〔閑話〕エーナの世界
美味しい夕食のおかげでお腹も心も満たされ、広いベットの上でゴロゴロしていたのだが、暇すぎたのでステータスを何となく見ていた。
(このステータスって世界でどれくらいの順位なんだろう)
なんて思いながら目を進めていると空間収納に気になるアイテムが増えていた。
『エーナのコピー』
入れた覚えはないのでおそらく、実家にいるコピーエーナがスキルを使い、更に自分のコピーを作ったのだろう。それを空間収納内に入れたのだろうが何のために?
確認するために、ちょっとだけ空間収納内に入ってみることにした。
入るなりコピーに話しかけられる。
「記憶統合の為にフュージョンをしてほしい」
「あ、はいはい」
フュージョンをするとエーナの記憶が統合され思い出になる。周りに気づかれず上手くやっているみたいだった。唯一気にかけているのはラルンテぐらいだ。自由度が自分に比べて低い分、色々考えていることも伝わって来る。
その中でもこの、広大な空間収納の活用についても考えていたようで、
(コピーのなのによく考えてるな)
と関心しつつも、早速自分が試してみることにした。
まずは、疑似生命生成SL.SSSを習得。出来上がりの見た目は美女に賢者を足した感じ。好みが盛り込まれてることは否定できない。名前はタイムと名づける
オリジナルスキル”マスタークロック”を創作しタイムに付与させ発動してもらう。
何をしたかというと、空間収納内の時間を調整する役割をしてもらうことにしたのだ。
一番問題だった、中に入って外に出ると時間がかなり進んでしまう事態を無くすこと。更に常時にスキルを発動させ様々な時間の流れを管理してらう事で、活躍を期待できる。
今までやっていた空間を指定して時間を止めること。これによって中に入れたものが腐らなかったり、熱の変動も止めたりしていたのだが、これが最適化される。収納物の管理を任せられるので、ポイと投げ込むだけで良い。
それにこれから先、空間収納を有効活用するうえで部分的に時間を止めたり、進ませたり、戻したり、自分がそれを意識しなくてもいいようになるので大いに助かるのは間違いない。
「タイム、ここの管理はよろしくね」
「かしこまりました。それと何とお呼びすればよろしいでしょうか?」
「ケーナでいいよ」
「かしこまりました。ケーナ様、とお呼びいたします」
マトンもそうだったが、疑似生命体とやらは何とも礼儀正しいのだなと。このスキルの特徴なのかもしれない。
そしてそして、大事業になるであろうことが1つ。
この広大な収納空間を活用方法としてここに近代国家を作るプロジェクトを立ち上げる。
その名もエデンプロジェクト。
発案者はコピーエーナだが、コピーエーナには絶対の愛情で見守る者がいるので中々空間収納内に来れなかったのであろう。だから、私が始めさせてもらう。
コピーエーナは外の人を引き込むつもりであったようだが、それを最初からすると誘拐になってしまうので、まずは実験がてらタイムから始めようと思う。
要はこの収納空間内で生活してもらうのだ。
サポート役にコピーエーナを用意。
主な役割としてはお手伝いになるが、1人じゃ寂しいかと思ったからだ。
空間収納が実家のコピーと共有できているので、収納リストの変化に気づけばラルンテの隙をついてどうにかして入ってきてくれるかもしれないという淡い期待もある。
これからタイムに「ここで生きて」と言っても、ゼロからはさすがに厳しいと思い最初の土台を作る。
「よしっ!」
と、気合を入れ、アブソーブで溜め込んだ魔力を解放させ、DEBUG MASTERを発動させナナスキルも全て使えるようにしていく。
慣れない土の魔法と水の魔法を使い、ある程度の地面や湖の生成。ナナスキルの”地形変化”も使い隆起させたり沈下させたりして、それっぽくしてみた。
気が付くとMPが一気に200万も消費してしまい魔力切れの事も考慮してこれぐらいにしておく。そもそも無駄に地下1000mまで地層を作ったせいかもしれない。
「ちょっとやりすぎたな」
「お見事ですケーナ様。まるで神のような所業に驚きを隠せません」
「えへへへ。そんな事よりも木とか家とかも必要だよね。木を創りたいけど植物魔法は使えないから、とりあえず家を造るか」
今度はナナスキルの”クラフト”を使い猫目亭をイメージ。一瞬で目の前に家が出てきた。
内装のそのままの状態なので家具やら食器やらもあるのは驚いた。
「まさかこんなことまできるなんて。スキルも使ってみないと分からないことあるね」
「タイムの為に誠に感謝いたします」
「家の中の物は全部タイムの物だから自由に使ってね」
「有難く頂戴いたします」
「あとは環境だよねぇーー」
動物も欲しいが、まずは植物かなと考えるも、植物魔法でも元々の植物がない場所では意味が無いし、ナナスキルのアイテム制作で植物の種を創造するのは可能だが、それを撒いていては時間がかかる。
そこでナナスキルの中でも一番最後のスキル
”マインドプロンプト”
細かい調整を行う際に使用します
説明文を読んでなお説明が欲しくなるスキルだ。
とりあえず使ってみる。
《何をなさいますか?》
突然頭の中に声が響く。まるで念話。
(草をこうバーーーっと生やしたい)
《範囲はどうなさいますか?》
(えっと…見えてる範囲にいい感じに)
《種類はどうなさいますか?》
(えーーーっと、適当に30種類ぐらい?混ぜてもらって)
《……環境変更準備が整いました。実行しますか?》
(実行して)
その瞬間に目前に広がる緑の植物。
(超便利!)
同じ要領で、森や空まで創りそこに生息する生き物たちまで創りこんでいった。タイムに時間をちょっと進めてもらうと、ちゃんと日が沈み月が昇る。ここまで再現されるとは思っていなかったので正直驚いた。
魔法なんて最初から要らなかったのでは?と思わせるぐらい万能なスキルだと思うと同時にこのスキルは何でもできてしまいそうな気がして一番危険なスキルだとも感じた。
最終的に空間収納内はとある一つの世界と言えるほどの環境にまで整ってしまった。
どれを取っても便利すぎるナナスキルは世界に大きく干渉してしまうのでは無いかと思い、今まで極力使ってこなかった。でもここなら自分の世界なので思う存分試す事ができる。
ナナスキルの今後の活用方法を見出す為にもここは重要な場所になるかもしれない。
土台作りはここまで。ここからはタイムにとりあえず任せる。
あとは発展に必要そうな物があれば追加していこうと思う。
何はともあれエデンプロジェクトはエゴの塊になりそうだ。
「じゃ、そろそろ戻るね。タイム調整よろしく、あと実家のコピーにもよろしく言っておいて」
「かしこまりましたケーナ様。こちらにお戻りになるのを楽しみにしております」
空間収納から出てベットの上に戻り時計をみると時計の針は殆ど動いていなかった。時間の調整は上手く機能しているようでなによりだ。
あの環境を創ったことで空間収納内のリストにどう反映されるか気になったのでステータスを開くと……
の前にステータスが倍増していたのでちょっとビビってしまった。フュージョンでステータスもスキルも統合されるのを忘れていた。
増えたスキルには魔王でも討伐しに行くのかと思うようなものもあった。その経緯が、ラルンテから逃亡するためだとは記憶を読まないと分かる訳がない。
手加減の達人に関しては不意に力を発揮しないように頑張っている様子が伺える。異常に上がったステータスを抑えるのは気を使う程度ではどうにもならないということだ。
耐性スキルや、体力アップスキルについては、防御に対して鉄壁だと思われていたアブソーブスキルの弱点を補強するために獲得したようだった。
死ぬことが許されないと分かっているからこその耐性スキルの増強、最近薄れていたそのことに気づかせてくれたことに感謝。一気に増えすぎた気もするけど……。
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エーナ・カスケード 女 12歳 倍々少女
LV7240 HP447824(+447824) MP1012640
STR 20656 VIT 69264 MND 223488
SPD 7216 DEX 11840 INT 292088
LUK 1056
スキル
異世界言語A 空間収納S 鑑定眼A 隠蔽S 探索A 感知S アブソーブS 探究B 剣術の心得F 盗みのいろはF 調教の心得A 錬金術の神髄 マリオネットSSS+ 千里眼SSS+ 隠密SSS+ 裁縫の達人 手加減の達人 解体上手S 料理上手S 美食家S 身体強化A 体術の真髄 威嚇S 投石強化SSS+ 幻影SSS+ 心眼SSS+ 魔眼 疑似生命生成SSS+ 並列思考F 思考加速F
物理耐性S 魔法耐性S 火炎耐性S 水流耐性S 雷電耐性S 氷雪耐性S 土石耐性S 風圧耐性S 闇黒耐性S 聖光耐性S 恐怖耐性S 腐食耐性S 毒耐性S 麻痺耐性S 疲労耐性S 病耐性S 魅了耐性S 混乱耐性S 沈黙耐性S 気絶耐性SSS+ 麻痺耐性S怒り耐性S 時空耐性SSS+ 即死耐性SSS+ 怨念耐性SSS+ 行動制限耐性SSS+
天命SSS+
DEBUG MASTER
属性魔法適性
火、水、風、雷、聖、闇、空間、時間
加護
精霊の加護
使役
プラチナスライム(仮)
アイテムボックス
薬草40
メイド服1
簡易地図1
食パン1
干し肉1
寝袋1
ならず者の首7
エーナの世界
タイム1 コピーエーナ1
異世界ガイドブック 1
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因みに、アレは『エーナの世界』と表示されていてちょっと嬉しかった。
「あ、あっちで一泊してくれば良かった……まぁいいかな。ゼンちゃんお休みー」
(……zzZ)
明日も朝からやることはあるのでMPの回復も兼ね早めに就寝することにしたのだった。




