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2.ご両親の愛情は、弟に

天使レイチェル様が悪役令嬢になる要因として、ご両親の愛情不足があります。

その追い打ちをかけるように、ヒロインが母について行きこの公爵家を離れたことが決定打となります。


ご両親が跡継ぎであるレイチェル様の三つ下の弟スヴァリウス様に過度の愛情を注ぎ、甘やかしまくっています。

ほとんどの使用人たちもです。

私と父とメイド長とメイド長補佐は、両親にかまってもらえず寂しい思いをしているレイチェル様のフォローをしています。

ちなみに、メイド長補佐は仕事を愛しすぎていて、メイド長に婚期を逃すのではないかと心配されています。

前世でいう、キャリアウーマン風の美女です。仕事が恋人の人です。


スヴァリウス様は、攻略対象の一人です。

姉にイジメられて、それでも絶えず明るくふるまう健気なヒロインに興味を持ちます。

物は言いようですね。それってたんに、能天気で何も考えてないだけでは?

人の男を寝盗るしか考えてないような女が健気なわけないでしょう?

現実的に考えたら、貴族の女の子たちに「あの子に婚約者を紹介したら、絶対に寝盗られるわよ」と高速の早さでウワサが充満しそうです。いや、しますよね?現実では。


6歳になった時に、勉強とメイドの仕事を習い始めました。

勉強は、レイチェル様と一緒に習います。

メイドの仕事は、レイチェル様とのお勉強の時間以外でしています。

メイドとしての仕事中にスヴァリウス様が、「一緒に遊ぼう」とお声をかけてきたのですが、「仕事がありますので」と言って、軽くスルー。近くにいたメイドたちに慰められて、どこかに行きました。

フッ。なんで私が仕事時間をレイチェル様以外のために割かなければいけないのですか?ワガママ王子のために使う時間なんて存在しませんよ。

これだから、乙女ゲームの攻略対象者様は嫌なんですよ。いつも、自分が優先されると思っているから。

もちろん、レイチェル様のためならいくらでも時間は割きます。これ、世界の真理!

それに、攻略対象者という地雷原に自ら飛び込む行為なんて馬鹿しかしません。

私は、エムじゃないんです!そんな精神的苦痛を味わいたくないですよ。

そんな地雷原に入ったら、絶対将来禿げますよ!

その前に、十円禿げができますね!


翌日、お仕事を終えた後に旦那様から呼び出されました。

昨日のワガママ王子からの遊びの誘いを断ったからでしょうか?

とりあえず、居間に向かいます。

そこには、旦那様と奥様と父様、レイチェル様そしてワガママ王子ことスヴァリウス様がいました。

「すまないな、リズ。呼び出して」

「かまいません。それで、どんなご用件でしょうか?旦那様」

「ああ。きみをレイチェルかスヴァリウスの専属侍女にしようと思ってね」

「では、レイチェル様で」

選択肢は、レイチェル様一択ですよね!他に選択肢があるだろうか?いいや、ない。

「いや、スヴァリウスはどうだろうか?」

旦那様はおかしなことを言いますね。私が、レイチェル様以外を選ぶとでも?

それはヒロイン補正の冒涜であり、神への冒涜にほかなりません。

この世界に使わされた大天使レイチェル様しかいません。常識です。

「もちろん、レイチェル様で」

「いや、だからスヴァリウスはどうだろうか?」

「レイチェル様以外いません」

「本当に、スヴァリウスじゃなくていいのか?」

「当然です」

「そうか。では、レイチェルのことを頼む」

「了解しました」

旦那様と笑顔での応酬が続きましたが、私が折れないと知ると諦めるようにレイチェル様専属侍女に任命しました。

「ほら、私の言った通りでしょ!リズが、私のじじょになるって」

レイチェル様は、得意げな顔をして言い切りました。

普通に考えて、スヴァリウス様はありえないですよね。

あんな、手のかかるお子様の面倒をみるなんて御免ですよ。



こうして、私はレイチェル様専属侍女という地位を手に入れた。

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