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反攻作戦

太平洋の東はどうなっていたのか。

1943年


 アメリカ海軍は困っていた。

 太平洋の空母が全滅のうえ新鋭戦艦2隻が沈むという呪われた1942年が終わり、1943年になった。

 昨年末のエセックス就役からエセックス級とインディペンデンス級が次々と就役している。護送空母も建造が軌道に乗り、毎週のようにに就役するだろう。

 困ったのは空母乗組員と空母から発着艦をこなせるパイロットがあまりに少ないことだった。

 新造空母に配置する予定だった空母乗組員の多くが戦死している。パイロットはまだいい。教官として残っていた者と交代要員として残っていたパイロットがいるから。

 生き残りの他は空母乗組員でベテランと言えるのは、少数のエセックス艤装員にレンジャー乗組員と一部配置換えで空母を下りた者。空母要員教育のため教官となった者。志願兵で任期終了して降りた者しかいなくなった。配置換えの者は呼び戻し、任期終了した者は招集をした。それでも到底足りるものではない。貴重な教官を艦船勤務に充てるような馬鹿なことは出来なかった。

 新たな空母乗組員はレンジャーで鍛えるしかないが、レンジャーは大西洋で護衛任務に就いている。

 エセックスは艤装員だけでは到底人数が足りず、補充要員を追加しなければいけないので教育には役立たない。


 困った時のイギリスだ。イラストリアス級を乗組員ごと1隻借り、護衛任務に就けた。パイロットはアメリカ海軍から出した。

 そしてレンジャーを引っ込める。イギリスからすれば、こいつら何やっているんだ?だろう。

 ノーフォークでパイロットと乗組員の急速養成を始めた。最初は少し空母から離れていた者だ。それが終わると新人の訓練を始める。

 レンジャーは格納庫を仕切り臨時の居住区まで作って人員増に対応した。

 2ヶ月程度の訓練期間で次の乗組員が入ってくる。そのため、押し出された乗組員は練度不足なのだが嫌でも空母乗組員となる。

 最初にレンジャーで訓練を積んだ出戻り組と新米が主役となりエセックスを運用する。レンジャーからの引き抜きは数人だが恨まれた。

 航海や機関、通信などは旧式戦艦から引き抜いて来ている。そちら方面はまあ人材は多いので不安は無い。

 しかし、海軍大拡張計画で艦艇数が激増しつつある現在、そこら中で人員の取り合いだ。海軍省が主導して空母に優先配属されているが、ベテランの数は多くない。エセックスも新人が多いがエセックス以外の空母はエセックス級だろうと護送空母だろうと新人だらけになる。

 5月頃、エセックスがようやく使える程度まで慣熟が終了。そしてベテランが多いという理由で実戦艦隊へ編入はせず、練習艦隊に配属され空母要員の教育を手伝わせれる。ここでも太平洋で失った2万人近い熟練人材の影響が出ている。


 エセックスは経験者が多数入っていたのでなんとかなったが、急速養成を受けた新米がほとんどの空母は事故が続出した。

 1943年10月までに、護送空母3隻が事故から起きた火災により廃艦となった。11月には、ヨークタウンとベロー・ウッドも火災でドック入り。一部飛行甲板の張り替えで出てくるのは年末の見込みだ。

 取り扱いミスによる火災で消火訓練の不足もあって護送空母では鎮火不能になり、3隻は修理するよりも新造艦が出てくる方が早いし安いと屑鉄にされた。ヨークタウンとベロー・ウッドも同じだ。ただ消火能力が強力で艦自体も強靱だったので助かっている。

 訓練による死傷者も当然のように多数出ている。

 問題になるが戦時と言うことで強引に幕引きが図られる。


 空母パイロットの技量は、訓練ばかりしているので高くなっている。開戦前を上回る練度だろう。新型の戦闘機F6Fや攻撃機TBF、爆撃機SBDの扱いも高レベルだ。

 それに引き換え、空母自体がアマチュアばかりで運用されていた。



 アメリカ海軍は1943年12月に最初の反攻作戦を行う予定を8月に立てていた。12月08日にトラックを空襲する予定が練度不足とヨークタウンとベロー・ウッドの修理で中止となった。

 中止と決めたのはトラック島戦力と日本海軍に対する戦力比で、同等ではよほどの幸運が無ければ引き分けに近いと判断されたからだ。そこへ練度不足の艦隊を突っ込んでも勝利は難しいと延期を決めた。

 やはり開戦後の戦力分析でこちらが圧倒できる1944年8月以降、一気呵成に責め立てるのが良いだろうとされた。それまでは何を言われようと我慢だ。

 日本に負けた海戦では日本側戦力が勝っており、勝った海戦ではこちらの戦力が勝っていたという情報分析も判断材料だった。


 しかし、トラック空襲は政権側判断で12月24日にクリスマスプレゼント作戦として実施するとなった。

 ヨークタウンとベロー・ウッドが足りないし、たった2週間延期したところで大差ないと海軍作戦本部や太平洋艦隊は反対したのだが、政権主導で強引に進められる。海軍の立場はまだ弱い。


 ジャップにクリスマスプレゼントを送りつける。という名目が大事だったから。

 ウェーク島を取り戻してもいいのだが、インパクトに欠ける。それにあそこは大きな戦力を置けない上に離れ小島で支援も出来ないので、維持が出来るかどうかも怪しい。

 トラック島ならジャップの重要拠点だし目立ち度は抜群だ。連合艦隊も沈めれば言うことはない。



 使える練度に達しているのはエセックス・レキシントン・バンカー・ヒルとインディペンデンス・プリンストン・カウペンス・モンテレーの7隻で、他にイントレピッド、ラングレーがいるが就役後3ヶ月。カボットは4ヶ月でなんとかという状態だった。イントレピッドとラングレーは不安だが空母の数が足りないと出撃させられる。空母7隻が相次いで沈んだツケがここに来て出ていた。


 

 トラック島クリスマス作戦には


空母

エセックス      エセックス級

レキシントン

バンカー・ヒル

イントレピッド


インディペンデンス  インディペンデンス級

プリンストン

カウペンス

モンテレー

カボット

ラングレー


以上10隻と


戦艦

アイオワ

ニュージャージー

ミズーリ

サススダコタ

インディアナ

マサチューセッツ

ノースカロライナ


の7隻。


 他巡洋艦29隻、駆逐艦74隻の大艦隊が正面戦力として参加する。

 後方には、航空機供給源と対潜警戒として護送空母12隻が。護衛には巡洋艦4隻、護衛駆逐艦24隻、他各種輸送艦10隻がついた。


 日本海軍などねじ伏せることが出来る戦力だと政権側は思っている。

 しかし、イントレピッドが回航中に座礁し、戦列を離れた。

 アメリカ海軍は作戦中止を政権側に申し入れるが受け入れられずに強行される。



戦力低下理由は訓練不足で事故多発ということにしています。有力な人材多数を失った状態で海軍大拡張をすればね。

イギリスの空母を借りるのは、実際にイラストリアス級空母ヴィクトリアスを借りています。

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