不死鳥に乗り箒で叩きのめします。一方的な暴力行為です。
不死鳥は抵抗して、首を振ったりして私を叩き落とそうとするのですが、私はそれを避け、箒で不死鳥を殴り続けます。
そうして、不死鳥を倒し終えて、周りをみるとそこにいる大人たちは口を開けて驚いたまま固まっています。
とりあえず、大人たちに声をかけた。
「早く、消化しないといけないですよー」
大人たちは気を取り直して消火活動をし始めました。
「そこの娘、儂と契約するか?」
「オッケー」
軽すぎるノリで、血の契約を交わした。
それで、炎を消すよう命じてみた。
不死鳥は、翼でいとも簡単に炎を消した。
やはりというか、大人たちは驚きで固まってしまっている。
この村の大人たちは、驚きで固まるのが多いのでしょうか?
いち早く気を取り直した人が私に声をかけてきた。
「私が、この村の村長だ。これが、依頼完了の証明書だ」
「ありがとうございます」
依頼完了書を受け取りました。
「不死鳥は?」
「もう、この不死鳥は悪さをしないので大丈夫ですよ」
「そうか。ということは契約したのか?」
「私は脳筋職を目指すので、頭脳が必要なんですよ」
「そうか...」
それ聞いた大人たちは、あのお姉さんのような遠い目をして乾いた笑いを浮かべていました。
その後、SSSランクの依頼をある程度こなし、ヴァルテッリーナ・カゼーラ公爵家のお屋敷に戻った。
三ヶ月ぶりの我が家だ。
思った以上に早くSSSランクになったのは、ヒロイン補正があったからでしょうか?
ヒロイン補正「そんな物騒なことに、ヒロイン補正力は発揮されないから!」