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TCG バトル・ガーディアンズ  作者: あんころもちDX
第2章・全国大会編
58/66

BATTLE:045【王の企み】

 更新が遅くなってしまい、申し訳ありませんでした!

 やっと第1回戦終了です。


※2018年1月14日追記

:シナリオの見直しに伴い、王ミツエの使用カードを変更しました。

 迷宮戦・1時間20分経過――。



「……もう残り時間も半分くらいか」


 イクサは迷宮の中腹あたりにいた。ここまでカードバトルは2戦。

 カオストライブ使用の制約上、戦えるのはあと一度きり。なるべく相手を見極めた上でカードバトルを行いたいところだ。


「皆はもうゴールしたかな。ここまで来ると半分くらいのチームが敗退したと思うから、迷宮内にいる選手の数も少なくなってるといいんだけどな」


〈マスター、あまり無理はしないように〉


 そうイクサに語りかけるのは、カオス・ナイトだ。


「ありがとう。でも、なんとかやってみるよ」


〈……承知しました〉


 カオス・ナイトは頷き、イクサの言葉に黙って従う。



【Warning!!】


 その時、イクサのマスターズギアが警告音を鳴らした。

 近くにカードマスターが存在していることを示している。


「っ!!」


 イクサは思わず駆け出す。まだこの段階で遭遇するわけにはいかない。

 ここでカードバトルをしてしまえば、もうイクサに後は無いのだから。せめて迷宮の終盤までカードバトルは控えるべきだろう。


「こんな所で、倒れるわけには……!!」


「ずいぶんと必死だねぇ」


「?!」


 突然響いた少女の声に、イクサは思わず足を止めて声のした方向を見上げる。

 そこには木の枝に腰かけてイクサに笑いかける少女が1人いた。傍らには少女の従えるガーディアンの姿が見えないが、彼女の右手首にマスターズギアが装着されているため、大会に参加しているカードマスターであることが伺える。


「キミは……」


「ふふ、そう恐い顔しないでよ。……よっと」


 少女は軽い身のこなしで木の枝から飛び降りる。

 互いのマスターズギアから【Battle-Mode】という電子音が鳴り響く。

 その電子音にイクサは苦虫を噛み締めた表情を浮かべる。


(しまった。つい気を取られて……)


「あらら、バトルモードになっちゃったね。私としても、もう少し昼寝したかったんだけど……まあ、そろそろ動かないとゴールまで間に合わないか」


 うーん、と屈伸してからイクサに向き直る。


「自己紹介がまだだったね。私の名前は【王 ミツエ】。八聖高校の主将だよ」


「八聖高校……沖縄代表の」


「そう。でもまあ、私は別にバトルしなくてもいいんだけどね」


「え、バトルしなくても……いい?」


 ミツエは無邪気に笑いながら言う。


「うん。もうこの先にはカードマスターはいないし」


「……どうして、そう思うんですか?」


「だって、ここからゴールまでのルートに存在するカードマスターは全員、私が倒しちゃったからだよ」


「っ?!」


 ミツエの言葉にイクサは固まる。

 今、ミツエは何と言った? この先に存在するカードマスターを全て倒した。それも彼女1人で。


「まあ、チーム5人はそれぞれバラバラのルートだから、同じチームメンバーが同一のルートに存在することは無いみたい。心配しなくても、キミのチームメンバーは倒してないよ」


 ミツエはそう言うと、「さてと」と言ってイクサと距離を詰める。


「さて、じゃあキミはどうしようかな。この先にカードマスターはいない。私達の後ろにはまだゴールに到達できていないカードマスターがたくさんいるだろうけど、少なくとも……ここから先のルートに存在するのは私達だけ。早々にゴールしても暇なだけだから一度引き返して木の上でのんびり昼寝してたけど……どうする? 私とバトルする?」


「……」


 イクサは思案する。ミツエの言葉はとても信じられないが、もし仮に真実なのだとすれば、この先にはもうカードマスターは存在しない。つまり、これ以上のバトルをする必要はないということだ。

 それはイクサにとっても願ったり叶ったりである。

 イクサはマスターズギアを構える。


「ゴールが目前なら、戦わない道理はありません」


「そう……なら、始めようか」


 ミツエがそう声を漏らした瞬間、周りの木々がざわめきだした。

 イクサの傍らに控えていたカオス・ナイトは剣を握る手に力を籠めて構え、上空を見据える。


〈マスター……来ます!〉


「えっ…」


 イクサはカオス・ナイトの視線の先を見上げ、言葉を失う。

 今まで姿を見せなかったミツエのガーディアンの姿が、そこにあった。

 空を覆うほどの大きさを誇る龍――守護龍。巨大な翼を翻した白銀の体色が、イクサの視界に満ちる。


〈グオオオオオオオォォォォォォッッッッ!!!〉


 守護龍の咆哮に、イクサとカオス・ナイトはビリビリと痺れる。

 ミツエは守護龍を愛しげに見つめて呟く。



「さあ、行くよ。クレイジー・ドラゴン……」


 ミツエが率いる大型ガーディアン――【守護龍 クレイジー・ドラゴン】が大空から舞い降りた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 同時刻・ユキヒコとサイカ。



 ユキヒコとサイカ並びに彼らの後ろに控えるガーディアン達が互いに対峙していた。



「さあ、第2ラウンドと行こうか」


「くくく……面白い、面白いぞ東條ユキヒコ!!」


 2人は一斉に叫ぶ。



「「ダイス・セット!!」」



 今まさにカードバトルがスタートしようとしたその瞬間、



〈グオオオオオオオォォォォォォッッッッ!!!〉



「「っ?!」」



 地面を揺らすほどの咆哮が響き渡り、2人は周りを見回す。


「い、今のは一体……」


「声からして、大型ガーディアンか……」


 そしてふと遠くの空を見ると、クレイジー・ドラゴンの姿が確認できる。

 それを見てサイカは思わず舌打ちをする。

 

「クレイジー・ドラゴン……ミツエの奴、守護龍を喚んだのか」


「ふーん……その様子だと、あれはキミの知り合いのガーディアンなんだね」


「……まあ、な」


 ユキヒコの言葉をスルーし、あくまで平常心を保ってマスターズギアを構える。


「だが、私達はあくまで私達のバトルをしようじゃないか」


「そうだね。じゃあ、俺のターンだ、ドロー!」


 ユキヒコの「ドロー」という言葉によって、マスターズギアに表示されている液晶画面に手札となるカードが1枚追加された。


「フォースチャージして、追加ドロー!」


東條ユキヒコ:手札【5】

      :フォース【▽▽▽▽▽▽】


 ユキヒコはマスターズギアの液晶画面に映された5枚のカードを見つめる。


(さて、対抗策は思い浮かんだものの……どうしたものか)


 視線をそのまま自身の後方に控えているブリザード・ワーウルフに移す。

 ブリザード・ワーウルフは腹部を抑えて少し苦い表情を浮かべている。


(トリックトライブのトライブアビリティによってブリザード・ワーウルフには相手ターンにダメージを受ける永続効果が付与されている。そのダメージ量は現段階では5200、ブリザード・ワーウルフのライフは3200だからこのターンはアタックガーディアンを召喚せざるを得ない、か)


 ユキヒコはフォースを4枚裏状態にする。


「俺はフォースを4枚消費して、手札からアタックガーディアン【ブリザード・アーチャー】を召喚(サモン)!!」


東條ユキヒコ:手札【4】

      :フォース【▽▽▼▼▼▼】


【ブリザード・アーチャー】

SF【4】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【ブリザード】

DG【800】

LP【4000→3200】


「召喚成功のアピアステップ時、ブリザード・アーチャーのポテンシャルアビリティを発動!」


【ブリザード・アーチャー】

【ポテンシャルアビリティ】

【自】(このカードのアピアステップ時)

 ┗あなたは自分の手札からカードを1枚ジャンクゾーンに送り、自分の山札からカウンターカードを1枚選んで手札に加える。その後、その山札をシャッフルする。


「俺は手札のカードを1枚ジャンクゾーンに送り、デッキからカウンターカードを1枚手札に加える!」


「……」


 サイカは自身のマスターズギアに目を向ける。相手の情報を開示するパネルをタッチし、フォースの枚数に注目する。


(東條ユキヒコのチャージゾーンに存在する表状態のフォースは2枚、内1枚はバトルのために使用するとして、残り1枚はカウンターカードを使用するためであるのは明確。ブリザード・アーチャーの効果で手札に加えたカウンターカードは【氷結の一撃】。フォースを2枚消費して手札を1枚捨てることでカウンターステップを発動させたカード効果を無効にするカウンターカード……だが、自分のアタックガーディアンがブリザードトライブならば、消費するフォースは1枚で良い効果を持つ……)


 思わずフッと笑みを溢す。


(次の私のターンの攻撃を防いで自分のターンに繋げるつもりだろうが、それは甘いぞ)


 ユキヒコのデータ表示を閉じて自分のデータを表示する。裏状態で存在しているチャージゾーンのカード一覧が映る。


(まだ私のチャージゾーンには罠が仕掛けてある。次のターンまで待たず、ここで終わらせてやる)


 そして、ユキヒコの所属である【東栄学園】の文字を見て自身のチームメイトであるミツエに心の中で謝罪する。


(すまないな、ミツエ。いくら孤高アイズの命令でも譲れないものがあるんだ……東栄学園は――いや、東條ユキヒコはここで私が潰す。恨まないでくれ)


 一方でユキヒコは自分の手札を見る。トリックトライブはブリザードトライブ同様にカウンター戦術を得意とするトライブ。つまりこの戦いは、先に相手の読みを上回った方が勝つと言っても過言ではない。

 この手札で果たしてサイカのトリックトライブの戦術の一歩先を行けるのか思案する。

 ユキヒコはマスターズギアを操作してサイカのフィールドを確認する。


(久遠さんのチャージゾーンにはまだ裏状態のカードが3枚、恐らくトリック・ジャグラーマンのカウンターアビリティによってこの3枚の内のどれかが表状態になるはずだ)


 チャージゾーンで裏状態となっているカードを確認して眉間に皺を寄せる。


「ダイスステップ!」


 マスターズギアが1から6までの数字をランダムに1つ決める。


【4】


【ブリザード・アーチャー】

【1】【4】……相手のアタックガーディアンに1000ダメージを与える。相手の表状態のフォースが2枚以上である場合、相手の手札を1枚選んで相手の山札の一番上に置く。

【2】【5】……あなたは自分の山札からカウンターカードを1枚選んで自分の手札に加える。その後、その山札をシャッフルする。


「フォースを1枚消費して、バトルフェイズ! 行け、ブリザード・アーチャー!!」


〈承知!〉


 ブリザード・アーチャーは弓を構え、氷の矢を引く。


東條ユキヒコ:フォース【▽▼▼▼▼▼】


 サイカはニヤリと笑う。


「ならば、トリック・ジャグラーマンのカウンターアビリティを発動!」


〈はいはい~!〉


【トリック・ジャグラーマン】

【カウンターアビリティ】

【自】(カウンターステップ時)

 ┗あなたは自分の裏状態のフォースを1枚選んで表状態にする。この効果は1ターンに一度しか発動できない。



「私は裏状態のフォースを1枚選んで表状態に変更!」


久遠サイカ:フォース【▽▽▽▼▼】


「フォースが裏状態から表状態となったことでトライブアビリティ発動! 炸裂する奇術師の罠トラップ・エクスプロージョン!!」


【無垢なる奇術師 アンド・ネット】

【トライブアビリティ】

【自】(チャージゾーンに存在するこのカードがカード効果によって裏状態から表状態になった時)

 ┗自分と相手のアタックガーディアンをそれぞれ1枚ずつ選び、選んだガーディアンのDGが共に2000以下だった場合、以下の永続効果を相手のアタックガーディアン1枚を選んで与える。

【永】:相手のドローフェイズ時、このガーディアンは相手のアタックガーディアンのDGの数値のダメージを受ける。


 アンド・ネットが出現し、ブリザード・アーチャーに襲いかかろうとする。

 ブリザード・アーチャーは慌てることなく矢の目標をアンド・ネットに変更する。


「新しいガーディアンを召喚して永続効果を消そうが、もう一度永続効果を与えるまでだ!!」


 ブリザード・アーチャーの1000ダメージが通ればトリック・ジャグラーマンのDGは3600となり、次のサイカのターンのドローフェイズ開始時にブリザード・アーチャーは3600ダメージを受ける。そうなってしまった場合、残りライフ3200のブリザード・アーチャーのライフが0となり、ユキヒコの敗北が決定する。

 サイカの言葉に、ユキヒコは「フフ」と笑う。


「こちらの効果で発生したカウンターステップ、それはトリック・ジャグラーマンに譲るよ、そっちに優先権があるからね。だけど……」


 そしてマスターズギアの液晶に表示されたカードをタッチする。


「アンド・ネットのトライブアビリティによって発生したカウンターステップは、俺がもらう! カウンターカード【氷結の一撃】発動!!」


「な、何?!」


【氷結の一撃】

Force【2】

【カウンター】

【自】(カウンターステップ時)

 ┗あなたは自分の手札からカードを1枚ジャンクゾーンに送り、カウンターステップを発生させたカード効果を無効にする。この効果によって無効にされても、相手のアタックガーディアンは【弱体化】しない。あなたのフィールドに【ブリザードトライブ】のアタックガーディアンが存在する場合、このカードはForce【1】のカウンターカードとなる。



「フォース1枚を消費し、手札を1枚ジャンクゾーンに送ってアンド・ネットのトライブアビリティを無効にする! 貫け、ブリザード・アーチャー!!」


〈……射る!〉


 ブリザード・アーチャーはアンド・ネットに向かって氷の矢を放った。

 矢がアンド・ネットに命中すると、アンド・ネットは瞬く間に氷漬けとなった。


〈そ、そんな……っ!!〉


 それだけ漏らすとそのまま砕け散った。ブリザード・アーチャーの鮮やかな狙撃、まさに氷結の一撃と呼ぶに相応しい。


東條ユキヒコ:手札【2】

      :フォース【▼▼▼▼▼▼】


 そしてアンド・ネットを貫いた氷の矢は勢いを止めずにトリック・ジャグラーマンとサイカのマスターズギアにも命中する。

 マスターズギアの液晶画面からカードが1枚消えた。


「ちっ…!」


〈いった~い!!〉


【トリック・ジャグラーマン】

DG【2600→3600】

LP【1400→400】


久遠サイカ:手札【1】


「これで俺のターンは終わりだよ」


「ならばこのエンドフェイズ時、ジャンクゾーンからポテンシャルアビリティを発動する!」


【トリックアシスタント アポォ】

【ポテンシャルアビリティ】

【自】(エンドフェイズ時)

 ┗ジャンクゾーンに存在するこのカードをアシストゾーンに召喚できる。この効果は相手のエンドフェイズ時にも発動できる。



「よって、フォースを3枚消費してアポォを召喚(サモン)!」


【トリックアシスタント アポォ】

SF【3】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【トリック】

DG【0】

LP【1400】


久遠サイカ:フォース【▼▼▼▼▼】


〈ハァーイ、マスター! お呼びですかぁ?〉


「ああ。私のターン、ドロー!」


 マスターズギアの液晶にカードが追加される。


「フォースチャージして、追加ドロー!」


久遠サイカ:手札【2】

     :フォース【▽▽▽▽▽▽】


 サイカは自身の手札を見る。そして小さく笑う。


「なるほどな、トリックトライブの効果はあくまでもトライブアビリティでカウンターアビリティではない。トライブアビリティによって発生するカウンターステップ時に貴様お得意のカウンターカードを叩き込むことで、貴様は私の戦略を打開したということか」


「ブリザード・ワーウルフが教えてくれたんだ。トリックトライブとブリザードトライブは同じカウンター戦術のトライブであっても、その働きは大きく違うと。キミのトリックトライブの決め手はあくまでもトライブアビリティ、だけどこっちの決め手はカウンター効果だ。ならば、俺のブリザードトライブがキミのトリックトライブの戦術に追いつけない道理は無い」


「……そうか、やはり貴様は潰し甲斐がある」


 サイカはマスターズギアの画面を操作してアポォのカードをタッチする。


「アポォのアシストアビリティを発動!!」


〈出番キター!!!〉


【トリックアシスタント アポォ】

【アシストアビリティ】

【起】(COST:フォースを1枚消費する)

 ┗このターンのエンドフェイズまで、あなたの手札のガーディアンカードのSFは相手のアタックガーディアンのSFと同じになる。



久遠サイカ:フォース【▽▽▽▽▽▼】


「これで私の手札にある全てのガーディアンはSF【4】となった! 私はフォースを4枚消費して、手札からアタックガーディアン【奇術賭博王 アードネス】を召喚(サモン)!!」


【奇術賭博王 アードネス】

SF【6】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【トリック】

DG【3600】

LP【6000→2400】


〈さあ、ショータイムと行こうか〉


久遠サイカ:手札【1】

     :フォース【▽▼▼▼▼▼】


「そして、手札からドメインカード【アードネス・カラーチェンジ・ショー】をセット!」



【アードネス・カラーチェンジ・ショー】

【ドメイン】


「ダイスステップだ!」


 マスターズギアがサイコロの目をランダムに決める。


【6】


【奇術賭博王 アードネス】

【1】【3】……あなたは自分の山札からカードを1枚ドローする。

【4】【6】……相手のアタックガーディアンに2000ダメージを与える。このバトルフェイズ中、相手がカウンター効果を発動しなかった場合、このカードは1000リペアする。


久遠サイカ:フォース【▼▼▼▼▼▼】


「フォースを1枚消費してバトルだ! やれ、アードネス!!」


〈我がとっておきの奇術、お披露目しよう〉


「さあ、東條ユキヒコ! カウンター効果を発動させるか?」


「……」


 ユキヒコは自分の手札を確認し、首を横に振る。


「いや、発動させない」


「ならば、アードネスのカウンターアビリティを発動する!」


「っ?!」


【奇術賭博王 アードネス】

【カウンターアビリティ】

【自】(カウンターステップ時)

 ┗自分の裏状態のフォースを2枚選んで表状態にする。この効果は1ターンに三度しか発動できない。


「よって、俺は裏状態のフォースを2枚表状態にする!」


久遠サイカ:フォース【▽▽▼▼▼▼】


「そしてこの瞬間、2つのトリックトライブのトライブアビリティか発動する、炸裂する奇術師の罠トラップ・エクスプロージョン(ダブル)!!」


【トリック・ルナン】

【トライブアビリティ】

【自】(チャージゾーンに裏状態で存在するこのカードがカード効果によって裏状態から表状態になった時)

 ┗相手フィールド上のガーディアン1体を選んで500ダメージを与え、相手の山札からカードを5枚ジャンクゾーンに送る。



【トリック・シャナン】

【トライブアビリティ】

【自】(チャージゾーンに裏状態で存在するこのカードがカード効果によって裏状態から表状態になった時)

 ┗相手の手札を1枚選んでジャンクゾーンに送り、あなたは自分の山札からカードを1枚ドローする。



「ルナンの効果によって500ダメージを与えた後にデッキからカードを5枚ジャンクゾーンに送り、シャナンの効果によって貴様の手札を1枚ハンデスし、カードをドローする!」


 アードネスは手に持っているステッキをクルクル回す。


〈これだけでは無いだろう、マスター?〉


「ああ、勿論だ。アードネスのトライブアビリティ! 炸裂する奇術師の罠トラップ・エクスプロージョン!!」



【奇術賭博王 アードネス】

【トライブアビリティ】

【永】

 ┗このカードがアタックゾーンに存在している限り、あなたのチャージゾーンに存在する全てのカードは以下の永続効果を得る。

【永】:チャージゾーンに存在するこのカードがカード効果によって裏状態から表状態となった場合、あなたは自分の山札からカードを1枚選んでチャージゾーンに裏状態で置き、このカードを自分の山札に戻す。その後、その山札をシャッフルしてあなたは自分の山札からカードを1枚ドローする。


「よって、デッキからカードをチャージゾーンに裏状態で置いてルナンとシャナンをデッキに戻す」


久遠サイカ:フォース【▼▼▼▼▼▼】


「そしてドローする時、ドメインカードである【アードネス・カラーチェンジ・ショー】の永続効果だ」


【アードネス・カラーチェンジ・ショー】

【永】

 ┗このカードがドメインゾーンに存在し且つあなたのアタックゾーンに【アードネス】と名の付くガーディアンが存在する限り、あなたは自分の山札からカードをドローする場合、ドローする前に山札の上からカードを3枚閲覧してその中から1枚選んで山札の一番上に戻し、残りのカードを山札の一番下に好きな順番に並べて置く。


「よってドローする前にデッキトップからカードを3枚閲覧して1枚だけデッキトップに戻し、残り2枚をデッキボトムに沈める。そして合計2ドロー!」


久遠サイカ:手札【2】


「不要になったチャージゾーンのカードを入れ換えつつ、手札補充、しかも実質山札の上から6枚の中から必要なカードを2枚手札に加えるとはね」


「だが、まだ終わらないさ」


「なに……?」


「アードネスのカウンターアビリティは1ターンに三度発動できる。そして、ルナンとシャナンのトライブアビリティによって2つのカウンターステップが平行して発生している」


「……なるほど」


「このまま行けば、更なるトライブアビリティの連鎖を生むだろう。さあ、ルナンとシャナン、いずれかのカウンターステップ時に発動するカウンター効果はあるか?」


「……」


「フフ、あるわけが無い。貴様のフォースは全てが裏状態だ、この状態で発動できるカウンター効果など――」


「なら、俺はシャナンのカウンターステップ時にカウンターカード【氷結の一撃】を発動する!」


「っ?!」


【氷結の一撃】

Force【2】

【カウンター】

【自】(カウンターステップ時)

 ┗あなたは自分の手札からカードを1枚ジャンクゾーンに送り、カウンターステップを発生させたカード効果を無効にする。この効果によって無効にされても、相手のアタックガーディアンは【弱体化】しない。あなたのフィールドに【ブリザードトライブ】のアタックガーディアンが存在する場合、このカードはForce【1】のカウンターカードとなる。


 サイカは目を剥いてユキヒコを見つめる。


「ば、馬鹿な……氷結の一撃はフォースを2枚要求するカウンターカードだ。フィールドにブリザードトライブのアタックガーディアンが居ようとも、フォース1枚は要求される。発動できるはずが無い!」


「キミのアードネスに永続効果のトライブアビリティがあるように、俺のブリザード・アーチャーにも永続効果のトライブアビリティがある! 絶対零度の凍結ゼロ・アイシクルバインド!!」


【ブリザード・アーチャー】

【トライブアビリティ】

【永】

 ┗このカードがアタックゾーンに存在している限り、あなたが自分のForce【1】以下のカウンターカードを使用する場合、フォースを消費せずに発動できる。


「氷結の一撃は自身の効果でForce【1】のカウンターカードだから、ノーコストで効果を発動! 手札を1枚捨てて、シャナンの効果は無効となる!」


東條ユキヒコ:手札【0】


「だ、だがまだルナンの効果は生きている!」


「なら、そのカウンターステップも俺が使わせてもらうよ! ブリザード・アーチャーのカウンターアビリティを発動!」


「なっ?!」


【ブリザード・アーチャー】

【カウンターアビリティ】

【自】(カウンターステップ時)

 ┗あなたの手札が0枚である場合、あなたは自分の山札からカードを1枚ドローする。


「この効果により、俺はデッキからカードを1枚ドローする」


東條ユキヒコ:手札【1】


「さあ、これでアードネスの再度のカウンターアビリティ発動はできないよ」


「……ダメージステップだ」


 シャナンの効果は氷結の一撃によって封じられたので、アードネス自身のダメージ効果とルナンの効果処理が行われる。

 合計ダメージは2500、そしてユキヒコの山札が5枚削られる。


【ブリザード・アーチャー】

DG【800→3300】

LP【3200→700】


「エンドフェイズ時、アードネスの自動効果発動……」


【奇術賭博王 アードネス】

【ポテンシャルアビリティ】

【自】(エンドフェイズ時)

 ┗あなたは自分の手札からカードを3枚選んでジャンクゾーンに送る。手札が2枚以下の場合は全ての手札のカードをジャンクゾーンに送り、手札が0枚の場合は山札からカードを10枚ジャンクゾーンに送る。


「よって、私は全ての手札をジャンクゾーンに送る」


久遠サイカ:手札【0】


「ターン、エンド……」


 サイカは苦々しい声を漏らす。

 すると、耳に装着していた小型イヤホンからミツエの声が響く。


〈サイカ、潮時だよ。さっさと離脱してゴールしなよ〉


「っ!? ……ミツエ、もう少しで終わる。私にやらせろ」


〈いいや、ダメだ。それ以上続けるのなら、処分対象と見なす〉


「……了解」


 納得がいかない思いを飲み込みつつ、マスターズギアを操作する。


【Survival-Mode】


 サイカの行動にユキヒコは目を見開く。


「勝負はお預けだ、東條ユキヒコ。次戦う時は、2回戦以降だ」


 サイカはアードネスに手を差し出す。


「アードネス、行くぞ」


〈良いのかい、マスター?〉


「……必ず決着は着けるさ」


〈オーライ。しっかり掴まりな〉


 そう言うと、アードネスはサイカの肩に腕を回してサイカが落下しないように固定し、そのまま空を翔んでゴールを目指す。

 ブリザード・アーチャーは弓にセットした矢の標的をアードネスに定める。


〈マスター、追いますか?〉


「……いいや、俺達もゴールを目指そう。正直言って、勝負はギリギリだったと思うし」


 マスターズギアの液晶画面に表示されたたった1枚の手札、それはブリザード・ドラゴンのカードだった。


「相手のエースガーディアンの能力は把握できたし、こっちのエースガーディアンを披露せずに終えられたんだ。……何より、これを使わずに済んだのは大きい」


 そのまま、ユキヒコはゴールを目指して走り出した。





◇◇◇◇◇◇



「あーあ、まさか貴方に邪魔されるとはね」


「聖野イクサは僕の獲物だ、横取りは一切許さん」


 ミツエを睨み付けて対峙しているのは、孤高センリだった。

 ミツエは「あーあ」と溜め息を吐き、数十分前の出来事を思い出す。

 これから始まるであろう楽しいイクサとのバトルに心踊っていたところにセンリがやって来てしまったのだ。

 それだけではなく、センリのマスターズギアの特別権限によって強制的にバトルモードをサバイバルモードに変更されてしまった。

 イクサはセンリからゴールを目指すように言われたため、この場には既にいない。


「ずいぶんとご執心だねぇ。それにしてもミスったなぁ、キミがここまで辿り着くのはもう少し後だと思ってたのに」


「“あれ”は貴様の差し金か」


「正確には、キミのお父様のだけどね」


「父上からだと?」


「そっ。駄目だよぉ、キミ。感動の親子の再会を邪魔しちゃ」


「……どういう意味だ?」


「あはは、本当は分かってるくせに」


 ミツエの両眼の内、右目の方が金色に変色する。

 その光景にセンリは目を見開く。


「貴様、まさか……」


「『私/俺』達は聖野イクサを孤高アイズの元に無事に届けるエスコート役。キミが来なければ、全部丸く収まってたのに」


「……」


 恐らくセンリが来なければ、イクサはミツエの手によってアイズのもとへと秘密裏に連れて行かれてたのだろう。

 センリは無表情でマスターズギアを構える。

 ミツエは楽しそうに「あは♪」と笑う。


「なに、どうしちゃったの? そんな怖い顔しちゃって」


「父上の息子は僕ただ1人。貴様は、もはや不要な存在だ」


「『私/俺』達が、不要な存在? だからここで消すって? あはは、それは違うよ。不要なのはキミの方だよ。何もかもが偽物だらけのセンリくん?」


「貴様……」


 センリのドスの利いた声に、ミツエはブルッと震えながらニヤニヤと口元を痙攣させる。


「その表情たまんないなぁ。でもごめんね、サイカにゴール目指せって言っちゃったからにはこれ以上キミと無駄な時間を過ごす気は無いよ」


 そう言うと、ミツエはクレイジー・ドラゴンの背に乗っかってそのままゴールにへと飛び立った。



 1人残されたセンリは手を強く握り締める。



「聖野イクサの前にまずは貴様から仕留めてやろう……王ミツエ」

【次回予告】


 激戦となった第1回戦、チームメンバー全員がゴールにへと辿り着くことができたのはたったの7チームのみ。

 そして発表される対戦カード。


吹雪学園vs阿久麻学園

東栄学園vs炉模工業高校

孤高学園vs界演学園

シード:八聖高校


 この全国大会、果たして最後に残るのはどのチームとなるのか!


 次回、【鬼神の意地】


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