冒険者になろう
「すいません、奴隷は所有物扱いされますのでギルドには登録出来ません」
「ん、了解」
わたしは現在、二人を引き連れて冒険者ギルドへとやって来ていた。
そこで、受付の人に二人は登録できるのかと聞いてみたが、どうやら奴隷はギルドに登録できないらしい。
それにしても、さっきから周りの視線が痛いくらいにわたしたちに突き刺さっている。
まあ、一見、弱そうな女が幼いエルフの奴隷を二人も引き連れてたら気になるか。
でも観察されるのは好きじゃないから、周りに軽く威圧スキルを解放してを放つ。
それだけで周りの連中の殆どがわたしたちから目を逸らす。
中には、「ほう、こいつは中々面白そうな奴がいるな」的な視線を向けてくるやつもいるがそいつらは無視だ。絡むとろくなことにならない気がする。
「じゃあ、わたしの分だけ」
とりあえず、自分の分だけでもギルドカードをつくってもらう。王様からの紹介状もあったが、見せるとめんどくさいことになる事は分かってるのでそれは出さない。
「それでは此方に、お名前と年齢をご記入下さい」
渡された紙にマイカ、年齢17と書く。
名前は、この世界に漢字が無いことが奴隷と契約するときの書類を見て分かったので、漢字では無く片仮名で書く。この世界の文字はカタカナとアルファベットと数字だけだった。読みづらくて仕方がない。
「マイカさんですね、少々お待ちください」
受付のお姉さんに紙を渡すと、お姉さんはその紙を黒い石板の上に置く。
すると、紙が石板の中に沈み、石板から黒いカードが浮かび上がってきた。
凄い、やっぱりこういうファンタジーな光景を実際に目にすると感動する。
「此方がマイカさんのギルドカードになります」
マイカ Age:17
rank:1
「ギルドカードは普段はそれしか情報が現れません。ギルドカードの登録者がカードの中央に触れるとその方の所持スキル、更に触れるとギルドに預けてある所持金が表示されます。買い物をする際にカード同士を触れあわせる事によって買い物をすることもできます。それと、ギルドカードは身分証の代わりになるので無くさないで下さい」
へえ、結構高性能なんだ。
そういう高性能なギルドカードって小説の中だけかと思ってた。
そのままお姉さんにギルドの説明をしてもらう。
長いので要点を纏めると
1:ランクは1~10で1が最低、10が最高
2:依頼は現在のランクの上下1つまでのランクしか受けられない。たまに指名依頼が入ることがあるらしい
3:依頼毎にポイントが設定されており、ポイントが貯まると次のランクへ上がる試験が受けられる
4:依頼を破棄する場合報酬の5倍の違約金を払わなくてはならない。
5:依頼の他に魔物の素材を持ってくればその素材を買い取ってくれる。素材以外は商業ギルドで売却すること
6:ダンジョンにはそれぞれランクが設定されており、そのランク以下の冒険者は入ることができない(新しくできたダンジョンは除く)
7:ダンジョンの最奥にはコアがありランク3以下のダンジョンは初心者用に残しておくためコアを取っては行けない(ダンジョンが増えすぎたら依頼でコアを取ってくるように頼むらしい)
8:冒険者同士のいざこざにギルドは関与しない
こんなところだ。
後は分からなくなったら聞くことにして、登録のプレゼントに剥ぎ取り用のナイフを貰い、早速依頼を受けることにした。
で、掲示板の前に来たけど流石に王都の冒険者ギルドだけあって人が多い。
人混みは苦手なのでさっさと掲示板からはがして受け付けに持っていく。わたしは背が低い方なのでそれをするのも一苦労だ。
正直、依頼書の内容を見る限りでは、低ランクの依頼は簡単なので複数の依頼を同時に受けることにする。
今回受ける依頼は
・ヤクソウサイシュ:rank1
ホウシュウ:10タバゴトニ50ギル
・ボアノニク5ツノウヒン:rank2
ホウシュウ:250ギル
・ボアノキバ5ツノウヒン:rank2
ホウシュウ:250ギル
この3つだ。やっぱり漢字や平仮名が無いと見辛いな。
受付で依頼書を提出したとき受付のお姉さんが少し呆れたような顔をしていた。
普通は初心者でいきなり3つも依頼を受ける人は滅多に居ないらしい。
「あの」
特に絡まれることもなくギルドから出るとサラから声をかけられた。
因みにこれが初めての会話だ。買ったは良いが、何を話したらいいか分からなかったので、向こうから話しかけてくれるのはありがたい。
しかし、その声には若干の怯えが混じっている。
はて、何か怖がらせることをしてしまっただろうか。
「依頼って私たちも一緒に行くんですか?」
「そうだけど」
「戦うんですよね」
「当然」
この子はなにを言ってるんだろうか、納品関係の依頼を受けたんだからその素材を取るのに、戦うのは当然じゃないか。
「妹は……」
そこまで言われてサラはレベルが上がっていたが妹のミラはレベルが上がっていなかったことを思い出す。
この様子から察するにミラの方は戦闘など経験したことが無いのだろう。
「大丈夫、サポートする」
せっかく高い金を払って買ったんだからどうせなら直ぐに死んで欲しくはない。
多少無茶はさせるが怪我をさせないようにする、と怖がらせない用に微笑みながらサラに説明すると妹を庇いながらも必死に頷いて納得してくれた。
そういえば、最初は『あの子』も似たような反応を見せていたが、もしかしてわたしの笑顔って変なのか?