舞台の幕が上がる日。
僕の名前は、祈藍流。高校二年生。これは、僕たちが体験した物語。血塗られた物語。
僕は、眠そうに僕の通う、中高一貫校である私立鏡影学園に向かう。隣には、親友の星宮みの君がいる。
「るー君、学校だるいw俺学校行きたくない。」るー君とは、僕のあだ名だ。みの君は、高身長で、ちょびっと毒舌。だけど、本当はすごく優しいツンデレさん。僕はみの君とは、中等部1年生の時に知り合い仲良くなった。
教室には、もうみんな揃っていた。何か、いつもより表情がこわばっている気がする。すると、みの君が、
「神夜どうかしたの?」と、クラス委員長である、神夜零華さんに聞く。
「実は、教室に行くと、教卓にこのような紙が…。」零華さんは、みの君に、一枚の紙を見せる。その紙の内容は・・・。
「こんにちは、鏡影学園高等部2‐Cの諸君。これから、君たちを楽しいゲームへと招待するよ♪楽しみに待っていてくれたまえ。それでは、また会おう。~ヴェルト~」との事だった。
「零華さんこれ、誰かのいたずらってことはないの?」
「ないと思うよ。今日、私零華ちゃんと一緒に投稿したんだけど、私たちが一番乗りだったし、鏡影学園だよ、セキュリティーは甘くないよ。」と、話に入って来たのは、野々村なののさん。なのさんは、元気な女の子。でも、僕たちが中等部3年生の時、何かあったらしく一時期不登校の時期があった。そして、なのさんが戻ってくるのと同時期に、星降戒斗君、三餅瑠華さん、深魁理人君が姿を消した。花園ローズさんは1年ほど姿を消し、高等部1年生の12月ぐらいに急にもどっと来た。学校側は、特に何の説明もしない。一部の子がなのさんや戻ってきたローズさんに話を聞いていたが、詳しいことは教えてもらえなかったらしい。それはともかく、この手紙はいたずらかいたずらでは無かったら、この手紙は何なんだ。そんなことを考えていると、教室の後ろから、【ガシャン】と、音がした。振り返ると、教室の後ろにある、花瓶が割れたことだった。緊張してる場に急な物音は、怖いからやめてほしい。そうでなくても、僕は結構怖がりだ。みの君とお化け屋敷に行ったことがある。そのお化け屋敷が僕には怖すぎて、ずっと、みの君の服の裾を掴んでいた。最後の方は、腕を掴んでいた。みの君は、
「るー君にも可愛いところあるね」と、言ってくれたが、僕には苦い思い出だ。そんな回想に浸っていると、次々とみんなが倒れていく。僕もだんだん眠くなってきた。何があったのかも理解できず僕は眠りにつく。
次に目を覚ましたのは、ひんやりとした床の上だった。周りをよく見ると、クラスのみんなが倒れている。僕は、
「ここは何処?」と、言葉を零す。
「たぶん、お城かなんかだと思うよ~。」僕の後ろから聞こえてきた声の主はローズさんだった。
「根拠はないけどね~。私、びっくりしたよ~。朝遅れて教室に入ったらみんな倒れていて、私も眠くなってこのありさまだしw。」と、苦笑いをする。しばらくすると、ほかのクラスメイトも起き始めた。
「ん~、るー君おはよう。てか、ここ何処?なんか、腕についてるし。」と、寝ぼけてるのか僕に抱きついてくる。みの君の言う通り、僕たちの腕には、時計のような何かついている。ついているボタンを押しても起動はしない。すると、どこからともなく声が聞こえてくる。
「Good morningはじめまして僕の名はヴェルト。君たちをこれから夢のようなゲームへ招待するよ♪たぶん、君たちは、今の状況を呑み込めてないだろう。まず、君たちの腕についたリングを見てほしい。」そう言った瞬間、さっきまで動かなかった腕時計?が動き出した。
「これは、リードリング。君たちを導いてくれるリングだよ。無理に外そうとすると、電気が流れるから気を付けてね♪」さらっと、凄いことを言うが本当だったら怖いと思う。無理に外す必要がない限り、触らないようにしよう。
「これから、このリングに命令が届くよ♪この命令に従わないと…。それは、その時のお楽しみ!みんなで協力して、ここから脱出しよう!」その時だった。
「ふざけんな!お前なんだよ、急にこんな場所に閉じ込めやがって。ここから出しやがれ!さっきのことも脅しだろ?こんな腕輪外してやるっ!」
「那留君ダメだよ~。僕の言うことは絶対♪そんなわるーい那留君にはお仕置きだよ。」バチンと音がした。すると、音のする方には、苦痛に歪む那留君の姿があった。様子を見るからに電流でも流されたのだろう。
「みんな分かったかな?これからは、変な行動は慎んだ方がいいかもね。それでは、まず、この地下牢から脱出しよう!脱出したら、このゲームのスタートだよ。早く脱出しないと飢え死んじゃうかもね。詳しい説明は、ここから出てから、せいぜい僕を楽しませてくれよ。」そう言って、音声は途切れた。それの代わりにというばかりか、リングにメッセージが流れる。
【GAME1】:「地下牢から脱出しよう!制限時間は1時間timeoverになると大切なクラスメイトがなんとDIE♪1時間を過ぎてもクリアできなかった場合は、10分ごとにランダムで一人が死んじゃいます♪みんなで協力して地下牢から脱出しよう!」そのメッセージを読み終えると、タイマーが表示され60分からカウントダウンをしている。その時、地下牢 (らしい)に零華さんの声が響く。
「みんな!これが本当だったらこのままだと一時間後に誰かが死ぬ。みんなで手分けして脱出の手がかりを探しましょう!」流石委員長。零華さんの指示でいくつかのグループに分けられ地下牢を探索することになった。ちなみに僕は、みの君と、眼鏡をかけた読書家の女の子柊魅來流さんと、同じグループとなった。
「みんな、このタイマーが45分になるまでにここに集合して、状況を報告しあいましょう。」零華さんの意見に皆が賛同し、探索開始となった。
「るー君、柊、檻には鍵がついている感じで4桁のアルファベットのパスワードで開くみたい。」檻の鍵には小さな電子パネルがついてあり、アルファベットが26文字中13文字とOKというボタンがある感じ。
「パスワードですか、まだむやみに触らない方がよさそうですね。たぶん、こういうのは謎を一つ一つ解いていってという感じでしょうか?」
「たぶん、そうじゃないかな?断定はできないけど。」僕は、そこそこゲームは好きで、脱出ゲームもたまにやったりする。ヴェルトと、名乗る人も脱出という言葉を何回も使っているから、命がかかったリアル脱出ゲームといった所かな?僕たちは、あまり時間もないので次の場所に向かうことにした。この地下牢はいくつかの部屋がある。もともと誰かを監禁でもしていたのかな。僕たちが入った部屋は、小さな図書室のような部屋で、地下牢とは似つかわしい雰囲気だ。
「うわぁ~!す、すごい数の本です!これは、NAMURUさんの【僕が描く世界】じゃないですか~!こっちは、及川るなさんの【虹色のアイスクリーム】ここは、天国です!」魅來流さんは、凄く興奮している。
「柊、俺たちは脱出の手がかりを探しに来たんだよ。それにしても、この本棚並び方が不規則だね。」みの君の言う通りだった。この図書室の本棚の並び方は、作者順でも、出版社順でも、発行年順でもなかった。
「不思議だね。あっ、みの君。あの本に何か挟まってないかな?」僕がたまたま目にした本に何か白い紙が」挟まれている。たぶん脱出への手がかりだろう。
「本当だ、なんだろう。えー、【謎3】4-4゛,3-3,2-4゛,ー,7-3。この答えをタブレットに入力しろ。」謎の数字と、濁点。この一瞬じゃ答えは流石にわからない。そして、もうすぐ残り時間が45分だ。この部屋に他に何か大切なものが無いかをしっかり確認し、僕たちは本を見て興奮している魅來流さんを連れて部屋の外に出た。
集合場所には、ほとんど人はいて、僕たちは後ろから数えた方が早い感じだったかな。
「みんな、いる感じだね。みんなが持ってきたものをヒントにみんなでここから脱出するよ。まず、謎1の問題はー」こんな感じで、零華さんがいつも通り仕切って問題を解いていく。そして、残りは最終問題のみ。残り時間は10分弱時間がない。時間がないと言っても僕は、ずっと傍観者みたいな感じで全然貢献できてない。零華さんがいつもより少し早口で問題を読み上げている。
「【最終問題】3/26,15/26,15/26,10/26。この答えを牢獄の鍵についているタッチパネルに入力してね♪正解だったら扉が開くよ♪」零華さんが問題を読み終えると、
「誕生日かな?」
「それだと、15月は無いから違うと思う…。」
「答え方がアルファベットだし、アルファベットも26文字だし、アルファベットだと思うかな~。」
「うちらのクラスの人数も26人だよ。」と、みんなが色んな意見を言い合っている。僕は、見ているだけだけど。
「はい!アルファベットにしたら3番目はC、15番目はO、10番目はKだよ。だから、答えはCOOK!」
「最終問題って割には簡単だなw」
「違うよ、俺たちが頭いいんだよw」
「野々村さん、パスワードを打ち込んでください。」
「OK零華ちゃん!えっと、C次はO…。」そこで、なのちゃんの手が止まる。
「野々村さんどうかしましたか?」零華さんの問いになのちゃんは、
「無いの。Kが無いの。だから、答えはCOOKじゃないのかも。」みんなが言葉を詰まらせる。残り時間は3分このままだと、誰かが死んでしまう。
「るー君答えなんだと思う?」急にみの君が僕に飛びつきながら聞いてくる。
「わかんない。」僕は、そう答えるしかなかった。その後もみんなで考える(僕と他数人は諦めているのかもしれない。)が、時間も時間だ。残りはもう1分を切ろうてしている。みんなも結構焦っている。それに対して、僕は結構落ち着いている。正直こんなことは起こるはずはない、ただのドッキリだとか思ってる。そんなことを考えているうちに残り時間は30秒。なんかちかくにいたローズさんが、
「お姉ちゃん。」と、連呼している。ローズさんには姉妹はいないはずだけどな。すると、零華さんが答えがわかったのか鍵の前に行く。
「私たちは、固定概念に囚われていたのです。OKは、確認のために押すものそう思い込んでいた。だから答えは【C】【O】【OK】で【COOK】。」零華さんがボタンを押すとガチャリと、音がしてドアが開く。それとほぼ同時に誰かの悲鳴が上がる。振り返ると、魅來流さんが倒れていた。近くにいた人が魅來流さんに近づき、
「死んでる…。」と、呟いた。僕は、リングを見てみると
【脱出成功!】クリアタイム:60分01秒と表示されている。僕たちは、1秒遅かったのだ。たかが1秒。その1秒が魅來流さんの命を奪った。さっきまで、あれだけ冷静だった僕も今はすごく震えて、近くにいたみの君の腕を無意識に掴んでいた。さっきまであんなに、本を見て興奮していた魅來流さんが今はただの肉片と化している。これが僕だったらと、思うともっと恐怖が込み上げてきた。
こんばんは、花園雪です。まず、お読み頂きありがとうございます。この檻の中のデスゲームは、私が今更新している野々村なのの非日常の2年後の物語となります。あまり、非日常との関連はありませんが、そちらも読んで頂けると嬉しいです。2,3日に一回のペースで更新予定です。