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TCG バトル・ガーディアンズ  作者: あんころもちDX
第2章・全国大会編
36/66

BATTLE:023【予選開幕 鬼神降臨!】

 全国大会編と言っておきながら、まあダラダラと進めてきてやっとの全国大会予選!

 なんと、もういきなり準決勝! はやーい!!

 そしてお相手は、あすぎめむいさんがご投稿して下さったトライブ【オーガトライブ】です!!


 そんな最新話……どうぞ!!


 本当に、長らくお待たせしましたm(_ _)m

 全国大会……それは、全日本に存在するあらゆる強者カードマスターがチームを組んで戦い合う、バトル・ガーディアンズ日本国内史上最高のイベントである。

 実に数百校以上の小学校・中学校・高校・大学に所属するチームが予選に参加、厳しい戦いを勝ち抜いた50校が本選にへと進めるのだ。

 しかし、本選出場したからといっても油断はできない。

 そこからさらに5つのブロックに分けられた決勝トーナメントを勝ち抜く必要がある。

 予選大会並びに決勝トーナメント……道は遠く極めて険しい。

 だからこそ、優勝できた時の喜びは何よりも勝る達成感がある。

 自分が最強のカードマスターなのだ、と。

 そう、


「ここが、予選大会……」


 その過酷でもあり、遠く険しい戦いを、イクサ達は勝ち抜く。勝ち抜かなければならない。


 予選大会会場を目の前にし、カードバトル部の面々はそれぞれ息を飲む。

 彼らがこれから戦う東京ブロックは、全国でも有数の強豪校達による激戦区でもあるのだ。


「くぅ〜、ついに来ましたね! 部長!!」


「その台詞は、本選まで取っておいた方がいいと思うよ」


 感極まっているカイトに、ユキヒコは苦笑いしながら答えた。

 一時は落ち込んでいたユキヒコだったが、すっかり元気になったようだ。


「さあ、行こう。皆!」


『はい!』


 ユキヒコの声に、全員は頷いた。


 ユキヒコを筆頭に、会場に入場する。

 中はやはり広く、受け付けには特大スクリーンが設置されている。


「それじゃあ、受け付けには俺が行くから、皆は好きに施設内を自由に探検しててくれ。予選開会式まではまだ時間があるし」


『はーい』


「集合は30分後。解散!」


 ユキヒコはそう言って、受け付けに行ってしまった。

 残されたイクサ達は、ユキヒコに言われたように、各自自由行動を取ることにした。


「んじゃあ、俺は試合会場を見に行くかな」


「私は食堂の料理でも確認しよーっと」


「リンナは開会式まで寝るのだー」


 皆が受け付けフロアからそれぞれの自由行動を取る中、イクサは特に行く宛が無いのでモニターを眺めることにした。

 すると、スクリーンの電源が点き、映像が映し出された。


〈さあ、今年もついに始まるぞ! 年に一度の大イベント! 全国大会!!〉


 ナレーションと共に、過去の名勝負と思われる映像がカット演出で流れる。


「凄い……」


 カット演出だから、全てのバトル状況は把握できない。

 それなのに、どの勝負も凄まじい駆け引きが展開されている事は、容易に想像が着く。


「驚いたかい?」


 すると、ユキヒコが声をかけてきた。

 どうやら受け付けを終えたらしい。

 イクサは黙って頷き、映像を見続ける。


「怖いかい?」


「……」


 怖いと聞かれて、ふと考える。優勝を目指していた心が、折れただろうか?


 いいや、違う。イクサは確信を持って答える。


「むしろその逆ですよ、東條部長」


 今、イクサの心に渦巻くこの感情。それは――


「俺、早く本選に行って戦いたいんです。もっと、強い奴とのカードバトルがしたいんです」


 これは、決して強者に対する恐怖ではない。

 強者と戦える喜びと感謝の感情だ。


「それなら、心配ないね」


 イクサの返答に、ユキヒコは小さく笑う。


「聖野くん。俺はね、全国大会にチームで出場するのは……キミと同じく今年が初めてだ。この最高のチームでの…最初で最後なんだ」


「東條部長は……来年で卒業ですもんね」


「ああ。でもね、不思議とプレッシャーは感じないんだ。どんな結果になろうとも、きっと俺は、全てを受け入れると思う」


 穏やかな表情を浮かべ、デッキホルダーを懐から取り出す。


「この三年間……俺が培ってきた事がどれだけ通じるのか……今からとても楽しみだよ」


 ユキヒコから溢れ出るオーラ。

 それを感じたイクサは、思わず息を飲む。



〈まもなく、開会式が始まります。選手の方々は、特設試合会場にお集まり下さい〉


 すると、アナウンスが流れた。

 イクサとユキヒコが再度顔を合わせる。


「それじゃあ、行こうか。聖野くん」


「はい!」




―――――――――――――――――




「全国大会予選……それは、各地区の教育機関に所属する強者カードマスター達による、熾烈なる戦い。……しかーし! 真の強者はただ1つ! この予選大会は全国的に言えば約2000ものチームが振るい落とされる!! この東京ブロックだけでも、36チームが敗退し苦汁を嘗めることになるのだ!」


 特設試合会場でそう高らかにマイクを持ちながら宣言する男。

 赤いバンダナに黒いジャケットコート。

 その奇抜なファッションに、イクサは思わずカイトに小声で話しかける。


「(なあ、カイト。なんなんだ、あの人? 変な格好してるし……)」


「(バトルマスター・レツだよ)」


「(バトルマスター? なにそれ?)」



「はい、そこ! 俺が話してる時にひそひそ話は禁止! あと、変な格好とは言わないように! お兄さんは悲しいぞ!!」


 指を差され、イクサは思わず口をつぐんだ。

 地獄耳である。


「さあ、もしかしたら俺の事を知らない人もいるだろう! 大丈夫、お兄さんは極めて優しいから安心してくれ。俺の名前はバトルマスター・レツ!! バトル・ガーディアンズ公式大会委員会より与えられる最強のカードマスターの称号であるバトルマスターの名を持っている男だ!! そして、司会進行役でもあるのだ!」


 最初から最後まで言葉から滲み出る胡散臭さに、顔をしかめる。


「さて、俺の自己紹介はこれぐらいにしておこう。おっと、サインは後にしておいてくれたまえよ、あっはっはっ!」


 しかもウザイと来た。


「おっーと、話が脱線し始めたな。いかんいかん。では、話を戻そう」


 えへん、と咳払いしたバトルマスター・レツは再度説明を始める。


「予選大会は、6つのブロックに分けて行う! 決勝戦まで勝ち進むには、七回のバトルを制さなければならない。今年は去年に比べて参加校が多いので、かなり所要時間が長引くと思う。しかし、それだけ名勝負が生まれる確率が上がるというもの。実に胸踊ることだ、うむ!」


 そしてマイクを掲げて高々と宣言する。


「俺は今ここに宣言する! 伝説の一歩は、ここから始まる! キミ達が、その一歩を歩むんだ!! さあ。共に楽しもうじゃないか、共に感じようじゃないか! 最高のバトルを!! 予選大会、スタァァァトだぁぁぁ!!」



――うおぉぉぉぉ!!!!


 辺りから沸き上がる歓声。

 いよいよ、全国大会の予選が始まるのだ。




―――――――――――――――――――



「やっと着いたか」


「予選開幕から既に5時間。大会も終盤に入ってることでしょう」


「ま、私達が来る前にもう敗退してるんじゃないですかぁ?」


 会場に入場したのは、なんと東栄学園生徒会の三人だ。


 東栄学園生徒会会長・鹿羽フジミ。

 東栄学園生徒会副会長・無矢ゴウキ。

 東栄学園生徒会書記・麻生ダイナ。


「敗退…か。この程度の大会で敗退するほど、奴らは弱くないさ」


 まだ傷が残っているのか、フジミの顔にはいくつもの湿布が貼られており、また、その目は暗く濁っている。


「まだ、傷が痛みますか?」


「別に」


 フジミの身を案じるゴウキは、フジミの顔に触れる。

 しかし、フジミはそれを無表情で払いのける。


「この程度の傷……今更だ」


 フッ……、とフジミは軽く笑う。


「さっさと行くとしよう。ここで奴らの歩みが止まろうと、絶えず前に進もうと……その行く末を見るだけの価値はある」


「「御意」」


 ゴウキとダイナは頭を下げ、フジミと共に歩く。




――――――――――――――――



「くぅぅ!!」


 現在、お昼休憩にて食堂で昼食を摂っているカードバトル部。


 中でもカレーを食べて感激の声をあげているカイトに、イクサは呆れを感じる。


「飯ぐらい静かに食えないの、カイトは」


「いやぁ、だって俺達絶好調じゃん! あっという間に準決勝でさ、飯が美味く感じるってもんだ!!」


「う…うん……」


 そう、あっという間に準決勝。

 今日、イクサはまだ1回しかバトルしていない。

 4回。それ以上バトルをすれば、自分の命に関わる。

 戦うタイミングを慎重に選ぶことを、肝に命じる。



「そういえば、イクサ」


「……え?」


 物思いにふけていると、ナミが声をかけてきた。


「どうした、ナミ?」


「次の対戦相手って、どこだっけ?」


「え、ええと……」


 対戦表を取り出すために鞄を漁る。すると、



「俺達だよ。東栄学園の皆さん?」


 突如、声をかけられた。


 声の方向を見ると、5人の少年少女が立っていた。

 カイトは思わず息を飲む。


「あ、あんた達は……」


 5人の中で一際背の高い青年が、イクサ達に話しかける。


「俺達は阿久麻学園。初出場でいきなり準決勝まで勝ち進むとは、まさに驚嘆に値するよ」


 『阿久魔学園』という言葉を聞き、ユキヒコはメガネをクイッと動かす。


「阿久麻学園……全国でも有数の強豪校だね」


「左様。……貴方が、部長ですか?」


「ええ、そうですが?」


「なら、次の試合は互いに良いバトルをしましょう」


「それは、勿論ですよ」




「待って下さい、部長」


 阿久麻学園の面々が去ろうとすると、カイトがいきなり会話に入り込んだ。


「鬼塚キシンは、どいつだ?」


「……ああ?」


 カイトの問いに、5人の内の三白眼の青年『鬼塚 キシン』がカイトを睨む。


「なんだ、お前?」


「俺の名前は、戦宮カイト! ワールド・バトル・ボードでの借り、きっちり返してやるぜ!!」


「戦宮カイト? ワールド・バトル・ボード? ……………………ああ、あの時の雑魚か」


「うぐっ!?」


 カイトは雑魚発言がとてもショックだったのか、胸を押さえる。


「こら、キシン!」


 キシンの発言を戒めるかのように、阿久麻学園の部長らしき人物がキシンの頭を叩く。


「痛っ! 何するんですか、極道前部長」


「お前はもっと相手に敬意を払え!」


「……格下の雑魚に、なんで敬意を払わなきゃいけないんですかー?」


「スポーツマンシップというやつだ!!」


「意味が分かりませーん」


 キシンは部長らしき青年――『極道前 ギンカク』の言葉を軽く流し、カイトを横目で見る。


「まあ、雑魚を撤回したいなら俺に勝てばいいだけの話だし……」


「お前という奴は……」


 ギンカクはもう一度キシンの頭を叩くと、ユキヒコに謝罪するために頭を下げた。


「すみません。できれば、こちらの無礼を許していただきたい」


「いいえ。バトルでの借りはバトルででしか返せませんし、そっちの彼の言うように“勝てばいいだけの話”なので」


「……なるほど」


 ユキヒコの遠回しな宣戦布告に、ギンカクはニヤリと笑って軽く会釈する。


「……次の試合、楽しみにしていますよ。ああ、申し遅れましたね。俺の名前は『極道前 ギンカク』、阿久麻学園の部長をしています。貴方は?」


「俺は東條ユキヒコです。東栄学園の部長です」


 ユキヒコの名前を聞くと、ギンカクは少し目を見開いて「東條……?」と呟くと、まるで何かを振り払うかのように頭を振り、ユキヒコに言う。


「では東條さん、互いに良いバトルをしましょう。ですが……」


 互いに握手を交わし、静かに微笑む。


「我々にも全国出場のブランドとプライドがありますので、そう易々とはいきませんよ?」


「もちろん、望むところです」


 ユキヒコとギンカク。2人の視線の戦いを見て、両校の部員達は少し寒気がした。すでに火花が散っている。


 阿久麻学園が去り、イクサ達に訪れる沈黙。

 一人呑気に寝ているリンナを思わず恨めしいと感じてしまうほど、空気が重い。

 そんな重い空気を破ったのは、ユキヒコだった。


「まあ、皆。そう固くなることは無いよ」


 ユキヒコは笑顔で言う。


「東栄学園は、今年が初出場。つまり、余計なブランドやプライド……建前は必要ない。ここまで勝ち進めたのは紛れなんかじゃないって事を、阿久麻学園に知らしめよう!!」


『はい!!』


 イクサ達は全員、力強く頷いた。





――――――――――――――――――――



 定時刻となり、選手が会場に入場する。



〈ではこれより、東栄学園と阿久麻学園を開始する!〉


 バトルマスター・レツの掛け声と共に、いよいよ準決勝戦がスタートする。


「やはり勝ち残っていたか」


 観客席には、東栄学園生徒会3人の姿があった。

 フジミは小さく笑う。


「どうせ、紛れなんじゃないの?」


「いや、それは無いな」


 ダイナの悪態に、ゴウキが冷静に訂正を入れた。


「ここまでの試合映像を検証したが、どれも見事としか言い様がない。聖野イクサと戦宮カイトに関しては、俺達と戦った時とはまるで別人のような強さだ」


 ゴウキの報告に、ダイナは納得がいかない顔をする。


「一週間で、そこまで変われるわけないし」


「だが、奴らなら可能なのだろうな」


「どうしてよ?」


 どうしてもカードバトル部の成長を認めたくないダイナに、ゴウキは説明する。


「それだけ、奴らにとってこの予選は重要だと言うことだ。ここまでの変貌を遂げるほどに」


「むー」


 ダイナは観客席から身を乗り出して、凝視する。




 一方、試合の方はまず先鋒戦。

 両学園から、カードマスターが一人ずつ3Dバトルテーブルの前に出る。


「やっと戦える……」


「まずは、雑魚が相手か」


 東栄学園の先鋒――戦宮カイト。

 阿久麻学園の先鋒――鬼塚キシン。


〈では二人とも。デッキをデッキゾーンに置いてくれ!〉


 機械によって、デッキゾーンに置かれたデッキが自動的にシャッフルされる。


〈さあ、まずは先鋒戦! 東栄学園・戦宮カイト選手と阿久麻学園・鬼塚キシン選手のバトル……スタァァァトオオオ!!〉


「「ダイス・セット!!」」


「まずは俺の先攻、メインデッキからドロー!」


 先攻はカイトからだ。


「フォースチャージして、ドロー!! フォースを1枚消費して、アタックガーディアン【ディヴァイン・リソース】を召喚(サモン)!!」


【ディヴァイン・リソース】

SF【1】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【ディヴァイン】

DG【0】

LP【1000】


「そして、リソースのトライブアビリティ発動! 蓄積と解放チャージング・リリーズ!!」


【ディヴァイン・リソース】

【トライブアビリティ】

【起】(手札を1枚選んでジャンクゾーンに送る)

 ┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。あなたは自分の山札の上からカードを2枚ドローする。この効果は、1ターンに1度しか使えない。


「1枚を捨てて、2枚ドロー!!」


〈おおっと、戦宮選手! 先攻でいきなりのトライブアビリティ発動だ! しかも、その効果はディヴァイントライブにとって必須なハンドアドバンテージ! 順調に下ごしらえをしているようだ!!〉


「俺はこれでターンを終了する!」


「あいよ。俺のターン、メインデッキからドロー」


 続いて、後攻のキシンのターンだ。


「フォースチャージ、ドローっと」


 ドローしたカードを手札に加え、手札を見つめる。


「フーン……こういう組み合わせになったか…。まあ、やる事は変わらないんだけどさ」


 しばらく思案した後、カードを選択する。


「SF【0】のアタックガーディアンとアシストガーディアンを、それぞれ召喚(サモン)


【オーガ・スラッシャー】

SF【0】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【オーガ】

DG【0】

LP【500】


【鬼神器 オーガ・ソード】

SF【0】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【オーガ】

DG【0】

LP【100】


「んじゃ、スラッシャーのトライブアビリティ発動! 【涙の怒り(ティアーズ・レイジ)】!!」


【オーガ・スラッシャー】

【トライブアビリティ】

【起】(COST:無し)

 ┗この効果は1ターンに一度しか発動できない。あなたのターンのバトルフェイズに発生するダメージ量を2倍にする。その後、エンドフェイズ時にこのガーディアンは弱体化する。


〈なんと鬼塚選手もトライブアビリティ発動だ! しかも、なんとダメージ量が2倍ときた!! まさか1キルか!?〉


 1キルとは、1ターンキルの事である。

 2倍になるとはいえ、エンドフェイズ時に弱体化するということは、このターンで勝負を決めない限り次のカイトのターンで敗北する危険性がある。

 カイトは、キシンが何をするのか様子を伺う。


「一体、どういうつもりだ?」


「見てれば、分かるさ。ダイスステップだ」


 キシンはサイコロを振った。

 サイコロの目は、4。



【オーガ・スラッシャー】

【1】【2】【3】……相手のアタックガーディアンに150のダメージを与える。

【4】【5】【6】……相手のアタックガーディアンに300のダメージを与える。


「フォースを1枚消費して、バトルフェイズ。トライブアビリティの効果によって、ディヴァイン・リソースに600のダメージを与える!」


「なっ……」


【ディヴァイン・リソース】

DG【0→600】

LP【1000→400】


「くっ…いきなり600ダメージか。でも!」


【オーガ・スラッシャー】

【弱体化】


「弱体化しちまったら意味ないぜ!」


「勿論、このままでは終わらないさ」


「え……?」


「オーガ・ソードのアシストアビリティ発動!」


【鬼神器 オーガ・ソード】

【アシストアビリティ】

【自】(エンドフェイズ時)

 ┗このカードをジャンクゾーンに送る。そうしたら、あなたの【オーガトライブ】のガーディアンを1枚まで選んで弱体化を解除し、さらに相手は自分の手札を1枚選んでジャンクゾーンに送る。


「そ、そんな……」


「オーガ・ソードの効果により、オーガ・スラッシャーの弱体化は解除され、お前は自分の手札を1枚捨てる」


 1ターン目から大ダメージを喰らい、さらにはせっかくのハンドアドバンテージを潰されてしまったカイト。



「これは……マズイな」


 観客席にて傍観していたゴウキは、思わず呟いていた。

 そんなゴウキに、ダイナは頭を傾げる。


「何がマズイの?」


「オーガトライブの最大の特長は、その破壊力。相手のLPとハンドに対する圧倒的な破壊力だ。耐久力もなくハンドアドバンテージを稼げなければ真価を発揮できないディヴァイントライブとは、あまりにも相性が悪すぎる……」


「確かに……。残りLPがいきなり僅か400、さらには手札は1枚削られて5枚。LPにしろハンドにしろ、このまま削られればジリ貧になるわね」


「ああ。そもそも、オーガトライブはその大火力と引き換えに自身を弱体化させる諸刃のトライブだが……新弾で追加された【鬼神器】が大きすぎるな。あのシリーズは自身をジャンクゾーンに送ることでオーガトライブのガーディアンの弱体化を解除するだけでなく、相手に何らかの損害を与える」


「さすがは強豪校のエースね。もう新弾のカードを使いこなすだなんて……」


「一体どうするつもりだ、戦宮カイト?」


 ゴウキがカイトの方を見る。

 ゴウキは、思わず目を見開いた。


(ん? この状況で……笑っているだと?)


 カイトは確かに、笑っていた。



「何がおかしい?」


 キシンは首を傾げながらカイトに尋ねる。


「いや? 1ターン目からここまで追い込まれるのはある意味予想してたし……次のターンの快進撃でお前の間抜け面を拝めると思うと、顔がニヤけちまうのさ」


「快進撃……だと?」


「おう。ディヴァイントライブを、ただのハンドアドバンテージを稼ぐトライブだと思うなよ!!」


 キシンのターンが終わり、カイトのターンとなる。


「俺のターン、メインデッキからドロー!!」


 一体、カイトはどのような快進撃を行うのだろうか……

【次回予告】


 圧倒的火力を叩き出すオーガトライブに、やはり苦戦を強いられるカイト。

 勝つためならなんだってする……そんな気構えでキシンの攻撃に耐えるカイトの逆転の一手とは?!

 そして続く中堅戦、まさかの展開が!!


 次回、【波乱を呼ぶ準決勝】

 お楽しみに!!

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