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妃の条件①

 終始視線を感じていたが、気づかないふりをしてコソッと玉座の間を抜け出そうとした時


「ケーナ殿。ちょっと話がある」


 視線の発生源である女騎士に呼び止められてしまった。


「は、はいぃぃ。何でしょう」


「ここでは話しづらい、ついて来てもらいたい」


 レベル107の女騎士の迫力は凄かった。並みの人じゃ威圧感に耐えられないだろう。

 まるで告白されるようなドキドキのシチュエーション、ではないがちょっと緊張はする。

 アブソーブを使った直後から様子が変だった。もしかしたら見られていたのかな?


 人の気配が無いところまでくると、初めての壁ドンを体験する


「名は?」


「ケーナです」


「レベルは?」


「10です」


「スキルは?」


「空間収納と病耐性があります」


「適正属性は?」


「水属性です……」


 急な質問攻め。


「上手く隠してるみたいだな」


「何も……」


「その年で、今まで騙し切ってきたという事か。セバステが驚くわけだ。残念だが、私の前ではそう簡単にいかない」


 セバステには鑑定・解析系のスキルは無かった気がするか、鋭い勘の持ち主なのか?


「師は誰だ?」


「言っていることがわかりません」


「1人でそこまでたどり着けるものなのか?それこそわからないな。正直に言おう。私はケーナ殿が恐ろしいよ。一瞬だけ見えた得体のしれない力。こちらが剣を抜く間もなかった。仮にその力が王に向けられたものだったら私では対処できなかった。騎士失格だ」


 あの刹那の中の出来事を認知していたということなのか。そこまでの領域にいけたのならもう十分な気がする。


「そんなことありませんあなたは立派な騎士だと思います」


「励ましているのか? それなら教えてくれないか、どうすればそこまで強くなれる」


「わかりません」


「そうか、簡単には教えてくれないか。ならばせめて、一合でいい、剣を交えてくれ。剣が無ければすぐに持ってくる」


「それで満足してくれますか?」


「もうこれ以上は何もしないし、ケーナ殿の事の詮索するのも控えよう」


「ならば剣は苦手ですのでいりません」


「しかし、それでは」


「このままで十分ということです」


「そこまで差があるのか……」


「剣は本当に苦手なだけです。どうぞ本気で斬りかかってきてください」


「騎士として丸腰の相手、今となっては偽の婚約者とはいえ王の妃に剣を向けるなど本来ならありえないが、そうも言ってられないと私の本能が警鐘を鳴らしているのだ。申し遅れたが私の名はネイトレス。ケーナ殿あなたの力を見せていただく」


 ネイトレスの勘は正しい。

 何かしらのスキルかアビリティで私のステータスを覗き、Lv10 に改竄されたステータスを見たのだろう。それでも納得せず危険を感じて私にここまで詰め寄ってきたのだからそこらの騎士とは雲泥の差だ。


 ネイトレスは持てるスキルと剣のアビリティも発動させる。

 周囲の空気は張りつめビリビリとした気迫が伝わってきた。


 秘剣、神速剣

 

 目では到底捉えるができない速さを、思考加速で観察する。

 踏み込みで床が割れ、振り下ろす剣は剣先が空気の圧縮で赤く熱を帯びていた。

 身体強化のスキルだけではないだろう。血管は浮き出し、目は充血している。

 まるで命を削りながらの攻撃のように思えた。


 手加減無用の全力。


 凄まじい音で空間を切り裂くように振り下ろされる渾身の一撃は、まるで見えない壁に阻まれるかのようにケーナの目の前で止まってしまう。それ以上は剣が進まない。


 常時発動しているアブソーブによる自動防御だ。

 外部から受ける危険性のある攻撃を吸収している。この場合は剣の運動エネルギー、熱エネルギー、アビリティの効果、スキルの効果などを吸収しているので剣が進まず止まってしまっているのだ。


「攻撃が届かないなら、避ける必要無いからね」


「まだまだぁ! はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!」


 更に剣に対して魔法を使い、何かをしようとしたみたいだったが、発動と同時に魔力も吸収されていくので効果を見ることができなかった。


 ついには魔力切れになってしまったのだろうか、息を切らしながら剣を床に刺し、片膝をついてしまう。


「はい私の勝ち。えいっ!」


 手刀をネイトレスの額にポンと当て一本を取る。


「なぜ……私の剣が……届かない」


 言葉をふり絞り聞いてきた。


「これがあの時使ったスキルの力の一部だよ」


「これで……一部……なのか?」


「全部は見せられない」


「私は……まだまだ……弱すぎたか」



「そんなことはないよ。ちゃんと私のスキルは自動で発動した。スキルなしだと怪我をしていたかもしれない。そう判断したからスキルが発動したんだよ」


「フフ、怪我とは……。励ましに……なっていないぞ」


 フラフラな状態にもかかわらず、まだ目は死んでいない。

 この絶対的な差を見せられてもなお、隙を伺い一撃を狙うような視線だ。


「もしまだ挑みたいなら、強くなるヒントをあげる」


「強さの秘密を……教える気にでも……なったのか?」


「Lv300」


「!!?」


「まずは、そこまで体を鍛えて、そしたら次は――」


「はっ、限界を超えろというのか。簡単にいってくれる。……あの勇者トラーゼンでさえ……178だというのに……それを300……」


「何がおかしいのよ」


「いや……もう……ハァ~……」


 そう言った後、勝てない相手だとして絶望したのか、目標が見えて安堵したのか、単に気が抜けたのかは、分からないが気を失って倒れてしまった。

 魔力が切れによるものだろう。このままでは可愛そうなので、完全回復薬をかけてそっと寝かし、その場を後にした。

 人の気配が無いとはいえ城の中なら安全だろう。

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