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TCG バトル・ガーディアンズ  作者: あんころもちDX
第2章・全国大会編
26/66

BATTLE:013【新生・カオスデッキ!!】

 久々にノーカットのバトルが書けました……。

 では、どうぞ。

 家に帰り自室に戻ったイクサは【カオス・ナイト】のカードをデッキホルダーから取り出していた。

 センリがイクサに宣戦布告と共に渡したカオストライブのカードだ。

 イクサは巫女ナイトのカードも取り出し、なんとなく声をかける。


「なあ、巫女ナイト。聞こえてるか?」


――はい、マスター――


 脳内に巫女ナイトの声が響く。


「孤高センリのこと、何か知ってる?」


――はい。知っています――


「彼は、カオストライブと何かしらの関係があるの?」


――………。簡単に言えば、マスターより前のカオスの所有者。正確に言えば、所有者候補者でした――


「所有者候補者?」


――はい。私達は呪われたトライブですから、長い間、専門の研究所で呪いのメカニズムなどの分析を施されていました。しかし、カードの力を解放できるのは、カードマスターのみ。孤高センリは、その候補者の内の一人だったんです――



◇◇◇◇◇



 2年前。


【カオストライブとのシンクロ率・47%。これ以上の上昇の可能性は、0%】


「くっ、なぜだ! なぜ僕を受け入れようとしない!?」


 彼はとにかく、プライドの塊のような人でした。


「僕は、最強のカードマスターなんだ! 貴様達の力を最大限に引き出せるのは、僕以外に存在しない!!」


 彼は確かに優秀なカードマスターと言えたでしょうが、それだけです。

 カオストライブの所有者となるには、不適でした。

 仲間を思いやる心、彼の戦い方にはそれが欠けていた。

 ですから、私達は彼に見切りをつけたのです。

 これ以上カオストライブを所有していても、彼にとっても私達にとっても、良い結果は生みませんから。



――貴方は、私達のマスターに相応しくありません――



◇◇◇◇◇




「………そんなことが」


――結局、彼の逆鱗に触れてしまった私達は捨てられ、その後、早乙女神社に封印されました――


「……メカニズムの研究って、具体的にはどれくらい前からやっていたんだ?」


――たしか、10年くらい前だったと思います――


 巫女ナイトの言葉に、イクサは思わず眉間に皺が寄る。


「10年前……」


――それが何か?――


「え、あ、その……何か、大切なことを忘れているような気がして……いや、なんでもない、気にしないで」


 10年前、その言葉がイクサの中で引っかかる。


――では、私はこれで休みます――


「え……ああ、うん。お疲れさま」


 物思いに耽っている最中に声をかけられ、イクサは巫女ナイトに意識を向け、労いの言葉を伝える。

 巫女ナイトの声が聞こえなくなり、カードをデッキホルダーに仕舞うとイクサは考えていた。

 ナミの祖父――タカミネの言葉の意味を。

 カオストライブは呪われし種族。

 なら、それは誰による呪いなのか。


「……」


 イクサはPCに目に向けると、起動してバトル・ガーディアンズのオフィシャルサイトにアクセスした。



【バトル・ガーディアンズ〜設定資料館〜】


 この項目をクリックし、読み進める。

 各トライブの誕生設定など、色々と書かれている。

 その中でも、イクサはある項目に目が止まった。


【戦いの歴史・破壊神事変】


――『ドラグニティ・ファンタジア』。そこは多種多様なトライブによって統治された世界。地球とは異なる進化を遂げた異世界。しかし、この世界は一度滅びかけた。その理由は、突如出現した破壊神による、惑星の侵食だった。破壊神は自らの分身とも言える四体の獣『四凶獣』を放ち、各トライブの力を無効化していった。徐々に破壊されていくドラグニティ・ファンタジア。全トライブによる反抗は、最早なんの意味もなかった。滅びゆく彼らは、ついに四凶獣に対抗できる四体の獣の封印を解いた。それこそが『四聖獣』。四聖獣の力で破壊神は封印され、それに伴い四凶獣も封印された。こうして、ドラグニティ・ファンタジアに平和な時が訪れた――



 ガーディアン達はかつて、恐るべき破壊神と戦い、四聖獣の力で見事勝利した。

 ページを下へスクロールすると、まだ続きがあるようだ。



【戦いの歴史・守護龍の覚醒】


――現在、ドラグニティ・ファンタジア全域で邪悪なる力が感知されている。それによって、続々と各トライブの守護龍が覚醒し始めた。四聖獣は前大戦以降、姿を消している。守護龍は各々のトライブを守るために、戦いの準備を整えていく。しかし、それはうまくいかない。これを機として暴徒を働くトライブが増加したのだ。暴徒と化したトライブは、いずれも前大戦を知らない所謂、新米種族だった。邪悪なる力だけでなく、新米種族からも自身のトライブを守るために死力を尽くす守護龍。全トライブの力を結集しなければならないこの時に対立し合うトライブまで現れ、まさにドラグニティ・ファンタジアは一種の暗黒時代を迎えていた――



 守護龍が続々と覚醒し始めた。

 この記述を見たイクサはカオス・ドラゴンのカードに目を向ける。

 イクサが知っている限りでは、守護龍はイクサのカオス・ドラゴンとユキヒコのブリザード・ドラゴンの2体のみ。

 邪悪なる力……これは破壊神と何らかの関係を持っているのだろうか?


 しかしこれはあくまで設定だ。

 だが、イクサにはこれが現実で起きている出来事のように感じられた。

 今もどこかで、ドラグニティ・ファンタジアという異世界でガーディアン同士の戦いが行われている。

 そのような確信めいた考えが頭を過ぎる。


「でも、結局……呪いに関する情報は無しか」



――ピピピッ


 すると、携帯電話が鳴った。

 今は土曜の午後3時だ。

 こんな中途半端な時間帯に電話をかけてくる人物に、見当が付かない。

 イクサは通話ボタンを押して電話に出る。


「はい。もしもし」


〈あ、イクサ! さっきはバーチャルで負けたけど、今度はリアルで勝負しようよ!!〉


 電話の相手はナミだった。


「え、いや……別にいいけど、また今度にしないか? 結構微妙な時間帯だし」


〈だーめ! 今日やられた分は今日取り戻すの! じゃあ、神社で待ってるからね!!〉


――ブツッ


「あいつ……。一方的に電話を切りやがった」



 ………仕方ない、行ってやるか。

 そう思い、準備を整える。

 新しいカードをデッキに加え、構築を見直す。




◇◇◇◇◇




 数十分後、イクサは早乙女神社にやってきた。


「イクサ、おっそーい!」


「デッキ構築の見直しをしてたんだよ」


「むぅ。じゃあ早速始めよっか!」


「ああ」


 互いにバトル前の準備を整え、向き合う。



「「ダイス・セット!!」」



 先攻は、イクサだ。


「俺の先攻、ドロー!」


 新しく構築し直したデッキの試運転を兼ねたバトル。

 上手くデッキが機能するかどうか、イクサはこのバトルで見極めるつもりだ。


「フォースチャージして、追加ドロー! 手札からポテンシャルアビリティを発動!」


【カオス・サーチャー】

【ポテンシャルアビリティ】

【起】(COST:手札のこのカードを自分の山札に戻す)

 ┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、あなたの山札からSF【2】以下の【カオストライブ】のガーディアンを手札に加える。その後、あなたは自分の山札をシャッフルする。



「俺はサーチャーをデッキに戻し、【カオス・巫女・ナイト】を手札に加える!」


 これで防御面を整えることに成功した。


「さらにフォースを1枚消費して、アタックガーディアン【カオス・グロウ】を召喚(サモン)!!」


【カオス・グロウ】

SF【1】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【カオス】

DG【0】

LP【2000】


「そしてグロウは、召喚された時にポテンシャルアビリティを発動する!」


【カオス・グロウ】

【ポテンシャルアビリティ】

【自】(このカードを召喚したアピアステップ時)

 ┗あなたは自分の手札からガーディアンカードを1枚選び、このカードのアンダーカードにできる。



「俺が選択するのは、このカード。SF【3】のガーディアン【カオス・ハーツ】だ」



 ハーツをグロウのアンダーカードとして下に置く。


「グロウの下にハーツが置かれたことで、魂の継承(ソウルサクシード)発動!」


【カオス・グロウ】

【トライブアビリティ】

【永】

 ┗【カオストライブ】のガーディアンを召喚したアピアステップ時、前のガーディアンはアンダーカードとして、このガーディアンの下に置かれる。このガーディアンは下に置かれたアンダーカードの効果を全て受け継ぐ。



 グロウに、ハーツの能力が受け継がれる。


「さらに、ハーツの能力が発動する!」


【カオス・ハーツ】

【ポテンシャルアビリティ】

【自】(サモンフェイズ開始時)

 ┗この効果は、このカードが【カオストライブ】のガーディアンカードのアンダーカードである場合にのみ発動できる。あなたのアタックガーディアンのDGをXだけ増加させ、あなたの山札からSF【1】の【カオストライブ】のアシストガーディアンをフォースを消費せずに召喚する。(Xは、召喚したアシストガーディアンのLPの数値)


「よって、この能力はグロウに受け継がれ、発動!」


 デッキから召喚するカードを選択する。


「俺はデッキから【カオス・チャージャー】をノーコストで召喚(サモン)!」


【カオス・チャージャー】

SF【1】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【カオス】

DG【0】

LP【1000】



「よって、グロウのDGは1000増加する!」


【カオス・グロウ】

DG【0→1000】

LP【2000→1000】


 DGが増加したことでLPは減ってしまったが、それでもフォースを消費することなくアシストガーディアンを召喚して場を整えられたのだ。中々良い滑り出しと言ってもいいだろう。


「ターンエンドだ!」


「私のターン、ドロー! フォースチャージして、追加ドロー!」


 ナミは手札からカードを1枚選択する。


「行くよ! 手札からアタックガーディアン【フロントダンサー チック】を召喚(サモン)!!」


【フロントダンサー チック】

SF【0】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【アイドル】

DG【0】

LP【300】



「チックのトライブアビリティ発動! 貴方のための晴れ舞台(ライブ・フォー・ユー)!!」


【フロントダンサー チック】

【トライブアビリティ】

【起】(COST:手札を1枚ジャンクゾーンに送る)

 ┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。あなたは自分の山札から【バックダンサー タック】を1枚選んで召喚する。


「デッキから舞い降りて! 【バックダンサー タック】を召喚(サモン)!!」


【バックダンサー タック】

SF【0】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【アイドル】

DG【0】

LP【100】



「そ・し・て、タックのアシストアビリティ発動!」


【バックダンサー タック】

【アシストアビリティ】

【自】(セットフェイズ開始時)

 ┗あなたのアタックゾーンに【フロントダンサー チック】があるなら、あなたのフィールド上の【ダンサー】と名の付くガーディアン全てを800だけリペアする。


【フロントダンサー チック】

DG【0→-800】

LP【300→1100】


【バックダンサー タック】

DG【0→-800】

LP【100→900】


 一気にLPを引き伸ばして来た。これにより、アイドルトライブの弱点であるLPの低さをカバーしている。


「サイコロを振るよ、イクサ!」


 ナミのサイコロの目は、4。


【フロントダンサー チック】

【1】【3】【4】……相手のアタックガーディアンに200のダメージを与える。

【2】【5】【6】……相手のアシストガーディアンに100のダメージを与える。



「フォースを1枚消費して、バトルフェイズ! グロウに200のダメージを与える!」


【カオス・グロウ】

DG【1000→1200】

LP【1000→800】


「ふふん。ターンエンド!」


「俺のターン、ドロー!」


 まだバトルは始まったばかりである。イクサは慌てず、練った作戦通りにカードを選択していく。


「フォースチャージして、追加ドロー!」


 追加ドローしたカードを横目で確認する。


(よし。このカードが来たか)


「手札からポテンシャルアビリティを発動!」


【カオス・ロアー】

【ポテンシャルアビリティ】

【永】

 ┗自分フィールド上のアタックゾーンに【カオストライブ】のカードがあるなら、手札のこのカードをSF【1】として扱う。



「よって、フォースを1枚消費して、アタックガーディアン【カオス・ロアー】を召喚(サモン)!!」


【カオス・ロアー】

SF【2】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【カオス】

DG【1200】

LP【2500→1300】



「そして、魂の継承(ソウルサクシード)!」


 これによりロアーはグロウとハーツの能力を受け継いだ。

 さて、イクサのチャージゾーンにはまだ使われていないフォースが1枚ある。

 アシストゾーンには既にチャージャーがいるので、バトルフェイズ中はフォースが消費されない。つまり、1枚余ってしまったことになる。

 なるべくフォースは無駄なく使いきりたいところだが、手札を見てみても良い策はなく、このフォースは防御面に回すことにする。

 さて、ロアーはこれで3つのアタックアビリティを得た。当たる確率は1/2。

 そろそろ攻撃するのもいいだろう。


「サイコロを振る!」


 振ったサイコロの目は、5。


【カオス・ロアー】

【1】……相手のアタックガーディアンに400のダメージを与える。

【2】……相手のデッキからカードを8枚、ジャンクゾーンに送る。

【3】……相手のアシストガーディアンに700のダメージを与える。



 該当する項目なし、よって攻撃は不発。つまり……



【弱体化】


「そんな!!」


「日頃の行いが悪いからだよ、イクサ!」


「お前に言われたくない!!」


 これでは次のターンのダメージ量が二倍になってしまう。アイドルトライブなので一撃でゲームエンドになるとは思えないが、それでも大ダメージを受けることには変わりはない。


「ターン、エンドだ……」


「私のターン、ドロー!」


 ナミはイクサにドヤ顔を浮かべる。

 殴りたい、あの笑顔。である。


「フォースチャージして、追加ドローどやぁ」


 語尾の平仮名がミソ、とでも言いたげな顔に、イクサはイライラしていく。俗に言う煽りプレイというやつだ。


「フフフのフー。タックのアシストアビリティを発動!」


【バックダンサー タック】

【アシストアビリティ】

【自】(サモンフェイズ開始時)

 ┗あなたのフォースが2枚以上の時に発動できる。あなたは自分の山札からカードを3枚までめくり、【ダンサー】と名の付くSF【3】以下のガーディアンカードを1枚まで選んで、フォースを消費せずに召喚する。残りのカードはデッキに戻してシャッフルする。


「デッキを〜めくったら〜、ハッピ〜ラッキ〜ヴィクトリ〜♪」


 即興の歌を歌うほどの余裕と見た。恐らく、SF【3】以下のガーディアンカードがあったのだろう。


「アタックガーディアン【フロントダンサー ステップ】を、ノーコストで召喚(サモン)!!」


【フロントダンサー ステップ】

SF【3】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【アイドル】

DG【-800】

LP【2200→3000】



貴方のための晴れ舞台(ライブ・フォー・ユー)!!」


【フロントダンサー ステップ】

【トライブアビリティ】

【自】(セットフェイズ開始時)

 ┗あなたは自分の手札から【バックダンサー】と名の付くガーディアンを1枚選び、フォースを消費せずに召喚する。



「手札から【バックダンサー ルル】をノーコストで召喚(サモン)!」


【バックダンサー ルル】

SF【1】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【アイドル】

DG【-800】

LP【600→1400】


「ルルのアシストアビリティ発動!」


【バックダンサー ルル】

【アシストアビリティ】

【自】(このカードの召喚時に発生したアピアステップ時)

 ┗このカードのDGを500増やし、あなたは自分の【アイドルトライブ】のアタックガーディアンを1体選択する。選択したアタックガーディアンを500リペアする。



【フロントダンサー ステップ】

DG【-800→-1300】

LP【3000→3500】


【バックダンサー ルル】

DG【-800→-300】

LP【1400→900】


「ふふん、どう? これでステップの防御面は完璧だよ!」


「………」


 ここまでLP差をつけられると中々厳しい。

 イクサの手に力が籠る。


「サイコロを振って、ライブ開始!」


 ナミのサイコロの目は、3。


【フロントダンサー ステップ】

【1】【2】【3】……あなたのアシストガーディアンのDGの数値だけ、相手のアタックガーディアンにダメージを与える。

【4】【5】【6】……あなたはカードを2枚引き、相手は自分の手札を2枚選んでジャンクゾーンに送る。



「フォースを消費してバトルフェイズ! 【カオス・ロアー】は弱体化しているから、ダメージは1000だね!」


「そう簡単にLP差を広げてたまるか! フォースを1枚消費して、カウンターカード【セルフチェンジ】発動!」


【セルフチェンジ】

FORCE【1】

【カウンター】

【自】(カウンターステップ時)

 ┗あなたは自分のアタックゾーンまたはアシストゾーンのガーディアンを1枚選び、相手のアタックアビリティの効果対象をそのガーディアンに変更する。



「よって、俺は効果対象をアシストゾーンの【カオス・チャージャー】に変更する!」



【カオス・チャージャー】

DG【0→500】

LP【1000→500】


「ちぇ。ターンエンド!」


「よし。俺のターン、ドロー!」


 ロアーの弱体化が解除され、カードの向きが横向きから縦向きになる。

 このターンをどう作り上げるか、イクサは手札のカードに視線を移す。


「フォースチャージして、追加ドロー!」


 チャージゾーンにはフォースが3枚。


――よし


 イクサの中で方針が固まる。


「フォースを1枚消費して、アシストガーディアン【カオス・キャノン】を召喚(サモン)!」


【カオス・キャノン】

SF【1】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【カオス】

DG【500】

LP【600→100】



「そして更にフォースを2枚消費して、アシストガーディアン【カオス・巫女・ナイト】を召喚(サモン)!!」


【カオス・巫女・ナイト】

SF【2】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【カオス】

DG【500】

LP【1700→1200】


「アシストガーディアン同士で魂の継承(ソウルサクシード)!!」

 巫女ナイトにチャージャーとキャノンの能力が受け継がれる。


「受け継いだキャノンのアシストアビリティを発動!」


【カオス・キャノン】

【アシストアビリティ】

【自】(あなたのセットフェイズ終了時)

 ┗このターン、あなたはダイスステップをスキップしてバトルフェイズを開始する。相手のアタックガーディアンにXダメージ与える。(Xは、あなたの【カオストライブ】のアタックガーディアンのSF×500)



「ロアーのSFは2。よって、ステップに1000のダメージを与える!」


【フロントダンサー ステップ】

DG【-1300→-300】

LP【3500→2500】


 まだDGはマイナス数値のまま、完全には削りきれていない。

 これ以上の追撃はできないため、エンドフェイズに移行する。


「俺はこれでターンエンド!」


「フフフ……。私のターン、ドロー!」


 ナミはドローしたカードを手札に加え、チャージゾーンにカードを置く。


「フォースチャージして、追加ドロー!」


 小さく笑い、カードを選択する。


「【フロントダンサー ステップ】のポテンシャルアビリティ発動!」


【フロントダンサー ステップ】

【ポテンシャルアビリティ】

【起】(COST:フォースを1枚消費する)

 ┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。あなたは自分の山札から【バックダンサー ステップ】をフォースを消費せずに召喚する。



「デッキから、アシストガーディアン【バックダンサー ステップ】をノーコストで召喚(サモン)!」


【バックダンサー ステップ】

SF【2】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【アイドル】

DG【-300】

LP【1000→1300】



「新たな【バックダンサー】が召喚されたことで、ルルのもう1つのアシストアビリティが発動!」


【バックダンサー ルル】

【アシストアビリティ】

【自】(カード名に【バックダンサー】と名の付く新たなアシストガーディアンを召喚したアピアステップ時)

 ┗アシストゾーンに置かれているこのカードをあなたの山札に戻す。そうしたら、あなたは自分の山札から【フロントダンサー ルル】を1枚まで探し、フォースを2枚消費して召喚する。



「ルル、いよいよあなたのオンステージよ! 【フロントダンサー ルル】をフォースを2枚消費して召喚(サモン)!!」


【フロントダンサー ルル】

SF【4】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【アイドル】

DG【-300】

LP【3400→3700】


「ルルのトライブアビリティ発動。貴方のための晴れ舞台(ライブ・フォー・ユー)!!」


【フロントダンサー ルル】

【トライブアビリティ】

【自】(セットフェイズ開始時)

 ┗1ターンに一度、あなたは自分フィールド上の【ダンサー】と名の付くガーディアンをXリペアさせる。(Xはあなたのジャンクゾーンに存在する【ダンサー】と名の付くガーディアンの枚数×300)



「私のジャンクゾーンには、チック、タック、そしてステップの3枚の【ダンサー】が存在してる。よって、フィールド上の【フロントダンサー ルル】と【バックダンサー ステップ】は900リペアするよ!」


【フロントダンサー ルル】

DG【-300→-1200】

LP【3700→4600】


【バックダンサー ステップ】

DG【-300→-1200】

LP【1300→2200】



「一体どんだけLP差が開くんだ……」


「フフフ。ダンサーデッキはフィールドにガーディアンを展開しつつ、こうしてLPも回復できるんだよ、イクサ。悪いけど、今回は勝たせてもらうよ!」


「っ!」


 正直、マズイ状況と言える。

 こうライフ差が開く一方では、いつか息切れしてしまう。

 だがそれでも、今のイクサは耐えるしかない。


「ダイスステップ時、サイコロを振るよ!」


 ナミはサイコロを振った。

 サイコロの目は4。


【フロントダンサー ルル】

【1】【2】【4】……あなたは手札を3枚まで選択してジャンクゾーンに送る。そうしたら、相手の手札をX枚、ジャンクゾーンに送る。(Xは、あなたがジャンクゾーンに送った手札の枚数) 相手がバトルフェイズ中にカウンター効果を発動しなかったら、あなたは自分の山札からカードを1枚ドローする。

【3】【5】【6】……あなたは手札を任意の枚数まで選択してジャンクゾーンに送る。そうしたら、相手のアタックガーディアンにXダメージを与える。(Xは、あなたがジャンクゾーンに送った手札の枚数×800) 相手がバトルフェイズ中にカウンター効果を発動しなかったら、あなたは自分の山札からカードを1枚ドローする。



「私は手札を3枚選択して、ジャンクゾーンに送る。よって、イクサは手札から3枚をジャンクゾーンに送らなければならない!」


「手札も削られるのか……」


 イクサは手札からカードを3枚選択し、ジャンクゾーンに送る。


「カウンター効果が発動されなかったからカードを1枚ドローして、これでターンエンド!」


「俺のターン、ドロー!」


 イクサのターンとなり、デッキからカードを1枚ドローする。

 とにかく、LP差を少しでも縮めなければイクサに勝利はないだろう。


「フォースチャージして、追加ドロー!」


 SFの高いカードを召喚してLPを増やしつつ、相手にダメージも与える。地道だがこうしてライフ差を埋めていくしかない。


「フォースを4枚消費して、アタックガーディアン【カオス・バンカー】を召喚(サモン)!!」


【カオス・バンカー】

SF【4】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【カオス】

DG【1200】

LP【5000→3800】


「そして、魂の継承(ソウルサクシード)!!」


 バンカーに、グロウ、ハーツ、ロアーの魂が受け継がれる。


「さらに、巫女ナイトに受け継がれているキャノンのアシストアビリティを発動!」


【カオス・キャノン】

【アシストアビリティ】

【自】(あなたのセットフェイズ終了時)

 ┗このターン、あなたはダイスステップをスキップしてバトルフェイズを開始する。相手のアタックガーディアンにXダメージ与える。(Xは、あなたの【カオストライブ】のアタックガーディアンのSF×500)


「バンカーのSFは4、よって2000のダメージを、ルルに与える!!」


「フフフのフー。そうはいかないよ! ステップのカウンターアビリティを発動!!」


「えっ!?」


「チッチッチッ。カウンターアビリティを持っているのは、巫女ナイトだけじゃないんだよ!」


【バックダンサー ステップ】

【カウンターアビリティ】

【自】(カウンターステップ時)

 ┗あなたの【ダンサー】と名の付くアタックガーディアンがダメージ効果の対象に選ばれた時に発動できる。1ターンに一度、そのダメージ効果をの対象をこのカードに変更する。



「よって、ダメージ効果対象をステップに変更!」


【バックダンサー ステップ】

DG【-1200→800】

LP【2200→200】


「えへ♪ 残念でした!」


「くっ、ターンエンド」


「私のターン、ドロー。フォースチャージして、追加ドローっと」


 ナミは不敵に笑う。


「ルルのトライブアビリティ発動! 貴方のための晴れ舞台(ライブ・フォー・ユー)!!」



【フロントダンサー ルル】

【トライブアビリティ】

【自】(セットフェイズ開始時)

 ┗1ターンに一度、あなたは自分フィールド上の【ダンサー】と名の付くガーディアンをXリペアする。(Xはあなたのジャンクゾーンに存在する【ダンサー】と名の付くガーディアンの枚数×300)



「私のジャンクゾーンには【ダンサー】のカードは6枚。よって、全ての【ダンサー】のLPが1800リペア!」


【フロントダンサー ルル】

DG【-1200→-3000】

LP【4600→6400】


【バックダンサー ステップ】

DG【800→-1000】

LP【200→2000】



「ま、マジかよ……」


 あまりのライフ差を前に、イクサは思わずたじろいでしまう。果たして、この圧倒的なライフ差をひっくり返せるのだろうか。


「サイコロを振るよ!」


 ナミのサイコロの目は、5。


【フロントダンサー ルル】

【1】【2】【4】……あなたは手札を3枚まで選択してジャンクゾーンに送る。そうしたら、相手の手札をX枚、ジャンクゾーンに送る。(Xは、あなたがジャンクゾーンに送った手札の枚数) 相手がバトルフェイズ中にカウンター効果を発動しなかったなら、あなたは自分の山札からカードを1枚ドローする。

【3】【5】【6】……あなたは手札を任意の枚数まで選択してジャンクゾーンに送る。そうしたら、相手のアタックガーディアンにXダメージを与える。(Xは、あなたがジャンクゾーンに送った手札の枚数×800) 相手がバトルフェイズ中にカウンター効果を発動しなかったら、あなたは自分の山札からカードを1枚ドローする。



「私はカードを2枚、ジャンクゾーンに送るよ。だから、【カオス・バンカー】に1600のダメージを与える!」


 これ以上、LP差を開くわけにもいかない。

 それに、


――マスター……――


 巫女ナイトの声が頭の中で木霊し、イクサはそれに頷く。


(ああ、分かってるさ)


 イクサはこの時、センリから受けた宣戦布告を思い出していた。

 イクサは弱い、このままでは予選を勝ち残ることすら怪しい。

 そんな辛辣な言葉を浴びせられ、渡されたカード。

 使いこなしてみせろと言われたカオストライブのカード。

 イクサは決意する。ああ、使いこなしてやるよ、と。


「巫女ナイトのカウンターアビリティを発動!」


【カオス・巫女・ナイト】

【カウンターアビリティ】

【自】(カウンターステップ時)

 ┗1ターンに一度、自分のアタックガーディアンに与えられるダメージ効果をこのカードに変更できる。ただし、ダメージ効果の対象がこのカードである場合、この効果は発動できない。


「攻撃対象を巫女ナイトに変更!」


【カオス・巫女・ナイト】

DG【500→2100】

LP【1200→0】


 ライフが0になったことで、巫女ナイトがジャンクゾーンに送られた。


「巫女ナイトがジャンクゾーンに送られたことで、同時にアンダーカードとなっていたチャージャーもジャンクゾーンに送られる。ポテンシャルアビリティ発動!」


【カオス・チャージャー】

【ポテンシャルアビリティ】

【自】(このカードがジャンクゾーンに送られた時)

 ┗あなたは自分の山札から【カオストライブ】のカードを2枚まで選び、表状態でチャージゾーンに置く。


 イクサはメインデッキからカードを2枚選択し、チャージゾーンに置く。


 そして、巫女ナイトのカードに手を置く。


(使いこなしてやるさ。最強のカードマスターが使いこなせなかったカオストライブ。

 俺は、その所有者になったんだから!!)


「巫女ナイトのアシストアビリティを発動!」


「えっ、巫女ナイトのアシストアビリティ?!」


「そう。巫女ナイトはアシストガーディアン、だからアシストアビリティを持っていることに不思議はないだろ? 今までは使う機会が無かったけど、この瞬間、発動する!」



【カオス・巫女・ナイト】

【アシストアビリティ】

【自】(このカードがアシストゾーンからジャンクゾーンに送られた時)

 ┗この効果は、あなたのチャージゾーンのフォースが5枚以上なら発動できる。フォースを2枚消費し、あなたは自分の山札から【カオス・ナイト】をフォースを消費せずに召喚する。



「フォースを2枚消費する! 巫女の祈りが通じる時、闇を斬り裂き混沌の彼方から騎士が舞い降りる! デッキから【カオス・ナイト】をノーコストで召喚(サモン)!!」


【カオス・ナイト】

SF【5】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【カオス】

DG【1200】

LP【6000→4800】



「【カオス・ナイト】の、ポテンシャルアビリティ発動!」


【カオス・ナイト】

【ポテンシャルアビリティ】

【自】(このカードが【カオス・巫女・ナイト】の効果によって召喚された時)

 ┗相手のガーディアンを1体まで選択し、2000ダメージを与える。



「俺が選択するのは、【バックダンサー ステップ】!!」


「げっ……」


【バックダンサー ステップ】

DG【-1000→1000】

LP【2000→0】



 これで次のターン、カウンターアビリティが発動されることなく、アタックガーディアンに攻撃が通る。

 ナミは「やば…」と小さく漏らしながらエンドフェイズに移行する。


「た、ターンエンドだよ……」


「俺のターン、ドロー! フォースチャージして、追加ドロー!!」


――よし。


 ドローしたカードを確認し、手札に加える。

 そのままセットフェイズに移行する。


「【カオス・ナイト】のトライブアビリティを発動!」


【カオス・ナイト】

【トライブアビリティ】

【永】

 ┗このカードを召喚したアピアステップ時、前のガーディアンはこのカードのアンダーカードとなる。このカードは全てのアンダーカードの能力を受け継ぐ。

【起】(COST:フォースを1枚消費する)

 ┗あなたは自分の手札からガーディアンカードを1枚選択してこのカードのアンダーカードにできる。



「フォースを1枚消費し、このカードをカオス・ナイトの下に置く!」


 イクサが手札から選択したカードは、【カオス・エンペラー・ロード】。

 【カオス・ナイト】は、全ての仲間の能力を受け継ぐ。


「受け継がれたエンペラー・ロードの能力を発動!!」


【カオス・エンペラー・ロード】

【トライブアビリティ】

【永】

 ┗このカードのアピアステップ時、前のガーディアンはアンダーカードとして、このカードの下に置かれる。

【起】(COST:フォースを1枚消費する)

 ┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、あなたのジャンクゾーンに存在する【カオストライブ】のカードを3枚まで選び、このカードの下にアンダーカードとして置いてこのターンのダイスステップスキップし、バトルフェイズに移行する。相手のアタックガーディアンにXのダメージを与える。(Xは、このカードの下に置かれている【カオストライブ】の枚数×800)




「俺は、ジャンクゾーンのチャージャー、キャノン、巫女ナイトの3枚を選択し、【カオス・ナイト】のアンダーカードとして下に置く。そしてバトル!!」


 下に置かれているカードは、

【カオス・グロウ】

【カオス・ハーツ】

【カオス・ロアー】

【カオス・バンカー】

【カオス・エンペラー・ロード】

【カオス・チャージャー】

【カオス・キャノン】

【カオス・巫女・ナイト】


 の計8枚のカオストライブのガーディアンカード。


「よって、【フロントダンサー ルル】に6400のダメージを与える!!」


「え、ええ?! え、えと……カウンターカードが無いよぉ!!」


 手札がアシストガーディアンで固まっているのが災いし、ルルはカオス・ナイトの攻撃を受けた。


【フロントダンサー ルル】

DG【-3000→3400】

LP【6400→0】



「よっし! 勝った!!」


「また負けたぁ!!」


 イクサは思わずガッツポーズを決める。

 反対に、ナミは「嘘だぁぁぁ………」と呻いていた。

 上手く機能するか不安だったけど、この調子なら全国大会でも十分に戦える。

 イクサはそう確かな手応えを感じた。




◇◇◇◇◇




「いよいよ全国大会まで、あと1週間。恐らくチームとしての最終調整は明日がベストだな」


 カードバトル部部長であるユキヒコはパソコンのエクセルを起動し、キーボードをいじりながら自室で部活の計画を練っていた。


「おい、ユキヒコ」


「ん?」


 ユキヒコは声のした方向に顔を向ける。


「なんだ、シンヤか。もう怪我は治ったのかい?」


「これで完治してると思うか?」


 なんと声の主は、ユキヒコに頼まれてカードバトル部を襲撃した諸星シンヤだった。

 シンヤは眉間に皺を寄せながら右腕に巻かれたギブスをユキヒコに見せる。


「まさかこんなひどい目に遭うとは思わなかったぜ、全くよ」


「俺としても、あの事態は予想外だったからね」


「だろうな。あの鹿羽って奴、マジでイかれてたからな。それより、今年の全国大会は出られそうか?」


「どうだろう」


「? メンバーは集まったんだろ?」


「メンバーが集まっても、予選を突破できるかは別問題だ」


 シンヤは口笛を吹いた。


「なるほどな。んで、わざわざ俺を呼び出したってことは……」


「ああ。また君にコーチを頼もうと思ってね」


「正直、もう勘弁してもらいたいんだが……」


「お前だって全国大会に出るつもりなら、悪い話じゃないだろ?」


「………まあ、そっちの偵察ができるなら、こっちとしても願ったり叶ったりだが……」


「なら決まりだ。明日、お前の高校と練習試合だ」


「へいへい喜んで。前回はレアカードだらけのアンバランスデッキだったからな……今回はガチのデッキでやらせてもらうぞ?」


「逆に本気で来てもらわなければ困るよ」


 シンヤは小さく「違いねぇ」と言って笑い、ユキヒコの自室を後にした。


「さて。じゃあ早速メールを送るか」





【明日の正午。他校との練習試合を行う。集合場所は横浜駅。各自、デッキの調整を怠らないように】

【号外! フィニッシュカード特集!!】


ナミ「負けたぁぁぁぁ!!」


イクサ「ナミ、うるさいぞ」


ナミ「また負けたぁぁぁぁ!!」


イクサ「仕方ない。気にせずに進めていこう。今回のフィニッシュカードは【カオス・ナイト】。俺の新しい切り札だ」


ナミ「負ーけーたぁぁぁぁ!!」


イクサ「フォースを2枚消費するが、巫女ナイトの能力でデッキから召喚できる上に、相手のガーディアンに2000のダメージを与えることができるんだ」


ナミ「ルーズ! ルーズ! アイ・アム・ルーザー!!」


イクサ「うっさい!!」


カイト「今回、一ミリも出なかった俺。次回は出番はあるのか……練習試合、勝つぞ!!」


イクサ「締めのセリフ、取られた!!」


 次回もお楽しみに☆

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