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少年と猫

作者:

これは私が夏休みの自習で書いた子供向けの童話です。

対象年齢が低いので読みにくいかも…。

ついでに言うと、初めてファンタジー書きました((笑

「ただいまー…。」

一人の小さな少年がドアを開けながら、力なく言った。

「おかえりー。元気ないじゃない、飛鳥。どうしたの?」

少年の姉が麦茶を飲みながら、暑そうにうちわであおぎながら聞きました。

「実は、拓ちゃんとケンカしちゃったんだ。」

「拓ちゃんってお隣の?へぇー、で?」

姉は台所まで行って麦茶をコップにそそぎながら、話を進めました。

「で、どっちが悪いわけでもないから、拓ちゃんも僕も謝らなかったんだ。」

「ふーん。でも仲直りしたいんじゃないの?」

姉は麦茶をそそいだコップを飛鳥の前に置くと、いすに座った。

「うん、仲直りしたいんだけど…その、勇気がなくて…。

どうしたらいいかなぁ。」

「何、そんなこと。仲直りしたいんなら謝るしかないじゃない。

それができないなら仲直りは一生無理ね。」

姉は呆れ顔で、とっとと自分の部屋に行ってしまいました。

(なんだよっ人が真剣に悩んでるのに!)

飛鳥はそのまま家を飛び出して、家の裏にある野原へと駆けて行った。

野原の真ん中あたりには背の高い一本の木が植えられていました。飛鳥はその木にもたれ、座り込みました。

「いたっ!」

突然飛鳥の腰を何かが蹴りました。驚いた飛鳥がすぐに後ろを振り向くと、

その木にはポッカリと大きな穴が開いていました。

「…?さっきはなかった。なんだろ?」

飛鳥が穴に顔を突っ込み、中を覗いた。その瞬間飛鳥は穴へと

引きずり込まれた。

「わぁぁあー!」


目が覚めた少年の目には見たことのない世界が広がっていました。

「目が覚めたにゃ?」

一匹の小柄な猫が二本足で歩きながら、飛鳥の目の前で立ち止まり、

話し掛けてきた。

「いきなり異世界の人が木の穴から出てきて、ビックリしたにゃ!」

猫は興味津々といった目で飛鳥を見つめています。

「猫が喋ってる。頭、おかしくなったのかな。早く戻らなきゃっ!

僕が出てきた木の穴ってどこ?」

「木の穴からは戻れないにゃ。穴の先は急な坂になってて、

登るのは絶対に無理にゃ。」

「そんな!じゃあ、どうすれば戻れるの?」

「オイラはよく知らないにゃ。でも南の村のウサギ長老なら知ってるかも

しれないにゃ。」

少年と猫は歩いて、歩いて南の村に着きました。少年はウサギ長老に尋ねてみました。

「ウサギ長老、僕はどうしたら元の世界に帰る事が出来ますか?」

「残念じゃが私は知らぬ。東の村のサル長老だったら知ってるかもしれない。」

と、ウサギ長老は答えました。

南の村は、猫の居た村から近いので猫は一緒に付いて行く事が出来ましたが、東の村は遠く大変な道のりです。

「猫くんにとって東の村に行くのは大変な事なんだね。ここからは

僕一人で行くよ。じゃあ。」

飛鳥が猫に別れをつげ、南の村を立ち去ろうとした時

「待ってくれにゃ!オイラも一緒に付いて行くにゃ。

オイラが道を案内するにゃ!」

猫は飛鳥の足をつかみ、呼び止め、結局猫も一緒に行く事になりました。

「僕と一緒に来てくれてありがとう。僕、飛鳥って言うんだ。」

「オイラの名前はブレイヴって言うんだにゃ。」

少年と猫は互いにニッコリと笑顔で挨拶を交わしました。

仲良く話をしながら少年と猫は歩いて、歩いて東の村に着きました。

少年と猫はそこでも、サル長老に同じ事を尋ねました。

「サル長老、私はどうしたら元の世界に帰る事が出来ますか?」

「申し訳ないが私は知らぬ。北の村のフクロウ長老だったら知っているかもしれない。」

と、サル長老は答えました。

また、もと来た道を北に真っ直ぐ少年と猫は歩いて、歩いて

北の村に着きました。

少年と猫はそこでも、フクロウ長老に同じ事を尋ねました。

「フクロウ長老、私はどうしたら元の世界に帰る事ができますか?」

「西のお山に登りなさい、西のお山には湖があってそこに、女神様が

いらっしゃる。女神様に今一度尋ねてごらんなさい。湖に辿り着けるかが

問題だがな。」

「そいつはどういう意味にゃ?」

猫は不愉快そうにフクロウ長老に訊ねた。

「なぁに、いずれ知ることじゃ。そうそう、西のお山の案内にツバメを

付いて行かせよう。」

フクロウ長老はそういうと、ツバメと入れ違いに飛んで行ってしまいました。

「やぁ、よろしく。西のお山に行きたいんだって?僕がちゃんと案内してあげるから安心してよ。でも、何のためにいくの?西のお山に行くなんて物好きにも程があるね。」

「ツバメくん、西のお山に何かあるの?」

飛鳥はツバメに心配そうに聞いてみました。

「まさか!知らないの?フクロウ長老は西のお山の湖に女神様が居るって

言ってるけど、実際に見た人は居ないんだ。みんなが見るのは決まって、

猛獣さっ。」

ツバメは芝居がかった口調で脅してみせた。

「脅そうって言ったってそうはいかないにゃ。これ以上脅すなら、食べちゃうからにゃっ!」

ブレイヴは牙をむき出して今にもツバメに飛び掛りそうな体勢をしている。

「おっと、怖いっ。そんなにかっかするなよ。さぁ、早いとこ西のお山に行こうか。」

ツバメはおっかなそうに、高く飛びました。

少年と猫は歩いて、歩いて西のお山に着きました。

しかし西のお山に着くなりツバメは、

「僕の案内はここまでだ。猛獣に会う気はさらさら無いからね。精々頑張るんだね。」

と、言って物凄い速さで飛び去りました。

「弱虫なツバメにゃ。飛鳥はお山登るにゃ?」

「うん登る。猛獣がいてもね。ブレイヴは?」

「オイラだって登るにゃ!飛鳥はオイラが守るにゃ。さぁ、オイラについて来るにゃっ。」

ブレイヴは先頭をきって歩き出した。

少年と猫は歩いて、歩いて西のお山を登って行きました。しかしいくら登っても湖らしき物は現れません。二人は休む事にしました。

「ふー、ずっと歩いて疲れたにゃ。ここで少し休んでいこうかにゃぁ?」

「そうだね、ブレイヴ。少し休んでいこうか。」

少年と猫が切り株に座って休んでいると、突然黒い影が二人の前を通った。

「にゃ!?今のは、にゃに?」

ブレイヴはその場で飛び上がった。

「…まさか!猛獣?」

飛鳥は周りを見回してみた。周りには木々があるだけだが、その中に微かに何かの気配があった。ブレイヴは身を縮こませた。

「猛獣がいるのかにゃ?」

「怖いの?ブレイヴ。」

「べっ別に怖くなんかないにゃっ!」

しかしその瞬間目の前に黒い影の正体が現れた。黒い影の正体は

ライオンだったのです。二人は声にならない叫び声を上げました。

「ガルルルル!」

ライオンは唸り声を上げながら少しずつ距離を縮めてきます。そしてライオンはブレイヴを見つめて、今にも襲い掛かりそうな体勢をとりました。ブレイヴが一歩後ずさりをしようとした瞬間、ライオンはブレイヴに飛び掛りました。

「にゃぁぁあー!」

ブレイヴは」叫び声を上げながらその場に倒れこんでしまいました。

「ブレイヴ!」

飛鳥は倒れているブレイヴの上に覆い被さってブレイヴをかばいました。

(飛鳥っ!?どうしてにゃっ?)

飛鳥は自分はライオンに食べられてしまったろうと思っていました。

しかしいつまで経ってもライオンに襲われる気配が無いので、

不思議に思った飛鳥が振り向くとそこには、

キラキラと光る綺麗な湖がありました。

「これは一体…?湖なんて、さっきは無かったはず。

木しか生えていなかったのに!」

「ホントだにゃ…。それよりっ、何で飛鳥はオイラの事なんかをかばったりなんかしたにゃ!もしかしたら食べられてたかもしれにゃかったのにっ!」

ブレイヴは怒っていたが、嬉しがっているようにも見えました。

「何でって言われても、僕にも分からないよ。ブレイヴが危ないって思ったら体が勝手に動いてて…。変だよね、僕は弱虫で勇気が無いのに。」

飛鳥は恥ずかしそうにそう言いました。

「そんな事はありませんよ。貴方達は勇気があったから、この湖に

来れたのですよ。飛鳥、ブレイヴ。よくこの湖に辿り着きましたね。」

二人は驚いて声のする方を見てみるとそこには女神様らしき人物が

湖のほとりで微笑んでいました。

「貴方が女神様にゃ?」

女神様はにっこりと笑って「はい。」と答えた。

「どうして僕達の名前を知ってるんですか?」

「私は何でも知っています。あら?ブレイヴ、貴方はどうして猛獣が

消えたのかまだ、疑問に思っているのですね?」

「…だって!猛獣は確かに居たんだにゃ!湖だって絶対に無かったはず

にゃんだ!」

ブレイヴは女神様に自分の考えを全て早口でぶつけました。

「北の村のフクロウ長老には聞かなかったのですね。この西のお山の湖に

辿り着けた者は数多くありません。この湖に来る前に会った猛獣は幻です。

本当はすぐそこに湖もありました。この湖は友を置き去りにして逃げた人には見えません。つまり、この湖は友の危機を救った、ライオンに立ち向かった、勇気ある者にしか見えない湖なのです。」

「驚いた!そんな仕組みになっていたなんて気づきもしなかった!」

「オイラもにゃ、そんな事考えもしなかったにゃ…。」

「貴方達のような勇気ある者はとても珍しいのですよ。何年ぶり、いえ

何十年ぶりぐらいだわ。勇気ある者の意思は強いをいいます。

貴方達の用件は何ですか?」

女神様は飛鳥に目線を合わせて、優しく聞きました。飛鳥は思い出したかのように、早口で喋り出しました。

「僕は、元の世界に帰りたいんです!どうしたら帰る事が出来ますか?

教えてくださいっ!」

「元の世界に帰りたいならこの先の谷から落ちなさい。そうすれば元の世界に帰る事が出来るでしょう。」

「本当ですかっ!ありがとうございます!」

少年と猫は女神様にお礼を言って、歩いて、歩いて谷に着きました。

「うん、そうみたいだね。」

谷に着いたのは良かったが谷は思ったよりも深く、そばに立っているだけでも、冷や汗が出てくるほど怖いものでした。

「飛鳥は本当にここから落ちなきゃいけないのにゃ?」

ブレイヴでさえも怖がりながら、静かに飛鳥に尋ねた。

(怖いっ!こんな高い所から落ちなきゃいけないなんて!無理だよ、

勇気の無い僕には絶対に無理だ…。)

「飛鳥、怖いのかにゃ?」

「…うん、怖い。僕、勇気無いからなー。」

「そんな事ないにゃ!飛鳥は勇気があったからここまでこれたにゃ。

それを言うならオイラの方が弱虫で、勇気が無くて。さっきだって

飛鳥はオイラが守るって言ったのに、オイラが飛鳥に守られちゃって…。

本当に情けないにゃ。」

「…僕ね、こっちの世界に来る前、友達とケンカしちゃったんだ。

仲直りしたいのに、勇気が無くて謝れなくて、お姉ちゃんには謝るしかない

って言われたけど、結局謝る気になれなくて…。そしたらこの世界に

来ちゃったんだけど、本当にこんな自分が嫌で。」

飛鳥は顔こそ笑っていたけれど、声に元気は無く、足もフラフラしていた。

「飛鳥。ブレイヴって勇敢って意味にゃんだ。オイラの名前には勇ましく

勇気のある子に育つようにって願いが込められているんだにゃ。

飛鳥だってそうじゃないにゃ?鳥が初めて空に飛び立つのはすごく

勇気のいる事なんだにゃ。飛鳥の名前の意味もそうなんじゃないにゃ?

飛鳥はちゃんと、飛べる鳥になれるはずにゃ!」

(空に、飛び立つ鳥…。)

「ここから落ちるのが怖いならオイラも一緒に落ちるにゃ。二人なら

怖くないにゃ?さっ飛鳥!」

ブレイヴは飛鳥の手を掴み、谷のすぐ側まで引いて行きました。

飛鳥の足にも今までのフラツキは無く、しっかりと歩いていました。

「もう、大丈夫だ。行こう、ブレイヴ!」

「よしっ行くにゃ!…せーので落ちるにゃっ!」

「せーのっ!」

少年と猫は勢いよく谷に飛び込んだ。そして少年と猫は同時に叫び声を上げた。

『わぁぁあー!』

『にゃぁぁあー!』


飛鳥が目を開けるとそこは、家の裏の野原でした。

「ここは…あの野原だ。いつの間にか寝ちゃったのかなぁ?夢…か。」

飛鳥が呆然と木に寄りかかって座っていると、姉の呼ぶ声が聞こえてきました。

「飛鳥―!あっ、居た。あんたこんな所に居たの?家探してもどこにも

居ないからどこに行ったのかと思って心配して探してみれば…。

一体何をしてたんだか!」

姉は心配して損したというような口調でそう言った。

「夢を見てたんだ。すごく、すごく楽しい夢だったんだよ。」

「あっそ。…あら?飛鳥、その猫なぁに?ほら、あんたの横にいるじゃない。拾ったの?」

飛鳥はビックリしてすぐに、自分の横を見てみた。するとそこには

小柄な一匹の猫がいました。

(ブレイヴ!夢じゃ…なかったんだ!!)

「にゃぁ〜。」

「拾ったんじゃないよ、僕の友達なんだっ。ブレイヴっていうんだよ。

ねぇ、やっぱり僕、拓ちゃんにちゃんと謝る事にしたよ。」

少年は猫を大事そうにすくい、立ちながら言った。少年と猫と姉は家に向かって歩きながら話をした。

「えらいじゃない。ところで何でこの猫が、友達なの?」

姉が猫の頭を撫でながら聞いた。

「僕達、一緒に冒険をしたん。」

少年は今までの出来事を姉に話し始めた…。


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― 新着の感想 ―
[一言] 少し読みづらいけど、猫が可愛いね
[一言] ネコがかわいくていい。
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