BATTLE:050【アカネの過去・後編】
長らくお待たせしてしまって申し訳ありません。言い訳にしかなりませんが、大学の勉強が忙しく、中々執筆する時間が取れなかったので。
そしてバトル描写を結構省略したのにかなりの文字数になってしまいました。
――――約2年前。
「ほら、ここだ」
「ここが……」
シンヤに案内されて連れてこられたのはカードショップ。横浜駅から少し離れた先にある建物を見上げながら、アカネは呆然と呟いた。
「カードショップなんて初めて来たよ」
「だろうな。ま、そう畏まる必要は無いさ」
「でも、大丈夫かな?」
アカネの不安そうな声にシンヤは首を傾げる。
「大丈夫って、何がだ?」
「その……ボクなんかが一緒に居たら諸星くんの友達は嫌がるんじゃないかな」
「それは無えだろ」
「でも」
「いいから、ほら行くぞ!」
シンヤは煮え切らない様子のアカネの腕を強引に掴むとそのままカードショップの店内に連れていく。
突然腕を掴まれたのでアカネは思わず「うわぁ?!」と声をあげてしまったが、シンヤはそんなの構わずに突き進む。
迷う事なく奥のテーブルに向かって、待たせてる友人達と顔を合わせる。
「来たぜ、皆」
シンヤの声に対して3人が一斉にこちらを向く。
そこに居たのは、ユキヒコと園生姉妹だった。
「あ、シンヤ。やっと来たね」
「遅いぞ、シンヤ! 罰としてあたしにカード奢れよな!」
「あまりに遅くてスヤスヤしてたのだー」
各々の言い分にシンヤは肩を竦めて「はいはい」と軽く流した後、3人の前にアカネを紹介する。
「今日は炉模工の友人を連れてきた。ほら」
「え、えーと……って、ユキヒコ?」
シンヤに背中を押されて恐る恐る自身の姿を晒してから初めて3人の姿を視認すると、見知った人物であるユキヒコの顔を見て驚く。
それはユキヒコも同じだったようで、目を見開きながらアカネの姿を呆然と見つめていた。
「アカネ……? どうしてここに」
「俺が連れてきたんだ。ほら稚推、荷物を置いてちょっとこっちに来い」
シンヤはそう言った後、デュエルスペースから離れてショップエリアに移動しようとする。
シンヤに言われるがまま、アカネは「う、うん!」と答えてから荷物を空いてる椅子に置いてシンヤの後を追う。その間、チラチラと後ろにいるユキヒコに視線を向けていた。
シンヤはバトル・ガーディアンズの構築済みデッキのコーナーまで歩くと、そこで足を止める。
シンヤに追い付いたアカネは辺りを見回しながら尋ねる。
「諸星くん、ここは一体……」
「せっかくカードショップに来たんだ、構築済みデッキぐらい奢ってやるよ。それに、ここの店はレシートを持ってないとデュエルスペースを使わせてくれないしな」
「そ、そうなんだ……」
「おう。なんか好きなデッキはあるか? ……とは言っても、初心者には中々難しいか」
「う、ううん。実は、ずっと前から決めてるトライブはあったんだ」
「なんだと」
アカネの言葉に対して眉間に皺を寄せると、シンヤは構築済みデッキの棚を見渡す。
「どのトライブだ?」
「ば、ヴァンパイアトライブ……なんだけど」
「……おいおい、結構エグいトライブを選んだな」
「だ、駄目かな……?」
「いいや、お前がそれで良いなら特に何も無いぜ。……ほらよっと」
シンヤはそう言うと、棚にあったヴァンパイアトライブの構築済みデッキを手に取ってレジに向かおうとする。
しかし、アカネは慌てて「ちょっと待って!」とシンヤを呼び止めた。
シンヤは首を傾げる。
「なんだ?」
「ボクが使うデッキだから、ボクが自分で買うよ!」
「だけどよ」
「いいの! あまり諸星くんにお世話になるのも悪いし、これぐらいは自分でやる!」
「……そこまで言うんなら分かったよ。ほら」
シンヤはアカネの手に構築済みデッキを渡すと、棚にある強化パックを手に取ってからレジに向かう。
「んじゃあ、レジに行くか。どっちみち、レシートは必要だしな」
「う、うん!」
2人でレジに向かう途中、アカネはとても心が満ち足りていた。
――――現在。
「どうした、アカネちゃん? ほら、ご自慢の能力でさっさと回復しろよ」
「くっ!!」
鹿羽フジミ:手札【4】
:フォース【▽▽▼▼▼▼】
{アタックゾーン}
【不死の女王騎士】
SF【4】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【アンデッド】
DG【1100】
LP【3500→2400】
稚推アカネ:手札【3】
:フォース【▼▼▼▼▼】
{アタックゾーン}
【吸血騎士 ブラッド】
SF【4】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【ヴァンパイア】
DG【2500】
LP【4000→1500】
既にフジミとアカネのバトルが開始され、早くも終盤に突入しようとしていた。
状況は、ややアカネが不利と言ったところか。
「ボクのターン、ドロー!」
稚推アカネ:手札【4】
ドローしたカードを手札に加え、アカネはマスターズギアの液晶画面に映る手札のカードを見つめる。
「フォースチャージして、追加ドロー!」
稚推アカネ:フォース【▽▽▽▽▽▽】
「ボクはフォースを5枚消費して手札からアタックガーディアン【吸血騎皇 ヴァンパイア・ヴラド】を召喚!」
【吸血騎皇 ヴァンパイア・ヴラド】
SF【6】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【ヴァンパイア】
DG【2500】
LP【6000→3500】
【ポテンシャルアビリティ】
【永】
┗あなたのアタックゾーンにLPが2000以下のアタックガーディアンが存在している場合、手札のこのカードはSF【5】として扱える。
稚推アカネ:手札【3】
:フォース【▽▼▼▼▼▼】
「ヴァンパイア・ヴラドのSFは6、でもボクの場にはLPが1500の吸血騎士ブラッドが居たからフォースを5枚消費して出す事が出来る」
「ほう、回復を渋ってた理由はこいつを出すためか」
「そう。そして、今までのツケを支払ってもらうよ! トライブアビリティ発動、血統吸収!」
【吸血騎皇 ヴァンパイア・ヴラド】
【トライブアビリティ】
【起】(COST:手札からヴァンパイアトライブのガーディアンカードを2枚選んでジャンクゾーンに送る)
┗あなたは相手のジャンクゾーンからガーディアンカードを5枚まで選んでこのカードのアンダーカードとする。
【永】
┗このカードはアンダーカードを持っている場合、そのLPはアンダーカードとなっているガーディアンカードのLPの合計値に固定される。このカードがダメージを受ける度にアンダーカードを1枚選んで元々の持ち主のジャンクゾーンに送り、そのガーディアンカードのLPの数値だけこのカードのLPがダウンする。(このカードのアンダーカードが0枚になるまで、このカードのLPは変動しないが、DGは変動する)
稚推アカネ:手札【1】
「これにより、キミのジャンクゾーンからガーディアン5枚をヴァンパイア・ヴラドのアンダーカードとし、LPはその合計値として固定される!」
「チッ……面倒な事を」
アカネはマスターズギアの表示をフジミのジャンクゾーン一覧に切り替えてアンダーカードとするガーディアンカードを5枚選ぶ。
【不死の帝王騎士】
【アンデッド・ローラー】
【不死の王宮魔術師】
【スカル・ナイフ】
【徘徊する恐怖】
「これらガーディアンカードのLPの合計値は7400! よってヴァンパイア・ヴラドのLPも7400となる!」
【吸血騎皇 ヴァンパイア・ヴラド】
LP【3500→7400】
「フン、キングを奪われたか」
「キミの場にあるクイーンはその効果によって最終的に厄介なジョーカーを呼び出す布石となるからね」
「ほう、俺の戦法は研究済みってわけか。ハハ、そりゃあ愉快な事だな」
フジミはあからさまにニヤリと笑うと、マスターズギアの表示を見る。
(その程度の抵抗で俺のデッキを御せると思ってるなら、とんだ甘ちゃんだよお前は)
一方、アカネはマスターズギアを操作してセットフェイズを終了させてダイスステップに移行する。
「ダイスステップ!」
マスターズギアが示した数値は【4】。
【吸血騎皇 ヴァンパイア・ヴラド】
【1】【4】……あなたは自分の山札からカードを2枚引いて公開してから手札に加え、その引いたカードのSFの合計値×300のダメージを相手のガーディアン1体に与える。(ガーディアンカード以外のカードはSF【0】として扱う)
【2】【3】……あなたは自分のジャンクゾーンからカードを2枚選んで自分の手札に加え、その選んだカードのSFの合計値×300のダメージを相手のガーディアン1体に与える。(ガーディアンカード以外のカードはSF【0】として扱う)
「ゲット、アタックアビリティ! フォースを1枚消費してバトル!」
稚推アカネ:フォース【▼▼▼▼▼▼】
アカネは自分のデッキからドローした2枚のカードを公開してから自身の手札に加える。
稚推アカネ:手札【3】
【守護龍 ヴァンパイア・ドラゴン】
SF【7】
【ヴァンパイア・デューク】
SF【6】
「SFの合計値は13! よって、不死の女王騎士に3900ダメージを与える!!」
「……フン、それを待っていた!!」
フジミはマスターズギアを操作する。
「フォースを1枚消費、手札からカウンターカード【真実の鏡】を発動させてもらう!」
「っ!!」
鹿羽フジミ:手札【3】
:フォース【▽▼▼▼▼▼】
【真実の鏡】
FORCE【1】
【カウンター】
【自】(カウンターステップ時)
┗あなたは相手のダメージ効果の対象を変更し、半分のダメージを変更したカードに与えることができる。
「攻撃対象をクイーンからヴラドに変更する」
「ヴラドが受けるダメージは3900の半分……1950か」
【吸血騎皇 ヴァンパイア・ヴラド】
DG【2500→4450】
LP【7400→7400】
「おいおい、アカネちゃん。俺はフォースを2枚残しておいたんだぜ? もう少し警戒すべきだったな」
「……いいや、読み通りだよ。ヴラドのライフはアンダーカードを保有する限り固定化されて変動はしない。むしろ、ここでカウンターカードを使ってくれてこっちとしては大助かりさ」
「ほざけよ、いつまでそんな大口を叩いていられるかなぁ?」
「いつまでも、だよ」
「……そうかい」
互いに不敵な笑みを浮かべると、静かに闘気を帯びてぶつけ合う。
ヴラドがダメージを受けたことで効果によりヴァンパイア・ヴラドの下からアンダーカードとなっていた【スカル・ナイフ】を取り除く。
【吸血騎皇 ヴァンパイア・ヴラド】
LP【7400→6300】
アカネは「ターンエンド」と言ってターンを終了した事で、フジミもまた「ドロー」と呟いた。
「フォースチャージ、追加ドローを選択する」
鹿羽フジミ:手札【4】
:フォース【▽▽▽▽▽▽▽】
「さて、俺は手札からスペルカード【激流札】を発動する」
鹿羽フジミ:手札【3】
【激流札】
SP【0】
【ノーマルスペル】
【起】(COST:手札のこのカードをジャンクゾーンに送ってフォースを1枚消費する)
┗自分の山札の上から6枚のカードをジャンクゾーンに送り、その中に含まれている【スプラッシュトライブ】のガーディアンカードの枚数2枚につき、あなたは自分の山札からカードを1枚ドローする。
「効果により、デッキトップからカードを6枚ジャンクゾーンに送る」
「……」
フジミの使用したカードに対して、アカネは訝しげな表情を浮かべる。
(激流札、あれはスプラッシュトライブの補助カード。どうしてアンデッド使いのフジミが……?)
フジミは無言でジャンクゾーンに送るカードを公開した。
【不死の災狂騎士】
【スカル・ナイフ】
【魂の契約】
【真実の鏡】
【不死の帝王騎士】
【不死の神託者】
「スプラッシュトライブのガーディアンは無い。ドローできなくて残念だね」
「クク、俺にとってドロー効果なんてオマケに過ぎない。このカード効果の本命は、能動的な墓地肥やしだ。たった1枚でデッキのカードを6枚ジャンクゾーンに送れるんだ、アンデッド使いからすれば破格の効果さ。そして、不死の神託者のポテンシャルアビリティを発動!」
【不死の神託者】
【ポテンシャルアビリティ】
【自】(このカードが自分の山札からジャンクゾーンに送られた時)
┗あなたはこのカードを自分のアシストゾーンにノーコストで召喚する。そうしたら、あなたは自分の山札からカードを2枚ドローし、自分の手札からカードを1枚選んでジャンクゾーンに送る。
「ビショップをアシストゾーンにノーコストで召喚し、デッキからカードを2枚ドロー、手札の【スカル・ナイフ】をジャンクゾーンに送る」
鹿羽フジミ:手札【4】
【不死の神託者】
SF【3】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【アンデッド】
DG【0】
LP【1200】
「これで仕込みは万全だ」
「仕込み……?」
「そうだ。墓地に眠りし骸を、今こそ解放する! フォースを3枚消費し、手札からアシストガーディアン【不死の王宮騎士】を召喚!!」
【不死の王宮騎士】
SF【3】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【アンデッド】
DG【0】
LP【2000】
鹿羽フジミ:手札【3】
:フォース【▽▽▽▽▼▼▼】
「続いてクイーンのポテンシャルアビリティを発動!」
【不死の女王騎士】
【ポテンシャルアビリティ】
【起】(COST:あなたのアシストゾーンの【不死の王宮騎士】をジャンクゾーンに送り、フォースを1枚消費する)
┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、あなたのジャンクゾーンから【不死の帝王騎士】を、フォースを消費せずに召喚する。
鹿羽フジミ:フォース【▽▽▽▼▼▼▼】
「ジャックをジャンクゾーンに送り、フォースを1枚消費する。蘇る時は満ちた! 【不死の帝王騎士】を、ノーコストでジャンクゾーンから召喚する!!」
【不死の帝王騎士】
SF【5】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【アンデッド】
DG【1100】
LP【4900→3800】
「くっ、せっかくヴラドの効果でキングを奪ったのに!!」
「切り札を補助するカードを複数採用するのは戦術に不可欠なことだろう? さあ、今度はジャンクゾーンに送られたジャックのもう1つのアシストアビリティを発動する!!」
「まさか、キミはこのターンで!!」
【不死の王宮騎士】
【アシストアビリティ】
【自】(このカードがアシストゾーンからジャンクゾーンに送られた時)
┗ジャンクゾーンに【不死の女王騎士】と【不死の災狂騎士】があるなら、フォースを3枚消費して【不死の災狂騎士】を、フォースを消費せずに召喚する。
「その通りだ! さあ、墓地から目覚めろ!! 我が切り札にして憎悪の化身! 【不死の災狂騎士】!!」
【不死の災狂騎士】
SF【6】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【アンデッド】
DG【1100】
LP【5800→4700】
鹿羽フジミ:フォース【▼▼▼▼▼▼▼】
「でも、フォースを使いきったからこのターンのバトルはできない筈だよ」
「それはどうかな、アカネちゃん。ジャンクゾーンから同カードのポテンシャルアビリティを3度発動する!」
「っ?!」
【スカル・ナイフ】
【ポテンシャルアビリティ】
【起】(COST:このカードをチャージゾーンに表状態で置く)
┗この効果はこのカードがジャンクゾーンに存在している場合でのみ、発動できる。あなたは自分のチャージゾーンから裏状態のフォースを1枚選んでジャンクゾーンに送る。
鹿羽フジミ:フォース【▽▽▽▼▼▼▼】
「これでこのターンの攻撃に繋がった」
「流石……と、素直に称賛しておくよ」
「言った筈だぜ。仕込みは万全だ、ってな! ジョーカーのポテンシャルアビリティを発動!」
【不死の災狂騎士】
【ポテンシャルアビリティ】
【永】
┗このカードはバトルを行えない。
【起】(COST:フォースを1枚消費する)
┗あなたのターン中、コストを消費することで発動できる。このターンの間、あなたのジャンクゾーンに【不死の王宮騎士】、【不死の女王騎士】、【不死の帝王騎士】があるなら、このカードは【永】を失う。
「フォースを1枚消費! 墓場に眠りし三騎士の魂によってジョーカーの呪縛は解き放たれる!!」
鹿羽フジミ:フォース【▽▽▼▼▼▼▼】
「さらにトライブアビリティ発動! 永遠なる魂の宴!!」
「……来るか」
【不死の災狂騎士】
【トライブアビリティ】
【起】(COST:フォースを1枚消費する)
┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、あなたはダイスステップをスキップしてバトルフェイズに移行する。このカードは3回攻撃する。1回目は1000のダメージ、2回目は2000ダメージ、3回目は3000ダメージ、それぞれを、相手のガーディアンカードに与える。攻撃対象は、あなたがそれぞれ指定できる。
鹿羽フジミ:フォース【▽▼▼▼▼▼▼】
「お前のヴァンパイア・ヴラドは攻撃を受ける度に相手から奪取したアンダーカードとそのライフを失う」
「そうだね。そして、キミのジョーカーは1ターンで3度の攻撃を行えるバトル・ガーディアンズ唯一にして最高の攻撃性能を備えたアタックガーディアン」
「そういう事だ! 全ての攻撃をヴァンパイア・ヴラドに叩き込む!!」
「合計ダメージは、6000……か」
アカネはフジミの不死の災狂騎士を睨みながらその潜在能力の高さを冷静に分析する。
(不死の災狂騎士のトライブアビリティは1000、2000、3000の計6000ダメージを与えるというもの。一見地味に見えるけど、これ程凶悪なトライブアビリティは他に無い。ハーフ・ダメージ等のダメージ軽減は1つのダメージ効果にしか作用しない。それはつまり、通常ならば6000ダメージを3000ダメージに半減してしまう状況でも、ジョーカーの場合は一番減少量の大きい3000ダメージを半減させても1000と2000のダメージは影響を受けずに計4500のダメージを通すことができるということだ)
派手なダメージ量を叩き出さない代わりに、数多くの相手の防御手段の影響をあまり受けずにダメージを通してくるというのは相手からすれば脅威であることは想像に及ばないだろう。
フジミは「ハッ!」と笑いながらアカネに言う。
「お前、俺にツケを払えって言ったよな? なら、今度はお前がツケを払いな!!」
ヴラドの効果によってライフは固定化されているため、6000ダメージを喰らってもライフが変動することは無い。
だが、3度の攻撃を受けたことでヴラドの下に置かれたアンダーカードが3枚失われ、その分だけLPが減少していく。それだけではない、DGの数値は蓄積するので6000ダメージを受ければDGは10450となってしまい、新たなガーディアンを召喚できなくなり、逆転の手すら封じられてしまう。
ならばこそ。
「ボクは手札からカウンターカード【漆血の呪縛】を発動!」
【漆血の呪縛】
Force【1】
【カウンター】
【自】(カウンターステップ時)
┗あなたは自分の手札から【ヴァンパイアトライブ】のガーディアンカードを1枚選んでジャンクゾーンに送る。あなたのアタックガーディアンのLPはこの効果でジャンクゾーンに送ったカードのSF×1000だけリペアする。あなたのアタックガーディアンが【ヴァンパイアトライブ】である場合、このカードはForce【0】となる。
稚推アカネ:手札【1】
「ヴァンパイア・ヴラドはヴァンパイアトライブのアタックガーディアン。よって、このカードをノーコストで発動可能、そして手札からジャンクゾーンに送るのはSF【6】のヴァンパイア・デューク、なのでヴラドは6000リペアする!」
【吸血騎皇 ヴァンパイア・ヴラド】
DG【4450→-1550】
LP【6300→6300】
ライフが固定化しているため、たとえ回復したとしてもそのライフが変動することは無い。
ヴァンパイア・ヴラドはジョーカーからの3度の攻撃を受けた。
【吸血騎皇 ヴァンパイア・ヴラド】
DG【-1550→-550】
LP【6300→6300】
【吸血騎皇 ヴァンパイア・ヴラド】
DG【-550→1450】
LP【6300→6300】
【吸血騎皇 ヴァンパイア・ヴラド】
DG【1450→4450】
LP【6300→6300】
3度の攻撃を受けたので、アンダーカードが3枚失われ、それに伴ってヴァンパイア・ヴラドのライフも減少する。
【吸血騎皇 ヴァンパイア・ヴラド】
LP【6300→4900】
「く、くくく! 最早、虫の息だなアカネちゃん!!」
「まだだよ、ここからがヴァンパイアトライブの本領発揮なんだから!」
「なら、精々足掻いてみせろ。ターンエンドだ」
「勿論だよ。ボクのターン、ドロー!」
アカネはドローしたカードを手札に加えてからふとフジミの姿を見て過去に思いを馳せる。
2年前、炉模工業高校にて。シンヤは学長に呼び出されてカードゲーム部の設立を命じられていた。
孤高グループが開発した3Dバトルシステム、その多面的利用を炉模工業高校がいち早く着手するために秘匿されたシステムの全容把握を目的とした部を設立すること。
奇想天外な命令を受けたシンヤはメンバーの収集を検討していた。
今のところ、メンバーとして思い当たるのは昔馴染みのヨウコのみだった。
炉模工業高校は東栄学園と違って部活の設立には3人で良いためあと最低1人、どうしたものかと思案して廊下を宛もなく歩いていると、後ろから「も、諸星くん!」とシンヤを呼ぶ声がした。
黙って背後を振り返ると、少しビクビクした様子のアカネがシンヤを見つめていた。
「どうした、稚推?」
「あの、その……えと」
「……ん?」
中々言い出さないアカネに対してシンヤが眉間に皺を寄せて首を傾げていると、アカネはギョッとして距離を取る。
シンヤは溜め息を漏らして目元を右手で覆う。
「強面で悪かったな」
「い、いや! そんなことは無くて! だから!!」
アカネはそこで一旦区切り、意を決してシンヤに頭を下げて懇願するように言う。
「ボクを……」
そして、勢いよく頭を上げてシンヤを見つめる。
「ボクを、仲間に入れて下さい!!」
「仲間? 友達って意味か?」
「ううん、そうじゃなくて、ボクをカードゲーム部の一員にしてほしいんだ!」
「お前が、カードゲーム部に?」
シンヤの怪訝そうな言葉にアカネは何度も頭を上下に動かして頷く。
「確かにボクはバトル・ガーディアンズを始めたばかりで頼りないかもしれない。でも、ボクを助けてくれた諸星くんに少しでも恩返しがしたいんだ!」
「恩返し?」
「うん、諸星くんのおかげでボクは炉模工業高校で充実した日々を送れてる。クラスの皆から聞いたよ、諸星くんがボクのために裏で色々と手を回してくれてるって」
「アイツら……口止めしてたのに」
「だから、今度はボクが諸星くんを――ううん、シンヤを助けたい! お願いします、ボクを仲間に入れて下さい!!」
もう一度頭を大きく下げると、シンヤは軽く笑ってアカネの頭を軽く小突く。
「お前の思いは分かった。ただな、これは趣味で始める部活じゃない。学校を巻き込んだ一大ビジネスだ、そこに参加することがどれだけ過酷か、それを覚悟した上での発言なんだな?」
「勿論、ボクは生半可な気持ちでカードゲーム部に参加するつもりはないよ!!」
「なら、決まりだ。ほら、顔上げろ」
シンヤはアカネの頭を両手で掴むと顔を上げさせて言う。
「今日から俺達は、カードゲーム部の仲間だぜ!」
その言葉を胸に秘め、アカネは対するフジミを睨み付ける。学校に登校した朝のHRで担任からシンヤが重傷を負って入院したこと、その重傷を負わせたのが鹿羽フジミであること。
それを知った時、自分がどれだけ怒りの気持ちに支配されたか。
その相手を前にし、アカネはゲームプレイを再開する。
「フォースチャージして、追加ドロー!」
稚推アカネ:手札【2】
:フォース【▽▽▽▽▽▽▽】
「手札からスペルカード【血濡れの槍処刑】発動!」
【血濡れの槍処刑】
SP【2】
【ノーマルスペル】
【起】(COST:手札のこのカードをジャンクゾーンに送る)
┗この効果はあなたのアタックゾーンに【ヴラド】と名の付くガーディアンが存在する場合にのみ発動できる。あなたのアタックガーディアンのアンダーカードを任意の枚数だけジャンクゾーンに送り、その枚数だけ自分の山札の上からカードをチャージゾーンに表状態で置く。
稚推アカネ:手札【1】
「ボクはヴァンパイア・ヴラドが持つ最後のアンダーカード1枚を取り除いて、デッキトップのカードを1枚チャージゾーンに置く」
アカネのフォースが1枚増え、アンダーカードを失ったことでヴラドのライフも減少する。
稚推アカネ:フォース【▽▽▽▽▽▽▽▽】
【吸血騎皇 ヴァンパイア・ヴラド】
LP【4900→3500】
「いいのか、アンダーカードを失えばせっかくのライフ固定も無くなるぞ」
「もう必要ないからね。ボクはフォースを7枚消費して手札からアタックガーディアン【守護龍 ヴァンパイア・ドラゴン】を召喚!!」
【守護龍 ヴァンパイア・ドラゴン】
SF【7】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【ヴァンパイア】
DG【4450】
LP【7000→2550】
稚推アカネ:手札【0】
:フォース【▽▼▼▼▼▼▼▼】
「さらにライフカウンターを2つ消費してサイドデッキからカードを2枚ドロー!」
稚推アカネ:ライフカウンター【4→2】
:手札【2】
「鹿羽フジミくん……ボクはキミに怒ってるんだ」
「あぁ?」
「ボクの仲間は、もう傷つけさせやしない!!」
アカネの言葉の意図が読めないフジミは首を傾げる。それでも、アカネの瞳はメラメラと炎が宿っている。
「激情の龍王よ、相手の血肉を貪りてその身を煉獄の焔で焼き尽くせ! 激情化起動!! 【激情龍 ヴァンパイア・ドラゴン・LIBERATION】!!」
【激情龍 ヴァンパイア・ドラゴン・LIBERATION】
SF【8】
GT【レイジング/アタック】
Tr【ヴァンパイア】
DG【4450】
LP【9000→4550】
【サモンコンディション】
┗このカードは、あなたのアタックゾーンにLPが3000以下の【守護龍 ヴァンパイア・ドラゴン】が存在し、尚且つあなたのチャージゾーンにカードが8枚以上ある場合にのみ、手札からフォースを消費せずに召喚できる。また、前のガーディアンはこのカードのアピアステップ時にアンダーカードとなる。あなたのエンドフェイズ時に、アンダーカード・手札・山札・ジャンクゾーンから【守護龍 ヴァンパイア・ドラゴン】を1体選び、フォースを消費せずに召喚する。
【ポテンシャルアビリティ】
【永】
┗このカードがジャンクゾーンに送られる場合、ジャンクゾーンに送られる代わりにサイドデッキに戻す。その後、サイドデッキをシャッフルする。
稚推アカネ:手札【1】
「ほう、激情龍か。これは中々楽しめそうだな」
「いつまでそう言えるかな」
「いつまでも、だろ?」
「……フフ。トライブアビリティ発動、血統吸収!!」
【激情龍 ヴァンパイア・ドラゴン・LIBERATION】
【トライブアビリティ】
【起】(COST:全ての手札と任意の枚数のフォースをジャンクゾーンに送る)
┗あなたはこの効果のコストでジャンクゾーンに送ったフォースの枚数だけ相手の手札をジャンクゾーンに送る。その後、相手のガーディアンを1枚選んでそのLPをXダウンする。(Xの値は、この効果でジャンクゾーンに送った相手の手札枚数×2000)
「ボクはコストとして手札1枚とフォース3枚をジャンクゾーンに送る!」
稚推アカネ:手札【0】
:フォース【▽▼▼▼▼】
「なーるほど。これで俺は手札を全て失い、尚且つジョーカーのライフは6000ダウンして俺の敗北となるわけか。だがな」
フジミはマスターズギアを操作して手札のカードを選択する。
「どうせ捨て札になるぐらいなら遠慮無く使わせてもらう! フォースを1枚消費して手札からカウンターカード【骸の埋葬】を発動!」
【骸の埋葬】
Force【1】
【カウンター】
【自】(カウンターステップ時)
┗あなたは自分のアタックゾーンに存在する【アンデッドトライブ】のガーディアンのSFの数値だけ自分の山札の上からカードをジャンクゾーンに送る。
鹿羽フジミ:手札【2】
:フォース【▼▼▼▼▼▼▼】
「俺のジョーカーのSFは6、よってデッキトップからカード6枚をジャンクゾーンに送らせてもらう」
カウンターカードである骸の埋葬の効果処理が終了してからヴァンパイア・ドラゴンの効果処理が行われる。
フジミは2枚の手札を失い、ジョーカーのライフはそれによって4000ダウンする。
【不死の災狂騎士】
LP【4700→700】
「く、かわされた!」
「詰めが甘かったな、アカネちゃん」
「だけど、ボクにはまだダイスステップがある!」
マスターズギアの液晶をタッチしてダイスステップに移行し、サイコロの目を決定する。
ランダムに決められたサイコロの目は【3】。
【激情龍 ヴァンパイア・ドラゴン・LIBERATION】
【1】【3】【5】……あなたは相手のアタックガーディアンにXダメージを与え、そのダメージの半分の数値だけこのガーディアンのLPをリペアする。(Xの数値は、あなたのフォースの枚数×1000)
「ゲット、アタックアビリティ! フォースを1枚消費してバトルフェイズを開始するよ!」
稚推アカネ:フォース【▼▼▼▼▼】
「ボクのフォースは5枚、よってジョーカーに5000ダメージを与えてヴァンパイア・ドラゴンのライフは2500リペアする!」
「くく、その攻撃のための布石も既に打ってあるとも。ジャンクゾーンからカウンターアビリティを発動!」
「っ!!」
【徘徊する恐怖】
【カウンターアビリティ】
【自】(カウンターステップ時)
┗この効果はこのカードがジャンクゾーンに3枚存在する場合にのみ発動できる。あなたはジャンクゾーンに存在するこのカードを自分の山札の一番下に置き、自分フィールドのガーディアンを1枚選んでLPをXリペアする。(Xの数値は、自分のジャンクゾーンに存在するカード枚数×200)
「この効果により徘徊する恐怖をデッキボトムに戻し、俺のジャンクゾーンにはカードが22枚あるからジョーカーのライフを4400回復する!」
【不死の災狂騎士】
DG【1100→-3300】
LP【700→5100】
ジョーカーにヴァンパイア・ドラゴンの5000ダメージを受ける。そして、ヴァンパイア・ドラゴンはライフを回復する。
【不死の災狂騎士】
DG【-3300→1700】
LP【5100→100】
【激情龍 ヴァンパイア・ドラゴン・LIBERATION】
DG【4450→1950】
LP【4550→7050】
アカネは悔しそうに拳を強く握り締め、忌々しそうにエンドフェイズに移行した。
「……ボクは、これでターンエンド。エンドフェイズ時、レイジングガーディアンをサイドデッキに戻してシャッフルし、ヴァンパイア・ドラゴンを召喚する!」
【守護龍 ヴァンパイア・ドラゴン】
DG【1950】
LP【7000→5050】
「フン、俺のターンだ。ドロー!」
フジミはドローしたカードを見ることなくアカネに言い放つ。
「お前の手札は0、ジャンクゾーンには逆転のカードは無い。これで終わりだ!!」
そしてフォースを計2枚消費してジョーカーのトライブアビリティを発動させる。
「永遠なる魂の宴!!」
計6000のダメージによる3度の攻撃がヴァンパイア・ドラゴンとアカネを貫いた。
【守護龍 ヴァンパイア・ドラゴン】
DG【1950→7950】
LP【5050→0】
「うあああああああ!!!」
3Dビジョンによって実体化した攻撃の余波を直接受けてアカネの身体は宙に派手に吹っ飛ぶ。
(ごめん、シンヤ……。ボクは、キミを守れなかった………)
アカネの懐から、1枚の写真が落ちて宙に舞う。そこには、アカネ、ユキヒコ、シンヤ、カンナ、リンナの5人の姿があり、アカネが宝物として大切にしている写真だ。
アカネは薄れいく意識の中でその写真に手を伸ばす。
「ヴァンパイア・ヴラドの攻撃!」
「うー、負けたのだー!」
約2年前。アカネは楽しそうにシンヤ達とカードバトルしていた。
アカネに敗れて呻くリンナを見ながらユキヒコとシンヤは苦笑しながら互いにアカネについて話していた。
「ねえ、シンヤ。そっちでのアカネはどう?」
「まあ、あんま芳しくはないな。アイツをからかう奴も少なくはない」
「そうか……」
俯くユキヒコに対してシンヤは事情を聞く。一体何が起きてアカネは東栄学園から炉模工業高校にへと転校したのか。
「アイツの身に一体何があったんだ?」
「それは、俺に原因があるのかもしれないね」
「……何かあったのか?」
ユキヒコは少しだけ口元に力を入れてから静かに語った。
ユキヒコはカンナとリンナと共にカードバトル部の設立を果たすために生徒会にカードバトルを挑んだ結果、勝利する事ができたものの、部として設立するには規則により部員数を5人以上にしなければならないため、ユキヒコは自分の友人であったアカネに声をかけたらしい。
だが、それによってアカネはフジミに目を付けられてしまった。
「アカネの親が経営してる会社は鹿羽グループによる株の買い占めで買収されて子会社になった。それだけじゃない、元々からその容姿で少なからずからかいの対象になっていたのに、鹿羽の取り巻き連中に苛めの標的にされたんだ」
ここでのフジミの取り巻き連中とは、ゴウキとダイナのことではなく、アカネと同じように鹿羽グループの子会社となった会社の跡取り息子の集団である。
「その苛めはかなり陰湿でね、アカネはついには家に引きこもって学校に来なくなった。結局、東栄に戻ることは無く転校していってしまったんだ」
「なるほどな」
事情を聞いたシンヤは拳を強く握り締めるとテーブルを激しく叩いた。
「どこの世界にも、くだらねえ奴は居やがるな」
「ああ、ホントにね」
「……決めたぜ、ユキヒコ」
シンヤは決意を籠めた言葉をユキヒコに対して言う。
「アイツは俺に任せろ。責任持って、アイツの学校生活をサポートしてやる」
その言葉を、実はアカネが聞いているとはシンヤは気づいていなかった。
デジタルカメラを鞄から取り出すとカードバトルを終えたアカネ達に突撃した。
「よーし、お前ら! せっかくの記念だから写真撮ろうぜ!」
シンヤはそう言って、その場に居た5人の写真を撮ったのだった。
「稚推!!」
シンヤは倒れているアカネを抱き起こす。アカネの身体は傷ついており、腕からは切り傷によって少なからず出血していた。
シンヤの声を聞いてアカネは少しだけ瞼を開けると、笑顔を浮かべる。
「ハハ、やっぱり……シンヤはいつもボクを助けに来てくれるよね」
「何言ってやがる。俺は何も守れてねえよ!! くそ、今から病院に行くぞ!」
「……大丈夫だよ、これぐらい何てことは無い。それよりも、皆のバトルの応援に行かないと」
「だったら、なんで鹿羽フジミの元に行ったんだ!」
シンヤの言葉にアカネは俯き、小さな声で「許せなかったんだ」と呟いた。
「シンヤはボクのかけがえのない親友で仲間だ。だから、シンヤを傷つけたアイツが許せなかった」
「お前……」
「でも、負けちゃったら格好つかないよね? ボク、ホントにダメな奴だなぁ」
「そんなこと、無えよ」
シンヤはそのままアカネを横抱きにしたまま持ち上げると、試合会場に向かって歩き始める。
アカネはシンヤの表情を見て呆然とする。
「シンヤ……?」
「ほら、行くぞ。俺とお前はカードゲーム部の部長と副部長なんだから、部員の勇姿を見届けなくちゃな」
「……うん、そうだね」
シンヤが浮かべた涙に、アカネはただ何度も頷くしかなかった。
一方その頃、全国大会本選2回戦。
〈おーっと、試合開始から20分が経過! 戦宮選手と阿久津選手が遭遇し、それによる激しいバトルが繰り広げられている!!〉
バトルマスター・レツの言うとおり、2回戦のポイントマッチもまた佳境に入ろうとしていた。
「行くぜ、阿久津!」
「ああ、来なよ戦宮!!」
ディヴァイントライブとエヴォルトライブ、因縁の対決の幕は既に切って落とされていたのだった。
友人からは「この作品って誰が主人公だっけ?」と言われる。
作者も時々忘れてしまう(おい)。
まあ、全国大会編はユキヒコとその知人達が中心のストーリーだから仕方ないね!
【次回予告】
全国大会本選2回戦。カイトとエンジのバトルが佳境に入るのと同時にカンナとサラサによる攻防もまた激しくなりつつあった。
一体このポイントマッチ戦、どちらが征するのか。
次回、【因縁の決着】




