表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TCG バトル・ガーディアンズ  作者: あんころもちDX
第2章・全国大会編
30/66

BATTLE:017【大将戦・沈黙からの目覚め!】

 これにて、練習試合は終了となります!

――あ、はい! また会いましょうね!!――


 あの別れ際の言葉、イクサには最初何を意味しているか分からなかった。

 しかしこの瞬間、初めて意味を知った。

 アカネは、この瞬間を知っていた。こうなることを、知っていたのだ。


 大将戦、イクサの対戦相手である稚推アカネ。

 炉模工業高校カードゲーム部の副部長である。


「じゃあ、さっそく始めようか。聖野イクサくん?」


「あ…は、はい」


 デッキゾーンにデッキを置き、第1ターンに召喚するノーマルガーディアンを1枚選択して手元に置いておき、互いにカット&シャッフル、そしてデッキからカードを4枚ドロー。マリガンによって、手札交換も終える。


「準備完了ですよ、稚推さん」


「稚推さんだなんて、堅いなぁ。アカネでいいよ。あ、そうだ」


 アカネはデッキホルダーからカードを1枚取り出し、サイドデッキゾーンに裏状態で置く。


「今回のバトルでは、サイドデッキ用のカードを使わせてもらうよ」


「サイドデッキ用の……カード?」


「知らないの? バトル・ガーディアンズのカードには、メインデッキ用とサイドデッキ用のガーディアンカードがあるんだよ。サイドデッキ用のカードは、特殊な召喚方法を要求されるんだ」


「そんなカードがあっただなんて」


「フフッ、勉強不足だよ。さて、じゃあこれで準備が完了したから、そろそろ始めようか」


「は、はい」


「「ダイス・セット!」」


「じゃあ、ボクの先攻で行くよ。ボクのターン、メインドロー! フォースチャージして、追加ドロー!!」


 アカネのトライブは、一体どんなトライブなのか、イクサは気合いを入れる。


「フォースを1枚消費して、アタックガーディアン【ヴァンパイア・バーロン】を召喚(サモン)!」


【ヴァンパイア・バーロン】

SF【1】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【ヴァンパイア】

DG【0】

LP【1000】


〈フフフ……〉


 ワイングラスを携え、黒翼を広げた紳士が現れた。


「ヴァンパイアトライブ……」


「うん。このトライブは、とても面白いトライブだよ。イクサくんも楽しんでくれると嬉しいな。さて、ボクはアシストガーディアン【ヴァンパイア・サーヴァント】を召喚(サモン)するよ!」


【ヴァンパイア・サーヴァント】

SF【0】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【ヴァンパイア】

DG【0】

LP【500】


「サーヴァントのアシストアビリティ発動!」


【ヴァンパイア・サーヴァント】

【アシストアビリティ】

【自】(このカードのアピアステップ時)

 ┗あなたは自分の手札からカードを1枚ジャンクゾーンに送る。そうしたら、あなたは自分の山札からカードを2枚ドローして公開し、それが【ヴァンパイアトライブ】のガーディアンカードならば自分の手札に加え、そうでなかった場合、そのカードをジャンクゾーンに送る。



「ボクは手札を1枚捨てて、2枚ドローするよ。……ふふっ」


 ドローした2枚のカードを見て、アカネさんは小さく笑った。

 一体なんのカードを引き当てたのか、アカネはドローした2枚を公開する。

 2枚とも、ヴァンパイアトライブのガーディアンカードだ。


「両方ともヴァンパイアトライブのカードだから、手札に加えさせてもらうよ。そして、ヴァンパイア・バーロンのトライブアビリティ発動! 【血統吸収(ブラッディ・ドレイン)】!!」


「ヴァンパイアトライブの、トライブアビリティ……」



【ヴァンパイア・バーロン】

【トライブアビリティ】

【起】(COST:フィールドのアシストガーディアンをジャンクゾーンに送る)

 ┗あなたのターン、自分のアシストガーディアンが【ヴァンパイアトライブ】の時にのみ、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、あなたのガーディアンのLPをXリペアする。(Xの数値は、コストとしてジャンクゾーンに送ったアシストガーディアンのLP)



「さあ、ヴァンパイア・サーヴァント。ヴァンパイア・バーロンに……自らの血を捧げよ!!」


〈フフフ!!〉


〈う…ぐあぁぁ!!〉


 バーロンは牙を剥き出しにし、サーヴァントの首にかぶりついた。そのまま血を吸われ、サーヴァントは灰となり消えた。


【ヴァンパイア・バーロン】

DG【0→-500】

LP【1000→1500】


「なっ、アシストガーディアンを犠牲に……」


「それがバーロンの、いや……ヴァンパイアトライブのトライブアビリティなんだよ。アシストガーディアンを犠牲に、アタックガーディアンを強化する……。もう一度、アシストガーディアンを召喚するよ」


【ヴァンパイア・スチュワード】

SF【0】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【ヴァンパイア】

DG【0】

LP【500】



「スチュワードのアシストアビリティを発動!」


【ヴァンパイア・スチュワード】

【アシストアビリティ】

【自】(セットフェイズ開始時)

 ┗この効果は1ターンに一度しか発動できない。あなたは自分のサイドデッキからカードを1枚ドローして公開する。そのカードが【ヴァンパイアトライブ】のガーディアンカードなら、あなたの裏状態のフォースを1枚まで選び、表状態にする。



「サイドデッキからドロー!」


 アカネはドローしたカードを公開する。

 そのカードのトライブは、ヴァンパイアトライブである。

 イクサは公開されたカードをもっとよく視認しようとすると、アカネはカードを翻して手札に加えた。


「おっと、お楽しみは後に取っておくべきだよ。公開したカードはヴァンパイアトライブだから、ボクはさっきバーロンを召喚する時に消費したフォースを、元に戻す。そしてバーロンのトライブアビリティ【血統吸収(ブラッディ・ドレイン)】を発動、スチュワードをジャンクゾーンに送り、バーロンのLPがさらに500アップする!」


【ヴァンパイア・バーロン】

DG【-500→-1000】

LP【1500→2000】


「いきなり、ライフ2000のガーディアン……」


「さて、もういいかな。ボク自身の手で、アシストゾーンを潰すとしようか」


「えっ?!」


 自分でアシストゾーンを潰す。その言葉にイクサは首を傾げる。

 そして、思わず身構える。

 何が起こるか分からない。だからこそ、不気味で心が不安になる。


「あいつ、まさか……っ!!」


 シンヤが目を見開いた。


「待て、稚推! そのカードは出すな!!」


「うるさいよ、シンヤ。ボクは、やりたいようにやる。たとえキミが止めようとも、ね」


 アカネはカードを掲げる。


「これが新しい力。最新弾で追加された、新たなヴァンパイアトライブのガーディアン。見るがいい、沈黙召喚(リバースサモン)!!」


 アシストゾーンに、カードが裏状態でセットされた。

 その異質とも言える行動に、イクサは目を見開く。


沈黙召喚(リバースサモン)?!」


「そう。さっきも言ったように、このカードは特殊でね、このようにアシストゾーンに裏状態で召喚する沈黙召喚(リバースサモン)という段階を踏まえないと、召喚できないんだよ。このカードの沈黙が破られるのは、フォースが一定枚数以上に達した時。それまでは、アシストゾーンで沈黙を貫く。その代わり、アシストゾーンは使用不可になるけれど」


 裏状態でセットされたカードが、疑似3Dバトルテーブルの3D投影によってまるで棺桶のようなものになった。


「時が満ちるまで、精々楽しみにしておくといいよ、イクサくん」


「くっ……」


「ボクはこれでターンエンド」


「俺のターン、メインドロー!」


 沈黙召喚(リバースサモン)でアシストゾーンに出されたカードは、恐らくアカネの切り札と言ってもいいカードなのだろう。

 ヴァンパイアトライブのトライブアビリティに必要なアシストゾーンを潰してまで召喚したのだから。

 いつ表状態で召喚されるのか分からない以上、速攻で決着を着ける必要がある。


「フォースチャージして、追加ドロー! 俺は手札の【カオス・ベビーナイト】のポテンシャルアビリティを発動する!」


【カオス・ベビーナイト】

【ポテンシャルアビリティ】

【永】

 ┗相手フィールド上のアタックゾーンにガーディアンカードがあるなら、このカードはSF【0】として扱う。


「ベビーナイトを、ノーコストで召喚(サモン)!!」


【カオス・ベビーナイト】

SF【1】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【カオス】

DG【0】

LP【1500】



「へぇ、これがカオストライブか。シンヤから聞いた通り、なんともまあ風変わりなトライブだね」


「そりゃどうも。フォースを1枚消費し、アシストガーディアン【カオス・キャノン】を召喚(サモン)!!」


【カオス・キャノン】

SF【1】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【カオス】

DG【0】

LP【600】



「さらに、キャノンのアシストアビリティ発動!」



【カオス・キャノン】

【アシストアビリティ】

【自】(セットフェイズ終了時)

 ┗このターン、あなたはダイスステップをスキップしてバトルフェイズを開始する。相手のアタックガーディアンにXダメージ与える。(Xは、あなたの【カオストライブ】のアタックガーディアンのSF×500)


「バトルフェイズに移行。ベビーナイトのSFは1だから、バーロンに500のダメージを与える!」


「甘いよ、ボクがなんのためにスチュワードの効果を使ってフォースを表状態にしたと思ってるのさ。フォースを1枚消費して、手札からカウンターカード【血の契り】を発動!」


【血の契り】

FORCE【1】

【カウンター】

【自】(カウンターステップ時)

 ┗相手のアシストガーディアンを1枚まで選び、相手の手札に戻す。そうしたなら、このターンのバトルフェイズ中に発動されたあなたのアタックガーディアンを対象にしたダメージ効果1つを無効にする。



「くっ、キャノンを手札に戻して、ターンエンド」


「フフフ。ボクのターン、メインドロー。フォースチャージして、追加ドロー!」


 能力がある程度集まらなければ、攻撃しても弱体化の恐れがある。

 それがカオストライブの最大の弱味。LPやアタックアビリティが比較的に高く設定されているが故の弱点。

 それをサポートするのがカオス・キャノンの役目だ。

 手札に戻されたのは正直言って痛いところだ。


「うーん、SF【2】のカードは出せないし、アシストガーディアンも召喚できないけど……まあ、いいか。バトルするよ」


 アカネはサイコロを振った。

 サイコロの目は、2。


【ヴァンパイア・バーロン】

【1】【2】【3】……相手の山札からカードを5枚、ジャンクゾーンに送る

【4】【5】【6】……相手の手札を1枚選び、ジャンクゾーンに送る。


「山札を削らせてもらうよ」


「………」


 イクサのデッキからカードが5枚、ジャンクゾーンに送られた。


「ターンエンドだよ」


「俺のターン、ドロー。フォースチャージして、追加ドロー!」


 アカネのチャージゾーンには、使用されずに表状態で残っているフォースが1枚ある。先程のように、またカウンターカードを発動されたら非常に厄介だ。

 さて、どうするべきか……。


「俺はフォースを1枚消費して、アシストガーディアン【カオス・チャージャー】を召喚(サモン)!」


【カオス・チャージャー】

SF【1】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【カオス】

DG【0】

LP【1000】


 本当なら、キャノンの上に乗せて魂の継承(ソウルサクシード)しつつ、バトルに必要なフォースも0にして一気に体制を整えるつもりだったのだが。イクサはそう思いながら、ターンを進行する。

 このゲームの恐ろしさは、タイミングを少しでも逃せば、それが敗北に直結する可能性があるというところだ。さらに今はなるべく速攻を心がけなければならない状況だ。

 イクサは今、アカネの術中に完全に嵌まっている。

 カウンターカード【血の契り】、あの1枚の存在がイクサにとって大きすぎる。今後のゲームプレイを制限されるほどに。


「俺には、まだ使用していないフォースが1枚ある。俺は手札から【カオス・ロアー】のポテンシャルアビリティを発動する!」



【カオス・ロアー】


【ポテンシャルアビリティ】

【永】

 ┗自分フィールド上のアタックゾーンにカオストライブのカードがあるなら、手札のこのカードをSF【1】として扱う。



「フォースを1枚消費して、アタックガーディアン【カオス・ロアー】を召喚(サモン)!」


【カオス・ロアー】

SF【2】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【カオス】

DG【0】

LP【2500】



「ベビーナイトの能力が、ロアーに受け継がれる! 魂の継承(ソウルサクシード)発動!!」


【カオス・ロアー】

【トライブアビリティ】

【永】

 ┗【カオストライブ】のガーディアンを召喚した時、前のガーディアンはアピアステップ時にアンダーカードとなり、このガーディアンの下に置かれる。このガーディアンは、アンダーカードの効果を全て受け継ぐ。



「へえ、これが魂の継承(ソウルサクシード)かぁ。中々面白いトライブアビリティだね」


「能力が集まるまで、下手に攻撃できませんけどね」


「それはお気の毒だね。能力が集まる頃には、このカードの沈黙が破られてるかもしれないよ?」


「なるべくそれは、避けたいんですけどね。俺はこれでターンエンドです」


「じゃあボクのターン、メインドロー。フォースチャージして追加ドロー!」


 アカネのターン、イクサは自身のカードを見つめる。


(できれば、あと2つほど能力があれば……)


「よそ見をしてる場合じゃないよ。フォースを2枚消費して、【ヴァンパイア・ビスカウント】を召喚(サモン)!」


【ヴァンパイア・ビスカウント】

SF【2】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【カオス】

DG【-1000】

LP【2000→3000】



「フォースを1枚消費して、バトルフェイズ!」


 アカネのサイコロの目は、4。


【ヴァンパイア・ビスカウント】

【1】【2】【3】……相手のアタックガーディアンに500のダメージを与える。

【4】【5】【6】……相手のアタックガーディアンに700のダメージを与える。



「カオス・ロアーに700のダメージを与えるよ!」


【カオス・ロアー】

DG【0→700】

LP【2500→1800】


「ターンエンド」


「俺のターン、ドロー。フォースチャージして、追加ドロー!」


 イクサのチャージゾーンには、フォースが3枚ある。


「フォースを1枚消費して、【カオス・キャノン】を召喚(サモン)!」


【カオス・キャノン】

SF【1】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【カオス】

DG【0】

LP【600】



魂の継承(ソウルサクシード)によって、チャージャーの能力がキャノンに受け継がれる! さらに、フォースを2枚消費して手札からアシストガーディアン【カオス・巫女・ナイト】を召喚(サモン)!」


【カオス・巫女・ナイト】

SF【2】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【カオス】

DG【0】

LP【1700】



魂の継承(ソウルサクシード)によって、チャージャーとキャノンの能力が巫女ナイトに受け継がれる!」


「召喚すればするほど、より強力なガーディアンに変貌する……。面白いトライブだね」


 アカネは凄くウキウキした表情を浮かべる。

 その表情から、ホントにバトルを楽しんでいるということがイクサにも伝わってくる。


「巫女ナイトに受け継がれたキャノンのアシストアビリティを発動!」


【カオス・キャノン】

【アシストアビリティ】

【自】(セットフェイズ終了時)

 ┗このターン、あなたはダイスステップをスキップしてバトルフェイズを開始する。相手のアタックガーディアンにXダメージ与える。(Xは、あなたの【カオストライブ】のアタックガーディアンのSF×500)



「ロアーのSFは2だから、ビスカウントに1000のダメージを与える!」


【ヴァンパイア・ビスカウント】

DG【-1000→0】

LP【3000→2000】


「あららぁ、せっかくライフを上げてたのに、僅か1ターンで剥がされちゃった」


「アカネさんが【血の契り】を発動させなければ、もっと削れたんですけどね」


「あはは、被害は最小限に抑えたいもん」


「まあ、確かに。ターンエンドです」


「ボクのターン、メインドロー。フォースチャージして、追加ドロー!」


 アカネのチャージゾーンには、カードが4枚。

 続いてアシストゾーンにセットされたカードを見るが、まだ沈黙が破られるような様子は見受けられない。

 そんなイクサの視線に、アカネが気づく。


「ん? やっぱりこれ気になる?」


 アカネは裏状態でセットされたカードを指差す。

 イクサは渋々頷く。


「そりゃ、まあ……」


 裏状態でセットされたカードから伝わってくる妙な威圧感。

 いつ表状態になるのか、どんな能力を秘めているのか。

 姿は見えない、しかし存在だけは認識できる。

 そんなプレッシャーにも似た不安感が迫ってくる。


「大丈夫だよ、ボクのターンがあと三回来れば、このカードは表状態になるからさ」


「あと、三回……」


 アカネの発言は、決してイクサに安心感を与えない。

 それはまるで、死亡宣告を嬉々として告げにきた死神のようだった。


「じゃあボクはフォースを3枚消費して、【ヴァンパイア・イェール】を召喚(サモン)!」


【ヴァンパイア・イェール】

SF【3】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【ヴァンパイア】

DG【0】

LP【3000】



「ヴァンパイア・イェールのポテンシャルアビリティ発動!」


【ヴァンパイア・イェール】

【ポテンシャルアビリティ】

【自】(セットフェイズ開始時)

 ┗あなたは自分の山札の一番上のカードをめくる。そのカードが【ヴァンパイア】と名の付くカードなら、このカードのLPをXリペアする。めくったカードは元に戻す。(XはめくったカードのSF×500)



「デッキトップを確認」


【ヴァンパイア・マーキュリス】

SF【4】


「ヴァンパイア・マーキュリス。ヴァンパイアと名の付いたSF【4】のカードなので、イェールのLPが2000アップ!」


【ヴァンパイア・イェール】

DG【0→-2000】

LP【3000→5000】


「……っ」


 また、ライフ差が開いてしまった。

 速攻戦を強いられている現状において、これは中々つらいものがある。


「さて、じゃあサイコロを振るよ」


 アカネさんのサイコロの目は、3。


「フォースを1枚消費して、バトルフェイズ!」



【ヴァンパイア・イェール】

【1】【2】【4】……あなたの山札の一番上を確認し、相手のアタックガーディアンにXダメージを与える。確認したカードは元に戻す。(Xは確認したカードのSF×300)

【3】【5】【6】……あなたの山札の一番上を確認し、相手のアシストガーディアンにXダメージを与える。確認したカードは元に戻す。(Xは確認したカードのSF×500)



「デッキトップはさっき確認した通り、SF【4】。よってカオス・巫女・ナイトに2000のダメージを与える!」


「くっ!」


【カオス・巫女・ナイト】

DG【0→2000】

LP【1700→0】


――マスター、義兄さんを……――


「ああ、分かってる。ジャンクゾーンに送られたことで、巫女ナイトに受け継がれたチャージャーのポテンシャルアビリティを発動!」


【カオス・チャージャー】

【ポテンシャルアビリティ】

【自】(このカードがジャンクゾーンに送られた時)

 ┗あなたは自分の山札から【カオストライブ】のカードを2枚まで選び、表状態でチャージゾーンに置く。


「デッキからカードを2枚チャージゾーンに置き、次に巫女ナイトのアシストアビリティ発動!」


【カオス・巫女・ナイト】

【アシストアビリティ】

【自】(このカードがアシストゾーンからジャンクゾーンに送られた時)

 ┗この効果は、あなたのチャージゾーンのフォースが5枚以上なら発動できる。フォースを2枚消費し、あなたは自分の山札から【カオス・ナイト】をフォースを消費せずに召喚する。


「フォースを2枚消費する。巫女の祈りが通じる時、闇を斬り裂き混沌の彼方から騎士が舞い降りる! デッキから【カオス・ナイト】をノーコストで召喚(サモン)!!」


【カオス・ナイト】

SF【5】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【カオス】

DG【700】

LP【6000→5300】



「カオス・ナイトには巫女ナイトの効果で召喚された時に発動するアビリティがある!」


【カオス・ナイト】

【ポテンシャルアビリティ】

【自】(このカードが【カオス・巫女・ナイト】の効果によって召喚された時)

 ┗相手のガーディアンを1体まで選択し、2000ダメージを与える。



「俺はイェールを選択し、2000ダメージを与える!」


【ヴァンパイア・イェール】

DG【-2000→0】

LP【5000→3000】



「まーた2000の装甲が剥がされちゃったね。ターンエンドだよ」


「よし。俺のターン、ドロー! フォースチャージして、追加ドロー!!」


 カオス・ナイトを召喚したが、能力はまだ3つしか集まっていない。

 下手には攻撃できない。


「カオス・ナイトのトライブアビリティ発動!」


【カオス・ナイト】

【トライブアビリティ】

【永】

 ┗このカードを召喚したアピアステップ時、前のガーディアンはこのカードのアンダーカードとなる。このカードは全てのアンダーカードの能力を受け継ぐ。

【起】(COST:フォースを1枚消費する)

 ┗あなたは自分の手札からガーディアンカードを1枚選択してこのカードのアンダーカードにできる。


「フォースを1枚消費して、【カオス・ハーツ】を下に置きます。そして下に置かれたことで、ハーツのポテンシャルアビリティが発動!!」


【カオス・ハーツ】

【ポテンシャルアビリティ】

【自】(サモンフェイズ開始時)

 ┗この効果は、このカードが【カオストライブ】のガーディアンカードのアンダーカードである場合にのみ発動できる。あなたのアタックガーディアンのDGをXだけ増加させ、あなたの山札からSF【1】の【カオストライブ】のアシストガーディアンをフォースを消費せずに召喚する。(Xは、召喚したアシストガーディアンのLPの値)



「俺はデッキから、カオス・キャノンを召喚(サモン)!」


【カオス・キャノン】

SF【1】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【カオス】

DG【0】

LP【600】


「効果によりDGが増えたので、カオス・ナイトのLPは600下がる」


【カオス・ナイト】

DG【700→1300】

LP【5300→4700】


「カオス・キャノンの効果発動!」


【カオス・キャノン】

【アシストアビリティ】

【自】(セットフェイズ終了時)

 ┗このターン、あなたはダイスステップをスキップしてバトルフェイズを開始する。相手のアタックガーディアンにXダメージ与える。(Xは、あなたの【カオストライブ】のアタックガーディアンのSF×500)


「俺はこのターンのダイスステップをスキップしてバトルフェイズを開始し、イェールに2500のダメージを与える!」


「そう簡単にダメージは通さないよ。手札からプリベントアビリティ発動!!」


【ヴァンパイア・サクリファイス】

【プリベントアビリティ】

【自】(相手がダメージ効果を発動した時)

 ┗手札のこのカードをジャンクゾーンに送り、あなたのガーディアンのLPをこのカードのLPの値だけをリペアする。



【ヴァンパイア・イェール】

DG【0→-3000】

LP【3000→6000】


 キャノンの2500のダメージが命中する。


【ヴァンパイア・イェール】

DG【-3000→-500】

LP【6000→3500】



「避けられた!」


「フフッ、ボクだってそう易々とダメージを受けるわけにはいかないからね」


「ターン、エンドです……」


「ボクのターン、メインドロー。はい、あと2ターンだね。フォースチャージして、追加ドロー!」


 あと2ターン。

 あの裏状態のカードの対抗策が練られない以上、アカネを倒すチャンスは、この2ターンのみだ。

 あと2ターンで蹴りを着ける方法は、あるにはある。

 その鍵を握るのは、このカオス・ナイトだ。

 ただ、それにはあと2ターン以内にイクサは“あのカード”を引かなければならない。


「何か考え事かな?」


「えっ?」


「一生懸命考えてます、って顔に書いてあるよ?」


 アカネはニコニコ笑いながら、イクサの顔を指差す。


「す、すみません。バトルに集中します!」


「いやいや別に大丈夫だよ。ボクとしては、キミがどんな対抗策でボクを追い詰めるのか……見てみたいからね」



◇◇◇◇◇




「稚推副部長、相変わらずの余裕っぷりスね」


 エンジはベンチに寝転がりながら、アカネとイクサのバトルを観戦していた。


「それはどうだろうな」


「え?」


 エンジの言葉にシンヤが返答する。


「たしかに一見、稚推は聖野の攻撃を全て避けてはいるが、それでもギリギリだ。稚推にそこまでの余裕は無いと思うぞ」


「そんなもんスか?」


「実際のところは分からん。アイツの思考回路は全く理解できないからな」


「あー、分かります。新入部員の選定が“ボクの性別を当てること”って聞いた時は自分の耳を疑いましたもん」


「まさか、あれで半数以上の新入部員が脱落するとは夢にも思わなかったよ。まあ、仕方ないことだが」


 なにやら色々あったようで、二人とも汗を流していた。


「で、実際のところどっちが優勢なわけ?」


 二人の会話に、ヨウコが混ざってきた。


「今のところは、聖野じゃないスか? SF【5】のカードを先に出しましたし、アシストゾーンにはカオス・キャノンがいるから、能力が集まるまでは毎ターン2500のダメージを与えられますし」


「どうだろうな。ここは守りに徹して、沈黙召喚(リバースサモン)したカードの沈黙を解放すれば、アカネの勝ちだ」


「あの稚推副部長が素直に防御に徹しますか?」


「まあ、ただでは徹しないだろうな。少なくとも、防御しつつ相手に損害を与えるだろう」


「相変わらずタチの悪い戦い方っスね」


「全くだ」


 二人の言い分を聞いたヨウコは頬を膨らます。


「で、結局どっちが優勢なのよ……」


「「どっちもどっち(ッス)」」


「………」


 ヨウコはとても不服そうだ。

 そんなヨウコの様子に、シンヤは溜め息を漏らす。


「なにか言いたげだな、ヨウコ」


「どっちかハッキリしなさいよ!」


「優劣がハッキリするほど、バトル・ガーディアンズは単純なカードゲームじゃない。たとえどんなに優勢でも、僅か1ターンで逆転されることも多々あるんだ。どちらが優勢かをハッキリさせることは易々とできない」


「むむむ……」


「お前はもう少し視野を広くしろ」


「ぐぬぬ……」


 言い負かされているヨウコを見て、エンジはボソッと呟く。


「琴原先輩って、残念な美人さんですよねー」


「あぁ?」


「冗談です(この地獄耳が)」



◇◇◇◇◇



「んー、さてどうするか」


 アカネは笑顔でカードを見ている。


「まあ、いいか。フォースを4枚消費して【ヴァンパイア・マーキュリス】を召喚(サモン)!」


【ヴァンパイア・マーキュリス】

SF【4】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【ヴァンパイア】

DG【-500】

LP【4000→4500】



「んー、ここはこのままターンエンドかな」


「なっ!?」


 バトルせずにターンエンドを終了したことにイクサは目を剥く。


「ボクとしてはあと2ターン耐えればいいだけだし、無駄に攻撃することはないと思っただけだよ」


「なら、その前に倒すまでです」


「さすが男の子、頼もしいかぎりだね!」


「いや、アカネさんも男の子ですよね?」


「あっはっは、ボクはどちらかというと、男の子というより男の娘に分類されるんじゃないかなー」


「え?」


 なぜだろうか、同じ言葉を言ったはずなのになんかニュアンスが違う気がする。


「お、俺のターン、ドロー!」


 まあ、気にしても仕方ないと思ったイクサは自分のターンを開始する。


「フォースチャージして、追加ドロー! 俺はカオス・ナイトのトライブアビリティを発動させ、フォースを1枚消費して手札のカードをカオス・ナイトの下に置く」


 イクサはカオス・ナイトの下にSF【4】のカードを置いた。


「そして、キャノンのアシストアビリティを発動させてマーキュリスに2500のダメージを与える!」


「フフッ、迂闊だねイクサくん。ボクのチャージゾーンには未使用のフォースがあるっていうのに」


「問題ないです。たとえこのターンでキャノンが倒されても、俺の作戦には影響しませんから」


「へぇ……。なら、遠慮なく発動させてもらうよ。フォースを1枚消費して、カウンターカード【真実の鏡】発動!!」


【真実の鏡】

FORCE【1】

【カウンター】

【自】(カウンターステップ時)

 ┗あなたは相手のダメージ効果の対象を変更し、半分のダメージを変更したカードに与えることができる。



「よって、カオス・キャノンの能力の攻撃対象をカオス・キャノン自身に変更させ、その半分のダメージを与える」


「っ……」


【カオス・キャノン】

DG【0→1250】

LP【600→0】


 カオス・キャノンが破壊され、ジャンクゾーンに送られた。


「俺はこれでターンエンド」


 イクサは自分の手札を見る。

 “あのカード”が、まだ手札に来ていない。

 なんとしても次のイクサのターンで引き当てなければならない。


「ボクのターン、メインドロー。フォースチャージして、追加ドロー。さてと、あと1ターンでいよいよ沈黙が破られるわけだけど……フォースを6枚消費して、【ヴァンパイア・デューク】を召喚(サモン)!」


【ヴァンパイア・デューク】

SF【6】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【ヴァンパイア】

DG【-500】

LP【6000→6500】


 チャージゾーンの全てのフォースを使って召喚した。

 イクサの顔が驚愕に染まる。一方でアカネは相変わらず笑っている。


「もう手札にカウンターカードは無いし、次でキミの快進撃が来るというのなら、それに相応しいLPにまで引き上げとかないとね」


「つまり、次のターンで俺は6500以上の大火力を出さなきゃいけないわけですね」


「そういうこと。ボクはこれでターンエンドだよ」


「なら俺のターン、ドロー!」


 イクサはドローしたカードを見る。


(違う、このカードじゃない!)


 ドローしたカードは、どうやらイクサのお目当てのカードではなかったようだ。

 だが、まだチャンスはある。次の追加ドローに賭けるしかない。


「フォースチャージして、追加ドロー!!」


(頼む、来てくれ!!)


 イクサは瞑った目を開け、恐る恐るカードを見る。


【守護龍 カオス・ドラゴン】


――来た!!


「俺はカオス・ナイトのトライブアビリティを発動する!」


【カオス・ナイト】

【トライブアビリティ】

【永】

 ┗このカードを召喚したアピアステップ時、前のガーディアンはこのカードのアンダーカードとなる。このカードは全てのアンダーカードの能力を受け継ぐ。

【起】(COST:フォースを1枚消費する)

 ┗あなたは自分の手札からガーディアンカードを1枚選択してこのカードのアンダーカードにできる。



魂の継承(ソウルサクシード)発動! 俺が下に置くカードは、カオス・ドラゴン!」


「え、守護龍のカードを?」


 首を傾げるアカネに対して、イクサは頷く。


「はい。これでカオス・ナイトは、1から6の6つの攻撃能力を受け継ぎました。そしてこの瞬間、カオス・ナイトのバーストアビリティが発動!!」


「えっ?!」


【カオス・ナイト】

【バーストアビリティ】

【起】(COST:全てのアンダーカードをマテリアルカードにし、ジャンクゾーンに送る)

 ┗この効果は、このカードが6種類のアタックアビリティを得た時にのみ、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、このターンのダイスステップをスキップしてフォースを消費せずにバトルフェイズに移行し、相手のアタックガーディアンにXダメージ与える。(Xはあなたの表状態のフォースの枚数×1000)



「全てのアンダーカードをマテリアルカードにして消費し、フォースを消費せずにバトルフェイズに移行する。俺のチャージゾーンには表状態のフォースが7枚ある。よって、ヴァンパイア・デュークに7000のダメージを与える!!」


 カオス・ナイトの剣が光輝き、ヴァンパイア・デュークに迫る。


「デュークのライフは6500。なるほど、そのカードにそんな能力があるとは知らなかったよ。でもね」


 アカネは手札のカードを1枚、ジャンクゾーンに送る。


「ボクの手にはまだ、プリベントアビリティを持ったガーディアンがあるんだよ」


「っ?!」


【ヴァンパイア・サクリファイス】

【プリベントアビリティ】

【自】(相手がダメージ効果を発動した時)

 ┗手札のこのカードをジャンクゾーンに送り、あなたのガーディアンのLPをこのカードのLPの値だけリペアする。



【ヴァンパイア・デューク】

DG【-500→-3500】

LP【6500→9500】


 カオス・ナイトの一撃が、ヴァンパイア・デュークに命中する。


【ヴァンパイア・デューク】

DG【-3500→3500】

LP【9500→2500】


「そ、そんな……」


「フフフ……あと一歩、届かなかったね」


「……。ターン、エンドです」


「じゃあ、ボクのターン、メインドロー。フォースチャージして、追加ドロー!」


 アカネは小さく微笑む。


「イクサくん、中々楽しいバトルだったよ。できれば、このターンを凌いで、もっとボクを楽しませてほしいな」


 そう言って、アカネは裏状態でセットされているカードに手を伸ばす。


「長き沈黙を破り、今ここに目覚めよ、覚醒降臨(ライズオープン)! 【覚醒龍ドラゴニック・ライジング ヴァンパイア・RE:LORD(リ・ロード)】!!」


覚醒龍ドラゴニック・ライジング ヴァンパイア・RE:LORD(リ・ロード)

SF【7】

GT【ライズ/アタック】

Tr【ヴァンパイア】

DG【3500】

LP【8000→4500】



 棺桶が勢いよく開き、中から巨大な龍が現れた。


覚醒龍ドラゴニック・ライジング……?」


 守護龍とも違う、いや、守護龍以上の力を感じるカードに、イクサは後退る。


「ヴァンパイア・RE:LORD(リ・ロード)のポテンシャルアビリティ発動!」



覚醒龍ドラゴニック・ライジング ヴァンパイア・RE:LORD(リ・ロード)

【サモンコンディション】

 ┗このカードは手札から召喚する場合、裏状態であなたのアシストゾーンに召喚される。あなたのチャージゾーンのカードが7枚以上になった時、このカードを表状態にしてあなたのアタックゾーンにフォースを消費しないで召喚する。

【ポテンシャルアビリティ】

【自】(このカードのアピアステップ時)

 ┗前のアタックガーディアンをあなたのアシストゾーンに召喚する。



「よって、デュークとRE:LORD(リ・ロード)の位置を入れ換える。そして、トライブアビリティ血統吸収(ブラッディ・ドレイン)発動!!」


覚醒龍ドラゴニック・ライジング ヴァンパイア・RE:LORD(リ・ロード)

【トライブアビリティ】

【起】(COST:アシストゾーンのガーディアンをジャンクゾーンに送る)

 ┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、あなたは相手の表状態のフォースをX枚まで選び、裏状態にする。(Xはコストとしてジャンクゾーンに送ったガーディアンのSF)



「デュークをジャンクゾーンに送るよ。デュークはSF【6】だから、イクサくんの表状態のフォースを6枚、裏状態にするよ」


 一気にフォースが6枚裏状態になり、イクサに残されたフォースは1枚のみ。

 イクサは自分の手札を見る。

 手札にはカウンターカード【ハーフダメージ】が1枚ある。

 このカードはフォースを1枚消費することで、自分のガーディアンが受けるダメージを半分にしてくれるカウンターカードだ。

 カオス・ナイトのLPは5300なので、10600ダメージ未満ならばなんとか耐えられる。


「フフフッ。じゃあサイコロを振るよ」


 サイコロの目は、5。


覚醒龍ドラゴニック・ライジング ヴァンパイア・RE:LORD(リ・ロード)

【1】【2】【3】【4】【5】【6】……あなたの全てのフォースを消費する。そうしたら、あなたは相手にあなたの手札からカードを4枚選択させ、相手のアタックガーディアンにXダメージを与える。その後、相手が選んだカードを全てジャンクゾーンに送る。(Xは相手が選んだカードのSFの合計×800)


「さあ、イクサくん。悔いが残らないように、ボクの手札を4枚……選んで?」


「………」


 アカネから差し出されたカードを4枚、選んだ。


 選んだカードは……


SF【2】

SF【3】

SF【5】

SF【4】


 合計……14。

 つまり、11200ダメージ。

 ハーフダメージを使っても、防ぎきれない。


「さあ、カウンターカードを発動させる?」


「……いえ、発動…させません」


 アカネの問いに、イクサは首を振った。

 ヴァンパイア・RE:LORD(リ・ロード)の咆哮が、カオス・ナイトを包み込む。



【カオス・ナイト】

DG【700→11900】

LP【5300→0】


 完敗だった。

 バトルが終わり、3Dバトルシステムが停止した。


「ふぅ、楽しかったぁ!」


 アカネは笑顔をイクサに向け、手を差し出して握手を求めてきた。

 アカネの笑顔を見ていると、こっちまで思わず笑顔になってしまう。

 この人は本当にバトルを楽しんでいるということが伝わってくる。

 そう思ったイクサは、バトルに負けたが笑顔でアカネから差し出された手を掴み、握手を交わした。

 負けた悔しさ以上に、達成感にも似た安心感を感じる。

 互いに本気でバトルに取り組んだからこそ、感じられるものだ。




◇◇◇◇◇



 サラサは握手を交わす二人に、羨望にも似たような視線を向けていた。

 お互いの全力をぶつけた彼らのバトルを、サラサは心底羨んでいた。

 彼女のバトルは、ひたすら制限されていたのだから。


「朽木」


 そんなサラサに、シンヤが言う。


「お前のバトルを汚して……悪かったな」


「っ!」


 サラサはシンヤの方を向く。

 一方のシンヤはそれだけ言うと、サラサに背を向けてユキヒコ達の方に歩みを進めた。


「もっと……強くなりたい…」


 全国大会の予選まで、あと一週間もない。

 だからこそ、サラサは強く決意した。




◇◇◇◇◇



『ありがとうございました!!』


 互いに一列に並び、礼をした。

 結果は一勝二敗で、イクサの達の負け。

 全国大会の予選まであと6日。

 精神的には、中々キツい結果となった。


「ユキヒコ。今回の練習試合を提案してくれたことを感謝する」


「いやいや、こちらこそ付き合ってくれて感謝してるよ」


 シンヤとユキヒコが会話に話を咲かせる。


「次に会うときは敵同士だな」


「そうだね」


「俺達とお前達では予選ブロックが違うから、戦う場合は全国大会本選になるな」


「うん、だからこそ……このリベンジは全国大会で晴らさせてもらうよ」


「フッ、楽しみにしてるぞ」


 全国大会本選。

 そこまで勝ち進めれば、シンヤ達と、再度戦える。

 今のイクサ達では、まだ力不足だ。

 だからこそ、もっと強くなって必ずシンヤ達に追い付いてみせる。

 イクサはこの練習試合を通して、強くそう思ったのだった。




◇◇◇◇◇◇




 練習試合が終わり、イクサ達は自分のデッキの弱点を改善するために、各々流れ解散となった。

 カイトとナミは近くのカードショップに、リンナはゲームセンターに。

 イクサは初めての試合に疲れてしまったのか、そのまま大人しく帰ることにした。

 横浜駅から電車で20分。当然爆睡。危うく寝過ごすところだった。

 現在、駅から家まで歩いてる最中である。


「はあ……。試合って結構疲れるものなんだな」


 そう言って歩いていると、イクサはユキヒコの後ろ姿を発見した。

 ユキヒコは花束を両手で持ち、どこか悲しげな様子で歩いていた。

 てっきりカイト達と同様にカードショップに向かったと思っていたイクサは、ユキヒコがどこにこれから向かうのか気になり、帰宅する足を止めた。

 この方向は、隣町だろうか。

 ユキヒコが住んでいる場所はイクサと同じ通りのため、帰宅の途中というわけでもなさそうだ。

 イクサは気配を消してユキヒコの後を追う。


 しばらく尾行すると、ある場所に着いた。


――神代霊園――



 淡い夕闇の明かりに照らされるそこは、静寂に包まれた墓地だった。

 次回、園生リンナの過去・そしてカードバトル部誕生の謎が一部明らかになります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ