最初の一撃は、ぜつだい。①
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賞金首
冒険者:ケーナ
生け捕り限り金貨30000枚
次期魔王に認められた可能性あり
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冒険者も犯罪をすれば当然裁かれる。
逃げれば追われるし、賞金首にも当然なる。
しかし、表の手配書と違い裏に出回る賞金首の手配書は犯罪などとは無縁でも、私的に殺してほしい相手を賞金首にすることがある。今回ケーナの手配書は裏のものだ。
魔王になることを良しとしない者からの依頼だろうか。
しかも表の手配書の上限金額金貨1000枚を超えた採算度外視、破格な枚数。
バウンティーハンターは当然動くだろう。
普段は賞金稼ぎを生業としていない者でもこの金額なら動くかもしれない。
「あいつ何やってんだ!?」
カスケードの情報屋から手配書を受け取り、手配書を見て声を上げるグランジ。
最後にあった時は猫目亭で冷たくあしらわれてしまったが、さすがに心配した。
「何じゃ知りあいか? なら後は連れてくれば賞金ゲットじゃぞ」
「俺には無理だ」
「情か? 惚れとるのか?」
「違う、前ナタの森でエーナ嬢だと間違えて追いかけた奴だ」
「あ、逃げられたのだったかの」
「そうだ、逃げられたんだよ」
「それじゃ手ごわいのぉ。でも見てみぃ、この金額じゃ。ケーナの目撃があればこの町も賞金稼ぎで溢れるぞ」
「それでも逃げ切るさ。あいつなら」
「まぁそうだろう、簡単に捕まえられるならこんな金額にはならん」
「俺はもう行く」
「何じゃ他の情報もあるぞ」
「これだけでいい。これを超える情報なんてないだろ?」
「一個だけあるぞ、とっておきじゃ」
「なんだ」
「ここからは有料じゃ」
情報屋が出す手のひらに銀貨を3枚乗せる。
「この情報の元はギルドとカスケードの屋敷を出入りしてる商人からだ。信憑性は高いと言っていい。この冒険者ケーナとカスケードの屋敷にいるエーナ嬢が瓜二つだという噂じゃ」
「奇遇だな俺も一度見間違えている。温室育ちのお嬢ちゃんと、次期魔王といわれる怪物とでは捕獲難易度が雲泥の差だな」
「だからの、エーナ嬢を差し出して、賞金が出てしまっても誰も責めれんのぉ」
「それでも俺は怪物を狙うよ」
「男前じゃのぉ。まぁ遅れを取らないようせいぜい頑張りな」
情報屋をでて早速心当たりのある、料理の美味い猫目亭へと足を運ぶも、既に情報が出回っているのだろう、中は満席、外にもチラホラと店の中をうかがう者達がいた。
猫目亭は完全にマークされている。
だが暫くしても誰も動こうとしないのはそれ以上の情報が無いということ。
まだ先を越すことはできると思い移動したのだった。
カスケード家では家の中はいつも通り平和であったが、庭師のロッドがいつも以上に仕事をしていた。
「爺さんただ者じゃねーな、流石辺境伯の屋敷って感じだな」
「何しに来た。お前らもお嬢様を狙っているのか。怪我では済まさんぞ」
「もう先客がいたってのか。情報ってのは早い者勝ちだからしかたねーけどな」
「言え!! いったい何のためにお嬢様を狙う」
「そこを通してくれたら教えてやるよ!!!」
3対1で囲まれても動じず、箒一本で賞金稼ぎ達をのしていくロット。
「はぁ、はぁ、はぁ、金の亡者どもめ、この程度じゃお嬢様の足元にも及ばん」
しかし、情報の拡散のせいでロットの手にも余るほど屋敷に賞金稼ぎが集まっていた。
実家のコピーエーナもそれには気づいていて、猫君1号から5号までを動かし来る者全てから情報を抜き出すため、幻覚を見せる魔眼スキルで拷問を体験させてあげていたのだった。
自分の足から徐々に輪切りになり、激痛と恐怖も現実と区別が付かないほどのリアルな幻覚に耐えられる猛者がここにいるわけもなく、全てを話してくれる者ばかりだった。
「ケーナのバカ、何やってるのよ」
ある程度状況が把握出来たコピーエーナだったが、ほっといても問題ないとし、家の警護を続けていたのだった。




