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TCG バトル・ガーディアンズ  作者: あんころもちDX
第2章・全国大会編
41/66

BATTLE:028【アイドルVSロイヤル】

 今回は、あすぎめむいさんの投稿して下さった【アイドルトライブ】と現野イビツさんの投稿して下さった【ロイヤルトライブ】の対決です。


 さて、一体どちらがこの戦いを制するのか……見物です!

 では、どうぞ。

 約、2時間前のことだ。


 阿久麻学園との中堅戦にて醜態を晒したナミは、ずっと倉庫に引きこもってモニターで試合の中継を見ていた。

 イクサが阿久麻学園の大将であるギンカクに勝った時は、ナミは思わず嬉し泣きをしてしまった。

 そして、ナミは思った。

 もう一度、あの場所に立ちたいと。立って、今度こそチームの勝利に貢献したい、と。

 そう決意した途端、足は自然に選手控え室に向かっていた。


 しかし、選手控え室に到着したナミは驚愕することになる。

 カイトが泣いていたのだ。

 泣き崩れて、バトルテーブルにすがりついていた。

 その姿はまるで、数時間前の自分のようだと、ナミは思った。

 阿久麻学園の先鋒と中堅の引き継ぎの際、ナミはカイトに「勝つ」と言った。しかし、それは果たされなかった。

 だからこそ、今度こそ勝ちたい。泣いてる友人の無念を晴らすような、そんなバトルをして……勝ちたい。


 だから


 だからこそ



「皆、今度こそ勝つよ」



 早乙女ナミは今、ここにいる。





 全国大会予選東京ブロック。

 その中堅戦。

 東栄学園からはナミ。

 孤高学園からは金髪ツインテールの美少女がステージに立つ。


 選手が両者揃ったところで、バトルマスター・レツが声高々に宣言する。


〈さて、続く中堅戦! 東栄学園からは早乙女ナミ選手! 対する孤高学園からは、西園寺アンジェ選手!〉


「フンッ」


 アンジェは鼻で笑い、自身のデッキをデッキゾーンに置く。


「むぅ」


 ナミも自身のデッキを置く。

 ナミの表情が少し曇っているのは、アンジェの態度に原因がある。

 アンジェはナミを一瞥した後、まるで小馬鹿にするようなオーラを出しているのだ。


「さて、さっさと始めましょうか。まあ、システムの不具合とはいえトライブアビリティが発動できないなんて、庶民はつくづく運にも見放されているんですのね」


「カッチーン! ……ん? システムの不具合?」


 アンジェの言葉にナミは眉間に皺を寄せた後、首を傾げた。頭の上に『?』が浮かんでいる。

 二人のそんな様子に、バトルマスター・レツも戸惑うばかり。


〈え、ええと……さあ、両者共に気合い十分のようだ! はりきっていこう!!〉



「「ダイス・セット!!」」



◇◇◇◇◇



「早乙女ナミ……か」


 観客席。

 孤高アイズはナミを見つめて呟いた。

 その様子に、ゴウキは首を傾げる。


「どうしました?」


「いや……知り合いに『早乙女』という人が居てね。彼女はもしかするとどこかしらの神社の娘さんではないかい?」


「ええ。早乙女神社の神主の娘ですよ」


「そうか……」


 アイズはゴウキの言葉を聞いて「ふむ……」と何かを思案している。


「どうした、孤高アイズ?」


 フジミの問いに、アイズは小さく笑う。


「いや……ただ、ひょっとしたら面白いモノが見れるかもと思ってね」


「面白いモノ……だと?」


「うん、そうだよ。ふふふ……」





◇◇◇◇◇




(わたくし)のターン、メインデッキからドロー!」


 先攻はアンジェ。


「フォースチャージし、さらにドロー! フォースを1枚消費し、手札からアタックガーディアン【王宮の指導者 ヴァン】を召喚(サモン)ですわ!」


【王宮の指導者 ヴァン】

SF【1】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【ロイヤル】

DG【0】

LP【1000】



「ヴァンのトライブアビリティ発動! 戴冠の儀式(クラウン・リチュア)!!」


【王宮の指導者 ヴァン】

【トライブアビリティ】

【自】(セットフェイズ開始時)

 ┗1ターンに一度、あなたは自分の山札の一番上のカードをめくって公開する。それが【ロイヤルトライブ】のカードなら、あなたのチャージゾーンに表状態で置き、そうでない場合はそのカードをあなたの山札に戻してシャッフルする。



「デッキトップを公開しますわ」


【ロイヤル・ブレイダー】

Tr【ロイヤル】


「見ての通り、ロイヤルトライブのカードですわね。よって、このカードをチャージゾーンに表状態で置かせていただきますわ」


 アンジェのチャージゾーンに2枚目のフォースが置かれた。


「1ターンで、チャージゾーンのカードが2枚も……」


 ナミは目を見開いた。


「あら、そんなに驚くようなことかしら? 貴女もカードマスターの端くれなら、ロイヤルトライブがどのようなトライブなのか……知らないとは言わせませんわよ」


「……。ロイヤルトライブは、フォースを多く消費して召喚することで強力な能力を得るトライブ。そして、王宮の指導者シリーズは、その働きを補佐するカード」


「ご名答。庶民でも、一応は学があるのね」


 アンジェは、さらにカードを掲げる。


「さて、(わたくし)のターンはまだ終わりませんことよ! フォースを1枚消費してアシストガーディアン【キャッスルメイド ブルーム】を召喚(サモン)!!」


【キャッスルメイド ブルーム】

SF【1】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【ロイヤル】

DG【0】

LP【600】


「ブルームのアシストアビリティ発動しますわ!」


【キャッスルメイド ブルーム】

【アシストアビリティ】

【起】(手札1枚をジャンクゾーンに送る)

 ┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、あなたは自分の山札の一番上のカードをチャージゾーンに裏状態で置く。この効果は1ターンに一度しか発動できない。



(わたくし)は手札を1枚捨て、デッキトップのカードをチャージゾーンに置きますわ」


 3枚目のカードが、チャージゾーンに置かれた。


「これで、(わたくし)のターンは終了。さあ、貴女のターンですわよ?」


「私のターン、メインデッキからドロー!」


 ナミはドローしたカードを手札に加え、カードを選択する。


「フォースチャージして、ドロー!」


 ドローしたカードを見て手札に加える。

 ナミは戦術を組むために思案する。


(相手のチャージゾーンにはフォースが3枚存在する。ここでLPの高いガーディアンを召喚しなきゃ、次のターンで早々に負ける……)


 手札のカードは、全て今までナミが使っていたどのカードとも違うカードが6枚。


(私だって、ただ情けなく泣いてたわけじゃないもん。もう無様な負け方をしないために、改良したんだもん!)


 ナミは手札のカードを選択する。


「私は手札から【クラッチアイドル サワー】を召喚(サモン)!」


【クラッチアイドル サワー】

SF【0】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【アイドル】

DG【0】

LP【300】



「サワーのトライブアビリティ発動! 貴方のための晴れ舞台(ライブ・フォー・ユー)!!」



――シーン……


 しかし、何も起こらない。


「あ、あれ?」


 ナミは辺りをキョロキョロと見渡す。

 控え室にいるイクサがナミに言う。


「ナミ! システムの不具合で、こっちのトライブアビリティは発動できないんだ!!」


「えぇ?! そんなの有り?!」


 ナミは先鋒戦が終了した時に到着したため、カイトがどのような負け方をしたのか知らない。それ故に、システムの不具合なども当然知らない。


「うぅ……」


 アイドルトライブは、トライブアビリティによる展開力とデッキの回転が売りのトライブ。それが封じられた以上、アイドルトライブがマトモに機能するのは難しいことである。


「なら、ダイスステップ!」


 ナミのサイコロの目の数は3。


【クラッチアイドル サワー】

【1】【2】【3】……相手のアタックガーディアンに100ダメージを与える。

【4】【5】【6】……相手は自分の手札を1枚選んで、ジャンクゾーンに送る。


「よって、ヴァンに100ダメージを与える!」


【王宮の指導者 ヴァン】

DG【0→100】

LP【1000→900】


「フンッ、そのような微々たる攻撃……この西園寺アンジェには痛くも痒くもありませんわ!!」


「微々たるって……塵も積もれば山となるってことわざを知らないの? ……ターンエンド」


「そんなの、山になる前に終わらせてしまえばいいだけですわ! (わたくし)のターン、メインデッキからドロー!!」


 アンジェはメインデッキからカードをドローし、チャージゾーンに置くカードを吟味する。

 暫くして方針が決まったのか、カードを選択する。


「フォースチャージして、さらにドローしますわ!」


 手札に新たに加わったカードを見て、アンジェはニンマリと笑う。


「ちょうどお誂え向きのカードが来ましたわ。手札からトライブアビリティを発動! 戴冠の儀式(クラウン・リチュア)!!」


 アンジェは手札のカードを掲げる。

 それに対して、ナミは頬を膨らませる。


「むぅ、やっぱり向こうばっかりトライブアビリティが発動するのズルい!」


「お黙り!!」



【ロイヤル・ノーブル・バロン】

【トライブアビリティ】

【永】

 ┗手札のこのカードを召喚する時、消費するフォースの枚数を3枚にすることで以下のアタックアビリティを得る。

【1】【4】【6】……相手のアタックガーディアンにXダメージを与える。(Xの値は、相手のチャージゾーンに置かれているカードの枚数×300)



「フォースを3枚消費し、召喚(サモン)! 現れなさい、【ロイヤル・ノーブル・バロン】!!」


【ロイヤル・ノーブル・バロン】

SF【1】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【ロイヤル】

DG【100】

LP【1000→900】


「さらに、ブルームのアシストアビリティを再び発動! 手札を1枚選んでジャンクゾーンに送り、デッキトップのカードを裏状態でチャージゾーンに置きますわ!」


 これで、アンジェのチャージゾーンに置かれたフォースの枚数は5枚。

 僅か2ターンでこの枚数だ。まさに脅威と言えるだろう。


「さあ、運命のダイスステップですわよ!」


「っ……」


 アンジェのサイコロの目は、4。


【ロイヤル・ノーブル・バロン】

【1】【3】【5】……相手のアタックガーディアンに200ダメージを与える。

【2】【4】【6】……相手の山札の上から3枚のカードをジャンクゾーンに送る。



 出た目にダメージ効果が無かったため、ナミは「ホッ」と安堵する。


「良かったぁ」


「フフフ」


 しかし、アンジェはナミの反応に小さく笑う。

 ナミは首を傾げる。


「何が可笑しいの?」


「貴女、ちょっと前の出来事さえ覚えてられないほどのバカなのかしら?」


「へ?」


「バロンのトライブアビリティ……忘れまして?」


「え……あ、……ああっ?!」



【ロイヤル・ノーブル・バロン(効果による追加されたアタックアビリティ)】

【1】【4】【6】……相手のアタックガーディアンにXダメージを与える。(Xの値は、相手のチャージゾーンに置かれているカードの枚数×300)



「貴女のチャージゾーンにはフォースが1枚……よって、300ダメージを与えますわ。ジャストキルですわね」


「ちょ、ちょっと待ったぁ!!」


 ナミは手札を切る。


「手札からプリベントアビリティを発動!」


【ボンドアイドル スカッシュ】

【プリベントアビリティ】

【自】(ダメージ効果が発動された時)

 ┗手札のこのカードをジャンクゾーンに送り、あなたのガーディアンをこのカードのLPの値だけリペアする。


【クラッチアイドル サワー】

DG【0→-3000】

LP【300→3300】


「っ?!」


 アンジェは目を見開き、唇を噛み締める。


「往生際の悪いことを……」



【クラッチアイドル サワー】

DG【-3000→-2700】

LP【3300→3000】


 攻撃は命中し、さらにナミのデッキからカードが3枚削られた。


「フゥ、危なかった。でもまあ、LPが3000になったから結果オーライかな?」


 ナミの「へへっ」という声に、アンジェは不機嫌そうな声音でエンドフェイズを告げる。


(わたくし)のターンはこれで終了ですわ」


「よーし、私のターン。メインデッキからドロー! フォースチャージして、追加ドロー!!」


 自分のガーディアンのLPが3000もあるため、プレイングの自由度がかなり増す。

 今までの状況なら、1キルを防ぐために、よりLPの高いガーディアンを召喚することを優先しなければならなかったからだ。



「私はフォースを1枚消費して、アシストガーディアン【シークアイドル カチューシャ】を召喚(サモン)!」



【シークアイドル カチューシャ】

SF【1】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【アイドル】

DG【0】

LP【400】



「カチューシャのアシストアビリティを発動!」


【シークアイドル カチューシャ】

【アシストアビリティ】

【起】(COST:手札1枚を自分の山札に戻す)

 ┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、あなたは自分の山札から【スターアイドル キララ】を1枚まで探して、あなたの手札に加える。その後、その山札をシャッフルする。



「私は手札のカードを1枚、デッキに戻す。そして、デッキからキララを手札に加える!」


 【スターアイドル キララ】

 それは、ナミがデッキの中で最も信頼しているカードだ。

 今までは、あらゆるタイプのアイドルトライブのデッキ構築研究のためにバトルではあまり使われていなかった。

 だが、ナミはこのカードを使うと決めた。

 自分が信頼するキララで勝つ……それが、ナミの覚悟だ。


「さて、と」


 ナミはもう一度、手札を見る。

 続いて、チャージゾーンのカードに目を向ける。

 アンジェに聞こえないように、小さく「よしっ」と呟く。


「私は、チャージゾーンからポテンシャルアビリティを発動!!」


「え、チャージゾーンから?!」


 アンジェは目を見開いた。


【エナジーアイドル マロン】

【ポテンシャルアビリティ】

【起】(このカードをジャンクゾーンに送る)

 ┗この効果は、このカードがチャージゾーンに存在している場合にのみコストを支払うことで発動できる。そうしたら、あなたは自分の山札の上から2枚のカードをチャージゾーンに表状態で置く。


「マロンをジャンクゾーンに送り、デッキの上からカードを2枚チャージゾーンに置く!」


 2枚のカードがチャージゾーンに置かれた。

 そのカードの中に、【エナジーアイドル マロン】が含まれている。

 ナミは指をパチン!と鳴らす。


「ラッキー! もう一度、マロンのポテンシャルアビリティを発動! マロンをジャンクゾーンに送って、デッキの上から2枚のカードをチャージゾーンに置くよ」


 これで、ナミのチャージゾーンにはカードが4枚。

 アンジェのチャージゾーンには5枚置かれてるので枚数的に1枚劣るが、十分に及第点だろう。


「フォースを2枚消費し、手札からアタックガーディアン【フェアリーアイドル サシャ】を召喚(サモン)!!」


【フェアリーアイドル サシャ】

SF【2】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【アイドル】

DG【-2700】

LP【1300→4000】



「LP4000……ライフだけならSF【4】のガーディアンに匹敵しますわね」


「フフン。でもまだ、これだけじゃないよ! ダイスステップ!」


 ナミが振ったサイコロの目は、5。


【フェアリーアイドル サシャ】

【2】【3】【5】……相手のアタックガーディアンにXダメージを与える。(Xは、あなたの手札の枚数×100)

【1】【4】【6】……相手の手札のカードをランダムに2枚まで選び、ジャンクゾーンに送る。


「私の手札は4枚。よって、バロンに400ダメージを与える!」


「っ……」



【ロイヤル・ノーブル・バロン】

DG【100→500】

LP【900→500】


「やった! これで、残りのLPはあと500! ターンエンド!!」


「あまり、調子に乗らない方が身のためですわよ? (わたくし)のターン、メインデッキからドロー! フォースチャージして、さらにドローしますわ!」


 アンジェはアシストゾーンのブルームに手をかざす。


「ブルームのアシストアビリティを発動! 手札を1枚捨てて、デッキトップのカードをチャージゾーンに裏状態で置きます!!」


 チャージゾーンに置かれたカードの枚数は、7枚。

 そして、手札のカードを選ぶ。


「手札からトライブアビリティを発動! 戴冠の儀式(クラウン・リチュア)!!」



【ロイヤル・ノーブル・ヴィスコント】

【トライブアビリティ】

【永】

 ┗手札のこのカードを召喚する時、消費するのフォースの枚数を5枚以上にすることで以下のポテンシャルアビリティを得る。

【ポテンシャルアビリティ】

【自】(このカードを召喚したサモンフェイズ終了時)

 ┗あなたは自分のチャージゾーンに裏状態で置かれているカードを3枚選んで表状態にできる。そうしたら、あなたは自分の山札からカードを2枚ドローする。



「フォースを5枚消費して、召喚(サモン)! 現れなさい、【ロイヤル・ノーブル・ヴィスコント】!!」


「ご、5枚も消費?!」



【ロイヤル・ノーブル・ヴィスコント】

SF【3】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【ロイヤル】

DG【500】

LP【3000→2500】


「トライブアビリティにより、ポテンシャルアビリティを発動! 裏状態の3枚のカードを表状態にし、さらにカードを2枚ドローしますわ!!」


「なっ、消費したフォースを回復した上に、2枚もドローできるなんて……」


「まだ本番はこれからですわよ! さらに、手札からトライブアビリティを発動! 戴冠の儀式(クラウン・リチュア)!!」


「また?!」


【キャッスルメイド アブソーブ】

【トライブアビリティ】

【永】

 ┗手札のこのカードを召喚する時、消費するフォースの枚数を3枚以上にすることで、以下のポテンシャルアビリティを得る。

【ポテンシャルアビリティ】

【自】(セットフェイズ開始時)

 ┗この効果は、1ターンに一度発動できる。あなたは自分の手札を全てチャージゾーンに裏状態で置く。



「フォースを3枚消費し、アシストガーディアン【キャッスルメイド アブソーブ】を召喚(サモン)!」


【キャッスルメイド アブソーブ】

SF【2】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【ロイヤル】

DG【0】

LP【1400】


「ポテンシャルアビリティを発動しますわ! (わたくし)は、4枚の手札全てをチャージゾーンに裏状態で置きますわよ!」


「って、事は……」


 チャージゾーンに置かれたカードの枚数……その数、11枚。


 ナミは、身体を強張らす。


 そんなナミを一瞥するアンジェは笑いながら、アブソーブの更なる能力を発動させる。


(わたくし)はさらに、アブソーブのアシストアビリティを発動しますわ!」


【キャッスルメイド アブソーブ】

【アシストアビリティ】

【自】(セットフェイズ終了時)

 ┗この効果は1ターンに一度、発動できる。あなたの手札枚数が0枚ならば、カードを2枚ドローできる。



「よって、(わたくし)はカードを2枚、ドローしますわ!」


 ドローしたカードを見て、アンジェは微笑む。


「このバトル、(わたくし)の勝利は揺るぎないですわ! ダイスステップ!!」


 アンジェが振ったサイコロの目は、3。


【ロイヤル・ノーブル・ヴィスコント】

【1】【2】【6】……相手のアタックガーディアンにXダメージを与える。(Xの値は、相手のチャージゾーンのカードの枚数×400)

【3】【4】【5】……相手の山札の上からカードをX枚、ジャンクゾーンに送る。(Xの値は、相手のチャージゾーンのカードの枚数)



「アタックアビリティの効果により、貴女のデッキのカードを4枚削りますわ!」


「ふぅ……ダメージ効果じゃなくて良かったぁ」


 ナミは安堵の声を出しながら、メインデッキのカードを4枚ジャンクゾーンに送った。


「これで、ターンエンドですわよ」


「私のターン、メインデッキからドロー!」


 メインデッキからドローしたカードは、【エナジーアイドル マロン】。

 ナミはマロンのカードを見た後、キララのカードに目を向ける。

 そして最後に、チャージゾーンに置かれた4枚のカードを見た。


(よし、なんとかやれるかな?)


 チャージフェイズに移行する。


「フォースチャージして、さらにドロー!」


 マロンのカードをチャージゾーンに置き、ドローする。


「私は、チャージゾーンのマロンのポテンシャルアビリティを発動するよ!」


 マロンをジャンクゾーンに送り、デッキトップのカードを2枚チャージゾーンに置く。

 これで、ナミのチャージゾーンにはカードが6枚あることになる。

 ナミは、手札のカードを1枚選んで天高く掲げる。


「フォースを5枚消費し、召喚(サモン)! 皆の涙を笑顔に変えるために、彼女は今ここに降臨する……星の輝きは栄光の証、夢に羽ばたけ、明日に煌めけ! 【スターアイドル キララ】!!」


【スターアイドル キララ】

SF【5】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【アイドル】

DG【-2700】

LP【4000→6700】


「このターンで決めてみせる! ダイスステップ!!」


 ナミは祈るようにしてサイコロを強く掴み、己の思いを託して振った。


 サイコロの目は、6。



【スターアイドル キララ】

【2】【4】【5】……あなたは相手の手札とチャージゾーンのカードをそれぞれ1枚ずつ選び、ジャンクゾーンに送る。そうしたら、あなたは自分の山札からカードを1枚ドローする。

【1】【3】【6】……相手のアタックガーディアンにXダメージを与える(Xの値は、このカードのLP)



「よって、ヴィスコントに6700ダメージを与えるよ!!」


「アタックアビリティの分際で、6700ダメージもですって!?」


 この数値に、今まで黙って試合の行く末を見守っていたバトルマスター・レツも唸るような声をあげる。


〈これは、アメイジング! まさかアタックアビリティでこれほどのダメージ量を叩き出すとは驚きだ!! これは流石に勝負ありか?!〉


 バトルマスター・レツの言葉に、アンジェは眉間に皺を寄せる。


「勝手に終わらせないでいただけるかしら? (わたくし)は2枚の手札で、プリベントアビリティを二度発動しますわ!」


「えっ?!」


「プリベントアビリティは、貴女だけの専売特許ではありませんのよ?」


【ロイヤル・ガードシールド】

【プリベントアビリティ】

【自】(ダメージ効果が発動された時)

 ┗手札のこのカードをジャンクゾーンに送り、あなたのガーディアンをこのカードのLPの値だけリペアする。


【ロイヤル・ノーブル・ヴィスコント】

DG【500→-2500】

LP【2500→5500】


【ロイヤル・ノーブル・ヴィスコント】

DG【-2500→-5500】

LP【5500→8500】



 アンジェは2枚の手札を使い切った。

 キララの攻撃が命中する。


【ロイヤル・ノーブル・ヴィスコント】

DG【-5500→1200】

LP【8500→1800】



「……ターン、エンド」


「では、(わたくし)のターン」


 ナミの攻撃を耐えきったとはいえ、アンジェの手札は0枚。

 アタックガーディアンのLPも僅か1800。決して優勢というわけではない。

 アンジェにとって、これが最後のドローになるだろう。

 勝敗を分ける、重大なドローだ。


「メインデッキからドロー! フォースチャージして、さらに追加ドローしますわ!!」


 ドローしたカードを横目で確認したアンジェは「クスクス」と笑う。


「どうやら……貴女との戯れは、このターンで終わりのようですわ!」


 最後の1枚を、天に掲げる。


「手札からトライブアビリティを発動! 戴冠の儀式(クラウン・リチュア)!!」


 試合会場周囲一帯を、白い光が包み込む。

 空に浮かぶ巨大な光球が、まるで羽化するかのようにその姿を変えていく。


〈こ、この光! これは、まさしくっっ!!〉


 バトルマスター・レツは目を瞑りながらも、実況を続ける。


〈先鋒戦に引き続き、孤高学園の守護龍の登場だぁぁぁ!!〉


「しゅ、守護龍……」



【守護龍 ロイヤル・ドラゴン】

【トライブアビリティ】

【永】

 ┗手札のこのカードを召喚する時、消費するフォースを10枚以上にすることで、以下のポテンシャルアビリティを得る。

【ポテンシャルアビリティ】

【自】(このカードのアピアステップ時)

 ┗あなたは相手の裏状態のフォースを2枚選んでジャンクゾーンに送り、相手のガーディアンを1体まで選択して2000ダメージを与える。


「フォースを10枚消費し、現れなさい! 【守護龍 ロイヤル・ドラゴン】!!」



【守護龍 ロイヤル・ドラゴン】

SF【7】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【ロイヤル】

DG【1200】

LP【7000→5800】



「トライブアビリティによって得たポテンシャルアビリティにより、貴女の裏状態のフォースを2枚、ジャンクゾーンに送りますわ」


「っ……」


 ナミは苦虫を噛み締めた表情を浮かべる。

 ナミのチャージゾーンのカードが2枚ジャンクゾーンに送られたことにより、残ったフォースは4枚となってしまった。


「それだけじゃありませんわ! さらに、キララに2000ダメージを与えますわ!!」



【スターアイドル キララ】

DG【-2700→-700】

LP【6700→4700】


「そんな!?」


「さあ、これで今度こそ決めますわよ! ダイスステップ!!」


 サイコロが回る。

 そして、目が確定する。



【守護龍 ロイヤル・ドラゴン】

【1】【2】【3】【4】【5】【6】……相手のアタックガーディアンにXダメージを与える。(Xの値は、あなたのチャージゾーンに置かれているフォースの枚数×500)



(わたくし)のチャージゾーンには、フォースが12枚置かれているので、6000ダメージを与えますわ!!」


〈なんということだ! 早乙女選手のキララの残りLPは4700! この攻撃が通ってしまえば、早乙女選手の敗北が決定してしまう!!〉



「負けるわけには……」


 ナミは、手札を切る。


「いかない! カウンターカード【停戦契約】を発動!!」


【停戦契約】

FORCE【0】

【カウンター】

【自】(カウンターステップ時)

 ┗あなたと相手は互いにカードをドローし、山札の一番上のカードをチャージゾーンに置く。そうしたら、この効果を発動させたターンのバトルフェイズを強制的に終了させてエンドフェイズを開始させる。バトルフェイズ時に発動されたアタックアビリティは全て無効となるが、【弱体化】はしない。



「互いにカードを1ドローと1チャージして、バトルフェイズを終了させる!」


〈おおっ! 早乙女選手はカウンターカードを使って上手く回避した!〉


「またしても往生際の悪い……ターンエンドですわ」


「私のターン、メインデッキからドロー!」


 ロイヤル・ドラゴンのLPは5800。

 キララのLPは4700なので、キララのアタックアビリティだけでは倒すことはできない。

 ドローフェイズ時にドローしたカードを確認する。


(うーん……このカードじゃ決定打にはならない)


「フォースチャージして……」


 ナミはデッキに手を乗せる。

 無意識だが、震えている。

 本当に、このドローに懸かっているのだ。


「お願い……私に、力を貸して……」




◇◇◇◇◇◇



 選手控え室にて、イクサはずっとナミのバトルを見ていた。

 イクサの手にも、力が入る。


 その時だ。


「え……?」


 イクサのデッキケースが、突如光り出したのだ。


「これは、一体……」


 デッキケースを開けると、光を放っていたのは巫女ナイトのカードだった。


 巫女ナイトから発せられた光が、まっすぐナミのデッキの方へ向かう。





◇◇◇◇◇◇





―――大丈夫だよ



「……え?」


 突如、ナミの脳内に少女の声が響く。


――戦いを恐れないで、そうすれば……デッキは貴女に必ず応えてくれる


「……うん」


 その声に後押しされるように、ナミはカードをドローした。


「これが私の、ドロー!!」


 ドローしたカードを確認したナミは、思わず嬉し泣きしてしまいそうだった。

 しかしそれを我慢し、カードに感謝の想いを伝える。


(この土壇場で、来てくれたんだね。ありがとう……キララ)


 ナミは、カードを公開する。


「手札から、ポテンシャルアビリティを発動!!」


流星歌姫シューティングスターアイドル キララ・DESIRE】

【ポテンシャルアビリティ】

【永】

 ┗あなたのアタックゾーンに【スターアイドル キララ】が存在するなら、手札のこのカードはSF【4】として扱う。



「フォースを4枚消費する! 諦めない強い意思は、やがて奇跡を創り出す……星の栄光は希望の証、流星となりてフィールドを駆け抜けろ! 召喚(サモン)! 【流星歌姫シューティングスターアイドル キララ・DESIRE】!!」



流星歌姫シューティングスターアイドル キララ・DESIRE】

SF【6】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【アイドル】

DG【-700】

LP【6000→6700】



 キララ・DESIREは、不思議な光を纏っている。


「強い意思は、どんな悪意をも跳ね返す!」


 ナミはゆっくりと深呼吸をする。

 すると、ナミ自身にも不思議な光が宿る。



「今ならきっとできるはず……トライブアビリティ発動! 貴方のための晴れ舞台(ライブ・フォー・ユー)!!」


 システムの不具合上、それはエラーと認識される。

 3Dバトル・テーブルに少し稲妻が流れた。

 しかし、ナミとキララ・DESIREから放たれた光に触れた瞬間、システムが正常に機能し始めたのだ。





◇◇◇◇◇



 観客席にて、フジミは目を見開いてナミを眺めていた。


「ば、馬鹿な……なんだ、あの光は?! 一体、何が起きているんだ?! なぜ、システムが正常に作動する?! なぜ……なぜだ!?」


「あれこそが、早乙女家に代々伝わる巫女の力だよ」


 アイズの言葉を聞いて、フジミはアイズに尋ねる。


「まさか……貴様が言っていた面白いことって言うのは……」


「そう、これだよ」


 アイズは「フフフ」と笑う。


「キミが作ったご自慢のウイルスでも……彼女の強い意思には敵わなかったようだね」


「………。巫女の力って……何なんだよ?」


「巫女の力とはすなわち、この世界と向こうの世界を繋ぐ強大なる力。別の言い方をすれば、『神通力』とも言う。文字通り、『神に通ずる力』だね」


「神だと……?」





◇◇◇◇◇




「一世一代の大勝負! キララ・DESIREのトライブアビリティ発動!!」



流星歌姫シューティングスターアイドル キララ・DESIRE】

【トライブアビリティ】

【自】(セットフェイズ終了時)

 ┗あなたは自分の手札・チャージゾーン・ジャンクゾーンのカードを全て相手に公開する。そうしたら、ダイスステップをスキップしてフォースを消費せずにバトルフェイズに移行する。相手のアタックガーディアンにXダメージを与える。その後、この効果で公開したカードの中に含まれている全てのアシストガーディアンを自分の山札に戻してシャッフルし、このカードはアタックアビリティ以外の効果を全て失う。(Xの値は、この効果であなたが公開したカードの中に含まれているアシストガーディアンのカードの枚数×800)



「よって私の手札・チャージゾーン・ジャンクゾーンのカードを全て公開する。この中に含まれるアシストガーディアンの枚数は全部で13枚! よって、ロイヤル・ドラゴンに10400のダメージを与える!!」


「そ……そんなっ!?」


 アンジェの手札には、この攻撃を防げるような防御カードは無い。


 ロイヤル・ドラゴンに、キララ・DESIREの攻撃が命中する。




【守護龍 ロイヤル・ドラゴン】

DG【1200→11600】

LP【5800→0】



〈き、き……決まったぁぁぁ!! この、激しい攻防戦を見事に耐えきって勝利を掴んでみせたのは、東栄学園だぁぁぁぁぁ!!!〉


 バトルマスター・レツの宣言に、アンジェはガックリと項垂れる。


「そ、そんな……(わたくし)が、こんな庶民に負けるだなんて……」


 対して、ナミはカードを1つにまとめ、キララのカードに笑顔を向けた。



「ありがとうね、キララ……」


 キララのカードが、一瞬だが、微笑んだような気がした。





◇◇◇◇◇




「いよいよ、大将戦か……」


 選手控え室にて、孤高センリとの対決に内心緊張しているイクサ。


「聖野くん」


 するとそこへ、ユキヒコがやってきた。

 イクサは首を傾げる。


「どうしましたか、東條部長?」


「次の試合……俺にやらせてくれないかな?」


「え?!」


 イクサは目を見開く。


「な、なぜですか?」


「彼とはちょっとした因縁があってね。2年前の借りをなんとしても返したいんだ」


「2年前の……借り?」


「うん。俺は彼と一度、カードバトルをした事があったんだけど、その時は呆気なくやられてしまってね。あれから自分がどれだけ成長したか試したいんだ。ダメかな?」


「………」


 イクサは暫く思案する。

 やがて結論が出たのか、頷いた。


「……分かりました。俺の分まで、孤高と戦って下さい!」


「うん、もちろんだよ」


 イクサの言葉に対して、ユキヒコは笑顔で頷いた。


 だがこの時、ユキヒコは内心でイクサに謝罪した。

 因縁があるのは事実。

 しかし、理由はそれだけじゃない。

 本当の理由は、孤高グループが園生カンナの死に本当に関与しているかどうか、孤高グループの御曹司であるセンリに確認するためである。

 自分の個人的な事情のせいで、イクサとセンリの対決の邪魔をしてしまうことを……ユキヒコはひたすら謝罪する。

 それでも、ユキヒコは真相を知りたい。


 デッキケースにデッキを入れ、ユキヒコは試合会場に向かった。



 真相を知るために、ユキヒコは……真実の門を叩いた。

この作品で、神と言うとアレしか思い浮かばないですね。おっと……いかんいかん。これ以上は口にチャックせねば……



【次回予告】


 ついに始まる大将戦。

 ユキヒコとセンリの対決。

 果たして、センリが使う『アクセルトライブ』には、どのような能力が秘められているのだろうか?

 そして、園生カンナの死の真相とは?


 次回、【勝利の一手】

 お楽しみに!

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