お祭りと魔女 その2
玉割り会場に残されてしまったミスト。
「あ、行っちゃった。ミストまだお金あるのに」
遠くで魔法を見ていたノマギが目くじらをたてて迫ってくる。
「ミスト様! ミスト様! 今度は何をされたのですか?」
「精霊魔法を使って遊んでみた」
「”遊んでみた” ではございません。そもそも精霊魔法は遊び道具ではございません。殲滅級の力をこんな所で使わないでください」
「でも、あのモンスター強いって精霊たちが言ってた」
「モンスター? モンスター程度に使う魔法でもございません」
「使ったけど、倒せなかった……と思う……」
「精霊魔法で倒せないモンスターなど幻龍種や古龍種の類ですよ。こんなお祭りの中にいていいモンスターではございません」
「うーーん」
「はいはい。わかりました。いたってことでいいので今夜泊まる宿でも探しましょう」
「いたもん……」
両手に酒を持つレインも見つけ、強引に引っ張り宿探しをすることとなった。
「ねぇ、レイン」
「なーにー?」
「精霊魔法で倒せないモンスターにはどうしたらいいの?」
「は? 何それ? 本当にモンスター?」
「精霊たちはモンスターだよっていってた」
「じゃあ、モンスターか。魔法が全然ダメなら殴るしかなくない?」
「それでもダメなら?」
「え? 物理効かない系? 亡霊のとか?」
「亡霊なら魔法でどうにでもなる」
「じゃあ、実体のあるモンスターか。でもそれだと、物理と魔法の完全耐性ってことよね。どちらか一つの完全耐性持ちならドラゴン系にいるけど両方となると……」
「いないの?」
「……いるわ。プラチナスライムよ」
「プラチナ。もしかして銀色のピカピカスライム?」
「見たことないけどそう聞いたことがあるわ」
「じゃあ、あの玉。たまじゃなくてプラチナスライムだったのね」
「なに!? もしかしてプラチナスライム見かけたの?」
「うん。見た」
「なんで捕まえなかったのよ。儲かるわよあのスライム」
「そんなに?」
「素材としては超一流。市場には出回らいないし、言い値でいいから売ってくれって人が星の数ほどいるわ」
「すごい」
「もったいないわね」
「次会ったら逃がさない」
再戦に向け意気込むミスト。
そんな話をしている内に宿を確保してくるノマジ。
「貴族御用達の宿はどこも満室でしたので、今日は平民向けの猫目亭というところで我慢してください」
「わかった」
「まったくノディは使えないわね」
「ノマジでございます。今日空室があっただけでも奇跡のようなものですので我慢してください」
「ね、明日はどこの出店見る?」
「そうね、私はお酒が飲めればどこでもいいわ」
「レイン様はともかく、ミスト様は調査のこと忘れないでください」
魔法使いたちの調査はまだまだ時間がかかりそうな様子だ。




