043
朝早く目覚めたウィルは、昨晩の会話を思い出していた。ウィル自身、能力を無闇に使うことは考えていない。それでも、誰かに攻撃されれば、反撃する考えは今でも揺るがない。
『その能力を一生、使わずに隠れて暮らすか。それとも、権力者を屈服させるだけの強さを持ち、自由に生きるか。選ぶのは、お前自身だ』
ウィルの脳裏に浮かぶのは、ハワードが語った言葉。ただ、自由に暮らしたい。それだけだった。ゆっくり、まったりと平穏な毎日が送れたら、それで良かった。しかし、この数日で全てが変わってしまった。
ウィルだって、アルトディニアに降りれば、龍の住処のような穏やかでまったりとした暮らしは望めないと、理解はしていた。だが、ここまで己の能力を隠さなければならないとは、思いも寄らないものだ。
「とりあえず、一人で暮らせるようにならないと話にならないよね」
昨晩の話を盗み聞く限り、これ以上ガイの官舎に滞在する必要性は感じられない。寧ろ、ウィルが彼らの側に存在することで、揉め事の火種になるようだ。
マーシャルが、ガイに自分の屋敷をウイルに貸すよう誘導する話をしていたが、はっきり言って気が進まない。マーシャルのことは、別に気にしていない。最初で互いに利用し合えばいいとマーシャルは話している。勝手に使われることについては、一言文句を言いたいウィルだったが、今回の事は、マーシャルにとっても不可抗力の出来事があったようだと納得した。
「(次からは、そこら辺もしっかり話してもらわないとね。それに、僕の名前を呼ぼうとしない理由も。いい加減、腹が立つし⋯⋯)」
ウィルは、これからのことも色々と思考しながら、腕輪に視線を向けて手持ちの金額を確認する。有難いことに当分の間、暮らせるだけの金額はある。
「(ガイに挨拶をして、街へ出よう)」
部屋を整え、忘れ物がないか確認して部屋を出る。ガイを探すと簡易キッチンに居た。
「おはよう、ガイ」
「ああ、おはよう。今朝は随分と早いな」
「うん。色々と準備していたから……。ガイも出かけるの?」
ガイの服装は見慣れた騎士服ではなく、ウィルの服装に近い。簡易キッチンで二人分の朝食を作っていたガイは、出会った時の旅装に戻っているウィルを見て嘆息した。
「とりあえず、オーバーウェアを脱げ。それでは、食事の邪魔になる。一緒に出掛けるぞ」
「一緒に?」
「家を探す気だろう? 当てもなく家が探せると思っているのか?」
「⋯⋯確かに当てはないけど」
ウィルは、小さく唸る。冒険者ギルドへ行けば、何とかなると考えていた。実際、その考えは正間違いではない。宿屋を教え、貸し部屋や借家の持ち主との仲介もしているが、そこには仲介料が発生する。余計な金が掛かるのだ。
「それに、家を借りるにしても購入するにしても、家具はどうする気だ?」
「う……。それは、そうだけど。探せばいいと思ってた」
「家具屋も案内する。さっさと席に座れ」
テーブルに、サンドイッチと丸鳥の冷製野菜スープを並べるとガイは席に座った。その眉間には、深い皺が寄せられている。
「……具合が悪いの?」
「いや、少し酒を飲み過ぎただけだ」
昨晩、苛々する気持ちを抑えるために、ガイはアルコール度数の高い蒸留酒を飲んだ。気がつくと、完全に悪酔いしていた。ハワードの言い分も解るが、ウィルは未だ親の庇護下に置かているような歳だ。無理に大人になる必要はない。理解ができるから何だ。貴族の柵に全く関係のないウィルを巻き込み傷つける騎士団のやり方に納得いかず、思うまま飲み続けた。
イスに座り、側頭部を揉み解していると、目の前に一包の薬と水の入ったグラスが差し出されてガイは顔を上げた。
「これだったら、効くと思うよ。頭の痛み、吐き気、耳鳴り、倦怠感だったら治まる薬」
「それは、魔女薬か?」
「うん。魔女薬も魔法薬や錬金術で使う材料で作れるんだよ」
薬の包を広げると濃い緑色の粒が入っている。魔女薬は効果が高い。その分、苦みも強いと巷では聞く。得意げに語るウィルの手前、ガイは飲みたくないとも言えず、水で薬を流し込むように飲んだ。
「……苦くない」
「そこら辺は、ちゃんと工夫してる。苦い薬を飲むのは、僕も嫌だしね」
驚いたように薬の包み紙を見るガイに、ウィルはクスリと笑った。
「錬金術で作る液体の薬より、魔女薬のような粉の薬が得意なんだ。丸薬にしやすいし」
ウィルに言わせれば、粉末の薬は粒にしてしまうと案外飲みやすい。しかし、液体の薬は、味の誤魔化しようがない。
「御馳走様でした」
体調が戻ったガイも少しだけ食事をとり、ウィルが食べ終わるのを待っていた。食器を片付けるウィルを簡易キッチンに残し、出掛ける支度をする。
自室の武器箱からロングソードを取り出して帯剣する。ガイが得意とする武器は、斧槍。しかし、斧槍を使うのは、魔物の討伐に出る時だけだ。普段からマジックアイテムであるサイドポーチに収納してあるが、街中では使えない。他に必要な物を詰め終えると、ガイは簡易キッチンへ戻った。
「準備が出来たぞ」
「うん。お皿洗っておいた」
「ああ。助かる」
ガイが綺麗に並べられた皿へ視線をやり、ウィルに礼をいえば微笑みを返してくる。やることを済ませたのかオーバーウェアを取り出し着用していた。
「(このような姿ばかり見ていると、本当に子供にしか見えなくなる)」
ウィルを簡易キッチンから追い出して、ガイは外へ向かうように促す。
「どのような家を探している?」
「家に拘りはないんだ。寝室と錬金部屋とキッチンさえあれば。ただ、小さくてもいいから庭がある場所かな。薬草を育てたい」
「……庭のある家、か」
ガイは歩きながらノーザイトの街を思い浮かべる。正門から商店区、そして冒険者ギルド辺りまで。
「条件に見合う家は、居住区にしかないな」
「冒険者ギルドの近くは?」
「庭付きの家は無い。あの辺りは宿屋が多い。後は貸し部屋だ」
ウィルはオーウェンとガイの情報で、食い違いが起きていることに首をかしげる。騒がしいから、勧められないような話をしていたが、貸家があったはずだ。
「あれ? オーウェンはあるって話てたけど」
「あそこは子供が住む場所じゃない」
「っ⋯⋯それって、歓楽街が近いから? 僕は別に気にしないんだけど」
酒場が多く、冒険者が集まる場所。オーウェンは言葉を濁していたが、ウィルは歓楽街があるのだろうと見当をつけていた。ガイに言われ、ウィルはぐっと言葉に詰まる。これだけ周りから子供と言われ続ければ、流石にウィルも諦めがつく。確かに、見た目が幼いことは理解していた。ただ諦めたくなかっただけで。
個人的には、騒がしくても静まりかえる住宅地よりいい。しんと静まり返った場所だとホームシックが酷くなりそうな気がしたのだ。大体、歓楽街が何故いけないのかもウィルには分からなかった。
「とにかく、駄目だ。とりあえず、街を案内する」
「わかった。あれ? だぶん、誰か来てるよ」
「今日は、誰とも約束はしていないんだが⋯⋯」
官舎を出ると箱馬車が停まっていた。その脇には、家令らしき男性と御者が立っている。二人はガイの姿を見て一礼した。
「ガイ・ラクロワ様ですね」
「ああ、そうだ」
「旦那様に大通りにある家への案内を頼まれました」
「……モラン子爵家の家令か?」
「さようでございます」
ガイは、昨晩マーシャルに言われた内容を思い浮かべて溜息を漏らす。ウィルを言い包めて居住区へ連れて行かなければならない。それを考えると、一気に気が重くなったが、家令の視線から逃れるように、ガイはウィルを連れて箱馬車に乗り込んだ。
「ウィル。俺は、マーシャルほど口が立つわけではない。正直、裏でコソコソすることも苦手で嫌いだ」
「うん? 急にどうしたの?」
「いいから、聞いてくれ」
「……うん」
御者には少しの間、街を巡るよう指示を出し、向かい合わせで座るウィルに声を掛けた。
「昨夜、食事中に話した老害の話を覚えているな?」
「老害って……いいかた。えーと、前任の副師団長さん達の話なら覚えてるよ」
「その者たちが、ウィルに、その能力を使わせようと企んでいる」
ガイはウィルに、ノーザイト要塞砦騎士団の状況を包み隠さず話して聞かせた。その方が判断を誤らないだろうと。ウィルもガイの話に耳を傾け、必死に理解しようとしている。
「……傀儡って、ガイ達とハロルドは仲が良いんじゃないの?」
「俺達は会えば話す、その程度だ。他の師団長たちも、恐らく俺達と同じか嫌っている」
「そっちの話は分かったよ。でも、その話とマーシャルの話がどうすれば繋がるの? ガイはマーシャルの屋敷の話をしたいんだよね?」
「っ! なぜ、それを⋯⋯」
次々と浮かぶ疑問をガイに問い掛け、ガイはウィルに返答をする。それを繰り返し、ようやっと家の話まできた。だが、逆にウィルから屋敷の話を出され、ガイは言葉に詰まってしまう。
「うん、ごめんね。僕にマーシャルが使った『遮断』は役に立たないよ。だから、三人が会話してた内容は聞こえてた」
「⋯⋯ならば、理由だけを話せばいいのだな?」
「うん。でも、この事は二人には内緒にしてて欲しい」
「わかった。そうだな⋯⋯ウィルの言う条件に当て嵌まる家は多くないということあるが、特務師団の問題が解決するまで、そこに居てほしいというのが理由だ」
「以前使っていたって……。使わないのに、マーシャルは家を持ってるってこと?」
「いや。案内する家はマーシャルがオズワルド公爵領へ来た当時、購入したものだ。今は、師団長になって貴族街に新しい屋敷を購入している。とにかく、家を見てくれ」
ウィルが頷くとガイは御者に声を掛け、行先を指定する。どうやら近くに居たようで、それほどかからず家の近くに辿り着いた。乗ってきた箱馬車を見送り、ウィルは辺りを見渡す。大通りには、大小様々な商店が並び、開店準備中の人々が忙しなく動いている。
「ここから歩くぞ」
大通りから伸びた横筋を真っ直ぐ歩いて行くガイの後ろを、ウィルが追う。その先に立派な門構えの家がいくつも建っていた。
「ここだ」
「……これは、また凄い家だね」
ウィルの注文通り庭は広い。しかも、屋根裏部屋有りの二階建て。本当に屋敷だ。鍵を開けて中へ入っていくガイを追い掛け、ウィルも中へ入ると広々とした内部にウィルは溜息を漏らした。
「一人で住むのに、こんな広い家は必要ないよ?」
「マーシャルは一人で住んでいたが」
「マーシャルは貴族で、僕は平民だよ」
仕方なく一通り家の中を散策すると、玄関ホールの左右には小部屋があり、メインホールは広々としている。真っ直ぐ進むと右手に社交室と応接室。応接室から開けられる扉の先に書斎と間続きの寝室。其々の部屋から廊下に出る扉もあり、左手にキッチンと食堂が大小一つずつ。その奥に浴室。リネン室まであった。その先に恐らく使用人部屋らしき部屋が左右に二つずつと物置がある。二階には、客室らしき部屋が六つと空の本棚が並ぶ書庫があった。屋根裏部屋も確認したが、左右に六つずつ並んでいて、恐らく使用人部屋だったと思わせるような作りになっている。
「(こんな豪邸に一人で暮らすとか、地獄でしかないんだけど⋯⋯)」
「書斎と隣の寝室をウィルの部屋として使えばいい。二階の客室の内、三部屋は俺達三人が使わせて貰う」
「……それって、マーシャルが話してた建前だよね?」
「否、そうでもない。出来れば二階を使わせて欲しい」
「皆は貴族街に屋敷があるんじゃないの?」
ノーザイト要塞砦に、屋敷を持つのはマーシャルだけで、ガイやハワードは父親が治める領地に帰らなければならない。官舎に住んでいるのだから、態々準備するのも面倒だった。官舎も無く、ノーザイト要塞砦から離れていれば、貴族街に屋敷を購入しただろうが、箱馬車で一日も走れば到着する距離なのだ。必要がない。そう説明するとウィルは納得した顔でガイを見詰めた。
「社交シーズンは?」
「貴族席を持つ騎士団員は、出席義務が解除されるからな。必要最低限の出席で済む。それに、ラクロワ家はオズワルド公爵家の邸宅に招待される。王都には、寝泊まりできる程度の屋敷が準備してあるが、そもそも俺は行く機会も少ない」
「嫡男なのに?」
「騎士職は、仕事優先だ。社交など必要ない」
「……貴族だと社交って大事な仕事でしょ? ああ、だから部屋なのか」
ようやっと答えに辿り着いたのか、ウィルが小さく漏らす。簡単に言ってしまえば、のんびりと過ごせる場所が無いのだ。官舎に居れば、休みでも仕事になることがあるだろう。屋敷を持てば、ラクロワ伯爵家と繋がりを持ちたい人の訪問を受ける可能性がある。要するに、逃げ場がない。
「(やっぱり、貴族って大変そう⋯⋯)」
二階までひと通り見終わり、再び外へ出る。大通りに近い場所だが、居住区というだけあり静かな場所だ。各戸の敷地が高い塀で仕切られているため、庭からでは周囲を確認することは難しい。唯一、外を確認出来る縦格子の門扉も鉄製だ。庭は、庭木と枯れているが花壇があったのだろう。家の裏手にも畑の残骸が残っていた。
「ここって、立地的に考えても絶対に高いよね? 僕に払えるような金額の家じゃないよ」
「マーシャルが言った通り、銀貨十枚でいい」
「……あのさ、これだけ大きな家が銀貨十枚って、おかしいでしょ? 普通は三十枚でも無理だよ。二人が出すって言うのも嘘だよ……ねっ!」
ガイの話す内容に溜息を漏らしながら、ウィルは手にガラス玉を具現させ、敷地内にある樹木に投げつけた。パシッと音が立ち、そのままウィルが見上げていると人が飛び下りてくる。
「ほう。気付いていたか」
飛び下りてきたのは、ハワードであった。投げられたガラス球をウィルに手渡し、感心したようにハワードは呟く。
「匂い、隠せてないよ?」
「匂い?」
「ベアトリスさんの香水なのかな? ほんの少しだけ匂いがする」
「っ……。(鼻も、か)」
ハワードは目を見開き、ウィルを見る。ウィル本人には聞こえなかったようだ。コホンと咳払いをしてハワードが口を開いた。
「家賃の話は、嘘じゃないぞ」
「嘘つき……それに、僕が借りたい家はもっと小さな家だよ」
「暫くは不自由するだろうが、この家に住んでくれ。まあ、あちらの件が解決するまでの間だ。その後、好きな場所に移ればいい」
要するに、特務師団の件が解決しない限り、ウィルに自由選択肢は無いということだろう。
「はぁ⋯⋯わかった。わかりました! 暫くはお世話になる。それでいいんだよね? それにしても、ガイとハワードが同じ金額っておかしいと思わないの? 毎日帰ってくるわけでもないのに、同じ金額って絶対におかしいよね?」
ウィルの言い分も分からない話ではなかった。しかし、ハワードとガイは顔を見合わせ……。
「思うか?」
「いや。必要性の問題だろう?」
「俺も同じ意見だ。表立って部屋を借りることが出来ない」
要はハワードとガイは、ゆっくり過ごせる場所の確保が重要で、金額の話ではないのだ。金銭感覚の違いもある。二人の会話を聞いていたウィルは、ガックリと項垂れていた。
「もう、色々反論することに疲れた」
「反論するつもりだったのか?」
「反論というか、こんな屋敷みたいな家に住むつもりなかったからね」
これだけ大きな家だ。普通に考えれば、銀貨三十枚でも借りれるはずがない。
「しかし応接室や浴室、キッチンは共同だろう?」
「そういう考え方もあったな」
「それならば、条件として十枚でもいいだろう?」
「応接室に酒も置きたいが……」
ガイ一人でも歯が立たないのだから、ハワードまで参戦してしまえば、ウィルが勝てるはずもなく……。
「もう、それでいいよ。客室の割り振りはどうすればいい?」
「ウィルに任せる」
「じゃあ、日当たりの良い方で奥からガイ、マーシャル、ハワードね。家具は?」
「二階の家具は、三日後に届く。一階の生活スペースは、俺達に任せるとマーシャルからの伝言だ」
注文したのは言うまでもない。ここに居ない人物だ。ウィルは、三日後と呟き、それまでに二階の掃除を済ませなければと決意する。そして、今更ながらハワードがここに居る理由が気になった。ガイは、休みでウィルに付き合ってくれている。しかし、ハワードは騎士服姿で仕事中なのだ。
「ハワード、仕事は?」
「仕事はしているだろう」
「うん?」
「街へ出たウィルの護衛任務だ。ガイの官舎を出るまで、ウィルは護衛対象だろう?」
クククッと笑うハワードの声を聞いて、ウィルはポカンとした顔を見せた。
「忘れていたのか?」
「ううん。覚えてるけど……ガイが居るのに?」
「俺は休みだから、ハワードが護衛しているのだ」
「……騎士団って、面倒なんだね」
「そういうことだ」
話す事も疲れたのか、ウィルは家の中へと戻っていく。ガイとハワードは、その後を笑いながら追った。ウィルは、一階の物置に残されていた掃除道具を取出して、玄関ホールから掃除を始める。
家具も買いに行きたかったが、掃除を済ませなければ、物の置き場所がないことに気付いたのだ。ハワードも騎士服の上着を脱ぎ、手伝っている。ガイは昼食になりそうな物を買いに出ていた。
「玄関ホールの小部屋は、錬金部屋にしようかな。広さも充分だし」
「冒険者になっても、錬金術は続けるのか?」
「魔法薬は、冒険者にとって必需品だから自作するよ。それに簡単な物なら、生活用品も作れるから節約にもなるし」
ハワードと話しながら、一部屋ずつ掃除を済ませていく。応接室、書斎と間続きの部屋まで終わったところで、ガイが帰ってきて昼食を取り、昼からはキッチンと浴室、二階へ上がる階段と掃除を進めた。
「二階は明日で良いのではないか? 先に一階で使う家具を買いに行こう」
ガイに声を掛けられて外へ出ると、今度は騎士団の箱馬車が細い道を塞いでいる。
「……まさか、あの箱馬車で家具を買いに行くとか言わないよね?」
「ああ。箱馬車で行くが、何か問題があるのか?」
「嘘でしょ。や、やだよ! ぐえっ!」
嫌がるウィルを二人掛りで馬車に押し込み、商店区へ向かう。御者の騎士は、押し込められるウィルに同情の視線を向けていた。




