結成キャットテール②
「その義手って動かせる?」
「一応、動きますがスキルを使って動かすことになります。今はスキルを使っていないので、ただの飾りのように見えますが、パペッティアの職業を持っているので、スキルのマリオネットを使えば自由自在に動きますよ」
義手の間接は、わざと人より多く、可動域を超えるように作ってあるそうだ。
これなら背中を掻くのも簡単になる。信頼できれば腕を完全回復薬で治すことも考えたが、場合によってはこちらの方がいいかもしれない。腕にダメージを負っても弱点とならないのもいい。
考えられるデメリットとは戦闘になった場合マリオネットは常時発動となるだろう、その分他のスキルを使う余力がどれくらい残っているかになる。
「武器を使うことは?」
「こちらになります」
と、パンと手を一叩き。すると、義手の前腕から棒が飛び出るように出てくる。
「トンファーです」
「おお!」
まるで手品でも見せてもらっているかのように驚いてしまった。
「他にも短剣があれば、双剣士真似事ができます」
これはアタッカーの人材かもしれない。
「ダンジョンの経験は?」
「ドルドダンジョンに8回ほど。初心者向けとされるダンジョンですけど最深部までは4回到達しております」
「それでも経験してるのであれば心強いよ。私も、もう一人もまったくの未経験だから」
「ダンジョンに行く予定があるのですね」
「そうなの。それで最低人数を揃えるため、あと一人必要でね」
「僕もダンジョンには用がありまして。欲しい素材があるんです」
普段は冒険者としてではなく、義手技師として生活していて、新しい義手を作るのにダンジョンでしか手に入らない素材が必要らしい。
「最後にそのトンファーを使うところを見てみたいけど、いい?」
「構いませんが、外にいきましょうか?」
「裏庭あるのでこちらに」
「形だけでも見せれば――」
「私に打込んできて。避けるけど、その方がお互いにだいたいの実力が知れていいから」
「え! で、ですが怪我をするかもしれませんし」
「怪我? 大丈夫! もし当たっても大丈夫だから。ちょっと裏庭行こう」
「そんな、軽る当てても痛いんですよ」
「大丈夫、大丈夫。心配性だね。そうゆうのは当ててからでいいよ」
ジーンさんに一言伝え、裏庭に移動。
「さっ、どうぞ」
といっても少女に打込む気がないのであろう。まだ躊躇している。
本気の目をしていないので、気付け薬代わりに一気に距離を詰め、顔面めがけ
バヒュッ
っと、眼前寸止めの蹴りを放つ。
不意を突かれた蹴りに、トンファーはピクリとも動いていない。これでも十分手加減状態。
「まだ躊躇する?」
「申し訳ありませんでした。お気遣い感謝します」
私の強さを感じ取ってくれたのだろう、先ほどとは顔つきが変わる。
「参ります!」
鋭く打込んできてくれた。
トンファーの回転と、義手のどの超えた関節の回転、一撃の威力を格段に高めている。
顔と脇腹を狙った遠慮のない一手目、二手目は難なく避けることができた。三手目は普通の腕とは違う間接の可動域を利用し、マリオネットによる慣性を無視した切り返しで仕掛けてくる。
義手の形状を事前に見ていたのと、同じマリオネットスキルを使った経験があったことで運良くかわせた一撃。
普通の相手なら完全初見殺しの必殺の技なのだろう。
「おっと危なかった、危なかった」
避けたことに驚いているのか、バジェットの気持ちが顔に出てしまっている。
「これを避けるんですね。正直驚きました」
「はい、じゃ次」
今度は足を狙ってくる。飛び上がるしかないのでその隙を狙っているのだろう。
打撃武器のトンファーなら防御されても上から叩けば破壊ができる。
私の飛んだ瞬間に合わせて追撃をしてくる。
こちらが反撃できないタイミング、かなり戦い慣れている。
二本のトンファーが私の防御をした腕の上から食い込むように刺さるが、その瞬間私の体は霧が散るかのように消えていった。
「はい! お疲れ様。かなり強いね。もう十分だよ」
「あれっ!」
背後から聞こえる私の声に驚き振り向くばバジェット。
「残念だけど今のは空振り私の腕はこの通り」
傷1つない両腕を見せつける。
「実体みたいな幻影だからね。やったかっ!?って思っちゃうでしょ」
「今のが幻影……?」
信じられないような顔。腕が折れる感触まで伝わっていたのかもしれない。
私の幻影スキルレベルはSSS+。コピーエーナがラルンテから逃れるために取得したスキルだったが残念なことに愛の力の前では無力だったよう。
「僕は全力をだしました。これ以上何をしても幻影を見切らない限り当てる事は不可能かもしれません」
実力差に気づいたのか戦意が消えてしまっている。
とはいえ、力不足なんてことはない。ぜひとも仲間になってほしい。
「実は謝らないといけないことがあって、私の力を全て見せることができないの。仲間になるにあたってそこは勘弁してほしい」
仲間のある程度の実力を把握しておくことは冒険をするうえで鉄則なのだが、私の仲間にはその鉄則から目をつぶってもらう。
「それは仲間として見れないことでしょうか?」
「そうじゃなくて、仲間でも巻き込みたくないことがあるからね」
「わかりました。僕も素性を全て話せないのは一緒です」
「じゃ、これから仲間としてよろしくね、バジェット!」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
最後は握手をして、バジェットは仲間になった。
ついでに鑑定
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バジェット・グラウルフ 男 23歳 義手技師 アーノルド・グラウルフの隠し子
LV52 HP375 MP50
STR 36(+250) VIT 92 MND 64
SPD 89 DEX 140 INT 154
LUK 5
スキル
双剣の心得F 身体強化D マリオネットC 人形作成D 旋棍の心得C
物理耐性F 痛覚耐性F
属性魔法適性
闇
手術歴
両腕
職歴
パペッティア 5年
義手技師 3年
備考
悪魔との契約歴 1件
混血
狼人族とのクオーター
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老けた顔つきと終始敬語を使っていたのでもっと年上かと思っていた。混血の影響なのだろか、そこは黙っておこうと思う。
「僕で3人目ということは、パーティー申請は未だしてませんよね?」
「あ、そうだね」
「パーティー名は決めてるんですか?」
「えーーーっと……」
あまり目立つ名前は嫌だし。名前負けしそうなのも避けたい。
3人で話し合って決めた方がいいのかなとも思ったが
「裏にゃあで何してるニャ?」
買い出しから帰ってきたミーニャが気になってこちらに来てくれた。
そんな友達であり、猫目亭の看板娘であり、絶対可愛いミーニャの1000%可愛い尻尾を見たら、このパーティー名しかないことに気がついてしまった。
「新しい仲間が入ったから、パーティー名を考えてたの」
「もう決まったのかニャ?」
「決まったよ! キャットテールっていうの」
「にゃんと、素敵な名前ニャ!! ケーニャのパーティにはピッタリの名前ニャ」
「でしょ、でしょ」
バジェットは何か言いたそうだったが、私とミーニャがにゃんにゃんと喜んでいるのを見て諦めたようだった。




