BATTLE:020【出場の行方! 東條ユキヒコVS鹿羽フジミ 前編】
今回は回想などがメインのため、バトル描写は少なめです。
ご了承下さい。
――東栄学園・高等部――
ここは、イクサ達が通う学園。
その名は、『東栄学園高等部』。
今日は、全国大会予選に出場するべく、出場の申請を行うためにカードバトル部の面々5人は高等部受付に向かっていたのだった。
「おい、イクサ。大丈夫なのか?」
「う、うん……なんとかね」
カイトはイクサの身を案じる。
昨日、イクサに宣告されたのはあまりに残酷な現実だった。
イクサが1日に行えるバトル回数は多くて4回。
もしそれを越えたら、吐血程度では済まなく、今度こそ死ぬ可能性があるという。
顔色の悪いイクサの様子に、ナミは首を傾げる。
「なに? イクサ、調子悪いの?」
ナミの問いに、カイトはここぞとばかりに告げる。
「聞いてよ、早乙女さん! こいつ、昨日なんか死にそうなぐらい具合悪かったんだぜ!?」
「えっ?!」
ナミはすぐさまイクサに詰め寄り、小声で話しかける。
「もしかして、あのデッキのせい? やっぱりうちでお祓いした方が」
「いや、大丈夫だって……。俺は、大丈夫だよ」
「……本当?」
「……うん」
ナミはイクサの目を見て探りをいれている。
――こいつは昔からそうだ。真偽を確かめるために、相手の目を見る。
イクサはそう思いながら、ぎこちなく笑顔を作る。
「聖野くん、早乙女さん。着いたよ」
「「え?」」
ユキヒコの言葉で、イクサとナミは扉のプレートを見る。
――高等部受付――
「さあ、早速申請だ」
ユキヒコはファイルから取り出した申請用紙を持ち、高等部受付にノックをした後に入室する。
入室してすぐに近くにいた受付担当の事務員に声をかける。
「すみません」
「はい、なんでしょうか?」
「バトル・ガーディアンズ全国大会予選の申請をしたいのですが」
「申請用紙に必要事項は記入しましたか?」
「はい。これが申請用紙です」
ユキヒコは事務員に申請用紙を渡した。
「訂正箇所はありますか?」
「ありません」
「そうですか。では、こちらで預かります。少々お待ち下さい、総合科に連絡しますので」
事務員は電話を手に取り、総合科に連絡する。
数秒の後、電話に出た相手と会話をする。
「はい、こちら高等部受付です。はい、バトル・ガーディアンズの大会申請が来たので、申請の方を……って、え?」
『?』
イクサ達は首を傾げる。
事務員は横目でチラッとこちらを見ると、電話の応対を続ける。
「はい……はい、そうですか。では、この場合は………ああ、はい。当人同士による平和的解決ですか……分かりました。お手数かけました、では」
電話を切り、こちらに向き直る。
ユキヒコは恐る恐る事務員に声をかける。
「どうしたんですか?」
「誠に申し訳ないのですが、同じ用件が既に総合科に連絡されていたようで……」
「え……?」
「しかし、それがほぼ同時だったものですから、向こうの方も対応に困っているらしいんです。2つの内のどちらか1つの申請を許可しようとは思っているので、当人同士による平和的解決をしていただけたら、こちらとしても助かります。申請は、その後でもう一度お願いします」
事務員の言葉を聞いて、ユキヒコの表情が曇る。
「………。因みに、同一の申請をしたのは、誰なんですか?」
「東栄学園生徒会です」
「っ!!」
生徒会の名を聞き、ユキヒコは拳を握り締める。
「鹿羽フジミ……」
◇◇◇◇◇
「おい、イクサ。なんか東條部長怒ってないか?」
「俺が知るわけないだろ」
カイトが小声で話しかけたが、イクサは特に反応しない。余計なことを言って、ユキヒコを刺激しないためだ。
今のユキヒコの目は、誰が見ても分かるくらいに怒りに染まっていた。
「いつものユキヒコじゃないのだー」
「ホント、東條先輩どうしたんだろ……」
リンナとナミも、怒気を発するユキヒコのことを心配している。
本当になにがあったのか。ユキヒコ以外のカードバトル部全員がそう思う。
生徒会の名前を聞いてから、ユキヒコの様子が変わってしまった。
「着いた……」
生徒会室の前に到着し、イクサは思わず息を呑む。ここにはあまり良い思い出がないからだ。
「皆……ここは、俺だけに行かせてくれ」
『え?』
ユキヒコはイクサ達に、待機を命じた。
イクサは思わず声をかける。
「東條部長、それは一体、どうして…」
「俺は、あいつと戦わなきゃいけない。戦わなきゃ、俺も前には進めないんだ」
そう言って、ユキヒコは生徒会室に入っていった。
◇◇◇◇◇
「久しぶりだな、東條。2年ぶりか?」
「そうだな」
ユキヒコは、生徒会室で待ち構えていたフジミに対峙する。
「そうか、2年か……あの時は屈辱的だったよなぁ。お前に負けて、俺は本格的にバトル・ガーディアンズを始めることになった……。お前を倒す…そのためだけに」
「……なぜ、カンナを殺した……?」
「あぁ?」
ユキヒコはフジミに詰め寄り、胸ぐらを掴む。
「なぜ、カンナを殺した!? お前が恨んでいたのは俺だろうが!!」
「痛ぇな…。あの小娘を殺したのは俺じゃない……」
「知らばっくれるな! お前ら鹿羽一族がカンナの死に関係しているのは知っているんだぞ!?」
「人聞きの悪い……。俺らがやってたのは、ただの投資だ。恨むんなら、あの機関を恨めよ」
「もちろん恨んださ。だが、あの機関に資金援助をしていたお前も同罪だ!!」
「クククッ。惚れた女を殺されて復讐鬼に堕ちたか、東條ユキヒコ」
「黙れ」
ユキヒコはデッキを取り出す。
「今回の予選出場の同時申請……これが目的だろ?」
「お察しの通りだ。俺はな、2年前のあの時からずっとただ……お前との再戦だけを願ってきた。諸星シンヤの時だってそうだ。あいつをバラせば、お前が釣れると思ったんだがなぁ。結局、お前は俺に会いには来なかったよな?」
「………いいから、デッキを出せ。お前のくだらない殺戮ゲームは、俺が終わらす」
「そう来るだろうと思って、既に最高のフィールドを用意したぜ!!」
フジミが指を鳴らすと、生徒会室全体が瞬く間に墓場フィールドとなった。
3Dバトルシステムが部屋全体に発動している。
「これは……」
「ここが、お前の墓場ってことだよ、東條!!」
「相変わらずの悪趣味さだな……」
二人は3Dバトルテーブルにメインデッキを置く。
サイドデッキの配置、手札交換。バトル前の準備を全て終え、カードバトルを開始する。
「「ダイス・セット!!」」
「先攻は俺がもらうぜ。俺のターン、メインデッキからドロー! フォースチャージして、さらに追加ドロー!!」
先攻は、フジミだ。
「フォースを1枚消費して、アタックガーディアン【アンデッド・フィッシャー】を召喚!!」
【アンデッド・フィッシャー】
SF【1】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【アンデッド】
DG【0】
LP【1000】
〈ケケケ……〉
墓場フィールドに、釣竿のような槍を携えた屍の戦士が3Dビジョンによる立体投影で出現した。
「これでターンエンドだ」
「俺のターン、メインデッキからドロー。フォースチャージして、追加ドロー!」
ドローしたカードを手札に加え、ユキヒコは昔に想いを馳せた。
(鹿羽との初めての出会いは、2年前の5月だった……)
―◇―◇―◇―◇―◇―
2年前、5月。
カンナに誘われてカードバトル部のメンバーになったユキヒコは、同好会として認めてもらうために生徒会に向かっていた。
「カードゲームの同好会の申請……果たしてうまくいくかどうか………」
東栄学園は進学校。
いくら自由な校風とはいえ、カードゲームを主体とした同好会ができるかどうか、極めて怪しい限りだった。
「カードゲーム同好会?」
「はい」
そこでユキヒコとフジミは、初めて出会った。
当時、退屈な日々を過ごしていた1年のユキヒコと、1年の身でありながら生徒会長を勤めていたフジミ。
あまりにも対極に位置し、恐らくこのようなことがなければ一生出会うことがないような、互いにとってそんな存在だった。
ユキヒコの提出した書類に目を通したフジミは、明らかに難色を示す。
「んー、論外ですね。学校は勉学に励む場所であって、そんな紙切れで遊ぶような場所ではないですから」
「はあ……ですよね」
フジミは、まさに優等生と呼ぶにふさわしい生徒だった。
実態はとんだサイコ野郎ではあるが。
ユキヒコは頭を下げて、なんとかフジミに食い下がろうとする。
「そこをなんとかしていただけませんか」
だが、フジミは一切取り入ろうとしない。
「無理ですね。カードゲームなどというお遊びを認可するわけにはいきませんので」
「……お遊びなんかじゃありませんよ」
ユキヒコはバトル・ガーディアンズというゲームをお遊びという言葉で片付けられたくなかった。
ユキヒコの心を満たしてくれたこのカードゲームに、そんな不名誉な言葉を与えたくなかったのだ。
ユキヒコの反論に対して、フジミは眉間に皺を寄せる。
「どうお遊びじゃないと言うんですか?」
「バトル・ガーディアンズは、一種のスポーツです。大会も催されていますし、カードバトルを通して互いに切磋琢磨できます。この学園で認められているサッカーなどの部活となんら変わりません。ボールがカードになっただけです」
「……ですがね」
フジミは、こめかみを押さえる。心無しか、その声には僅かな苛立ちが見受けられる。
そんなフジミの表情にユキヒコは一切気付かず、最後の手段とばかりにフジミに取り引きを持ちかける。
「でしたら、俺達三人と勝負して下さい!」
「はい?」
「勝負種目はそちらで決めていただいて構いません。その勝負に勝てたら、カードバトル同好会の設立を認めて下さい!!」
「………。そうですか、そこまでしてカードバトル同好会とやらを作りたいのですか……」
フジミはニッコリと微笑み、ユキヒコに言う。
「では、貴方がそこまで支持するバトル・ガーディアンズというカードゲームで勝敗を決めるというのはどうでしょうか?」
「え……」
自分達にとって圧倒的に有利な種目に、ユキヒコは唖然とする。
「ほ、本当にいいんですか?」
「ええ。貴方の言葉から、バトル・ガーディアンズとは大変素晴らしいカードゲームであるということが伝わってきましたし、なにより……」
フジミはユキヒコの胸ぐらを掴んで耳元で囁く。
「初心者相手に完膚なきまでに惨めに叩き潰されれば、恥ずかしくて二度とカードゲームがしたいだなんて言えないだろうからな」
「っ?!」
先程までの聖人君主のような表情から一変し、暴君のような邪悪な表情を浮かべるフジミ。
ユキヒコはフジミの手をはたき落として後退する。
そんなユキヒコに、フジミは小さく笑うと先ほどのような柔和な表情を浮かべる。
「では、東條くん。試合予定はこちらから後日あらためて連絡するよ。……楽しみにしててね」
「は、はい……わかり、ました」
ユキヒコはそう告げるだけで精一杯だった。
それほどまでに、鹿羽フジミという存在が、計り知れないほど不気味に感じられたからだ。
生徒会室を立ち去ってからカンナとリンナに会うまで、生きた心地がしなかった。
―◇―◇―◇―◇―◇―
「どうした? お前のターンだぜ?」
「………。ああ、分かっている」
少し回想に浸りすぎていたようだ、と思い、ユキヒコはゲームを再開する。
「俺はアタックガーディアン【ブリザード・アイン】を召喚!」
【ブリザード・アイン】
SF【0】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【ブリザード】
DG【0】
LP【500】
〈ハァァッ!〉
氷の鎧を纏った戦士が出現した。
「ブリザード・アインのトライブアビリティ発動! 絶対零度の凍結!!」
【ブリザード・アイン】
【トライブアビリティ】
【起】(COST:手札のカウンターカード1枚をジャンクゾーンに送る)
┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、相手は次の自分のターンに手札からガーディアンをアシストゾーンに召喚できない。
「お前のアシストゾーンは、凍結する!」
生徒会室を覆う墓場フィールド。
その中でフジミのフィールドのアシストゾーンに巨大な氷柱が出現した。
その氷柱をフジミは舌打ちしながら忌々しげに見つめる。
「相変わらずのアシストゾーン潰しか……」
「それこそが、ブリザードトライブのトライブアビリティだ」
「……クククッ。確かに、そうだったな」
フジミは小さく笑い、ユキヒコに語りかける。
「あの頃と何も変わらないな、東條」
「なに……?」
「あの頃のお前も、今みたいに俺と戦った。戦う理由は違えど、その理由の中には必ずカードゲームの仲間がいた」
「ああ。そして、お前は俺の仲間を奪った」
「それは誤解だ。園生カンナがなぜ死んだのか……俺にも分からない。そんな危ない実験だとも聞いていなかった」
「だが、現にカンナは死んだ!!」
「結果論で言えばな。しかし……本当に責任は俺にあると思うか?」
「なんだと……?」
フジミは愉快げに語る。まるで、これから話す内容に対するユキヒコの反応を楽しむかのように。
「あの機関が欲していたのは、園生リンナだ。だが、実際に機関の元にやってきたのは園生カンナ。リンナが大人しく機関に行っていれば、結果は変わったかもしれない」
「何が言いたい……?」
フジミの顔がさらに歪む。
楽しくて愉しくて仕方がない、とでも言いたげだ。
「園生カンナを死に導いたのは、一体誰だと思う?」
「そんなの……お前と、あの機関しかいない!」
「そうかい……なら、このバトルの果てに教えてやるよ。お前が憎むべき本当の敵の正体をな」
「本当の敵の……正体?」
「そうさ。お前の信念が正しいのなら、真実を知りたいのなら、俺に勝利しろ。いや、勝利してみせろ」
「……望むところだ。サイコロを振ってバトルフェイズ!!」
「来い、東條!!」
◇◇◇◇◇
「一体、中で何が起きてるんだろうな?」
「イクサは何か知らない?」
「さあ……」
ユキヒコとフジミの間に何があったのか。
カイトとナミとイクサの3人はそれを全く知らない。
もし何か知っているとすれば、ユキヒコと付き合いの長いリンナぐらいしかいないだろう。だが肝心のリンナは――
「ZZZ……」
壁にもたれて絶賛爆睡中である。
そんなリンナに対して、イクサ達は互いに乾いた笑い声を漏らす。
イクサはリンナを起こさないように、カイトとナミに話しかける。
「リンナ副部長って、ホントによく寝るよね……」
「「確かに……」」
一体、どんな夢を見ているのか。
それは、誰にも分からない。
「むにゃぁ……お姉ちゃん………」
―◇―◇―◇―◇―
二年前。生徒会との同好会設立を賭けた試合。
「インセクティヴァラス! これで最後だ!!」
「うがぁぁ……わーたーしのジュラシックトライブがぁぁぁ……っ!!」
カンナがダイナに勝利し、ダイナは項垂れていた。
「くやしい……!!」
「ダイナ、諦めろ。実力差がありすぎだ」
「きぃぃぃ!!」
「だから落ち着け」
癇癪を起こすダイナを、ゴウキが宥める。
反対に、リンナはカンナが勝ったことに大喜びだった。
「わーい! カンナお姉ちゃんが勝ったのだー!」
「全く……。リンナが負けなければこれでストレート勝ちだったってのに」
「なはは……面目ないのだー」
カードバトル同好会(仮)と生徒会のカードバトル。
初戦はインセクトトライブ使いの無矢ゴウキとプラントトライブ使いの園生リンナ。
二戦目はジュラシックトライブ使いの麻生ダイナとプラントトライブ使いの園生カンナ。
互いに一勝一敗。
勝負の決着は、第三戦目に委ねられた。
「やっとお前とのバトルか……」
「そうですね……」
鹿羽フジミと東條ユキヒコ。
フジミはもう化けの皮を被るつもりがないのか、素の話し方でユキヒコに語りかける。
この二人の因縁は、ここから始まった。
「行け、不死の災狂騎士!!」
「負けるな、ブリザード・ジャイアント!!」
死力を尽くす二人のバトルは、中々勝負が着かなかった。
しかし、その均衡も崩れつつあった。
【不死の災狂騎士】
LP【4000】
【ブリザード・ジャイアント】
LP【1000】
「フンッ、ライフ差は3000。お前のガーディアンの残りライフはたったの1000……まさに絶体絶命だな」
「くっ……」
ブリザード・ジャイアントは、当時のユキヒコのエースカードだった。
そのカードのピンチは、まさにユキヒコにとってもピンチそのものだ。
(まだだ……まだライフが残っている。ライフが残っている限り、バトルは最後まで分からない。俺が、ここで諦めるわけにはいかないんだ……!)
――ドクンッ
(っ?! これは……)
その時だ。
ユキヒコのデッキが鼓動を紡いだ。
――汝は、何のために戦う?――
(俺は……俺は、仲間と共にもっと高みを目指したい! 俺を信じてくれた仲間のために、俺は戦うんだ!!)
――それが、汝の戦う理由か……。よかろう、ならば、汝に我が力を託そう。貴様となら“奴ら”に対抗できるだろう――
(奴ら? 奴らとは何だ!?)
――いずれ分かる。その時まで、精々我を使いこなせるようにしておくのだな――
(……なんでもいい。奴に勝てる力が手に入るなら、俺は使いこなしてやる!!)
「俺のターン、ドロー!!」
光の宿ったカード、その力がユキヒコに宿った瞬間だった。
「――全てを凍結しろ、俺達の勝利のために!! 召喚! 【守護龍 ブリザード・ドラゴン】!!」
「な、なんだこのドラゴンは?!」
「これが俺を、俺達を勝利に導く力の姿だ! 絶対零度の凍結!!」
「ば、バカな……俺が、こんな奴に……負けるなんてぇぇぇぇぇ!!」
こうして、ユキヒコ達は生徒会との試合に勝利したのだった。
―◇―◇―◇―◇―◇―
そして現代、生徒会室。
「あの時、お前が守護龍の使い手として選ばれていなければ、本来なら俺が勝っていたんだ……」
「……そうだな」
「あの時からだ……あの時から。俺の、お前への復讐が始まったんだ……」
バトル開始から既に数十分が経過した生徒会室。
いよいよ中盤戦である。
フジミのターンが始まる。
「俺のターン、メインデッキからドロー! フォースチャージし、追加ドロー!!」
ドローしたカードを手札に加え、フジミはフォースを消費する。
「フォースを5枚消費し、現れろ! アタックガーディアン【不死の帝王騎士】!!」
【不死の帝王騎士】
SF【5】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【アンデッド】
DG【1300】
LP【4900→3600】
「不死の帝王騎士のポテンシャルアビリティ発動!!」
【不死の帝王騎士】
【ポテンシャルアビリティ】
【自】(セットフェイズ開始時)
┗この効果は1ターンに一度しか発動できない。あなたは自分の山札の上からカードを3枚、ジャンクゾーンに送る。そうしたら、このカードをXリペアする。(Xは、この効果でジャンクゾーンに送られたカードのSFの合計×300)
「効果により、デッキからカードを3枚、ジャンクゾーンに送る」
SF【2】
SF【1】
SF【4】
「よって、不死の帝王騎士のLPは2100回復する!」
【不死の帝王騎士】
DG【1300→-800】
LP【3600→5700】
「そして、今の効果でジャンクゾーンに送られた【不死兵】のポテンシャルアビリティを発動する!」
【不死兵】
【アシストアビリティ】
【自】(このカードがデッキからジャンクゾーンに送られた時)
┗このカードをアシストゾーンにフォースを消費せずに召喚する。
「墓場より蘇れ、不死兵! アシストゾーンへ召喚!!」
【不死兵】
SF【1】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【アンデッド】
DG【0】
LP【500】
「そして、不死兵のトライブ発動! 永遠なる魂の宴!!」
【不死兵】
【トライブアビリティ】
【起】(COST:このカードをジャンクゾーンに送る)
┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、あなたのアタックガーディアンを1枚まで選び、500リペアする。
「不死兵をジャンクゾーンに送り、効果発動!」
【不死の帝王騎士】
DG【-800→-1300】
LP【5700→6200】
「ライフ…6200?!」
「さあ、バトルだ!!」
フジミが振ったサイコロの目は、4。
【不死の帝王騎士】
【2】【3】【6】……相手のアタックガーディアンに3000ダメージを与える。
【1】【4】【5】……相手のアタックガーディアンに4000ダメージを与える。
「よって、4000ダメージを与える!」
「手札からプリベントアビリティを発動!」
【ブリザード・レイン】
【プリベントアビリティ】
【自】(ダメージ効果が発動された時)
┗手札のこのカードをジャンクゾーンに送り、あなたのガーディアンをこのカードのLPの値だけリペアする。
【ブリザード・ジャイアント】
DG【1500→-1500】
LP【4000→7000】
〈はああぁぁぁぁ!!〉
不死の帝王騎士の一撃がブリザード・ジャイアントにヒットする。
〈ぐっ!!〉
【ブリザード・ジャイアント】
DG【-1500→2500】
LP【7000→3000】
「なんとか耐えたみたいだなぁ、東條」
「……っ」
ユキヒコは苦虫を噛み締めた表情を浮かべる。
それに対し、フジミはニヤニヤ笑う。
そして、死亡宣告を告げに来た死神のように、喜々として言う。
「だがな、俺のターンはまだ終わらないんだよ! エクストラフェイズ!!」
「なにっ?!」
「サイドデッキからエクストラドロー。そして……」
フジミはサイドデッキからドローしたカードを、掲げる。
「見るがいい。貴様への復讐心を体現するこの力を! 次元の裂け目を割って出現せよ。次元召喚!!」
墓場フィールドの空間が2つに裂け、中から巨大な骸骨のドラゴンが出現する。
「【次元龍 アンデッド・ドラゴン・EXTRA】!!」
「そのカードは……」
ユキヒコの言葉に、フジミは笑いながら答える。
「そうさ、俺も手に入れたんだよ! 勝利をもたらす大いなる龍の力を!!」
フジミはユキヒコを指差しながら高らかに宣言する。
「これで俺の復讐は完遂される! お前は無様に負け、俺と同じ敗者の道を突き進むんだ!! あははははは!!!」
ユキヒコの手札に、起死回生のカードは無い……
次回、エクストラガーディアンの効果の詳細を記載します。
【次回予告】
ぶつかり合う東條部長と鹿羽会長……。
その戦いにも、終わりが見えてきた。
鹿羽「貴様に負けてからの俺は、惨めな日々を過ごしていた……」
東條「俺は、決して諦めない!」
鹿羽会長の過去、カンナさんを死に追いやった機関の正体とは……
次回、【終わらぬ憎しみ 東條ユキヒコVS鹿羽フジミ 後編】




