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お手本のようなお誘い⑦

 元をたどればお礼が子づくりみたいになっているが、そもそもお礼で子供をつくるものなのか?

 魔族ではお礼に子をつくる文化でもあるのだろうか?


「あ、あのね。魔族の間ではお礼をするとき相手の子をつくるのが文化があるの?」


「そんな話聞いたことありませんわ」


 そっちも初耳なのかよ。

 と、ツッコみたいが堪える。


「だったらなんで、今回のお礼は子づくりになったのかその理由をしりたいんだけど」


「それは簡単な話ですわ。運がわたしより強くいことや、わたしと目を合わせていても平気でいられることなども理由にありますが、何よりとても可愛いからですわ。今日は昨日より一段と可愛いですし、わたしも負けず劣らず可愛いのですから、その間に生まれる子どもは必ず可愛いに決まっておりますわ。可愛い子供が嫌いな親なんて存在しないとお父様はいつも仰っておりますわ」


 なんか筋が通ってそうでズレた話になってるな。

 魔王が親ばかになってるのは良く分かった。


「テッテ。残念だけどそれちょっと違うと思うよ」


「そんな……。可愛い子どもはお嫌いでしたか?」


「そこじゃない。絶対とは言わないけれど、私が思うに、可愛いから子どもが好きになるんじゃなくて、自分の子どもだから大好きで、愛おしいくて、可愛いってなるんでしょ。今のテッテの姿が違っていたら魔王様はテッテを嫌いになっていたって事なの?」


「そんなことありえませんわ。お父様はいつもテッテの事を想ってくれてますもの」


「その通りよ。わかったでしょ」


「よく……わかりましたわ」


 子ども本当の可愛さは、その子の親にしか分からない。

 例えそこに血の繋がりや魔力の繋がりがなくても子と親の関係である以上、そうなるものだと思う。なんて理想論なのかもしれないけれど……。


「子供を作るのを待ってほしいと言うことでしたら、わたしケーナの妹になりますわ」


 間髪入れずに謎の自信に溢れた力強い言葉と、渾身のどや顔を全面に押し出し、もはやツッコミも返せない程の勢いがそこには感じられた。


「宣言いたします、これから先どんな困難がケーナ姉様に降りかかってきても、必ずわたしがケーナ姉様のお力になるとお約束いたしますわ」


「あのさ、妹にならなくてもいいような……」


「いいえ、姉妹の絆がより力を増大させてくれますので妹でなければ意味がありませんわ」


「でもさ――。」


 突き放すのは可哀そうな気がしたので、オブラートにいっぱい包んで何と断るか言葉を選んでる中、マトンがまた口を開く。


「それなら、いいでしょう。妹様の宣言お見事です」


「ありがとうですわ」


「マトン、なにいって……」


 なぜが話がまとまってしまった。


「良かったですねテッテお嬢様。以前から姉が欲しいと申されていましたし」


「姉は絶対無理だとお父様に言われていたので喜びも一入ですわ」


 霊獣までテッテに頬擦りして喜びを分かち合っている。


「妹様のご誕生おめでとうございます」


 祝福してくれているマトンだが、出産祝いのような言い回しはやめて欲しい。

 お礼とはいったい何だったのか? いい感じにおさまった雰囲気のせいで、ここからダメなんて言えない。

 子づくりに比べたら妹みたいな感じで今後接していく方ががまだマシかもしれない。家族なら子づくりしてとせがまれることも無くなるだろう。


「わかった。わかった。私がテッテのお姉ちゃんになるよ」


 この言葉を聞いてテッテとヨシエが「言質を頂きましたわ」ときゃっきゃと喜び跳ねている。


 私は姉妹とはいえあくまでも仲のいい友達のような感じで受けっとっていた。


 だがテッテにとっては本当の姉であり本当の妹になったとうこと。


 この認識の差はあまりにも大きすぎた。


「早速お父様にお知らせしないとですわ。お手紙にいたしましょう」


「かしこまりました。最速のワイバーンの手配いたします」


「そんな、大げさな。そこまでしなくてもいいよテッテ」


「なにを仰いますか。大げさなんかではありませんわ。これは国全体に関わる事ですもの」


「え?」


「わたしのお姉様なのですから、次期魔王になりますのよ。それを早くお知らせしないと配下のもの達だって気になるじゃありませんか」


「ちょ、ちょっと待った。そんな話は聞いてない」


「いいえ。魔王の娘だとヨシエが申しましたよ」


「でも次期魔王になるとは聞いてない」


「訊かれてませんでしたもの。ねーヨシエ。姉になる言質はいただきましたので今更変更はできませんわ。魔族との契約は絶対ですのよ」


「ぐぬぬぬぬ」


 と、ここで相手の思惑に気づいた。


(あ!あああ!それが目当てだったのか!)


 既成事実を作り、嫁になってしまえば旦那が次期魔王になる。

 姉を作り、魔王継承の優先度下げれば自動的に姉が最有力候補になる。


 どちらにせよテッテが次期魔王にならなくて済む。


 そこが真の狙いだったのか。

 テッテの奴、おバカなフリして私を掌の上でコロコロしていたのだ。



 完全敗北。


 真のお礼、それは次期魔王の座だった。


 ギャンブルで負けた腹いせなのか?

 こんな大きなお礼をされてしまったら、割に合わないに決まっている。


 今後のどこかできっちり帳尻合わせしてやろうと考えるのが今できる精一杯の抵抗だった。

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