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フジサン特急の夢

作者: うに

これは、随分も昔のこと・・・

周りの人たちは私達の事を国鉄、国鉄と言っていた。

私の兄弟は、西に、東に、様々なところで活躍していた。

でも、私は少し違った。

他の兄弟にくらべて自分は窓が大きかった。

それが私の売りであり、微かなコンプレックスだった。

私は、パノラマエクスプレスアルプスという名前で中央線をよく走っていた。

特にゴールデンウィークや夏休みは大忙しだった。

けど、その一方で少しずつ、自分の仕事が減っていった。

そんなある日、私達やほかの列車達にもそのニュースが伝えられた。

国鉄が終わった。今度からJRになる。

それは私達に終わりの始まりのように聞こえた。

案の定私達の兄弟はどんどん消えていった。

私もいつか消える日が来る・・・

そう思っていた。

ある日の事、私のところにある一報がはいってきた。

君は、今日で最後だ。

最後?

最後って?

少し戸惑ったが、その意味が分かってきた。

もしかしたら廃車になる。解体される。

私は心の中でそう思っていた。

でも、そんな私に救いの手を伸ばしてくれた人がいた。

富士急行・・・

私はその名前を聞いて思い出した。

1,2回乗り入れたことがる。

あの路線の景色は綺麗だった。

あの路線で働けるなんて、夢のようだった。

あのときは、うれしかった。

「ん・・・」

太陽の光が私の体に照り付ける。

私はフジサン特急として、今も走り続けている。

私の可愛い弟、元205系も6000系として

この富士山麓を駆け抜けている。

いまでもこう思う。

終点があってもそこは本当の終着駅じゃないって・・・

私は新しい列車に置き換えられるという話も出ている。

でも私は、前の時みたいに臆病でもない。

私は私の仕事を誇りに思っている。

そして、本当に美しい富士山を眺められるこの路線で

一生を過ごせられたのはいい思い出だと思う。

あと、もう少しの短い命かもしれないけど、最後のラストランまでいい思い出を作っていきたい・・・

富士急2000は俺の嫁。

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