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綺麗な木
10年後、とある小学校の校庭、桜の木の下、1人の少女が白いワンピースに白い帽子を被り、待っている。
ひたすら待っている。
手にはブーケ。
1人の青年が正面から歩いてくる。ぐりぐり頭の背筋をしっかり伸ばし、キャップを目深に被っている。
正面に立つとこう切り出した。
「あなたのお名前は?」
「モナコです」
青年は帽子を取ると、黒い瞳を輝かせながら、ボールを持っている。
「私、こういうものです」
1枚の図書カードを手渡した。
少女はニッコリ笑うと、
「私、自分の名前を名乗らない人は苦手です」
青年は苦笑いを浮かべると、
「では、一緒に木登りでもしませんか」
「喜んで」本を3冊、
「あら、また、続編が出たの?」
「面白いですよ」
2人は手を繋ぐと正門を出て行く。
残された桜の木には満開の花々が散っていた。
ちなみに三つ編みはクラスメイトです。