BATTLE:012【渡された宣戦布告!】
【ナミのターン】
画面にそう書かれている。ナミの先攻だ。
【アタックガーディアン】
【フロントダンサー ルキエ】
SF【1】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【アイドル】
DG【0】
LP【700】
〈フフッ。さあ、ライブの始まりよ!〉
神奈川県のバトルエリアということで、戦いの舞台は港。
そこに、赤いバンダナを頭に着けたダンサーが召喚された。
因みに、召喚時にガーディアンが喋ってる言葉はカードに書かれているフレーバーテキストのものだ。
〈とっておきの能力、行くわよ!〉
【フロントダンサー ルキエ】
【トライブアビリティ】
【自】(セットフェイズ開始時)
┗あなたは自分の手札から【ダンサー】と名の付いたアシストガーディアンをフォースを消費せずに召喚できる。
〈さあ、私のライブを盛り上げなさい!!〉
【貴方のための晴れ舞台】
【アシストガーディアン】
【バックダンサー ルル】
SF【1】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【アイドル】
DG【0】
LP【600】
〈あたしが来たからには、ライブは成功間違いなし!!〉
ルルが後方のアシストゾーンに召喚された。
〈私の命を貴女に……〉
【バックダンサー ルル】
【アシストアビリティ】
【自】(このカードの召喚時に発生したアピアステップ時)
┗このカードのDGを500増やし、あなたは自分の【アイドルトライブ】のアタックガーディアンを1体選択する。選択したアタックガーディアンを500リペアする。
【フロントダンサー ルキエ】
DG【0→-500】
LP【700→1200】
【バックダンサー ルル】
DG【0→500】
LP【600→100】
〈ありがと、ルル〉
〈うん。一緒に頑張ろうね、ルキエ!〉
ルキエとルルは互いに笑顔を浮かべ、ハイタッチする。
この二人、凄く仲良さそうだ。
【ナミはターンを終了しました】
【あなたのターンです】
「よし、俺のターンだ。ドローして、フォースチャージ。追加ドロー!」
手札に追加ドローしたカードを加え、手札からポテンシャルアビリティを発動する。
「【カオス・ベビーナイト】のポテンシャルアビリティを発動!」
【カオス・ベビーナイト】
【ポテンシャルアビリティ】
【永】
┗相手フィールド上のアタックゾーンにガーディアンカードがあるなら、このカードはSF【0】として扱う。
「ノーコストで召喚!!」
【アタックガーディアン】
【カオス・ベビーナイト】
SF【1】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【カオス】
DG【0】
LP【1500】
〈赤ちゃんじゃない! ボクだって立派な剣士なんだぞ!!〉
黒い甲冑を身に纏った小さな騎士が出現した。セリフが可愛らしく、思わず微笑ましくなる。
イクサはさらにカードを選択する。
(よし、このカードも出そう)
【カオス・ロアー】
【ポテンシャルアビリティ】
【永】
┗自分フィールド上のアタックゾーンに【カオストライブ】のカードがあるなら、このカードをSF【1】として扱う。
「フォースを1つ消費して【カオス・ロアー】を召喚!!」
【アタックガーディアン】
【カオス・ロアー】
SF【2】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【カオス】
DG【0】
LP【2500】
〈オレ様の出番か……〉
黒いアーマーを身に纏った大きな虎が出現した。
「そして、魂は受け継がれる!」
〈ベビーナイト、貴様の魂……しかと受け取ったぞ!〉
【魂の継承】
【カオス・ロアー】
【トライブアビリティ】
【永】
┗【カオストライブ】のガーディアンを召喚した時、前のガーディアンはアピアステップ時にアンダーカードとなり、このガーディアンの下に置かれる。このガーディアンは、アンダーカードの効果を全て受け継ぐ。
「フォースを使い果たしたからターンエンドだ」
【あなたのターンを終了します】
【ナミのターン】
フォースチャージした後に追加ドローされ、フォースが1枚消費された。
【アタックガーディアン】
【フロントダンサー セレナーデ】
SF【1】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【アイドル】
DG【-500】
LP【600→1100】
〈さあ、はりきっていくわよ!!〉
金髪ロングの美少女が現れた。
〈私はまだ退場しないわよ!〉
【フロントダンサー ルキエ】
【ポテンシャルアビリティ】
┗新しい【アイドルトライブ】のアタックガーディアンが召喚された時、このカードはジャンクゾーンに送られず、あなたの山札に戻る。そうしたら、あなたの山札から【バックダンサー ルキエ】を召喚する。
【アシストガーディアン】
【バックダンサー ルキエ】
SF【1】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【アイドル】
DG【0】
LP【600】
〈もっともっとライブを盛り上げていくわよ!!〉
ルキエが登場し、ルルがルキエにバトンタッチする。
〈ルル、お疲れさま〉
〈うん! ルキエも頑張ってね!〉
【バックダンサー ルル】
【ポテンシャルアビリティ】
【自】(新たなアシストガーディアンを召喚したアピアステップ時)
┗アシストゾーンに置かれているこのカードをあなたの山札に戻す。その後、その山札をシャッフルする。
ルルはデッキにへと戻り、ルキエがアシストゾーンに移動した。
【ナミがサイコロを振ります】
【6】
【アタックアビリティ発動!】
【フロントダンサー セレナーデ】
【1】【2】【3】……あなたの【ダンサー】と名の付くアシストガーディアンのLPの値のダメージを相手のアタックガーディアンに与える。
【4】【5】【6】……あなたは自分の山札をの一番上をめくる。そのカード名に【ダンサー】があれば、相手のアタックガーディアンにXのダメージを与える(Xは、めくったカードのSF×100)。その後、めくったカードを山札の一番下に置く。
〈ちょっ〜と待った!!〉
【バックダンサー ルキエ】
【アシストアビリティ】
【永】
┗あなたの【ダンサー】と名の付くアタックガーディアンのバトルフェイズ時に、アタックアビリティに【相手のガーディアンに100のダメージを与える】を付加する。
ルキエのアシストアビリティが発動し、さらにめくったカードのガーディアンが出現した。
【フロントダンサー ジャンヌ】
SF【5】
〈ジャンヌ、ただいま参上!〉
〈私に力を貸して、ジャンヌ!〉
〈了解!!〉
拳をぶつける二人に、ルキエが駆け寄る。
〈私の存在を忘れないでほしいな!〉
〈〈うん、ルキエも一緒に行こう!!〉〉
三人のダンサーは一斉にジャンプし、トリプルキックをロアーに決める。
〈〈〈はあぁぁぁぁ!!〉〉〉
〈ぬぐっ?!〉
トリプルキックを喰らったロアーはたじろいだ。
【カオス・ロアー】
DG【0→600】
LP【2500→1900】
トリプルキックを決めた後、三人のダンサーはそれぞれ決めポーズを決める。
演出の細かさに、イクサは思わず脱帽する。
〈フッ……決まった〉
〈華麗だったわね〉
〈優雅だったわぁ〉
(あ、主人の人格が乗り移ってる)
三人の物言いが、ナミの普段の発言に近いモノを感じ、思わず苦笑する。
◇◇◇◇◇
同時刻・カードセンター
「はっくしょい!」
「早乙女さん、風邪かい?」
「い、いえ…なんでも……あ、見て下さい! イクサに600のダメージを与えましたよ!」
「おぉ、まずは順調な滑り出しだね。でも、油断はできないよ。勝負はまだ始まったばかりなんだから」
「はい! イクサには負けませんから!!」
「うん、頑張ろう」
◇◇◇◇◇
「イクサ、どうだ? 早乙女さん、強いだろ?」
「なんでカイトが誇らしげなの……。まあ、確かに動きが多彩で頭が混乱するけど……慣れればどうってことはないよ」
「……っ!」
カイトは、バトルに集中しているイクサに目を見開く。
(イクサの奴、凄い集中力だ……)
アイドルトライブはアクティブな種族。振り回されずに自分のペースを保つ。
イクサはそれを念頭に置いてバトルに臨む。
ナミの新しいダンサー軸のデッキについても、脳内でいくつか考察をする。
フロントダンサーがバックダンサーに、逆もまた然り。前後の入れ換えをメインに置いてガーディアンを展開している。少ない手札で最大限の効果を発揮する戦術だ。
そうして攻防が続いていると、気付けば始まって5ターンが経過していた。
現在のフィールド状況。
イクサのフィールド。
【カオス・ブースター】
SF【4】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【カオス】
DG【2500】
LP【2500】
【カオス・巫女・ナイト】
SF【2】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【カオス】
DG【1300】
LP【400】
一方のナミのフィールドは
【フロントダンサー ルージュ】
SF【4】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【アイドル】
DG【1500】
LP【2100】
【バックダンサー リズム】
SF【2】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【アイドル】
DG【0】
LP【1000】
ナミのターンだ。
【ナミのターンです】
フォースチャージされ、アビリティが発動される。
【アシストアビリティ発動!】
【バックダンサー リズム】
【アシストアビリティ】
【起】(COST:フォースを3つ消費する)
┗あなたのターン、コストを消費することで発動できる。あなたは自分の山札から【フロントダンサー リズム】をフォースを消費せずに召喚する。
【アタックガーディアン】
【フロントダンサー リズム】
SF【5】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【アイドル】
DG【1500】
LP【4500→3000】
〈リズムちゃんの登場デスヨ〜☆〉
【トライブアビリティ発動!】
【フロントダンサー リズム】
【トライブアビリティ】
【起】(COST:無し)
┗あなたは自分の手札から【バックダンサー】と名の付くガーディアンを1枚まで選んでフォースを消費せずに召喚できる。召喚したら、カードを2枚ドローする。この効果は、1ターンに一度しか発動できない。
【アシストガーディアン】
【バックダンサー タップ】
SF【2】
GT【ノーマル/アシスト】
Tr【アイドル】
DG【0】
LP【1000】
〈私の得意な躍りはタップダンス! え、知ってるの?〉
【アシストアビリティ発動!】
【バックダンサー タップ】
【アシストアビリティ】
【自】(カード効果によって召喚されたこのカードのアピアステップ時)
┗相手のアシストガーディアンを1枚選び、ジャンクゾーンに送る。
〈私たちのライブの邪魔を、するんじゃないわよ!!〉
〈きゃあ!〉
タップの回し蹴りが巫女ナイトに命中し、ジャンクゾーンに送られてしまった。しかし、巫女ナイトには【カオス・チャージャー】の魂が受け継がれている。
【カオス・チャージャー】
【ポテンシャルアビリティ】
【自】(このカードがジャンクゾーンに送られた時)
┗あなたは自分の山札から【カオストライブ】のカードを2枚選び、表状態でチャージゾーンに置く。
これでイクサのチャージゾーンにフォースは6枚となった。
このターンさえ乗り切れば、イクサにもチャンスがある。
【ナミがサイコロを振ります】
【2】
【フロントダンサー リズム】
【1】【2】【3】……相手にXダメージを与える。(Xはあなたの手札の【ダンサー】と名の付くカードの枚数×500)
【4】【5】【6】……相手の手札をX枚、ジャンクゾーンに送る。(Xは、あなたの手札の【ダンサー】と名の付くカードの枚数)
ナミの手札は6枚。そして、ダンサー軸デッキならば、恐らく。
【合計ダメージ・3000】
(やっぱりか!!)
イクサは内心で冷や汗を流す。
イクサの場のブースターのLPは残り2500。
このままでは、負けしまう。
エネルギーが充填されたリズムは、爪先で地面を軽く叩くと、まるで一種の舞いのような優雅な動きでブースターに攻撃を放つ。
「フォースを2つ消費して、手札からカウンターカード【パーフェクト・バリアー】を発動する!」
【パーフェクト・バリアー】
FORCE【2】
【カウンター】
【自】(カウンターステップ時)
┗このカウンターステップを発生させた相手のカード効果を無効にする。
ブースターの前に分厚い障壁が出現し、リズムの攻撃を防いだ。
危なかった、イクサはそう思って一息吐く。
【カオス・ブースター】
DG【2500→2500】
LP【2500→2500】
〈フンッ、命拾いしたようね……〉
〈そう簡単に、我は倒れはしない!〉
リズムは悔しそうな表情を浮かべて、自身のアタックゾーンに戻った。
【ナミのターンが終了します】
【あなたのターンです】
「よし、俺のターン。ドロー!」
リズムの残りLPは3000。
対して、ブースターのLPは先程と同じ2500。
このターンで蹴りを着けなければ、次のターンは恐らく凌げない。
ナミを倒すにはこのターンがラストチャンスとなるだろう。
前のターンで、ナミの手札には【ダンサー】と名の付くカードしかないのは分かっている。
つまり、カウンターカードによるダメージの軽減はない。最低3000のダメージさえ与えることがてぎれば、確実に勝てる。
だが問題は、今のドローでも、イクサの手に有力なカードが来ていないことだ。
☆☆☆
イクサの戦いを後方で観戦している孤高センリは小さく笑う。
「さて、ここからが貴様の真価が問われるところだ。守護龍のカードを引き当てられるかどうか……」
センリは懐から1枚のカードを取り出す。
「もし引き当てれば、このカードの使い手として認めてやってもいい」
しかし、確率的には1/42。
この1ドローでたった1枚のカードを引き当てるのは、至難の技だ。
「フンッ、精々足掻いてみせるんだな」
☆☆☆
イクサは苦虫を噛みしめていた。
ジャンクゾーンに置かれているエンペラー・ロード。
デッキを削られた時にジャンクゾーンに流れてしまったカードだ。
今のイクサのデッキで、エンペラー・ロード並みの火力を叩き出せるのは守護龍のカードのみ。カオス・ドラゴンを引き当てなければ、負ける可能性が濃厚である。
「フォースチャージして」
デッキに手を乗せる。
「追加ドロー!!」
目を瞑ったまま引いたカードを、イクサはうっすらと目を開けて横目で盗み見た。
【守護龍 カオス・ドラゴン】
それが、カード名だった。
「よし!」
「フッ……」
――ん?
なにやら後ろで小さな笑い声が聞こえたような気がし、イクサは辺りを見渡す。特に周りに違和感がないことから、もしかしたら聞き間違いかもしれないと思い、画面に向き直る。
「フォースを6つ消費して、【守護龍 カオス・ドラゴン】を召喚!!」
【アタックガーディアン】
【守護龍 カオス・ドラゴン】
SF【6】
GT【ノーマル/アタック】
Tr【カオス】
DG【2500】
LP【7000→4500】
〈貴様が我らの敵か。我らに牙を剥いた愚行……ただで済むと思うなよ……〉
混沌の彼方より飛来した黒龍。
「そして、魂の継承!!」
カオス・ドラゴンに、カオスの戦士たちの能力が受け継がれる。
「サイコロを振る!」
さて、ここが本当の勝負所だ。
3000のダメージを与えるには、イクサは6の目を当てなてなければならない。
サイコロに自分の思いを乗せて振る。
転がるサイコロが、徐々に勢いをなくして、やがて止まった。
【5】
(………え?)
☆☆☆
「よりによって5の目か。所詮は、この程度の使い手ということか。……期待はずれだな」
センリがカードを懐に仕舞おうとした次の瞬間、
「っ?!」
カードが光り輝いた。
「これは……」
☆☆☆
5。よりによって、5。
イクサは暗い表情で自身のサイコロを見つめる。
カオス・ドラゴンは仲間の魂を受け継ぎ、能力を得た。だが、その能力の総数はカオス・ドラゴン自身の能力を加えても5種類のみ。そう、アタックアビリティの【5】の目以外の5種類のみ。
つまり、5の能力を持っていないカオス・ドラゴンは攻撃不発によって弱体化してしまうのである。
(ぬああああああ!! 最悪だぁぁぁぁ!!)
イクサが内心でそう嘆いていると、
――こてん。
サイコロが突然、独りでに転がった。
【6】
一体、なにが起きたのか。動きが止まったはずのサイコロが最後に少しだけ転び、目が6となった。
まさに、ミラクルである。
【守護龍 カオス・ドラゴン】
【1】……相手のアタックガーディアンに250のダメージを与える。
【2】……相手の山札からカードを8枚、ジャンクゾーンに送る。
【3】……相手のアシストガーディアンに600のダメージを与える。
【4】……相手の山札からカードを12枚、ジャンクゾーンに送る。
【6】………相手のアタックガーディアンにXのダメージを与える。(Xの値は自分のジャンクゾーンに存在する【カオストライブ】のカード×500)
「俺のジャンクゾーンにはカオストライブのカードが6枚ある。よって、合計ダメージはぴったり3000だ!!」
〈貴様らに倒された仲間達の仇、この咆哮で討たせてもらう!!〉
カオス・ドラゴンの攻撃がリズムに直撃した。
〈わ、私のライブがぁぁぁ……!!〉
【フロントダンサー リズム】
DG【1500→4500】
LP【3000→0】
【あなたの勝利です!!】
「よっしゃ!」
勝利のファンファーレが鳴り響き、イクサは思わずガッツポーズをする。
◇◇◇◇
「ぐやじぃぃぃぃぃ!!!!!!」
「さ、早乙女さん落ち着いて!!」
「負けるのはイヤぁぁぁぁ!!」
「次はきっと勝てるから! ね? もっとデッキ構築を見直そう!!」
「うぅ〜、……分かりました。今度こそ、勝ってみせます……」
「う、うん……その意気だよ」
ユキヒコは必死にナミを宥め、元気づけていた。
◇◇◇◇◇
「イクサ、勝てたな!」
「うん、あそこでカオス・ドラゴンが引けて良かったよ」
「5が出た時は、もう駄目かと思ったぜ!」
「それは俺も思った」
イクサがカイトと喜びを分かち合っていると、水を差す声が割り込む。
「勝てた、だと? 笑わせるな!!」
、怒声が響き渡り、イクサ達は声の方向を見る。
その声は、明らかにイクサに向けられていた。
声の主であるセンリが、イクサを睨んでいる。
「なっ、どういうことだよ……」
「貴様は、このカードの能力で危機を脱しただけだ。本来なら、負けていたのは貴様の方だ!」
「俺が、負けていた?」
「ああそうさ。カードの力が無ければ、貴様はとんだ三流カードマスターだ。そんな貴様が、カオストライブのカードマスターであることが……僕にとっては最大級の屈辱だ!!」
センリはイクサの胸ぐらを掴む。
「いいか、よく聞け。カオストライブは本来、僕の…僕だけのトライブになる筈だったんだ。それなのに、貴様のような!!」
握る手に力が籠り、イクサは苦しそうな表情を浮かべる。
「お、おい!!」
そこへ、カイトが止めに入った。
「なんなんだよ、いきなり! イクサが苦しんでるじゃないか!!」
「僕の邪魔をするな!」
センリは止めに入ってきたカイトを片手でそのまま投げ飛ばす。
「ぐっ!!」
「はわわわ!!」
壁に背中を強く打ち付けて苦悶の声をあげるカイトを見ながら、リンナは慌てた声を出しながら走って行った。
「か、係員の人を呼んでくるのだー!!」
リンナの言葉を聞いたセンリは軽く舌打ちすると、イクサに向き直った。
「おい、貴様。名はなんだ?」
「……せ、聖野イクサ、だけど……」
大人しく名乗らなければ、もっと酷い目に遭うかもしれない。そう思い、イクサはセンリの要求に従った。
「そうか。僕の名は孤高センリ。本当なら今すぐ戦いたいが、係員を呼ばれては僕としても分が悪い。貴様、全国大会に出る予定はあるか?」
「う、うん……あるけど」
「なら、全国大会で会おう。いや、そもそも今の実力では予選突破すら怪しいがな」
センリはイクサを鼻で笑うと、1枚のカードをイクサに投げ渡した。
「精々、このカードを使いこなせるようになるんだな」
そう言うと、そのままカードショップを去った。
「い、イクサ……大丈夫か?!」
やっと背中の痛みがひいたカイトが、イクサに駆け寄ってきた。
「うん、俺は大丈夫だよ。……だけど」
「ん?」
「なあ、カイト。孤高センリって、知ってる?」
「孤高センリ?! まさか、あの帽子野郎のことか!?」
「う、うん……」
「あー……なんて奴に目を付けられたんだ」
カイトは項垂れる。
「か、カイト……どうした?」
イクサの言葉に対し、項垂れたまま答える。
「孤高センリは、バトル・ガーディアンズを作った孤高グループ総帥である孤高アイズの一人息子にして、現状でバトル・ガーディアンズ最強のカードマスターだ!」
「えっ……」
センリが、最強のカードマスターであることにイクサは目を剥く。
そして、そんなセンリから投げ渡されたカードに視線を移す。
【カオス・ナイト】
カードにはそう書かれていた。
どうしてセンリがカオストライブのカードを。
そう疑問に思いながらカードを見つめる。
放心していたイクサの意識が戻ったのは、リンナが係員を連れてきた時だった。
【号外! フィニッシュカード特集!!】
イクサ「今回のフィニッシュカードはカオス・ドラゴンだったが、孤高センリ曰く、俺は負けていたらしいから、今回はナミの【フロントダンサー リズム】の特集だ」
ナミ「イエーイ! このカードのトライブアビリティ自体は従来のものと同じ手札からアシストガーディアンを召喚するものなんだけど、注目すべきはアタックアビリティ! 手札の枚数が多ければ多いほど、相手に大ダメージを与えたり、ハンデスすることができるんだぁ!!」
イクサ「中々凶悪なカードだな。持ち主に似て」
ナミ「なんか言った?」
イクサ「いや、別に」
ナミ「じゃ、次回もお楽しみに〜」
イクサ「さよーならー」
次回もお楽しみに☆




