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最初の一撃は、ぜつだい。⑤

 猫目亭に着くとすぐミーニャが駆け寄ってくる。

 次期魔王ケーナ誘拐事件を冒険者伝いに聞いていたらしい。


「心配してたニャ、酷いことされてないかニャーって、でも無事で良かったニャー」


「心配してくれてありがとね。色々大変だったけど、何とかなって良かったよ。注文は今日のオススメといつものサラダよろしく」


「俺にはエールと茹で豆をくれ。以上だ」


「注文ありがとニャー。ちょっと待っててニャー」


 立ち去るミーニャの尻尾にいつまでも見惚れているわけにもいかない。


「で、話って何?」


 座ったところで話を聞く


「今回ケーナにかけられた賞金額の話だよ」


「3億メルクだったんでしょ」


「そうだけどおかしいと思わないか? 次期魔王とはいえ小娘1人に3億だぞ」


「小娘で3億、何が悪いのよ」


「誤解しないで聞いてくれ。お前ぐらいの歳の女の奴隷で良くて100万メルクだ。姫だったり、女王であったりした場合の奴隷でも500万から1000万メルクといったところだろう」


「確かに大きく外れた額ではあるわね。でもそれはあの犯人の貴族だった男が馬鹿みたいに金持ちで少女好きだったからじゃないの?」


「あの貴族にそんな金を用意できるほどの財力は無い。見栄だけは一人前だったみたいだが、そこを利用されたんだろうな」


「魔王が嫁になれば箔が付くってこと? じゃ、この件はまだ終わってないのか」


 オリミラがあの時感じていた違和感はこれだったのかもしれない。


「警戒はしといた方がいい……以上だ」


「え、それだけ?」


「ああ、それだけだ」


「後ろにいる奴の尻尾でも掴めたんじゃないの?」


「そこまでできれば、とっくに俺が捕まえている。それだけ逃げ隠れするのが得意な相手ってことだ」


 心当たりがないわけではない。前カスケードを襲撃してきた奴らだ。

 実家のコピーエーナが猫君を駆使しても捕まえられなかったぐらいだ。

 私が次期魔王に選ばれたタイミングで襲ってくると言うことは十中八九浮島絡みのことだと思う。


「先にエールと茹で豆どうぞニャー」


「ねぇ、ミーニャ」


「なんニャー?」


「前、ブラックベヒーモスの襲撃事件の犯人ってまだ捕まってないよね?」


「捕まった話は聞かないニャー」


「そうだよね。ありがと」


 あれだけの被害がでたのにギルドや父のベンドラ・カスケードがほっとくわけがない。

 それでも捕まえられないとなると、大きな組織か、どこかの国が仕掛けてきていた可能性も十分にあり得る。

 手配書の額からするに何が何でも私を捕まえたかったんだなと思う。


「もう狙われるのは嫌なんだけどなー」


「そこでだ、俺を雇わないか?」


「え゛っ」


「露骨に嫌がるな。これでも情報収集なら得意分野だ。情報を集めてくるから、その都度有用な情報に対して報酬を払ってくれればいい」


「随分良心的なのね」


「次期魔王に借りを作れるのなら十分こちらにも利がある」


「良い先見の明をお持ちなのね」


 グランジは私がいつから魔王になるのかという重要な事を見落としているが、訊かないので教える必要もない。


「交渉成立だな」


「私も忙しいから、変な奴らにかまってられないのよね。いい情報をよろしくお願いね」


 話もまとまったところで今日のオススメが届く


「お待たせニャー。スペシャルミートパイニャ!」


 パイ生地と肉の匂いが食欲をかきたてる。ジーンの料理にハズレ無しだ。



「ケーナ、やっぱりここにいましたか」


 そういって空いている椅子に座ってきたのはバジェットだった。


「ばぶえっふぉ」


「食べてからでいいですよ。町で3億娘が帰ってきたとの噂を耳にしたので、こちらに寄ってみました。この方は新しい仲間ですか?」


「ん? そいつはただの情報屋」


「相変わらず冷たいな。俺はグランジ冒険者だ。よろしくな、えっと」


「バジェットです。ケーナとはダンジョン攻略の仲間です。よろしくお願いします」


「今日はグランジが奢ってくれるって言ってるから遠慮なく食べな」


「では遠慮なく…… ミーニャさん!!! 特選ステーキを5人前おね――」


 遠慮をしないグラフに焦ったのか


「ちょ、ちょっと待て、そんなに金は無い。本当に無いんだ勘弁してくれ」


 残念そうなグラフは2人前にしておいた。



「ケーナに頼まれていた話。いいのが見つかりましたよ」


「良かった、気になってたんだよ」


「元貴族の別荘だった妖精付きの屋敷です」


「妖精付き?」


「仲介人がそんなこと言ってましたよ。嫌でしたか?」


「いいよ。全然いい」


「きっとケーナならそう言ってくれると思い契約してきました」


 私が妖精付きで喜んでいると、グランジが怪訝な顔で割って入る。


「おい本気で言っているのか? 妖精付きなんて住めたもんじゃねーぞ」


「なんで妖精ってなんか可愛い感じがしていいじゃない」


「あのなー妖精なんて悪戯しかしない生き物なんだぞ、しかも目では滅多に見えないから厄介でしかない」


「それでもいいよ。私にはそんなことしてこないと思うから。心の穢れた人しかそうはならないでしょ」


「そこまで言うか。分かった確かめよう。今からその家に行ってケーナがどう歓迎されるか見てやるよ。いいよな」


「もちろん。バジェットその家案内して」


「構いませんよ。鍵は既に預かっていますので行きましょうか」


 食事後、3人で新拠点になるかもしれない邸宅の内見をすることとなっのだった。

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