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才色兼備で一枚上手⑥

 必死で逃げていたヤナトとウリトも足を止め空眺めていた。


「消えたっすね」


「どこいった?」


 と、そこへ走って近づいてくる猫の着ぐるみ。


「ブラックベヒーモスを倒した力を見込んでお願いがあるのだけど、私と組んでくれないかしら?」


 と唐突に勧誘しに来たのだった。


「おいおい、兄貴に気安く声かけてんじゃねっすよ!この狸が!」


「狸じゃないもん、猫だもん。目おかしいんじゃないのこの豚」


「豚と一緒にするなっす。おれは猪族と人とのハーフっす」


「見分け方なんか分かるわけないでしょ」


「おい、あんた、勧誘しに来たわりには随分とふざけた格好じゃねーか?」


(ふざけた?いったいどこが……?)


「申し遅れました。私、この町の平和を見守るもふもふ猫君3号と申します。改めてお2人を私のパーティーにお誘いいたしますね」


「断る」


「即断兄貴!かっこいい」


「俺たちは、平和なんかに興味はねぇ。強さと金を求めてんだ。どうしてもってんだったら金をだすか、力でねじ伏せてみろ」


「今持ち合わせがないので、強さを示せれば仲間になってくれますか?」


「できるもんならなっ。おい、相手してやれ」


「お2人同時で、構いませんよ。もし2人が怪我してもちゃんと治癒魔法で直してあげますね」


 挑発だと思ったのか、おかげで、息の合ったコンビプレーを見ることができた。


 合図もなしに2人同時に動き出す。


 猪ハーフはやっぱり接近戦に持ち込もうと一気に間合いを詰めてくる。


 スキルも使用して拳の威力が増している。


 もう片方は、心眼を使いこちらの次の動きを伺っているようだった。


 まず拳の威力を見るため右腕で一発を受ける。


 シールドを張っていたにも関わらず猫君の右腕が粉砕されてしまう。


「凄い!!」


「褒める余裕なんてあるんっすか?」


「ほら左はまだピンピンしてるよ」


 と左腕を上げようとした瞬間に


「剣技、高速剣」


 スパっと左腕を狙われ切り落とされてしまった。

 綿が中から溢れ出る。


「やっぱり中身は入ってなかったか。俺ら2人を相手に人形遊びなんて、舐めすぎだ。本気なら命ぐらいかけて挑むんだったな」


「どうりで手応えが薄かったっす」


「ちょっと! もう勝ったつもりなの? まだ終わってないわよ。油断しちゃダメ。気を張ってないと死んじゃうからね」


(スキル、ダメージ転写)


「ぐぅががぁぁ!!腕がぁぁぁ。あ、兄貴こいつ何か仕掛けてくるっす」

 

 バギボキとウリトの腕が折れる音が響く。


「おい、何をしやがっ――」


 目線は一瞬しか外していないのに、切ったはずの左腕のがくっついている。

 そして、自分の左腕がズルっと落ちた。


「てっめぇ……」


 左肩から吹き出す出す血。


「兄貴!!!!!」


「ほら油断するから、負けるんだよ。ちゃんと警戒を怠らないこと」


 痛みでそれどころではないようだったが、躾はしっかりしていく方針。


「分かったら返事」


「分かった。分かったっす。負けでいいっす。仲間になるっす。兄貴の腕早く直してくれっす」


「安心してください仲間を見捨てたりはしませんよ」


 切れた腕と粉砕された腕を同時に戻し、2人とも抵抗は諦めたのか約束通り仲間になってくれることになった。力あるものには従うという心持だそうで楽だった。


「そういや、まだ名乗ってなかったな。俺の名前はヤナト。鬼人族と人族のハーフだ。今はこんなボロい刀しか持ってないがサムライだ。」


「俺はウリト。拳闘士っす。俺と兄貴は血は繋がってないっすけど、子供頃からずっと一緒っす」


「私はもふもふ猫君」


「おい、そいつは本当の名前じゃねーだろ」


「えーダメ??」


「ダメっす。名前も知らねー奴に背中は預けられねっす」


「わかりました。んーーーじゃあ、顔も見せてちゃんと名乗るからついてきて」


 言われるがまま後をついていくと、カスケード領の誰もが知っている屋敷の門まで来る。


「ちょっとまってて」


 猫の着ぐるみは高い塀をピョイと乗り越え中に入っていく。


「ここって貴族の屋敷っすよね」


「ああ、間違ってないんだが、なんかの間違いか?」


 暫くして、


 ガタン!ギギギギギ……


 ゆっくり扉が開かれると、可憐な少女がぺこりとお辞儀をして待っていた。


「初めまして、ヤナト様、ウリト様、私がカスケード家三女、エーナ・カスケードでございますわ。本日は来ていただきありがとうございますね」


 ワナワナし始める2人に


「遠慮は入りません、どうぞお入りください」


「「ハイ! オジャマシマス」」


「ラルンテ、客室までご案内して、あと喉が乾いてると思うから、お飲み物と、あとお菓子もお出ししてあげて」


「かしこまりました。エーナお嬢様」


「2人とも苦手なものはございまして?」


「「ゴザイマセン」」


「なら良かった。ふふふ。自慢のクッキーがございますの!」


 完全に空気に飲まれている2人を、からかうように見つめると、勘弁してくれという視線が返ってきた。


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