BATTLE:037【それぞれの葛藤】
お久しぶりです、皆さん。今回のカードバトルはノーカットのため、かなり長いのでご了承下さい。
また、今回は超人カットマンさんの投稿してくださった【シンクロトライブ】の登場です!
【ユキユメ旅館】
日も暮れてきた頃、イクサ達東栄学園の面々は、本日宿泊するユキユメ旅館にへと足を運んでいた。
ここへ来る道中も、界演学園のセカイが「ウチ達もユキユメ旅館に泊まるー!」と言って騒いだりと一悶着があったりしたのたが、なんとか解決して今に至る。
「結構大きな旅館ですね」
イクサが宿の外観を見て目を見開いていると、ユキヒコは笑う。
「うちの叔父が経営してる宿でね、数日間合宿で使わせてほしいと頼んだら、快くオーケーしてくれたんだ」
「東條部長の叔父さん、ですか」
「うん、それと――」
「はあっ!!」
すると、何者かがユキヒコに向かって竹刀を振り上げ、襲いかかった。
ユキヒコは「おっと」と言って軽くかわし、自身に襲いかかってきた人物に笑いかける。
「フブキ姉さんも、お元気そうで何よりです」
「……勘は鈍ってないようだな、ユキ」
凛とした雰囲気を持った少女は竹刀を肩にかける。
一瞬の出来事に、ユキヒコを除く東栄学園の面々は言葉を失う。
ユキヒコは全員に少女を紹介する。
「皆、彼女は俺の従姉の『東條 フブキ』。叔父の娘さんだよ」
「フブキでいい。『東條』では、ユキと被るからな」
「フブキ姉さんは吹雪学園の部長なんだ。そういえばフブキ姉さん、今年は面白いメンバーでの出場らしいね」
「ん? ああ、まあな。私とヒョウザン以外は、初等部のメンバーだ。……全く、うちの中等部と高等部はつくづく弛んでいる」
「初等部の子が、3人も?」
さすがのユキヒコも驚きを隠せないのか、言葉に詰まる。
「しょ、将来が楽しみだね」
「そうだな。だがそれよりも、うちの中高等部連中の性根を叩き直すのが先だ」
フブキはイクサ達に向き直る。
「まあ、歓迎する。吹雪学園の面々もいるが、仲良くしてくれると助かる。あと、うちの初等部はイタズラ好きだから注意してくれ。何か問題が起きるようなら、私を呼んでくれても構わない。これでも捻くれた従弟がいて、子どもの躾は得意なんだ」
「……捻くれた従弟って、俺のこと?」
「さあな」
フブキは「ふふ」と笑うと、ユキヒコに手を振りながら去って行った。
イクサは遠慮がちにユキヒコに話しかける。
「な、中々濃い人ですね」
「あの人は昔からああなんだよね、全く」
ユキヒコはやれやれと肩を竦めると、イクサ達に向き直る。
「それじゃあ、ここからは各自自由行動だ。ここの旅館にもカードショップがあるから、明日の練習に向けてそこに行くのも有りだ。特にご当地パックも販売されてるから、デッキ強化に大いに役立つはずだ」
ユキヒコがそう言うと、全員は解散して自由行動を取る。
女性陣は集まり、会話に花を咲かせている。
「早乙女さん、園生さん! お風呂入りに行きませんか!」
「お、いいね!」
「リンナは1度寝たいのだー」
イヤイヤと首を横に振るリンナの腕をカイリとナミが掴む。
「そう言わずに行きましょうよ~!」
「1日の疲れを癒しに行かないとダメだよ、園生先輩!」
「うぅ~……ユキヒコ、助けてなのだー」
突然呼ばれたユキヒコはリンナの方へ向く。助けを求めるリンナの背後で、カイリとナミがユキヒコを睨む。
ユキヒコは笑顔を崩さずに涼しげに言う。
「リンナ、どうせ寝るなら1度風呂に入ってからの方がいいんじゃないか? うちの旅館は疲労回復の効能があるから、1度入ればきっと気持ちよく寝れるぞ」
「……なるほど、なのだー」
ユキヒコの言葉を受けて、リンナはカイリ達と共に露天風呂へと向かった。
女性陣3人を見送ったユキヒコは額を拭い、イクサ達に向き直る。
「……さて、俺達男性陣はどうしようか」
男性陣であるイクサ、カイト、ユキヒコの3人。保護者として同伴しているカズノリは個人的な用事のために今はいない。
そんな中、イクサが案を出す。
「とりあえずカードショップに行こうかと」
「……俺も」
イクサの出した案に、カイトも賛成の声をあげる。ただ、その声は覇気の抜けたか細いものだった。
カイトの異変を察したユキヒコはイクサに言う。
「それじゃあ、聖野くんの案に乗るとしよう。ただ、聖野くんは先に行っててもらえるかな」
「え、俺だけですか?」
「うん。ちょっと戦宮くんと話したいことがあるからね」
「……え?」
自分の名が出てきたことにカイトは目を見開く。
イクサは不安そうな表情を浮かべながらも、ユキヒコに対して頷く。
「分かりました」
カードショップに向かうイクサ。その後ろ姿が見えなくなったのを頃合いに、ユキヒコはカイトに声をかける。
「それで、何か不満でもあるのかい、戦宮くん?」
「いや、俺は……」
「戦宮くん。この合宿が終わったら、大会を除いて俺がキミ達に部長としてのアドバイスを言ったり相談に乗れたりする時間は限りなく少ない。だから、何かあるならここで言ってほしい」
「……」
数秒の沈黙の後、カイトは小さく「部長には分かりませんよ」と呟いた。
だが、ユキヒコはそれを聞き逃さなかった。
「それはどういう意味だい?」
「俺の悩みは、部長には理解できませんよ」
「どうして?」
「……」
カイトは答えず、ユキヒコに背を向ける。
「俺、カードショップに行ってきます」
「待て。まだ話は終わっていない」
「だから、部長には分からないんですよ! 俺の抱えてる気持ちなんて!!」
「どうしてそう決めつけるんだい?」
「……質問に質問を返すようで悪いっすけど、部長は以前、イクサにこう言いましたよね?」
――仲間と共に強くなる。それは立派なことだ、素晴らしいとさえ思うよ。だけどね、その仲間だって、人間個人として見たら倒すべきライバルだ。いつかは蹴落とさなきゃいけない。なぜなら、それが強くなるってことだから――
「その意味が少しだけ、分かっただけです」
「……そうか」
ユキヒコは一度目を閉じ、カイトに言う。
「それなら今は、何も言わないでおくよ」
「……」
カイトはそのままカードショップにへと向かって走って行った。
「さあ、聖野くん。キミの進む道に早速、戦友が芽生えたよ」
「……ろくな忠告も無しとは、我が従弟はつくづく陰険だな」
フブキが背後からユキヒコに声をかける。
「フブキ姉さん、聞いてたの?」
「ああ。逃げた問題児たちを追っていたら、偶々な」
「そうですか。……でも、フブキ姉さんなら分かるでしょ? 一度仲間への認識が変化したのなら、どう折り合いを着けるかは、あくまで本人次第だってことは」
「なら、お前は折り合いが着いたのか」
フブキの言葉に、ユキヒコは手を強く握り締める。
「……俺は、折り合いが着く前に、相手がいなくなってしまった。折り合いを、着けざるを得なかった」
「そうか」
フブキは両腕を組み、壁にもたれ掛かる。
「折り合いが着いてるお前が羨ましいよ。私はまだ、お前の兄に対しての折り合いが着いていない。アイツが死んだ今でも、私はアイツの影を追いかけているのだから」
「そろそろ、墓参りにぐらい行ったらどうですか? 兄さんも寂しがってますよ、きっと」
「はっ、アイツが寂しがるような男なものか」
どことなく自嘲染みた笑みを溢し、少しだけ哀しみを含んだ声を出す。
「そうさ、アイツは……ユキマルは、そんな安い男じゃない」
☆☆☆☆☆☆
「イクサー、バトルー!!」
ユキユメ旅館の1階にあるカードショップにて、イクサはサクヤに絡まれていた。
イクサは苦笑しながらサクヤに言い聞かせる。
「わ、分かったからサクヤちゃん。あんまり騒がないで……」
「じゃあすぐやるのー!」
「あ、あはは」
サクヤにカードバトルを請われているイクサは、あまり乗り気ではなかった。それは、サクヤがイクサにカードバトルを請う理由が『イクサがセンリにネット上で勝った』だからである。
イクサにとって、あのバトルは勝ったとは言い難いバトル。サクヤとカードバトルをするのは、彼女を騙してるような気さえするのだ。
「イ・ク・サー!」
「……」
イクサは顔をしかめて考える。心の中ではサクヤとのバトルに乗り気でないが、同時に、サクヤは守護龍の使い手、若くして使い手に選ばれたサクヤと闘ってみたいと思う自分がいるのは否めない。
数秒の沈黙の後、イクサは首を縦に振った。
「……分かった。バトルをしよう」
「わーい!」
イクサとサクヤはカードショップ内のテーブルに腰かけてカードバトルの準備を整える。
各々のサイコロを手に持ち、同時に振る。
イクサ:【3】
サクヤ:【5】
「じゃあ、先攻は貰うね!」
「うん、分かった」
先攻はサクヤ、後攻はイクサである。
「「ダイス・セット!」」
「私の先攻ターン、ドロー! フォースチャージして、追加ドロー!」
獅童サクヤ:手札【6】
:フォース【▽】
ドローしたカードを手札に加え、スペルカードの効果を発動させる。
「手札からノーマルスペル【号令の雄叫び】を発動するよ!」
【号令の雄叫び】
SP【1】
【ノーマルスペル】
【起】(COST:手札のこのカードをジャンクゾーンに送る)
┗あなたは自分の手札から【シンクロトライブ】のガーディアンカードを1枚まで選んで相手に公開する。そうしたら、あなたはSFの合計値が公開したガーディアンカードのSFと同じになるようにガーディアンカードを3枚まで自分の山札から選んで手札に加える。その後、その山札をシャッフルする。(この効果で山札から手札に加えるカードは全てSF【1】以上でなければならない。)
「私が公開するカードは【守護龍 レオ・ドラゴン】。そのSFは7だから、デッキからSFの合計値が7になるようにガーディアンカードを手札に加えるよ!」
【マダムレオ】
SF【1】
【サーヴァント・ハイエナ】
SF【3】
【テリウム防衛部隊】
SF【3】
SFの合計値はレオ・ドラゴンのSF【7】と同じである。
サクヤは3枚のカードを手札に加えた。
獅童サクヤ:手札【8】
「これだけじゃ終わらないよ。フォースを1枚消費して、手札からアタックガーディアン【キングレオ】を召喚!」
獅童サクヤ:手札【7】
:フォース【▼】
【キングレオ・少年期】
SF【1】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【シンクロ】
DG【0】
LP【1000】
「そして、『レオ』と名の付くアタックガーディアンが召喚されたアピアステップ時、手札のこのカードが召喚される!」
【マダムレオ】
【ポテンシャルアビリティ】
【自】(あなたが召喚した【レオ】と名の付くガーディアンのアピアステップ時)
┗手札のこのカードをフォースを消費せずに召喚できる。
「来て、マダムレオ!」
獅童サクヤ:手札【6】
【マダムレオ】
SF【1】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【シンクロ】
DG【0】
LP【400】
「私のターンはこれでエンドだよ!」
「よし、俺のターン、ドロー!」
聖野イクサ:手札【6】
イクサはドローしたカードを確認する。
ドローしたカードは巫女ナイトだった。
(この局面だと、巫女ナイトを出すには追加チャージを選択するしかない。でも、そのためには手札を多く消費してしまう……)
チャージフェイズ時、イクサは手札のカードを1枚選んでフォースチャージする。
「フォースチャージして、追加ドローを選択!」
聖野イクサ:手札【6】
:フォース【▽】
イクサはフォースの枚数におけるアドバンテージより、手札枚数の保持を優先した。
(まだバトルは始まったばかり、相手の動きを探るためにも、手札を消費するわけにはいかない)
手札のカードを選択し、相手に見せる。
「手札からポテンシャルアビリティ発動!」
【カオス・ベビーナイト】
【ポテンシャルアビリティ】
【永】
┗相手フィールド上のアタックゾーンにガーディアンカードがあるなら、このカードはSF【0】として扱う。
「よって、ベビーナイトをノーコストで召喚!」
聖野イクサ:手札【5】
【カオス・ベビーナイト】
SF【1】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【カオス】
DG【0】
LP【1500】
イクサのカードに、サクヤは目を輝かす。
「うわぁ、これが噂のカオストライブかぁ!!」
その様子にイクサは笑い、さらに手札からカード効果を発動させる。
「さらに、手札からポテンシャルアビリティを発動する!」
【カオス・ロアー】
【ポテンシャルアビリティ】
【永】
┗自分フィールド上のアタックゾーンに【カオストライブ】のカードがあるなら、このカードをSF【1】として扱う。
「よって、フォースを1枚消費して、アタックガーディアン【カオス・ロアー】を召喚!」
聖野イクサ:手札【4】
:フォース【▼】
【カオス・ロアー】
SF【2】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【カオス】
DG【0】
LP【2500】
カオス・ロアーのカードを見て、サクヤは目を見開く。
「え、ロアーだ……」
イクサは首を傾げる。
「カオス・ロアーを知ってるの?」
「うん。キングレオのお友達」
「キングレオの?」
イクサの言葉にサクヤは大きく頷く。
「そう! でも気づいたらいなくなったんだよねぇ」
「……」
イクサはカオス・ロアーのカードを一度見て、手札の巫女ナイトを見る。
(そういえば、以前ナミが言ってたな。巫女ナイトはネネに似てるって)
カオストライブは各トライブから離反した者達で構成されたトライブ。
イクサは、なぜ彼らが元いたトライブから離反したのか疑問に思った。
キララという親友がいながらアイドルトライブから離反した巫女ナイト、キングレオという盟友がいながらシンクロトライブから離反したカオス・ロアー。
それらを捨ててでも離反した彼らの覚悟と現状の想いはイクサからすればとても計り知れない。
イクサは自らの考えを振り払い、バトルに集中する。
「ロアーのトライブアビリティ発動! 魂の継承!」
カオス・ロアーにカオス・ベビーナイトの能力が受け継がれる。
「ロアーはベビーナイトの能力を得る!」
カオストライブのトライブアビリティに、サクヤは目を輝かす。
「わぁ~、前のガーディアンの能力を得るなんて凄い!! こんな面白いトライブ見たことないよ!」
「これが、カオストライブの絆の強さだよ」
「むぅ、私のシンクロトライブだって強い絆を持ってるよ! 次の私のターンでそれをみせてあげるんだから!」
サクヤの言葉にイクサは笑い、エンドフェイズに移行する。
「なら、見せてもらおうかな。俺はこれでターンエンド!」
「じゃあ、私のターンだね! ドロー! フォースチャージして追加チャージするよ!」
通常のチャージに加え、さらに1枚手札からカードをチャージゾーンに置く。
獅童サクヤ:手札【5】
:フォース【▽▽▽】
号令の雄叫びによって手札を増やしたからこそ、追加チャージしたとしても手札はまだ十分存在する。
「キングレオのトライブアビリティ発動! 【我に続け】!!」
【キングレオ・少年期】
【自】(あなたのターンのチャージフェイズ終了時)
┗あなたは自分のチャージゾーンに表状態で存在するガーディアンカードを1枚まで選んで発動できる。そのカードを自分の手札に加える。
「よって、私はチャージゾーンに存在するガーディアンカード【レオの盟友 ロアーズジュニア】を手札に加えるよ!」
獅童サクヤ:手札【6】
フォース【▽▽】
サクヤの行動にイクサは首を傾げる。
せっかく追加チャージで増やしたカードを再び手札に戻したのだ。
サクヤは「ふふん」と得意げに笑う。
「キングレオの呼び掛けに、仲間達は応える! ロアーズジュニアのポテンシャルアビリティ発動!」
【レオの盟友 ロアーズジュニア】
【自】(このカードが【レオ】と名の付くガーディアンの効果対象になった時)
┗あなたは自分の山札の上から2枚のカードを裏状態でチャージゾーンに置く。その後、このカードをあなたのアタックガーディアンのマテリアルカードにする。【レオの盟友 ロアーズジュニア】の効果は1ターンに一度しか発動できない。
「よって、デッキトップの2枚のカードを裏状態のままチャージゾーンに置いて、ロアーズジュニアはマテリアルカードになるよ!」
獅童サクヤ:手札【5】
フォース【▽▽▼▼】
「さらに、手札からバーストアビリティを発動するよ!」
【レオの盟友 コンダクトライガー】
【バーストアビリティ】
【起】(COST:マテリアルカード1枚をジャンクゾーンに送る)
┗手札のこのカードを相手に公開し、コストを支払うことで発動できる。あなたは自分の山札から【レオ】と名の付くSF【3】以下のガーディアンカードを1枚まで選んで手札に加える。その後、その山札をシャッフルしてこのカードを自分の山札の一番下に置く。このカードのコストとしてジャンクゾーンに送ったカードが【レオ】と名の付くガーディアンカードの場合、あなたは自分の山札からカードを1枚ドローする。
「この効果で、デッキから【キングレオ・青年期】を手札に加える! デッキをシャッフルしてさらにドロー!」
獅童サクヤ:手札【6】
サクヤはドローしたカードを横目で見た後、イクサに公開する。
「今ドローした【ドローリング・ライノス】のポテンシャルアビリティを発動するよ」
【ドローリング・ライノス】
【ポテンシャルアビリティ】
【永】
┗このカードがドローフェイズまたはチャージフェイズ以外に自分の山札から手札に加わった場合、このカードを相手に公開することで、あなたは自分の山札からカードをもう1枚ドローできる。
「よって、私はデッキからカードを1枚ドローする!」
獅童サクヤ:手札【7】
使用できるフォースの枚数が2枚に減少したが、フォースの枚数は3ターン目にして4枚、さらに手札を補充し戦略を構築していく。イクサは目を剥く。
「凄い効果の連鎖だね」
「そうだよ、シンクロトライブは1つの効果の発動を基点にして複数のカード効果を発動させるトライブなんだ!」
サクヤは嬉しそうにイクサにシンクロトライブの特性を語る。
その様子に、イクサも思わず笑みを溢す。
「サクヤちゃんは本当にバトル・ガーディアンズが好きなんだね」
「うん!」
サクヤは大きく頷くと、自身のサイコロを手に取る。
「それじゃあ、ダイスステップに入るよ! ダイスロール!」
サクヤの振ったサイコロの目は【4】。
「この瞬間、マダムレオのアシストアビリティ発動!」
【マダムレオ】
【アシストアビリティ】
【自】(あなたのダイスステップ時)
┗あなたのアタックゾーンに【レオ】と名の付いたガーディアンが存在する場合にのみ発動できる。あなたのダイスの目が【2】【4】【6】のいずれかの時、このターンのエンドフェイズ時まであなたのアタックガーディアンは以下のアタックアビリティを得る。
【2】【4】【6】……相手フィールド上のガーディアンを1枚まで選んで300ダメージを与える。その後、自分の山札からカードを1枚ドローする。
「よって、キングレオにアタックアビリティが追加される! さらに、キングレオ自身のアタックアビリティも発動するよ!」
【キングレオ・少年期】
【1】【3】【6】……相手の手札を1枚選んでジャンクゾーンに送る。その後、あなたは相手の山札の上からカードを3枚まで見て好きな順番に並び替えて戻す。
【2】【4】【5】……相手の山札からカードを3枚ジャンクゾーンに送る。
「フォースを1枚消費してバトルフェイズ!」
獅童サクヤ:フォース【▽▼▼▼】
「キングレオ自身の効果でイクサのデッキを3枚削り、さらにマダムレオの効果で300ダメージを与えて1ドロー!」
「っ…」
【カオス・ロアー】
DG【0→300】
LP【2500→2200】
獅童サクヤ:手札【8】
☆☆☆☆☆
「あれは……」
カードショップにやってきたカイトは、イクサとサクヤのカードバトルを見つめる。
近くでカード整理していた店員に、バトルの状況を尋ねる。
「あのバトル、今どっちが勝ってます?」
「んー? ……あぁ、ライフ的にはあの男の子だろうけど、手札枚数的には女の子の方かなぁ。あの子が使ってるの、シンクロトライブだし」
「そう……ですか」
店員に礼を言い、カードバトルに視線を移す。
思わず手を握り締める。
「………」
☆☆☆☆☆☆
「俺のターン、ドロー! フォースチャージして、追加チャージ!」
聖野イクサ:手札【4】
フォース【▽▽▽】
「ライフカウンターを2つ消費し、2ドローする!」
聖野イクサ:ライフカウンター【4→2】
手札【6】
「フォースを2枚消費して、手札からカオス・巫女・ナイトを召喚!」
聖野イクサ:手札【5】
フォース【▽▼▼】
【カオス・巫女・ナイト】
SF【2】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【カオス】
DG【0】
LP【1700】
「さらに、手札からスペルカード【フィールド・クリエイト】発動!」
聖野イクサ:手札【4】
【フィールド・クリエイト】
SP【1】
【ノーマルスペル】
【起】(COST:手札のこのカードをジャンクゾーンに送る)
┗あなたは自分の山札からドメインカードを1枚まで選び、自分の手札に加える。その後、その山札をシャッフルする。
「よって、この効果により俺はデッキから――」
「そうはいかないよ! カウンターステップ時、私は手札のSP【1】のスペルカード【号令の雄叫び】をジャンクゾーンに送る。よって、フィールド・クリエイトの効果は無効になるよ!」
「えっ?!」
獅童サクヤ:手札【7】
イクサは驚愕の声をあげる。
「号令の雄叫びって、そんな効果もあるの!?」
「え、ううん。違うよ」
サクヤはイクサに説明する。
「スペルカードにはSPがあるでしょ。スペルカードの効果発動時に発生するカウンターステップ時にそのスペルカードのSP以上のスペルカードを自分の手札から捨てることで、その効果を無効にできるんだよ。今のだったらSP【1】のフィールド・クリエイトの効果を無効にするために、私はSP【1】の号令の雄叫びを捨てたってわけ。イクサお兄ちゃん、知らなかったの?」
「……し、知らなかった」
イクサは4枚の手札を見る。
手札にはまだスペルカードがあり、発動させるべきか悩む。発動できればプレイングを円滑にできるものの、無効にされてしまえば相手の手札を1枚削るだけだ。その場合、サクヤの手札枚数は6枚で自分は3枚。その差は3枚と、決して無視できない。
だが、これは相手の手札にスペルカードがある場合の仮定だ。もしかしたらサクヤの手札にはもうスペルカードは無いかもしれない。
イクサは手札からスペルカードの効果を発動させる。
「俺は手札からスペルカード【カオス・ミラクルドロー】を発動!」
【カオス・ミラクルドロー】
SP【0】
【ノーマルスペル】
【起】(COST:手札のこのカードをジャンクゾーンに送る)
┗この効果は、あなたのジャンクゾーンにガーディアンカードが1枚も存在せず尚且つあなたのフィールドに【カオストライブ】のガーディアンが存在する場合にのみ発動できる。あなたは自分の山札からカードを3枚ドローする。その後、自分の手札からカードを1枚選んで山札の一番下に置く。
「俺のジャンクゾーンにはガーディアンカードは存在しない。よって、デッキからカードを3枚ドローし、手札のカード1枚をデッキボトムに置く!」
イクサは自分のデッキからカードを3枚ドローし、手札の【カオス・ナイト】をデッキの一番下に置いた。
聖野イクサ:手札【5】
今度は発動を無効にされず、イクサは手札補充に成功した。
「チャージゾーンからポテンシャルアビリティを発動!」
【カオス・リーカー】
【ポテンシャルアビリティ】
【起】(COST:チャージゾーンに存在する表状態のこのカードを裏状態にする)
┗あなたは自分の山札の一番上のカードをめくって公開する。そのカードがガーディアンカードだった場合、そのカードをあなたのアタックガーディアンのアンダーカードにできる。ガーディアンカードでなかった場合、そのカードを山札に戻してあなたは自分の山札から【カオストライブ】のガーディアンカードを2枚まで選んであなたのアタックガーディアンのアンダーカードにし、その後、その山札をシャッフルする。
「効果により裏状態にし、デッキトップを公開」
聖野イクサ:フォース【▼▼▼】
【カオス・リフレクター】
「めくったカードはガーディアンカード。よって、このカードをカオス・ロアーのアンダーカードにする、そして、カオス・ロアーはカオス・リフレクターの能力を得る!」
これでロアーは1ターンに一度、自身が受けるダメージを半分にすることができる。
フォースを使いきったので、イクサはエンドフェイズに移行する。
「これでターンを終了するよ」
「もう、攻撃してくれなきゃ張り合いが無いよ! 私のターン、ドロー! フォースチャージして、追加チャージ!」
獅童サクヤ:手札【6】
:フォース【▽▽▽▽▽▽】
「フォースを3枚消費して、手札からアタックガーディアン【キングレオ・青年期】を召喚!」
獅童サクヤ:手札【5】
:フォース【▽▽▽▼▼▼】
【キングレオ・青年期】
SF【3】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【シンクロ】
DG【0】
LP【3000】
「さらに、フォースを3枚を消費してアシストガーディアン【テリウム防衛部隊】を召喚!」
獅童サクヤ:手札【4】
:フォース【▼▼▼▼▼▼】
【テリウム防衛部隊】
SF【3】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【シンクロ】
DG【0】
LP【1500】
「キングレオのトライブアビリティ発動! 我に続け!」
【キングレオ・青年期】
【トライブアビリティ】
【起】(COST:山札の一番上のカードをジャンクゾーンに送る)
┗あなたは自分の山札の一番上のカードをめくって公開し、そのカードが【シンクロトライブ】のガーディアンカードならば、そのカードをこのカードのマテリアルカードにし、カードを1枚ドローする。(公開したカードが【シンクロトライブ】のガーディアンカードでない場合、山札の一番上に戻す)
「デッキトップのカードをジャンクゾーンに送って、カードを公開するよ」
【シンクロナイザー・フォーメーションレオ】
デッキトップのカードはスペルカードだった。
イクサは思わず手を握り締める。
「よし、効果は不発だ」
「ふふ、果たしてそうかな?」
「え……」
「この効果の真価は、デッキトップのカードを見れることだよ。手札からスペルカード【同調宣告】を発動!」
【同調宣告】
SP【3】
【ノーマルスペル】
【起】(COST:手札のこのカードをジャンクゾーンに送る)
┗あなたは【ガーディアンカード】、【カウンターカード】、【スペルカード】の中からいずれか1種類を宣言して山札の一番上をめくって公開し、そのカードが宣言した種類のカードと同じならば、そのカードを手札に加える。また、あなたのフィールドに【シンクロトライブ】のガーディアンが存在するならば、あなたは自分の山札からカードを1枚ドローする。
「私が宣言するのは、スペルカード! デッキトップを公開!」
サクヤはデッキトップのカードを公開した。先ほどのキングレオの効果により、そのカードは【シンクロナイザー・フォーメーションレオ】というスペルカードであることは確定している。
【シンクロナイザー・フォーメーションレオ】
「宣言した通り、スペルカードなので、このカードを手札に加えるよ。そして、フィールドにシンクロトライブのガーディアンがいるから、デッキからカードを1枚ドロー!」
獅童サクヤ:手札【5】
「まさか、キングレオの効果をそんな風に利用するなんて……」
「ふふん。そして、手札からスペルカード【シンクロナイザー・フォーメーションレオ】を発動!」
【シンクロナイザー・フォーメーションレオ】
SP【2】
【ノーマルスペル】
【起】(COST:手札のこのカードと手札1枚をジャンクゾーンに送る)
┗あなたは自分フィールド上に存在する【レオ】と名の付くガーディアンを1枚まで選んで発動できる。そのガーディアンの起動効果をコストを消費せずに発動する。また、あなたのフィールドに【シンクロトライブ】以外のガーディアンが存在しない場合、あなたは裏状態のフォースを1枚選んで表状態にできる。
獅童サクヤ:手札【3】
「私はキングレオを選択して効果発動! コストを消費せずにデッキトップのカードをめくって公開するよ!」
【シンクロ・スタビライガー】
公開されたカードはシンクロトライブのガーディアンカードだった。
「やったー! 効果でシンクロ・スタビライガーはキングレオのマテリアルカードになって、そして1枚ドロー! さらにフォースも1枚回復するよ」
獅童サクヤ:手札【4】
:フォース【▽▼▼▼▼▼】
「そして、キングレオのバーストアビリティ発動!」
【キングレオ・青年期】
【バーストアビリティ】
【起】(COST:マテリアルカード1枚をジャンクゾーンに送る)
┗あなたは自分の山札の上から3枚のカードを閲覧して、その中からSFの異なる【シンクロトライブ】のカードを3枚まで選んで自分の手札に加え、残りのカードを好きな順番で山札の上に戻す。また、この効果のコストとしたマテリアルカードが【シンクロトライブ】のガーディアンカードである場合、閲覧した3枚のカードの中にカウンターカードがあれば1枚まで手札に加えることもできる。
「キングレオの効果により、デッキトップからカードを3枚見るよ」
デッキトップから3枚のカードを閲覧し、それら全てをイクサに見せる。
【レオの盟友 ディーライノ】
SF【2】
【レオの盟友 パイル・タイガー】
SF【4】
【ハーフダメージ】
【カウンターカード】
「よって、この3枚を手札に加えさせてもらうよ」
獅童サクヤ:手札【7】
「さらに、キングレオのコストとなったシンクロ・スタビライガーの効果を発動!!」
【シンクロ・スタビライガー】
【ポテンシャルアビリティ】
【自】(このカードが【レオ】と名の付くガーディアンの起動効果のコストとなった時)
┗あなたは自分の手札からカードを任意の枚数選んでジャンクゾーンに送る。そうしたら、あなたは自分の山札から、この効果でジャンクゾーンに送ったカード枚数だけドローする。
「私は手札のカードを3枚ジャンクゾーンに送って、3枚カードをドローさせてもらうよ!」
獅童サクヤ:手札【7】
ドローしたカードを見て、サクヤは満足そうに微笑む。
イクサは思わず体が強張る。
何か嫌な予感がする。思わずそう感じた。
サクヤはセットフェイズを終了させ、ダイスステップに移行する。
「さあ、ダイスステップに入るよ! ダイスロール!」
サイコロを振り、目が確定する。
【4】
【キングレオ・青年期】
【1】【3】……相手の山札からカードを3枚ジャンクゾーンに送る。
【4】【6】……相手のアタックガーディアンに500ダメージを与える。
獅童サクヤ:フォース【▼▼▼▼▼▼】
「行っけー! キングレオの攻撃だよ! カオス・ロアーに500ダメージを与えるよ」
【カオス・ロアー】
DG【300→800】
LP【2200→1700】
キングレオとカオス・ロアーのライフ差は1300、だがまだイクサのアタックガーディアンには十分な能力が集まっておらず、攻撃に転じたくてもできない。
フォースの枚数もサクヤの方がイクサより3枚多い。
せめてあと1ターンは欲しいところである。
「私はこれでターンエンドだよ。はい、イクサお兄ちゃんの番」
「……俺のターン、ドロー!」
聖野イクサ:手札【6】
イクサはドローしたカードを横目で見る。
――来た
ドローしたカードを見て、このターンでバトルの流れをこちらに傾ける戦略が頭に流れる。
「フォースチャージして、サイドデッキから追加ドロー!」
聖野イクサ:手札【6】
:フォース【▽▽▽▽】
「俺はチャージゾーンに存在するカオス・リーカーのポテンシャルアビリティを発動! 先ほどと同様に表状態のこのカードを裏状態にし、デッキトップを公開する」
聖野イクサ:フォース【▽▽▽▼】
【カオス・ストライカー】
「カオストライブのカードなので、このカードをロアーのアンダーカードにして、ロアーはストライカーの能力を得る!」
これでカオス・ロアーは、カオス・ベビーナイト、カオス・リフレクター、カオス・ストライカーの3体のカオスの戦士の能力を得たことになる。
だが、イクサの狙いはそこでは無い。
「手札からアシストガーディアン【カオス・サポーター】を召喚!」
【カオス・サポーター】
SF【0】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【カオス】
DG【0】
LP【200】
聖野イクサ:手札【5】
「そして、サポーターに巫女ナイトの能力が継承される! 魂の継承!」
イクサの行動にサクヤは首を傾げる。
「それで? ライフがたった200のアシストガーディアンで何をするつもり?」
「こうするつもりさ! サポーターのアシストアビリティ発動!」
【カオス・サポーター】
【アシストアビリティ】
【起】(COST:このカードとフォース1枚をジャンクゾーンに送る)
┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、あなたは自分の山札からカードを2枚、チャージゾーンに表状態で置く。
「俺は、裏状態となったカオス・リーカーと場のカオス・サポーターをジャンクゾーンに送り、デッキトップのカード2枚を表状態でチャージゾーンに置く。そして!」
聖野イクサ:フォース【▽▽▽▽▽】
サポーターがジャンクゾーンに送られたことで、アンダーカードとなっていたカオス・巫女・ナイトもジャンクゾーンに送られる。
「ジャンクゾーンに送られた巫女ナイトのアシストアビリティを発動する!」
【カオス・巫女・ナイト】
【アシストアビリティ】
【自】(このカードがアシストゾーンからジャンクゾーンに送られた時)
┗この効果は、あなたのチャージゾーンのフォースが5枚以上なら発動できる。フォースを2枚消費し、あなたは自分の山札から【カオス・ナイト】をフォースを消費せずに召喚する。
「俺のフォースは5枚、よって俺はフォースを2枚消費してデッキから【カオス・ナイト】を召喚する!」
カオス・ナイトはイクサが発動したカオス・ミラクルドローの効果で手札からデッキに戻っていたため、巫女ナイトの効果による召喚が可能となっていたのだ。
聖野イクサ:フォース【▽▽▽▼▼】
【カオス・ナイト】
SF【5】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【カオス】
DG【800】
LP【6000→5200】
SF【5】のガーディアンを召喚したイクサに対し、サクヤは手を叩いて絶賛する。
「凄い凄い!! あの状況から一気にSF【5】のガーディアンを呼んじゃうなんて思い付かなかったよ!」
「怒涛の快進撃はここからさ! 巫女ナイトの効果で召喚されたので、カオス・ナイトのポテンシャルアビリティが発動する!」
【カオス・ナイト】
【ポテンシャルアビリティ】
【自】(このカードが【カオス・巫女・ナイト】の効果によって召喚された時)
┗相手のガーディアンを1体まで選択し、2000ダメージを与える。
「よって、俺はキングレオに2000ダメージを与える!」
「おーっと、それは流石に通せないかな!? アシストゾーンに存在するテリウム防衛部隊のカウンターアビリティを発動!」
【テリウム防衛部隊】
【カウンターアビリティ】
【自】(カウンターステップ時)
┗1ターンに一度、あなたは以下の効果から1つ選んで発動できる。
・あなたのガーディアンが受けるダメージ効果1つの数値を半分にする。
・バトルフェイズ中に発生したダメージ効果の対象が【レオ】と名の付くガーディアンである場合、このカードと手札2枚をジャンクゾーンに送ることでそのダメージ効果1つを無効にする。
「私はダメージを半分にする方を選択するよ。よって、キングレオが受けるダメージは1000!」
【キングレオ・青年期】
DG【0→1000】
LP【3000→2000】
「まだだ、俺はフォースを1枚消費してカオス・ナイトのトライブアビリティを発動! 魂の継承!」
【カオス・ナイト】
【トライブアビリティ】
【永】
┗このカードを召喚したアピアステップ時、前のガーディアンはこのカードのアンダーカードとなる。このカードは全てのアンダーカードの能力を受け継ぐ。
【起】(COST:フォースを1枚消費する)
┗あなたは自分の手札からガーディアンカードを1枚選択してこのカードのアンダーカードにできる。
「フォースを1枚消費して、手札のガーディアンカードをアンダーカードにする」
聖野イクサ:手札【4】
:フォース【▽▽▼▼▼】
イクサがアンダーカードに入れたのは【守護龍 カオス・ドラゴン】。
SF【1】のカオス・ベビーナイト、SF【2】のカオス・ロアー、SF【3】のカオス・ストライカー、SF【4】のカオス・リフレクター、SF【6】の守護龍カオス・ドラゴン、そしてSF【5】のカオス・ナイト。
カオス・ナイトは1から6までの6種類の攻撃能力を得たので、バーストアビリティを発動するための条件は揃った。
「カオス・ナイトのバーストアビリティを発動!」
【カオス・ナイト】
【バーストアビリティ】
【起】(COST:全てのアンダーカードをマテリアルカードにし、ジャンクゾーンに送る)
┗この効果は、このカードが6種類のアタックアビリティを得た時にのみ、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、このターンのダイスステップをスキップしてフォースを消費せずにバトルフェイズに移行し、相手のアタックガーディアンにXダメージ与える。(Xはあなたの表状態のフォースの枚数×1000)
「全てのアンダーカードがマテリアルカードとなり、これをジャンクゾーンに送る。そして、俺の表状態のフォースは2枚だからキングレオに2000ダメージを与える!」
テリウム防衛部隊は効果を発動したため、2つ目のダメージ無効効果は使用できない。
勝負を決めるならこの瞬間しかない。イクサはそう思い、バーストアビリティを早々に発動したのだ。
だが、その早まった行動は裏目に出ることになる。
「手札からプリベントアビリティを発動!」
獅童サクヤ:手札【6】
【サーヴァント・ハイエナ】
【プリベントアビリティ】
【自】(ダメージ効果が発動された時)
┗手札のこのカードをジャンクゾーンに送り、あなたのガーディアンをこのカードのLPの値だけリペアする。
「よって、キングレオのライフは3000回復するよ!」
【キングレオ・青年期】
DG【1000→-2000】
LP【2000→5000】
キングレオにカオス・ナイトの攻撃が通る。
【キングレオ・青年期】
DG【-2000→0】
LP【5000→3000】
「っ……避けられた」
「ふふん、ちょっと勝負を急ぎすぎたかな、イクサお兄ちゃん?」
「……」
確かに、よくよく考えれば行動が早すぎた。
アンダーカードにしていたカオス・リフレクターもマテリアルカードとしてジャンクゾーンに送ってしまった以上、ダメージ半分の効果をカオス・ナイトは失ってしまった。
さらに手札からの召喚制限により、こちらにSF【5】のカオス・ナイトがいるので、サクヤはSF【6】以下のアタックガーディアンが召喚できるのだ。巫女ナイトとリフレクターという防御手段を失ったイクサは一気に窮地に立たされる。
それでも、行動せざるを得なかった。なぜなら、サクヤがシンクロ・スタビライガーの効果でデッキからドローした時、とても嫌な予感がしたのだ。その感覚を信じた結果、イクサは行動を起こした。本来なら相手の出方を伺うために1ターン様子見るという場面において。
イクサは手札を見る。
この時、自分のプレイミスに気づく。
チャージフェイズでの追加ドローでサイドデッキからドローしたカードはライズガーディアンだったのだ。アシストゾーンに沈黙召喚したターンには覚醒降臨できない以上、本来ならばこのターンのセットフェイズにてセットすべきだった。
だが今さらミスに気づいたところで時既に遅し。イクサはエンドフェイズを宣言する。
「ターン、エンド……」
「ふっふーん。じゃあ私のターン、ドロー! フォースチャージして、追加チャージ!」
獅童サクヤ:手札【5】
:フォース【▽▽▽▽▽▽▽▽】
「私はフォースを5枚消費して、【地帝竜 レオドラゴン】を召喚!」
【地帝竜 レオドラゴン】
SF【5】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【シンクロ】
DG【0】
LP【5000】
獅童サクヤ:手札【4】
:フォース【▽▽▽▼▼▼▼▼】
「なっ、守護龍じゃないレオドラゴン?!」
「そう、この姿のキングレオはまだ守護龍じゃない。シンクロトライブに特定の守護龍は存在せず、過酷な生存競争に勝利した者だけが守護龍の称号を得られる。でも、彼は絶対に守護龍になってくれる! レオドラゴンのポテンシャルアビリティを発動!」
【地帝竜 レオドラゴン】
【ポテンシャルアビリティ】
【自】(このカードのアピアステップ時)
┗自分フィールド上に【シンクロトライブ】のアシストガーディアンが存在するならば、そのアシストガーディアン1体を選択する。そのアシストガーディアンのSFの数値だけ、あなたは自分の裏状態のフォースを表状態にできる。
「私の場にはSF【3】のテリウム防衛部隊が存在してる、だからフォースを3枚回復するよ」
獅童サクヤ:フォース【▽▽▽▽▽▽▼▼】
「そして、レオドラゴンのトライブアビリティを発動! 我に続け!!」
【地帝竜 レオドラゴン】
【トライブアビリティ】
【起】(COST:このカードのDGを1000増やす)
┗この効果を発動させたターンに一度、あなたが【レオ】と名の付くガーディアンを召喚する場合、そのガーディアンのSFは3つ下がる。この効果を発動したターン、あなたは一度だけ召喚制限を無視してガーディアンカードを手札から召喚できる。
「よって、私はフォースを4枚消費して【守護龍 レオ・ドラゴン】を召喚!!」
【守護龍 レオ・ドラゴン】
SF【7】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【シンクロ】
DG【1000】
LP【7000→6000】
獅童サクヤ:手札【3】
:フォース【▽▽▼▼▼▼▼▼】
「し、守護龍のカード……」
「そして、レオ・ドラゴンのトライブアビリティを発動! 我に続け!」
【守護龍 レオ・ドラゴン】
【トライブアビリティ】
【起】(COST:フォース1枚を消費して手札1枚と自分フィールドのアシストガーディアン1枚をジャンクゾーンに送る)
┗このカードはこの効果を発動したターンのエンドフェイズまで、ジャンクゾーンに存在する【レオ】と名の付くガーディアンカードの枚数に応じて以下の効果を得る。
【4】:【起】(COST:無し)相手フィールド上のガーディアンカードを1枚まで選択する。そのカードはこのターン、自動効果を発動できない。
【6】:【起】(COST:無し)相手フィールド上のガーディアンカードを1枚まで選択する。そのカードを対象とする効果によって発生したカウンターステップに相手はカウンター効果を発動できない。
【10】:【永】相手はこのターン、手札からカード効果を発動できない。
獅童サクヤ:手札【2】
:フォース【▽▼▼▼▼▼▼▼】
フォース1枚と手札1枚、そしてアシストゾーンに存在するテリウム防衛部隊をジャンクゾーンに送り、効果が発動する。
「なっ?!」
「私のジャンクゾーンには【レオ】と名の付くガーディアンが10枚存在してるから、この3つの効果を同時に得るよ! そして、2つの起動効果によってカオス・ナイトは自動効果を発動できないし、カオス・ナイトを対象に発動した効果のカウンターステップ中にカウンター効果も発動できない、さらに永続効果によってイクサお兄ちゃんはこのターンは手札からカード効果を発動できない!」
サクヤはイタズラが成功した子供のような無邪気な笑顔を浮かべる。
だが、イクサからしたら堪ったもんじゃない。唯一この状況を凌ぐための手札に存在するプリベントアビリティの発動ができないのだ。
「ダイスロール!!」
サクヤはダイスステップに移行し、サイコロを振った。
【6】
【守護龍 レオ・ドラゴン】
【1】【2】【3】……あなたのジャンクゾーンに存在する【レオ】と名の付くガーディアンの枚数と同じになるように相手の手札と山札からカードをジャンクゾーンに送る。
【4】【5】【6】……相手のアタックガーディアンにXダメージを与える。(Xの数値はあなたのジャンクゾーンに存在する【レオ】と名の付くガーディアンの枚数×500)
「フォースを1枚消費してバトルフェイズ! カオス・ナイトに5000ダメージを与える!!」
獅童サクヤ:フォース【▼▼▼▼▼▼▼▼】
【カオス・ナイト】
DG【800→5800】
LP【5200→200】
僅かにライフが200残り、カオス・ナイトは何とか持ちこたえた。
サクヤは残念そうな声をあげる。
「あーあ、削りきれなかったかぁ。ざーんねん」
「……っ」
無邪気な子供の声だが、イクサからすれば恐怖そのものだ。
「じゃ、ターンエンド!」
「俺のターン……」
イクサのターンのドローフェイズ。
イクサは自分のデッキに手を伸ばす。
このまま、もしこのまま何の起死回生もないカードを引いたのなら。
ただ負ける。
それが酷く苦しい。自分の知らない、勝利に貪欲な自分が背後から自分自身に囁く。
―こんな処で負けるのは、絶対に許さない―
目の前の敵は強い。とてつもなく強い。天性のバトルセンスと引くべきカードを引く強運。
一人のカードマスターとして、サクヤとイクサはとても似ている。
だからこそ、たとえ相手が自分より年下であろうと、ただただ勝ちたいのだ。
イクサの手に黒いオーラが覆う。
(これが俺の……)
デッキトップのカードをドローする。
「勝利の一手!!」
手を覆っていたオーラがカードに移り、霧散する。
「え、え? な、なにが起きたの?」
「……」
サクヤが戸惑っている中、イクサはドローしたカードを見る。
勝利の一手は、その局面を覆すキーカードをデッキから引く能力。
この絶体絶命のピンチにイクサが引いたカード。
キーカードは来た、あとはこのカードをイクサが正しく使えばいいだけだ。
「フォースチャージして、追加チャージ!」
聖野イクサ:手札【4】
:フォース【▽▽▽▽▽▽▽】
「カオス・ナイトのトライブアビリティを発動。フォースを1枚消費して手札1枚をアンダーカードにする」
聖野イクサ:手札【3】
:フォース【▽▽▽▽▽▽▼】
「そして、俺は手札からカオス・サポーターを召喚」
【カオス・サポーター】
SF【0】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【カオス】
DG【0】
LP【200】
聖野イクサ:手札【2】
「サポーターの効果発動。その効果により裏状態のフォース1枚とサポーターをジャンクゾーンに送り、デッキトップのカード2枚をチャージゾーンに置く」
聖野イクサ:フォース【▽▽▽▽▽▽▽▽】
「さらに! 今の効果でチャージゾーンからジャンクゾーンに送ったカードはカオス・チャージャー。カオス・チャージャーのポテンシャルアビリティを発動!」
【カオス・チャージャー】
【ポテンシャルアビリティ】
【自】(このカードがジャンクゾーンに送られた時)
┗あなたは自分の山札から【カオストライブ】のカードを2枚まで選び、表状態でチャージゾーンに置く。その後、その山札をシャッフルする。
「よって、デッキからカオストライブのカードを2枚チャージゾーンに置く」
聖野イクサ:フォース【▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽】
「そして、俺は手札からカードを沈黙召喚!」
聖野イクサ:手札【1】
手札のライズガーディアンカードをアシストゾーンに裏状態でセットする。
「そして! 手札からスペルカード【緊急覚醒】を発動!」
【緊急覚醒】
SP【2】
【ノーマルスペル】
【起】(COST:手札のこのカードをジャンクゾーンに送る)
┗あなたは自分のアシストゾーンに沈黙召喚しているライズガーディアンを1枚まで選んでサモンコンディションを無視して覚醒降臨する。また、この効果を発動した時に発生したカウンターステップ時に相手または自分がカウンター効果を発動しなかった場合、この効果を発動したターンのエンドフェイズまで全てのプレイヤーはライフカウンターを消費できない。
「効果によりライズガーディアンを緊急覚醒!!」
聖野イクサ:手札【0】
ライズガーディアンを表状態にし、アタックゾーンに召喚する。
「目覚めろ! カオス・スマッシャー!!」
【覚醒斧使い カオス・スマッシャー】
SF【5】
GT【ライズ/アタック】
Tr【カオス】
DG【5800】
LP【6500→700】
【ポテンシャルアビリティ】
【自】(このカードのアピアステップ時)
┗あなたは自分のジャンクゾーンに存在するカードを1枚まで選らんでこのカードのアンダーカードにする。
「ポテンシャルアビリティにより、ジャンクゾーンに存在するカオス・リフレクターをカオス・スマッシャーのアンダーカードにし、カオス・スマッシャーのトライブアビリティを発動! 魂の継承!!」
【覚醒斧使い カオス・スマッシャー】
【トライブアビリティ】
【永】
┗このカードがアタックゾーンに召喚されたアピアステップ時、前のアタックガーディアンはアンダーカードとなり、このカードの下に置かれる。このカードは、アンダーカードの能力を全て受け継ぐ。
【自】(このカードがアタックゾーンに召喚されたアピアステップ時)
┗1ターンに一度、あなたは自分のジャンクゾーンからSF【2】以下のアシストガーディアンをアシストゾーンにフォースを消費せずに召喚できる。この効果を発動したターン、セットフェイズを終了してダイスステップをスキップし、フォースを消費せずにバトルフェイズに移行する。相手のアタックガーディアンに4000ダメージを与える。
「この効果でジャンクゾーンからカオス・巫女・ナイトをアシストゾーンに召喚する。そしてレオ・ドラゴンに4000ダメージを与える!」
「そ、そんな!」
【守護龍 レオ・ドラゴン】
DG【1000→5000】
LP【6000→2000】
「で、でもまだレオ・ドラゴンのライフは2000もあるよ!」
「エクストラフェイズ、エクストラドロー!」
聖野イクサ:手札【1】
イクサはバトルフェイズを終了してエクストラフェイズに移行する。
そして、サイドデッキからエクストラドローしたカードを召喚する。
「フォースを10枚消費して、カオス・エンペラー・ロードを次元召喚!」
【次元皇帝 カオス・エンペラー・ロード】
SF【10】
GT【エクストラ/アタック】
Tr【カオス】
DG【5800】
LP【12000→6200】
【サモンコンディション】
┗このカードはエクストラフェイズでのみ手札から召喚できる。
聖野イクサ:手札【0】
:フォース【▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼】
「エクストラアビリティを発動!」
【次元皇帝 カオス・エンペラー・ロード】
【エクストラアビリティ】
【自】(エクストラフェイズ終了時)
┗あなたのエクストラフェイズに以下の効果を1つ選び、一度だけ発動できる。
・相手のアタックガーディアンのLPをこのガーディアンと同じにする。この効果によって、DGの値は変動しない。
・相手のアタックガーディアンにXダメージを与える。(Xの値は、このカードのアンダーカードの枚数×500)
「ダメージ効果を選択。アンダーカードの枚数は4枚だから、レオ・ドラゴンに2000ダメージを与える!」
「ひっ、う、うそ……」
【守護龍 レオ・ドラゴン】
DG【5000→7000】
LP【2000→0】
レオ・ドラゴンのライフが0になったことでイクサの勝利が確定した。
「俺……勝った」
「凄い凄い! イクサお兄ちゃん凄いよ!!」
サクヤの言葉に苦笑し、イクサは自身の手を見る。
「今のは、一体……」
「……」
イクサとサクヤのカードバトルを見届けたカイトは、カードショップを去って通路にいた。
壁にもたれかかるようにして言葉を漏らす。
「あいつ……また強くなってる。なのに俺は……くそ!」
思わず壁を殴るが、それも虚しいだけだった。
「あいつが負けるのを願ってた。こんなんじゃ、強くなれるわけないじゃないか……っ!!」
悲痛な嗚咽が、通路に響く。
カイトは今、自分の中の壁に直面していた。
【次回予告】
合宿2日目。ユキヒコの計らいにより東栄学園と界演学園の対決が行われるのだが……
イクサ&ヒデオvsカイト&セカイ?!
まさかのタッグバトルで波乱が巻き起こる!
「イクサ、俺は、お前に勝ちたい!」
次回、【合宿2日目 混合タッグマッチ戦開幕!】




