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最初の一撃は、ぜつだい。④

 脊髄反射、不可抗力。

 そんな言い訳をしたいのだが、そこに意思がなかったのかといわれれば絶対に無いとは言い切れない。


 気がつけば、私は体を起こし右手は相手の顎あたりに鋭い平手打ちをし始めていた。


 思考を加速させ、手加減スキルの発動を確認する。


 勢いが強すぎる気がするので、死なないでくれと祈るだけだった。



 ベチーーーン!


 鞭で叩かれたような音が部屋に響く。


 当たった顎は大きくズレて外れてしまったようだ。さらに顔のたゆんたゆんの脂肪を衝撃波が伝わっていくのが分かる。頭辺りに達したところで、目が白目に変わり、相手の意識が飛んで行く。

 そして崩れ落ちるようにストンとベットの上に倒れこんだ。

 

 周りにいたメイドや執事は主が倒れこんでもなお、何が起こったのか理解できないでいた。


 ステータスを確認。状態は気絶、HPも残っている。


(死んでない、よかったぁ)


 と殺してしまっては取り調べできないので困るのだ。

 私が安心しているころに、やっとメイド達が駆け寄って騒いでいた。


 ガヤガヤしているのを横目に、ベットから立ち上がり窓から赤い煙の出る信号弾を打ち上げる。

 これで私の囮は終り。あとは近くで待機しているオリミラ達が来るのを待つだけ。

 そこに1人の執事が話しかけてくる。


「何だその煙は、何の合図なんだ」


「気になるの? 教えるわけないけどね」


「腕輪の効果が効いていないなんて、話が違うじゃないか。魔王相手にも効くと――」


「知らないよ。これ偽物なんじゃないの? なーんにも感じません」


「そんなはずは、1つ1億メルクもしたのに……」


 途方に暮れる執事をよそに、主を捕まえる足音が館の中に響いていた。


 扉が開くとオリミラとその部下達がなだれ込んでくる。


「誰も動くな!! 盟約のもとその娘であるケーナ殿を救出すべく馳せ参じた。ここにいる全員を連行する」


 さすが、言霊師といったところだろうメイドや執事は呼吸すらも止まっているように見えた。


 主を含め全員を縛り上げ連れて行く、作戦が上手く行ったことでオリミラもさぞ満足だろうと思っていた。


「上手く行ったみたいだね」


「ああ、本物の囮なら絶対に喰いつくからな。現行犯で無ければ捕まえられなかったから本当に助かった」


「それってもしかして余罪があるの?」


「ここ数年、10歳から13歳の娘が消える事件が起きていたんだ。目星はついていたのだがな貴族が相手だとなかなか難しくてな」


「あいつの変態さは身に染みたよ」


「もしかして何かされたのか?」


「されそうになったから、ぶったたいちゃった」


「それでか、白目向けて倒れていたのは」


「一発ぐらい大目に見てよ」


「その程度全然構わないのだが、今回のこの事件解決が上手く行き過ぎな気がしてならない。今まで手をこまねいていた相手をこうもあっさりと」


「私のおかげでしょ」


「それは十分そうであるのだが……取り調べでじっくりと話を聞くことにしよう」


 オリミラには思うところがあるようだった。




 次期魔王誘拐事件を解決したオリミラ少将の雄姿は瞬く間に広まった。

 

 金貨30000枚の手配書も依頼主も公開され、そいつが捕まったとなれば、手配書に誰も見向きもしなくなった。


 捕まった主犯のとある貴族の男は勿論無罪を主張した。しかし現行犯であることや屋敷から監禁された娘が3名発見されたことが有罪を決定づけた。他にも余罪があると見なされ、爵位の剥奪と資産の没収という形になった。


 貴族が平民に落ちることは、死刑宣告に近いものがある。命はあるものの二度と貴族にはなれないので、人脈や人望が無ければ大体はのたれ死ぬか、自ら命を絶つかのどちらかになるらしい。若い女であれば奴隷にもなれたが、豚のような男には価値が無いそうだ。



 ケーナ捕獲競争のほとぼりが冷めたころ、カスケードの町に到着する。


 早速近づいてきた男が1人。


「おい、3億娘」


 以前も私を追いかけてきたストーカーのグランジだった。


「ちょっと、なんでこんな所で待ち伏せしてるの。それとその変な仇名やめて欲しいんだけど」


「皆そう呼んでるさ。ここにいるのは森がやたら静かだったからな、もしかしてと思い暫く待っていたら妙に立派な竜車が来たから当たりだったようだ」


 森が静かになったのは たすモード のせいかもしれない。余計なトラブルを避けるため馬車や竜車に乗っているときは常に使っている。


「妙になところで勘がいいのね。軍の保護下にある私に手を出すと大変な事になるのよ、知らないの?」


「知っているさ。次期魔王になってオリミラ少将が後ろについているのだろ? どうやったらあの狂戦士と友達になれるのか知りたいぐらいさ」


「女の人に狂戦士とかいうのは酷いと思います」


「あいつの戦う姿を見ればそんな正論を言ってられなくなるぞ。まぁいい、ついてこい。話がある」


「じゃあ、猫目亭で奢って」


「金のない冒険者をあまりいじめないでくれ。財布事情は厳しいんだ少しだけだぞ」


 町をこのまま歩くと目立ちそうなので、フードを被って移動することにしのた。

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