ログインしようとしたら異世界に
完結目指してがんばります
Infinite Dungeon Online通称<<IDO>>とは、無限に増え続ける、決して同じ構造の無いダンジョンとそれに伴う数千を越えるとされるモンスターの種類が売りのVRMMO。
1週間前に発売され、瞬く間に人気を博し現時点で1万人を越えるプレイヤーがログインをしている。
わたし、宮本 舞は待ちに待った今日、遂にそのゲームに参加することになった。
「これなら」
現在わたしがいるのは周囲を暗闇に囲まれた場所。ここにいるのはわたしと、インナー姿のわたしの分身だけ。
要はこの場所はキャラクターカスタマイズ空間だ。
「これも駄目か……」
もう何度目か分からない、入力を弾かれ肩を落とす。
「やっぱり簡単な名前は使われてるか」
空白のままの名前入力欄を眺めながらどうするかを考える。
流石に1万人以上のプレイヤーがいると、ネーミングセンスが壊滅的に無いわたしが思い付いくような簡単な名前は既に使われてる。
「あの名前を使うのは気が引けるけどこの際仕方ないかな」
わたしは、しぶしぶその名前を入力する。
どうやらこの名前は誰も使っていないようでようやく名前入力画面から抜け出せた。
[舞華]それがわたしのキャラクターの名前だ。
この名前は以前、わたしがやっていたVRMMOで、とある理由で有名になりすぎたのであまり使いたくなかったのだがこの際仕方ない。
職業選択の欄に移り、あらかじめ決めていた侍を選ぶ。
因みにこの侍という職業、かなり不人気な職業だ。
というのも、このゲームは基本的にパーティーで攻略するもので、一度HPが尽きると強制的にそのプレイヤーだけ町へと送り返され、更にきついはデスペナルティまで存在する。
そのため前衛に求められるのは、後衛で大火力を誇る魔法使いや回復役の神官を護るための高いディフェンスと自身が死なない為の高いHP、これがこのゲームの今の主流だ。
その点、侍はHPとディフェンスが低く、アタックとスピードが高いという今の主流の真逆の性能をしており、ダンジョン攻略の難易度が高く更にはモンスターも強いため他のキャラのレベル上げが捗らない現状、使いにくい侍のレベルを上げてるプレイヤーはほぼ皆無なのだ。
勿論、ソロプレイする気満々のわたしには関係のない話だけど。
それに侍ってなんか格好いいし。
「さて、次はスキル選択っと」
職業選択が終わったら次はスキル選択。
この<<IDO>>はスキルの種類も豊富で今分かっているだけで200種類近いスキルが存在するらしい。
スキルにはそれぞれ取得するためのポイントが決まっており、キャラクター製作時は30ポイント以内で7つまで取得できることになっている。
もっとも、30ポイントを越えても取得はできるが、その場合は越えた分だけゲーム開始時のスキルポイントがマイナスになってゲームがスタートする。
そうなった場合、もし最初に使えないスキルを選んでしまっても、スキルポイントを貯めるには他のスキルのレベルをあげるかダンジョン内の宝箱からでるスキルの実を使うかしか方法が無いのでスキルを直ぐに変えることができなくなる。
そのため、ほとんどの人がスキルポイントを余らせてスキルを構成している。
わたしの場合、この一週間考えに考え抜いたスキル構成があるのでポイントなんてものは気にしないで選んでいくけど。
先ず[二刀流](5)、これは絶対に外せない。二刀流ってなんか格好いいし。目指せ宮本武蔵。
二刀流は侍か剣士系統か盗賊系統の職業しか選べないためポイントは少ない。
因みにこの二刀流、人気はあまりない。剣を2本持って戦うより盾を持って戦う、というのが今の考え方だからだ。
次は[行動制限解除](14)、要は二段ジャンプとか壁走りができるようになるスキル、これも必要なスキルポイントが多いため人気はありまない。
三つめは[見切り](3)、攻撃を予測回避するためのスキル。回避に失敗するとダメージが増えるし、回避事態は自分の力でしなくてはいけないという扱いにくさに加えて、攻撃は盾で受けるか受け流すというのが今の戦いかたなのでこれも人気はない。
四つ目[刀](4)これはそのまんま刀のアーツを使えるようになる侍専門のスキルだ。
五つ目[威圧](7)相手を威圧して動きを封じるスキル。
六つ目[格闘](7)このゲームは自分が装備している武器以外、例えば剣士が剣ではなく普通に拳で殴ったりしてもダメージを与えることが出来ない。それを可能にするのがこのスキルだ。勿論、人気はない。というか、拳を武器とする武道家事態が人気な職業ではない。
七つ目[察知](2)ダンジョン探索には必須。1パーティーに一人は察知持ちがいないと罠で即死する可能性もある。それにモンスターにも反応するから便利。
「しかしこうして改めて見てみると……」
見事に不人気なスキルが約半分を占めている。しかもスキルポイントマイナス12からのスタート。
まぁ、わたしとしてはこれが自分のベストだと思うから後悔はしていないけど。
と、ここでスキルを7つ選択したのにいまだにスキル欄に空欄が3つあることに気付く。
はて、これはバグだろうか。
まぁバグだとしても3つ空きがあるなら埋めない手はないよね。
というわけで、何となく目についた[成長促進](50)、[自動回復](30) 、[状態異常耐性](15)を選ぶ。
[成長促進]はレベルアップの速度を速めるスキル。
[自動回復]は一定時間、経過する事にHPが自動で回復するスキル。
[状態異常耐性]はソロだと戦闘中にアイテムを使って治すのが面倒なので取った。
それにしてもさっきまでこんなスキルあったかな?
「さてと、ようやく次で最後か」
最後はキャラクターの見た目の変更。もっとも変えられるのは髪型と髪の色や顔のパーツ位だけど。
なんでも、体型を変えるのは現実の自分との齟齬がでて体の動きがおかしくなるから禁止になったらしい。
わたしとしては、この貧相な体型変えたかったんだけどダメなら仕方ない。
大人しく、ショートカットの髪はそのままに、どうせなら現実では出来ないことをしようと思い、髪の色を黒から銀に変える事にする。
『お疲れ様です。これで全ての選択が終了しました』
最後の終了の文字をタッチすると、どこからか音声が流れてくる。
機械音声ではなく、人の声だ。
『これより、Infinite Dungeon の世界へと転送致します。あなた様のご活躍を心より願っております』
その言葉と同時に周囲に光が満ちていく。
それと同時に横から引っ張られる感覚。
「何なのこれ……」
その光に思わず目を瞑る。
やがてその光が収まり、周囲の喧騒が耳に入ってきて、少しずつ目を開けていった。
「へぇ……」
目の前の光景に思わず感嘆の声上がる。
周りには騎士のような鎧に包まれた人たちと高そうな服に身を包んだ人たち。
目の前には王冠を被ったいかにも王様っぽい老人。
隣には高校生男子3人。
これどうみてもラノベとかで見る異世界召喚とかいうやつだよね。
しかもこの状況を見るに勇者を召喚したとかそんな感じにみえる。
そしてわたしはイレギュラーというやつだろう。
男子3人が高校の服なのにたいして、わたしだけIDOの初心者セットと刀2本という装備だし。
「突然呼び出してしまって申し訳無いが落ち着いて聞いて欲しい。私の名はグラハム・ドラグノイア。このドラグノイア王国の国王である」
との言葉から王様の演説は始まった。
長いので要点を纏めると
1.この世界は今、1000年前と同じようにダンジョンや魔物が溢れかえって危険な状態である。
2.わたし以外の3人は勇者としてこの世界に呼ばれた。
3.わたしは本来呼ばれない筈のイレギュラーだが一緒に呼ばれてしまったので、一応勇者の一人として扱う。
4.勇者は何らかの特別な能力を持っている。それが何かはわたしには分からない
5.魔王が現れた
6.報酬は出すのでこの世界を救って欲しい。
こんな感じ。王様の説明からすると、おそらくここはIDOから1000年後の世界なのだろう。確証は無いけど。
「どうか頼む、この世界を救ってくれ」
王様が頭を下げて頼むので、わたし以外の3人は乗り気のようだ。
わたしは王様の頼みを断る。勇者とかめんどくさいし。
「そうか、残念だが仕方がないな。巻き込んでしまってすまない。元の世界に返すことは出来ないが、御詫びに当面生活できるだけの資金と冒険者ギルドへの推薦状を出しておこう」
勇者3人が居ればおまけのわたしは要らないようで、全然残念そうに見えない王様から推薦状とお金を受け取り、この後の事は部外者には聞かせられないという用な態度で、そのまま城から追い出された。
さて、これからどうしようか。