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正体
転んだボールと一緒に席に座っている私に抱きついて来た。
前髪がはらりと分けられて、澄んだ瞳が私の瞳と合わさった。
私はいきなりの狼藉に思わずそいつをひっぱたいてしまう。
「キャー何こいつ、スゴい格好いい顔してるじゃない!!」
「本当だー」
「芸能人並みじゃない!!」
チヨコが慌てて私の肩を抱く。
「大丈夫、モナコ」
私は内心ドキドキしてチヨコの肩に捕まり、しゃんと立ち上がる。
「なに!?この人、イケメンじゃない」
「イケメンは時代の花よねー」
私たち、コイツのコト悪口言ってたけど、案外やるじゃない」
キーンコーンカーンコーンと予鈴が鳴る、給食の時間だ。
一気に男子生徒が教室になだれ込んでくる。
「わーい、給食だ。給食だ」
「お前、あの投げ方は無かったわー」