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捕虜たちの誓い

 猫目亭の宿で朝を迎える。窓を開けると昨日の出来事を思い出させるかのように焼けた臭いが入ってきた。


 そしてもう1つ思い出すは2000人近くの捕虜達の事。昨日からほったらかしにしているが、時間の進みが違うので大変なことにはなっていない信じたい。


「しゃーない、そろそろ出してあげるか……」


 元々いた場所には転移できるようにしていたので部屋から移動する。


 ドレスに着替え空間収納内に私が入る。

 

 こちらの姿を見つけるとすぐダン大佐が飛んできた。


「探しましたぞ」


「いいえ、私はずっと近くに居ましたよ」


「あ、ああ……それでだな、3人の者以外は外に出ることを望む。もちろん誓いは守る。よいだろうか?」

 

 二度と争いをしないという誓い。この『争い』が何を指すのか、細かいことなどは話していない。

 戦争はもちろん争いになるが、喧嘩や夫婦の揉め事も争いと言えば争いだ。

 

 それらの全ての争いを避けるのは難しいかもしれないが、破ったところですぐに何かが起きるわけじゃない。

 弱体化したままのステータスで争えば自らに死が訪れるだけのことだ。


「わかりました。それでは残る3人をこちらに」


 おっさん3人組が私の傍まで来るとひざまずく。


 先に約2000人の捕虜を一気に外に出す。元々待機していた場所だ。本当に出ることができて喜ぶ者や怯える者などの声が森にこだまする。


 スキルの探索範囲には敵の捜索隊を捉えられていた。

 お目当てはこの集団だろう。


「ダン大佐、あちらの方角にお迎えが近くまで来ていますよ」


「そうか、わかるのか……やはりあなたは神なのでは?」


「お好きに呼んでください。私はあの3人と話があるので戻りますね」


「承知した」


 別れはあっさりしていたがそれでいい。ダン大佐も最後には神だと信じたのだろうか、少し怯えているようにも見えた。


 空間収納に戻っても3人組はひざまづいたままだった。


「ちょっと、立ってくださいよ」


 首を振り下を向いたまま話し始めたのは、一番最初に声をかけた中隊隊長のブハッサだった。


「やはりあなたはアヤフローラ神だと確信いたしました。私はナジョトの者ですが、アヤフローラ教の信者でございます。祖国では女神を崇拝することはあまりよいこととされていませんでしたが、それでも密かに信仰しておりました。こちら2人も同様の立場でございます」


「あ……そうなの」


 真面目な信者を騙しているようで罪悪感が込み上げてくる。でも勝手に向こうが思い込んでるだけで私は一度も神だとは言っていない。


「私は私、周りが勝手に呼んでいるだけであなたの求めているのものと違うかもしれませんよ」


「いえ、私は確信しておりますのでご安心を」


 思い込みとは恐ろしい。


「分かりました。もう何も言いません。好きにしてください。そして面を上げてください。いつまでも下を向いたままではちゃんとお話できません」


「なんとお優しい……」


 残りの二人は嬉しいのだろうか涙ぐんでいる。


「「「一生ついていきます」」」


「いやー、一生この中にいられても困るんだけどね……」


 敵国から寝返えった3人組のおっさん兵士がケーナの子分となった。



 今後について色々話をする。


 私の事を女神が世を忍ぶ仮の姿だと思っているらしいのだが、この誤解は解くのが難解そうなので諦めた。


 フローラ教の人たちはこの3人組も含め女神アヤフローラを崇拝しすぎているようで逆に心配になるぐらいだ。


 ブハッサは叩き上げの兵士。入隊当初から戦場で鍛えられてきた兵士だ。残りの2人はどちらも一等兵のベロアとボックスと言うらしい。


 国に家族がいるのに大丈夫なのだろうかとか、勝手に国を出て大丈夫なのだろうかと色々聞いてみたのだけれど、神にお仕えできることが何よりも嬉しいなどと抜かしていたのでちょっと説教をしておいた。


 一度国に帰り家族と引っ越すなどしてまた来てくれれば正式に迎え入れると約束し、一度ここでわかれることになった。


 色々仕事をしてもらうので、この3人だけは後で弱体化を解除してあげようと思う。


 猫目亭に戻った時にはもう夜になっていて、空間収納内にいたせいもあり1日があっという間に過ぎて行ってしまった。

 


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