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*死期*

「私……ぉ…兄ちゃんの事……す……き。」

奈緒の瞳からは一つの涙が頬伝い流れ落ちた。

俺の瞳からも一筋の涙が頬を伝う…。






神様…俺は今本当に幸せです。

ずっと望んでた言葉。

夢なら覚めないでほしい…。

「俺も…奈緒がずっと好きだったよ…。今も昔も…。」

俺達は手を握り締めた。

離れないようにギュッと………。

もう離さないよ。

この身が朽ち果て滅びようとも俺は離さない。






しかし俺達の命のカウントダウンはもう始まっていた…………。







人間の心臓は生まれたときから死ぬまでに何回打つか決まっている。

こうしている今も俺の心臓は人生の最終章へと時を進めているのだ。

この心臓は明日止まってしまうかもしれない。

でも俺が生きた日は無駄では無かっただろう…。

愛する人がいて。

それは許されることのない愛だけど、互いに愛し合うことが出来た。

今奈緒の瞳は俺のもの。

奈緒の心も体も…全て…。これ以上に望む事があるだろうか……。

父さん母さん。

俺を産んでくれてありがとう。

奈緒を産んでくれてありがとう。

父さん母さん。

あなた達の愛の結晶はまた新しい結晶を作りました…。

この結晶は永遠に壊れる事はないでしょう…。




父さん母さん。

あなた達は俺達のこの恋を愛だと認めてくれますか?たとえこの命が今滅びようとも俺は構わない。

せまりくる死に俺は恐れることはない。

もし俺が先に死んだら奈緒が死ぬその日まで待とう。あの世に逝っても俺達はずっと一緒にいよう。

神の怒りも二人なら怖くはない。







もう…何も思い残す事はない。






いつまでも一緒に。

一緒に死を待とう………。

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