BATTLE:047【意地の果てに】
【鬼塚キシン】
【アタックガーディアン】
【オーガ・スラッシャー】
DG【0】
LP【500】
【新倉ツトム】
【アタックガーディアン】
【スプラッシュ・サーファー】
DG【0】
LP【2000】
【ドメインカード】
【スプラッシュ・アトランティカ】
ツトムのターンが終了し、キシンのターンになる。
「俺のターンだ、ドロー!」
鬼塚キシン:手札【3】
ドローしたカードがマスターズギアの液晶に映し出され、キシンはそのカードを見る。
(奴の手札は7枚、フォースは5枚。さすがに削らなきゃ不味いな)
そして追加チャージの項目をタッチする。
「フォースチャージして、追加チャージを選択する!」
鬼塚キシン:手札【1】
:フォース【▽▽▽▽】
ツトムは鼻で笑う。
「おいおい、残りの手札があと1枚だぜ? いいのか追加チャージなんて選択しちゃって、今なら追加ドローにしてやってもいいぜ。……あ、これは全国大会だからそんなことしたら即ルール違反だったな!」
「あちゃー」と額を抑えてニヤニヤ笑っているツトムに対し、キシンは完全にスルーしてプレイングを続けてマスターズギアの液晶を見つめている。
その様子にツトムは軽く舌打ちする。
(単細胞脳だと思ってたが、さすがにもうキレないか。ああいう奴は煽れば煽るほどプレミが増えるもんなんだがなぁ。さすが全国上位ランカー、と言ったところか。煽りが通用しないなら別の手を考えるか)
そう思案して、キシンの思考回路を掻き乱す次なる一手を模索する。
すると、ツトムが模索し終わる前にキシンの方が先に動き始める。
「俺は手札からスペルカード【金棒の宝珠】を発動!」
【金棒の宝珠】
SP【2】
【ノーマルスペル】
【起】(COST:手札のこのカードをジャンクゾーンに送る)
┗この効果はあなたの手札がこのカードのみの場合にコストを支払うことで発動できる。あなたのアタックゾーンに【オーガトライブ】のガーディアンが存在する場合、ジャンクゾーンに存在するカードの枚数だけ、あなたは自分の山札からカードをドローできる。この効果でドローした枚数2枚につき、相手は自分の手札からカードを1枚選んでジャンクゾーンに送る。この効果でドローできる枚数は最大6枚までである。
「なっ?!」
ツトムは目を見開いて自分の手札のカードを慌てて見る。この効果を無効化できるスペルカードが無いかどうか確認するが、今のツトムの手札には存在しなかった。
キシンは効果処理を行う。
「俺のジャンクゾーンには合計5枚のカードが存在する。よって山札からカードを5枚ドローする! さらに、お前は手札からカードを2枚選んでジャンクゾーンに送ってもらおうか」
「くそが!!」
鬼塚キシン:手札【5】
新倉ツトム:手札【5】
「これでフォースは1枚劣るが、手札に関しては並んだぞ」
「……だ、だがお得意のダメージ2倍をしようものなら、こっちのトライブアビリティでダメージ量を0にするだけだぜ!」
「だからどうした」
「え……」
キシンはニヤリと笑う。
「俺のオーガトライブの猛攻、耐えられるものなら耐え抜いてみせろよ」
マスターズギアの液晶をタッチする。
「手札からアシストガーディアン【鬼神器 オーガ・ソード】を召喚!」
【鬼神器 オーガ・ソード】
SF【0】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【オーガ】
DG【0】
LP【100】
鬼塚キシン:手札【4】
「さらに、フォースを3枚消費して、手札からアタックガーディアン【アラハバキの使者 アカオーニ】を召喚!」
【アラハバキの使者 アカオーニ】
SF【3】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【オーガ】
DG【0】
LP【3000】
鬼塚キシン:手札【3】
:フォース【▽▼▼▼】
「アカオーニのポテンシャルアビリティ発動!」
【アラハバキの使者 アカオーニ】
【ポテンシャルアビリティ】
【自】(このカードのアピアステップ時)
┗あなたは自分の山札から【アラハバキの使者 アオオーニ】を1枚まで選んで自分の手札に加え、さらに【鬼神器】と名の付くアシストガーディアンを2枚選んでジャンクゾーンに送る。その後、その山札をシャッフルする。
「この効果により、俺は自分のデッキからアオオーニを手札に加え、2枚の鬼神器をジャンクゾーンに送る」
【鬼神器 オーガ・アロー】
【鬼神器 オーガ・シールド】
鬼塚キシン:手札【4】
「そして、アカオーニのトライブアビリティ発動! 涙の怒り!!」
【アラハバキの使者 アカオーニ】
【トライブアビリティ】
【起】(COST:山札の一番上のカードをジャンクゾーンに送る)
┗この効果は1ターンに一度しか発動できない。あなたのターンのバトルフェイズに発生するダメージ量を2倍にする。この効果のコストとなったカードが【オーガトライブ】のガーディアンカードである場合、相手は自分の手札からカードを1枚選んでジャンクゾーンに送る。その後、エンドフェイズ時にこのガーディアンは【弱体化】する。
「コストとしてデッキトップのカードをジャンクゾーンに送る」
「なっ、バカな……またダメージ量を0にされるのに何故?!」
「見てりゃ分かるよ」
マスターズギアの液晶に映されたコストとなったカードを見てキシンは笑う。
【鬼神器 オーガ・ブラスター】
Tr【オーガトライブ】
「コストになったのはオーガトライブのガーディアンだ。さて、ダイスステップと行こうじゃないか!」
「くっ、コイツ、血迷ったのかぁ?!」
キシンとツトムのマスターズギアにダイスの結果が映し出される。
【6】である。
【アラハバキの使者 アカオーニ】
【1】【3】【6】……相手のアタックガーディアンに1000ダメージを与える。
【2】【4】【5】……相手のアタックガーディアンに500ダメージを与える。
鬼塚キシン:フォース【▼▼▼▼】
「さあ、フォースを消費してバトルだ! トライブアビリティの効果により、2倍の2000ダメージを受けてもらおうか!」
「ちぃ、スプラッシュ・サーファーのトライブアビリティ発動! 激流の衝動!!」
【スプラッシュ・サーファー】
【トライブアビリティ】
【自】(このカードがダメージ効果の対象となった時)
┗あなたは自分の手札からガーディアンカードを任意の枚数選び、そのSFの合計値が相手のアタックガーディアンのSFと同じになるようにジャンクゾーンに送り、ダメージ効果1つのダメージ量を0にする。
「ドメインカードのスプラッシュ・アトランティカの永続効果により、相手ターンの間、俺の手札のガーディアンのSFは1つ上がる! よって手札に存在するSF【2】のスプラッシュ・サーファーをジャンクゾーンに送ることでSF【3】のアカオーニのダメージ量を0にする!」
新倉ツトム:手札【4】
【スプラッシュ・サーファー】
DG【0→0】
LP【2000→2000】
「ああ、いいぜ。0にしろよ」
キシンの物言いにツトムが首を傾げていると、マスターズギアの液晶画面に【ジャンクゾーンに送るカードをタッチして下さい】という表示が出て、目を見開く。
「こ、これは…っ!!」
「頭がスカスカだからアカオーニのトライブアビリティを忘れてたか? コストとしてジャンクゾーンに送られたカードがオーガトライブのガーディアンである場合、相手は手札を1枚ジャンクゾーンに送らなければならない。スプラッシュトライブのトライブアビリティはダメージ量を0にできても、それ以外の効果は防げない。特にハンデス効果はお前にとっては痛手だよな」
「くっ!」
ツトムは悔しげに液晶画面のカードをタッチする。
新倉ツトム:手札【3】
「だ、だがお前のアカオーニはトライブアビリティによって弱体化する!」
「ああ、そうだな」
【アラハバキの使者 アカオーニ】
【弱体化】
「んじゃあ、エンドフェイズ時にオーガ・ソードのアシストアビリティを発動する」
「え……」
【鬼神器 オーガ・ソード】
【アシストアビリティ】
【自】(エンドフェイズ時)
┗このカードをジャンクゾーンに送る。そうしたら、あなたの【オーガトライブ】のガーディアンを1枚まで選んで【弱体化】を解除し、さらに相手は自分の手札を1枚選んでジャンクゾーンに送る。
「オーガ・ソードをジャンクゾーンに送り、アカオーニの弱体化は解除される。そして、お前は手札からカードを1枚選んで捨てな」
「またかよぉ…!!」
新倉ツトム:手札【2】
「くくく」
キシンは笑いながら拳をコキコキと鳴らす。
「俺はさっきのターン、お前の攻撃に耐えたぜ。次はお前が俺の攻撃に耐える番だ。まあ、てめぇがジリ貧になるまでこっちは打ち込み続けてやるからよ」
「こ、このクソガキが!!」
「おいおい、さっきまでの飄々とした態度はどうしたんだよ。……さあ、てめえのターンだぜ!!」
「っ…俺のターン、ドロー! フォースチャージして追加ドロー!」
新倉ツトム:手札【3】
:フォース【▽▽▽▽▽▽】
「俺はライフカウンターを2つ消費して2枚カードをドローする!」
新倉ツトム:ライフカウンター【4→2】
:手札【5】
「まさかライフカウンターまで使う羽目になるなんて……」
ツトムは拳を強く握り締める。
キシンとツトムの戦いを見て、ヒョウザンとフブキは冷静に分析する。
「あの鬼塚キシンという選手、中々やるな」
「ああ。スプラッシュトライブのトライブアビリティはオーガトライブのトライブアビリティを封殺する能力だが、ノーリスクというわけじゃない。彼は、手札消費というリスクに負荷をかけることでスプラッシュトライブに対抗しようとしている。合理的且つ堅実な対処法だ」
「……負けられない意地が、そうさせるのだろう」
「ああ。ギンカクは、良いチームメンバーに恵まれたな」
2人の会話を聞きながら、ツトムは握り締めた拳を震わす。
(負けられない意地……? そんなの、こっちにだってあるっつーの)
口元を歪め、「俺達だって、お前らに負けるわけにはいかねえんだよ……」と漏らす。
その呟きにキシンは「あ?」と言って首を傾げる。
「何か言ったか?」
「お前、フブキさんに“部長が見捨てたお前達なんかに負けるわけねーだろうが”って、言ったらしいな」
「それが何だよ」
「俺達からしたら、吹雪学園からノコノコ逃げ出した臆病者が拾ったお前らなんかに、俺達が負けるわけが無えんだよ!!」
ツトムの叫びに、選手控え席に座っていたギンカクは目を見開く。
キシンは見る見る内に顔を般若のような形相に変えていく。
「てめえ!!! もういっぺん言ってみろぉ!!」
「何度だって言ってやるよ! お前らが自分の大将をどう思ってるか知らねえが、少なくとも俺達からしたらただの逃亡者なんだよ!!」
「んだと!!」
互いに睨み合う2人。
今にも殴り合いの喧嘩が始まりそうなその瞬間、バトルマスター・レツが慌てて止めに入る。
〈2人共! カードマスターならば、言いたいことがあるならそれはカードバトルで語れ!! もし神聖なこの場所を暴力で汚すようなら両者を失格とする!〉
「「っ?!」」
レツの言葉にキシン達は目を剥く。もしメンバーの失格はチーム全体の失格と同義。彼らは言いたいことを飲み込み、再びカードバトルを続ける。
ツトムは先程よりかは冷静になりつつ、それでも言葉に怒りを乗せて語る。
「何も知らない奴が、好き勝手言ってんじゃねえよ! フォースを4枚消費して、【激流士 ミスト】を召喚!」
【激流士 ミスト】
SF【5】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【スプラッシュ】
DG【0】
LP【5000】
新倉ツトム:手札【4】
:フォース【▽▽▼▼▼▼】
「スプラッシュ・アトランティカは自分ターンの間、手札の【スプラッシュトライブ】のガーディアンのSFを1つ下げる。よって本来ならばSF【5】のミストをSF【4】として召喚できる。そして、激流士ミストのポテンシャルアビリティを発動!」
【激流士 ミスト】
【ポテンシャルアビリティ】
【自】(このカードのアピアステップ時)
┗この効果はあなたの手札が相手の手札枚数以下である場合にのみ発動できる。あなたは自分の山札またはサイドデッキからカードを2枚ドローする。また、この効果でドローしたカードが全て【スプラッシュトライブ】のガーディアンカードである場合、それを相手に公開することであなたは自分の山札から【激流皇 ミスト・ロード】を1枚選んで自分の手札に加える。その後、その山札をシャッフルする。この効果を発動したターンのエンドフェイズまで、あなたは手札からガーディアンカードを召喚できない。
「俺はサイドデッキからカードを2枚ドロー! そしてそれを公開!」
【装着激流士 ミスト・デリュージ】
Tr【スプラッシュ】
【次元激流士 ミスト・フルード】
Tr【スプラッシュ】
「2枚ともスプラッシュトライブのガーディアンだ。よって、デッキからミスト・ロードを1枚手札に加える!」
新倉ツトム:手札【7】
「一気に手札を7枚に……」
思わずたじろぐキシンにツトムは言う。
「俺達はな、この2年間ずっと後悔していた。ユキマルさんを送ってしまったことを……止めていれば良かったってな。だけど、一人一人がその後悔を少しずつでも受け入れて、前を向いて生きてきた! それを否定する権利は、お前には無い! これが俺の意地だ、ダイスステップ!!」
マスターズギアが数字を1つ決める。【4】。
【激流士 ミスト】
【1】【3】【5】……相手の山札からカードを10枚ジャンクゾーンに送る。このバトルフェイズ中、相手がカウンター効果を発動しなかった場合、あなたは自分の山札からアシストガーディアンを1枚まで選んで自分のアシストゾーンに召喚する。その後、その山札をシャッフルする。
【2】【4】【6】……相手のアタックガーディアンに1000ダメージを与える。このバトルフェイズ中、相手がカウンター効果を発動しなかった場合、あなたは自分の山札からアシストガーディアンを1枚まで選んで自分のアシストゾーンに召喚する。その後、その山札をシャッフルする。
新倉ツトム:フォース【▽▼▼▼▼▼】
「フォースを1枚消費してバトルフェイズ! アカオーニに1000ダメージだ!」
「ちっ……」
【アラハバキの使者 アカオーニ】
DG【0→1000】
LP【3000→2000】
「そしてこの瞬間、デッキからGTにアシストを持つアームドガーディアン【スプラッシュ・アーマー・デリュージ】を召喚!」
【スプラッシュ・アーマー・デリュージ】
SF【0】
GT【アームド/アシスト】
Tr【スプラッシュ】
DG【0】
LP【100】
「ミストのポテンシャルアビリティのデメリット効果は手札からの召喚ができなくなるもの、だがこれはデッキからなので問題なく召喚できる。ターンエンドだ」
「んなこと一々解説しなくても分かってるっつーの! 俺のターン、ドロー!」
キシンはドローしたカードを確認し、小さく笑う。
「フォースチャージして、追加ドロー!」
鬼塚キシン:手札【5】
:フォース【▽▽▽▽▽】
「悪いが、このターンで終わらせてもらうぜ! 俺はフォースを2枚消費して手札からアシストガーディアン【鬼神器 オーガ・ランス】を召喚!」
【鬼神器 オーガ・ランス】
SF【2】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【オーガ】
DG【0】
LP【100】
鬼塚キシン:手札【4】
:フォース【▽▽▽▼▼】
「そして、オーガ・ランスのアシストアビリティを発動!」
【鬼神器 オーガ・ランス】
【アシストアビリティ】
【起】(COST:フォース1枚を消費し、このカードをジャンクゾーンに送る)
┗あなたは自分の山札からガーディアンカードを1枚まで選んで自分の手札に加える。その後、その山札をシャッフルする。
「俺はコストを支払い、デッキから【鬼神器 オーガ・カリバーン】を手札に加える」
鬼塚キシン:手札【5】
:フォース【▽▽▼▼▼】
「これだけじゃ終わらないぜ。俺は手札からアシストガーディアン【アラハバキの使者 コオーニ】を召喚!」
【アラハバキの使者 コオーニ】
SF【0】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【オーガ】
DG【0】
LP【300】
鬼塚キシン:手札【4】
「コオーニのアシストアビリティを発動!」
【アラハバキの使者 コオーニ】
【アシストアビリティ】
【起】(COST:このカードとフォース3枚をジャンクゾーンに送る)
┗あなたは自分の山札の上から5枚のカードをめくって公開する。公開したカードの中から【アラハバキ】と名の付くガーディアンカードを1枚まで選んで、そのガーディアンカードをフォースを消費しないで召喚する。公開した残りのカードはジャンクゾーンに送る。
鬼塚キシン:フォース【▽▽】
「コオーニとフォース3枚をジャンクゾーンに送って効果発動! デッキトップからカードを5枚公開する!」
【ハーフダメージ】
【オーガ・レイダー】
【戦鬼神 アラハバキ・皇牙】
【金棒の宝珠】
【カウンター・リサイクル】
「来い、アラハバキ!!」
【戦鬼神 アラハバキ・皇牙】
SF【6】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【オーガ】
DG【1000】
LP【6000→5000】
アラハバキ・皇牙の姿にツトムは戦慄する。
「SF【6】のアタックガーディアンかよ……」
「行くぜ! 手札から【鬼神器 オーガ・カリバーン】を召喚!」
【鬼神器 オーガ・カリバーン】
SF【0】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【オーガ】
DG【0】
LP【400】
鬼塚キシン:手札【3】
「そしてオーガ・カリバーンがアシストゾーンに存在することにより、アラハバキのトライブアビリティが発動する! 涙の怒り!!」
【戦鬼神 アラハバキ・皇牙】
【トライブアビリティ】
【起】(COST:フォースを1枚消費する)
┗この効果は、あなたのアシストゾーンに【鬼神器 オーガ・カリバーン】が存在する場合にのみ、コストを支払うことで発動できる。ダイスステップをスキップし、バトルフェイズを開始して相手のアタックガーディアンにXダメージを与える。この効果を発動させたターンのエンドフェイズ時に、このカードは【弱体化】する。(Xは、あなたのジャンクゾーンに存在する【鬼神器】と名の付くガーディアンの枚数×2000)
鬼塚キシン:フォース【▽▼】
「お前のジャンクゾーンに存在する鬼神器の枚数は、6枚。12000ダメージか」
「そういうことだ! フォースを消費してバトルフェイズだ!」
鬼塚キシン:フォース【▼▼】
ツトムはマスターズギアの液晶に表示されている手札のカードをタッチする。
「俺は、手札からカウンターカード【戦闘装着】を発動!」
「なにっ?!」
【戦闘装着】
Force【1】
【カウンター】
【自】(カウンターステップ時)
┗この効果はあなたのアシストゾーンにアームドガーディアンが存在する場合にのみ発動できる。そのアームドガーディアンのアームドアビリティを発動条件を無視して発動する。
新倉ツトム:手札【6】
:フォース【▼▼▼▼▼▼】
「よって、スプラッシュ・アーマー・デリュージのアームドアビリティをバトルフェイズ中に発動!」
「なんだと?!」
【スプラッシュ・アーマー・デリュージ】
【アームドアビリティ】
【起】(COST:このカードをアンダーカードとしてアタックガーディアンの下に置く)
┗あなたのアタックゾーンに【スプラッシュトライブ】のカードが存在する場合に発動できる。そのカードを素体とし、手札から【デリュージ】と名の付くクロスガーディアンをフォースを消費せずに召喚する。
「スプラッシュ・アーマー・デリュージと激流士ミストで、装着転成!!」
【装着激流士 ミスト・デリュージ】
SF【6】
GT【クロス/アタック】
Tr【スプラッシュ】
DG【0】
LP【7000】
【サモンコンディション】
┗このカードはフォースを消費して手札から召喚できない。【ミスト】と名の付くカードを素体とし、【スプラッシュ・アーマー・デリュージ】のアームドアビリティの効果でのみ手札からフォースを消費せずに召喚できる。素体となったカードはこのカードのアンダーカードとなる。
【ポテンシャルアビリティ】
【永】
┗このカードが、あなたのアタックゾーンに存在する限り、あなたは自分のターンのエンドフェイズ時に、あなたのフォースを全て裏状態にしなければならない。
新倉ツトム:手札【5】
バトルフェイズ中にクロスガーディアンを召喚されて唖然とするも、キシンは「ハッ!」と鼻で笑う。
「いくらバトルフェイズ中に高SFのガーディアンを召喚しようが、ソイツのLPはたったの7000! トライブアビリティで素直にダメージ量を0にしておいた方が、手札消費を抑えられたんじゃねえか?」
「そうでもねーよ。ミスト・デリュージのトライブアビリティ発動! 激流の衝動!!」
【装着激流士 ミスト・デリュージ】
【トライブアビリティ】
【自】(自分または相手のバトルフェイズ中の任意のタイミング)
┗あなたは自分の山札からガーディアンカードを3枚まで選んでジャンクゾーンに送り、その山札をシャッフルする。この効果を自分ターンのバトルフェイズ中に発動した場合、相手にX000ダメージを与える。また、この効果を相手ターンのバトルフェイズ中に発動した場合、相手がバトルフェイズ中に発動したダメージ効果1つの数値をX000軽減する。この効果を発動したターンのエンドフェイズ時に、あなたは自分のアタックゾーン以外のフィールドに存在するカードまたは手札のカードを1枚選んでジャンクゾーンに送る。(Xの値は、この効果でジャンクゾーンに送ったガーディアンカードのSFの合計値)
「よって、俺はデッキから3枚のガーディアンカードをジャンクゾーンに送る!」
【ヒドロ・アクター】
SF【4】
【ヒドロ・アクター】
SF【4】
【スプラッシュ・バブル】
SF【4】
「このSFの合計値は12! よって、アラハバキのダメージ効果を12000軽減する!」
「っ!!」
【装着激流士 ミスト・デリュージ】
DG【0→0】
LP【7000→7000】
「ふぅ、危ない危ない」
「ちっ、エンドフェイズ時にアラハバキは自身のトライブアビリティで弱体化する」
【戦鬼神 アラハバキ・皇牙】
【弱体化】
「だが、オーガ・カリバーンをジャンクゾーンに送ることでその弱体化を解除!」
【鬼神器 オーガ・カリバーン】
【アシストアビリティ】
【自】(エンドフェイズ時)
┗このカードをジャンクゾーンに送る。そうしたら、あなたの【オーガトライブ】のガーディアンを1枚まで選んで【弱体化】を解除し、さらにあなたは自分の山札から【鬼神器 カリバーン】を1枚まで選んで自分の手札に加える。その後、その山札をシャッフルする。
「よって、俺はデッキからカリバーンを手札に加えてターンエンド」
「この瞬間、ミスト・デリュージの効果により、スプラッシュ・アトランティカをジャンクゾーンに送る」
ドメインゾーンに置かれていたスプラッシュ・アトランティカがジャンクゾーンに送られる。
「よし。俺のターンだ、ドロー! っ?!」
ツトムはドローしたカードを見て目を見開く。
「まさかこんな局面でお前を引くなんて、俺はつくづくラッキーボーイだぜ。いいぜ、フォースチャージして追加チャージだ!!」
新倉ツトム:手札【4】
:フォース【▽▽▽▽▽▽▽▽】
キシンは怪訝そうな表情を浮かべる。
(アイツ、一体何のカードを引いたんだ……?)
ツトムはマスターズギアの液晶をタッチする。
「フォースを7枚消費して……現れろ、俺の守護龍!! 【守護龍 スプラッシュ・ドラゴン】を召喚!!」
「なにっ?!」
キシンとツトムの居る試合場を、激流が飲み込み、やがて1体の龍の姿となる。
【守護龍 スプラッシュ・ドラゴン】
SF【7】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【スプラッシュ】
DG【0】
LP【7000】
新倉ツトム:手札【3】
:フォース【▽▼▼▼▼▼▼▼】
「お前みたいな奴が、守護龍のカードを……」
「その言い方じゃ、お前は守護龍のカードを持ってないみたいだな」
「うるせーよ。守護龍のカードなんか無くったって、お前になんかに遅れを取るような俺じゃねえ!!」
「精々ほざいてろよ。スプラッシュ・ドラゴンのトライブアビリティ発動! 激流の衝動!」
【守護龍 スプラッシュ・ドラゴン】
【トライブアビリティ】
【起】(COST:手札3枚をジャンクゾーンに送る)
┗あなたはコストを支払うことで以下の中から効果を1つ選んで適用できる。この起動効果は相手ターンのセットフェイズ終了時にも発動できる。
・【永】:このターンのエンドフェイズまで、互いのプレイヤーは手札のカードをジャンクゾーンに送れない。
・【永】:このターンのエンドフェイズまで、フィールド上の全てのガーディアンが受けるダメージ量は0になる。
新倉ツトム:手札【0】
「俺は、自分の手札3枚をジャンクゾーンに送り、手札のカードをジャンクゾーンに送れなくする永続効果を選択する!」
「くっ……手札のカードをジャンクゾーンに送れない、か」
手札のカードがジャンクゾーンに送れないということはつまり、カウンターカード等の効果処理終了後に捨て札となってジャンクゾーンに送られる場合やプリベントアビリティのように効果処理としてジャンクゾーンに送られる場合またはディヴァイントライブのように起動コストとして手札のカードをジャンクゾーンに送る等のカードを全て封じるということだ。
「ダイスステップ!」
ツトムの宣言と共にマスターズギアが数字をランダムに1つ決める。
【6】
【守護龍 スプラッシュ・ドラゴン】
【1】【2】【3】【4】【5】【6】……相手のアタックガーディアンにXダメージを与える。(Xの値は、あなたのジャンクゾーンに存在する【スプラッシュトライブ】のガーディアンの種類×500)
新倉ツトム:フォース【▼▼▼▼▼▼▼▼】
「フォースを消費してバトルフェイズ! 俺のジャンクゾーンに存在するスプラッシュトライブの種類は13種類、よって6500のダメージをアラハバキに与える!」
「くっ!!」
キシンは自分のマスターズギアに表示されるカードを見る。しかし、これらのカードはスプラッシュ・ドラゴンの効果によって使用できない。
舌打ちしつつ、マスターズギアの液晶の表示を手札からジャンクゾーンに存在するカード一覧に切り替える。
そしてとある1枚のカードをタッチする。
「ジャンクゾーンからカウンターアビリティを発動!」
「なっ、ジャンクゾーンから?!」
【鬼神器 オーガ・シールド】
【カウンターアビリティ】
【自】(カウンターステップ時)
┗この効果は相手のバトルフェイズ中にこのカードがジャンクゾーンに存在する場合にのみ、発動できる。このカードをアシストゾーンに召喚し、アタックアビリティのダメージ効果の対象をこのカードに変更する。この効果を発動したターン、このカードはジャンクゾーンに送られずに自分の山札の一番下に置く。
「ジャンクゾーンより現れ、アラハバキを守る盾となれ!」
【鬼神器 オーガ・シールド】
SF【0】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【オーガ】
DG【0】
LP【50】
「そして、アラハバキを対象とした6500ダメージは代わりにオーガ・シールドが受ける」
「くそ! まさかこんな手で俺の攻撃をかわすとは……っ!!」
【鬼神器 オーガ・シールド】
DG【0→6500】
LP【50→0】
ライフが0となったオーガ・シールドはジャンクゾーンに送られずにデッキボトムに戻る。
「さあ、どうする。お前の手札は0枚、もう逆転のチャンスは無いぜ」
「……まだだ。俺は、サレンダーだけはしない!! ターンエンド!」
「なら、俺のターンだ!!」
キシンは一度深呼吸をして、マスターズギアに「ドロー!」と呟く。
「フォースチャージして、追加ドロー!」
鬼塚キシン:手札【4】
:フォース【▽▽▽】
「俺は手札からアシストガーディアン【鬼神器 オーガ・カリバーン】を召喚!」
【オーガ・カリバーン】
SF【0】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【オーガ】
DG【0】
LP【400】
鬼塚キシン:手札【3】
「アラハバキのトライブアビリティを発動! 涙の怒り! 俺のジャンクゾーンには6枚の鬼神器が眠っている。よって12000ダメージを与える!」
鬼塚キシン:フォース【▽▽▼】
「くそ……」
ツトムは項垂れる。ツトムの手札は既に0枚、スプラッシュ・ドラゴンのトライブアビリティには3枚の起動コストが必要であるため発動できない。当然、カウンターカード等による防御もできない。
「フォースを1枚消費してバトルフェイズ! 行け、アラハバキ! 守護龍をぶっ潰せ!!」
鬼塚キシン:フォース【▽▼▼】
「……フブキさん、ヒョウザンさん……すんません」
アラハバキはオーガ・カリバーンを携え、スプラッシュ・ドラゴンを一刀両断する。
【守護龍 スプラッシュ・ドラゴン】
DG【0→12000】
LP【7000→0】
スプラッシュ・ドラゴンが消滅したことで3Dバトルシステムも終了、並びに先鋒戦の決着が着いた。
〈決まったーーっ!!! 互いの効果と効果をぶつけ合う先鋒戦、制したのはトライブの不利を覆した鬼塚キシン選手のオーガトライブだ!! 阿久麻学園、まずは1勝を勝ち取った!!〉
「……」
キシンは項垂れるツトムを見て、一言呟く。
「アンタがどんな思いでここに立ってるかなんて知らないし、知りたくもない。だが、カードマスターとして、俺はお前に敬意を払う。それだけは確かだぜ」
「っ!?」
立ち去るキシンの後ろ姿を見て、ツトムもまた選手控え席に向かう。
「惜しかったな、ツトム」
ツトムを出迎えたのはフブキだった。
「結果論だが、守護龍を召喚するのをあと1ターン遅めてれば、勝っていたかもしれない」
ヒョウザンもツトムのバトルの分析を言い、決してお前のバトルに落ち度があったわけではないことを間接的に伝える。
2人の言葉にツトムに俯き、「本当にすんません」と消え入りそうな声で呟いた。
そんなツトムの様子にシュウスケが立ち上がり、ツトムの肩に手を乗せる。
「んじゃあ、次は俺に任せな。俺が次に繋いでやるよ」
「……分かった。頼むぞ、シュウスケ」
「おう」
そのままツトムと入れ替わる形でシュウスケが試合エリアへ向かった。
一方で阿久麻学園。
マヤカはキシンに労いの言葉をかける。
「おつかれ、キシン。それにしてもアンタが相手に敬意を払うなんて珍しいわね」
「別に。ただ、アイツは俺と同じで、負けられない意地を持ってた……それだけだ」
「……そう」
それを聞くとマヤカは「さてと」と言って立ち上がる。
「次の試合、ぱぱっと終わらすわね」
そう言うと、ギンカクに目を向ける。
「ギンカク。東條フブキと決着、着けたいわよね?」
「お前、まさか……」
ギンカクは目を見開くが、マヤカは「ふふん♪」と何か良からぬことを企んでいそうな表情を浮かべて試合エリアにへと向かった。
〈さあて、先鋒戦が終了して中堅戦! 続いての対決はこの2人だ! 阿久麻学園からは1キルの女王の異名を持つカードマスター、鬼桜マヤカ! 対する吹雪学園からは先鋒戦の新倉ツトム選手同様、新鋭ルーキーの松本シュウスケ! さあて、今度のバトルはどのような結果になるのか、とても楽しみだぁぁぁ!!〉
「さてさて、精々道化な踏み台になりますか」
マヤカは不気味に笑っていた。
【次回予告】
マヤカの仕掛けたまさかのハプニングにより、勝負は大将戦にへと持ち越されることとなる。
ギンカクとフブキ、2人の思いがぶつかり合う。そしてバトルは、まさかの展開を迎える。
次回、【受け継がれる想い】




