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水平線の向こうへ――大航海時代  作者: レモンティー


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第五話:新世界

それから数か月。

エストレラ号は、誰も知らない海を進み続けていた。

地図には何もない。

記録にもない。

ただ星と風だけを頼りに進む航海。

船員たちは、何度も心が折れそうになった。

食料は減る。

水も限られる。

「本当に、この先に何かあるのか?」

そんな疑問が、船の中に広がり始めていた。


ある朝。

見張り台にいた船員が突然叫んだ。

「……あれは何だ?」

眠っていた者たちが飛び起きる。

「何が見える?」

船員は震える指で前方を指した。

「陸だ……」

「陸が見える!」

一瞬。

誰も言葉を失った。

長い沈黙。

そして――

歓声が爆発した。

「本当に存在した!」

「世界の果てじゃなかった!」

「俺たちは……やったんだ!」


シリウスも船首へ走った。

遠く。

水平線の先。

青い海の向こう。

そこには巨大な影があった。

山。

森。

広大な大地。

今まで誰も見たことのない世界。

シリウスの胸が震える。

「……本当にあるんだ」

「地図の空白の先に……」


船が海岸へ近づく。

船員たちは慎重に小舟へ乗り換えた。

波を越える。

砂浜へ近づく。

そして――

シリウスは初めて未知の大地へ足を下ろした。

足元の砂。

手に取る。

温かい。

故郷の砂とは違う。

だが、同じ地球の大地だった。


「これが……」

シリウスは呟く。

「誰も知らなかった世界」

目の前には見たこともない植物。

巨大な木々。

色鮮やかな鳥。

未知の動物。

そして――

そこに暮らす人々。

彼らは警戒しながら、遠くから船員たちを見ていた。

言葉も違う。

服装も違う。

文化も違う。

しかし。

同じように空を見上げ。

同じように大地の上で生きている人間だった。


その夜。

シリウスは海岸で焚き火を見つめていた。

隣にはアルバ船長がいた。

「どうだ?」

「世界は思った通りだったか?」

シリウスは首を振った。

「いいえ」

「想像より……ずっと大きかったです」

アルバは笑う。

「そうだ」

「人間はいつも、自分の知っている世界がすべてだと思う」

「だが、一歩外へ出ればわかる」

「世界は、人間の想像より遥かに広い」


しかし。

アルバの表情は少し曇った。

「だがな」

「忘れるな」

「新しい世界を見つけるということは……」

「新しい責任も背負うということだ」

シリウスは意味がわからなかった。

その時は。

まだ。

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