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クズの日常1

作者: リュート

 今日も今日とて、僕はベッドの上に体を横たえていた。何もする気が起きない。全身が泥の中に沈んでいるようだ。スタンドライトが部屋を照らしていた。

 仕事を辞めて一ヶ月、世の流れとは隔絶されている。テレビに目をやるとソチで行われているオリンピックの様子が伝えられている。カレンダーを見ると二月十一日、建国記念の日と言われる祝日だ。

 僕には何の関係もない。最低限の栄養を取って眠っている。僕の胃は食物を拒み続けている。ある日を境に僕の胃は食事を受け付けなくなった。

 食事を胃に投入すると気持ちが悪くなり、全部嘔吐した。いくら胃に入れようとしても、食物が胃に入った瞬間から、胃が不気味に動き出す。雑巾を絞り上げる様に胃がねじ曲がり、気持ち悪さが喉の奥から口に達する。

 そこで終わりだった。気がつけば便器に顔を突っ込み、手でのどの奥を刺激する。喉頭蓋、いわゆる喉ちんこの周辺を両手で弄ると胃は即座に反応した。

 内容物が一気に食道を逆流し便器の中にぶち撒けられる。嘔吐だ。これを数度繰り返し、胃の中を空にする。苦しくて涙腺からは年寄りの小便のように涙がでる。

 胃の中が空になると、気持ち悪さが霧散する。僕の胃は食物を拒んでいる。だったらどうするか。ゼリー飲料や少量の栄養補助食品、野菜ジュースなどで栄養を補って、胃に食物を供給しない。

 効果てきめんだった。僕の胃は普通の食べ物を拒みつづけ、今に至っている。少々の空腹にはなるが、満腹時の気持ち悪さに比べたらましだ。食べることは生きることと誰かが言っていた。

 だったら食べることを拒んでいる僕の体は死を望んでいるのだろうか。僕が死んだらどうなるか。現在無職、二流私大卒、資格特になし、友も恋人もいない、妹は普通に結婚し子供もいる。僕が死んでも遺伝子は残る。だったら死ねばいいのだろうか?

 いつも堂々巡りで、結論は出てこない。生きる気力もないが死ぬ気力もない。ここで朽ち果てていくのを待つだけだろうか。

 苦しまずに死ねたら後悔しないだろう。今の僕には失うものも守るものも何もない。死ぬにはいい状況だ。このままだといつか僕は自らの命を絶つかもしれない。それでも構わない。

 抜け殻のように生き、覚悟もなく死ぬ。それはそれで構わない。その程度の人間だからだ。このように下痢便のように文章を垂れ流し続けるか、それとも死ぬか。どうなるのだろうか、分からない。

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