表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TCG バトル・ガーディアンズ  作者: あんころもちDX
第1章・学園編
12/66

BATTLE:001【バトル・ガーディアンズ】

2013年2月12日、文章に誤りがあったので修正しました。


 西暦2042年、近代科学が進んだ地球。

 世界が戦争を繰り返す中で、トレーディングカードゲームというモノが、この世界を掌握しつつあった。


 トレーディングカードゲームとは文字通り、カードゲームの一種である。

 数多く存在するカードの中から生まれるカード同士のコンボは、トランプカードを用いたゲームでは決して味わえない爽快感すらある。

 自分だけのコンボを見つけ、それによって相手プレイヤーを倒す。

 その感覚に、多くの人々が魅了された。

 その熱狂的な人気のせいか、近年ではカードゲームをオリンピック種目に追加することも検討されている。

 また、トレーディングカードゲーム――略してTCGによる流行の度合いで、その国の豊かさも示されているほどだ。

 勿論、一言でTCGと言ってもその種類はたくさん存在する。

 しかし、その中でも最近注目され、急激に人気を高めているカードゲームがあった。


 そのゲームの名前は【バトル・ガーディアンズ】。

 若者を中心に世界中で大ヒットしたそのゲームは、今も止まる事を知らない。

 戦略もそうだが、このゲームは何分“運”の要素が大きく、弱小カードでもやり方によっては最強カードに勝つ可能性すら示唆させる。

 さらに、複数のカードを場に展開する従来のカードゲームとは異なり、戦うカードが1対1というのも、このゲーム独特の特徴だ。

 そういう一風変わったところが、このゲームの大きな人気の要因であろう。



「「ダイス・セット!!」」


 そして一人の青年『聖野 イクサ』は、今日もそんなバトル・ガーディアンズのカードバトルを、カードショップの外から覗いていた。


(俺もやってみたいけど……金がかかるよな、ああいうゲームって)


 一歩先にあるカードバトルの世界に、イクサは中々踏み出せないでいた。

 カードゲームに没頭するあまり、学校の成績が下がったら母親から怒られてしまうし、ただでさえ少ない小遣いがさらに減らされてしまう。そういう思いが、イクサがカードゲームに触れるための決断を阻害しているのだ。

 カードゲームが流行した現代であっても、大人達の間では未だに『カードゲーム=お遊び』と認識されていたりするのだ。特に日本では、その傾向が強い。



「はあ……」


 溜め息を吐いたイクサは、早々に帰ろうとする。

 しかし、そんなイクサに声をかける人物がいた。


「あっ、イクサじゃん」


「え……?」


 声をかけてきたのは、イクサと同じクラスの青年『戦宮 カイト』。

 イクサの数少ない友人の内の一人だ。


「カイトか……」


「カードショップの外で、何してんの?」


「別に。中のカードバトルを覗いてただけだよ」


「ふーん。中、入らねえの?」


「いや、俺はカード1枚も持ってないし、ゲームやる気も無いから、別に入らなくてもいいよ」


「やる気が無い、ねぇ……」


 カイトの物言いげな言い方に、イクサは少し眉間に皺を寄せる。


「カイト。そういうお前こそ、どうしてここに?」


「ん? そんなの、これに決まってんだろ?」


 カイトはブレザーの内ポケットからデッキケースを取り出してみせた。

 バトル・ガーディアンズだ。


「カイト、やってたんだ……」


「まぁな。勉強もスポーツも駄目だけど、コレなら……俺だってそこそこ強いんだぜ?」


「へ、へぇ」


 棒読みなイクサの返答に、カイトはムッとしたような表情を浮かべる。


「あっ、イクサ……さては信じてないなぁ?」


「信じてるって」


「いーや、その声は信じてない!」


 イクサが内心でカイトのことを『めんどくさい』と思っていると、カイトはイクサの腕を掴んだ。


「イクサ、ちょっと来い」


「は?」


「今から俺がどんなに強いか、お前に見せてやるから一緒に来い!」


「はぁ?! いいよ別に!」


「もう決めたんだ、拒否は許さねぇ!」


 そう言って、カイトはイクサをカードショップの内部に引きずり込んだ。

 早く帰りたい。そう思いながらイクサはカードショップに入った。


「あ、カイト君。こんにちは」


 中に入ると、短髪の感じの良さそうな男性がカイトに挨拶してきた。


「店長こんちわーッス!」


「て、店長?」


 イクサはもう一度男性を見る。

 カイトに店長と呼ばれた男は、どこか頼りなさ気で、どうにも店長という風には見えなかった。

 イクサの声色から察したのか、店長の男は小さく笑う。


「あはは……。どうも初めまして、店長の『前田』です」


「……どうも。聖野イクサです」


「ふむ、イクサ君ですか。カイト君が友達を連れて来るなんて珍しいですね」


「まあな。こいつはカードバトル初心者だから、少し手解きをと思ってね」


「なるほどねぇ」


 すると、前田はイクサに笑顔を向けてきた。


「心配しなくても大丈夫ですよ。カードゲームはルールこそ複雑ですが、一度覚えてしまえば大人も子供も楽しめる素晴らしい代物なんです!」


 そう力説してくる前田に、「は、はい……」とたじろぐイクサ。

 一方、カイトはカードショップ内のテーブル1つと席2つを確保していた。


「あ、店長。席借りるぜ」


「どうぞどうぞ」


「あと、売れ残りのトライアルデッキとかある?」


「ちょっと待って下さいね」


 前田はレジカウンターの横に設置されたパソコンを操作して、商品の在庫状況を調べる。


「うーん……今、トライアルデッキはどれも売り切れですね」


「貸し出しデッキとかないですか?」


「貸し出しですか……あ、そうだ」


 前田は何か思い付いたのか、机の引き出しを漁り始めた。


「んーと……あ、あったあった。これを使ってみて下さい、僕が昔使っていたデッキです」


 前田はイクサにデッキを渡した。

 イクサはデッキをまじまじと見つめる。


「使っても、いいんですか?」


「はい。ただ、なにぶん昔に作ったものなので、きちんと機能するかは怪しいですが」


 前田の言葉に対して、カイトが答える。


「オーケー、オーケー。無いよりかはマシッスよ店長」


「では、貸し出しますね」


 前田は笑顔で頷く。


「……」


 前田からデッキを受け取ったイクサはとりあえず中身を見てみた。


「『エンシェントトライブ』?」


 イクサが首を傾げていると、カイトと前田が声をかける。


「うっわぁ、ほんとに古いな」


「あはは、まあ昔に作りましたから……」


 カイトと前田は苦笑いしてる。

 二人の様子に、イクサは益々首を傾げる。


「このエンシェントトライブって、なんか問題でもあるの?」


「いーや、ただ随分古いタイプのトライブだなと思っただけさ」


「……。さっきから思ってたんだけど、『トライブ』って何?」


「『トライブ』とはすなわち、『種族』の事です」


 イクサの疑問に対して、前田が説明する。


「バトル・ガーディアンズのカードにはそれぞれ固有の種族があり、『トライブアビリティ』という能力を持っているんです。まあ詳しい事は、バトル中にまた説明するので、あまり気にしなくてもいいですよ」


「は、はあ……分かりました」


 釈然としないが、イクサはとりあえず頷く。

 カイトは自分のデッキをシャッフルしながらイクサに声をかける。


「よーし、イクサ。じゃあ早速やってみるか」


「……やっぱやんなきゃダメ?」


「ここまでお膳立てされたんだからやろうぜ! な?」


「わ、分かったよ」


 デッキまで貸してもらったのだ、これでやらなければあまりにも酷というものだろう。


「カイト、俺……ホントに初心者なんだけど」


「分かってるって。だから、俺がルールを教えるわけだし?」


「……よろしく、お願いします」


「ふむふむ。素直でよろしい」


「からかうなよ」


「ハハッ、じゃあ始めるか」


 イクサとカイトは席に着き、プレイマットの『メインデッキゾーン』と書かれた場所に、各々のデッキを置く。


 すると、カイトはイクサのデッキを手に取ってシャッフルを始めた。


「カードが固まらないように入念にシャッフルしないとな。イクサ、俺のも頼む」


「あれ、カイトはさっきまで自分でシャッフルしてなかったっけ?」


「いいんだよ。何回やったって、別に減るもんでもないし」


「……まあ、分かったよ」


 イクサはカイトのデッキを手に取り、シャッフルする。

 そしてシャッフルを終えると、互いのデッキを元いた場所にそれぞれ置いた。


「さて、イクサ。お前は初心者だから、今回俺が教えるのはビギナーズルールだから注意してくれ」


「ビギナーズルール?」


「そう。バトル・ガーディアンズの通常ルール――別名マスターズルールは、ちょっと複雑なルール仕様なんだ。だから始めたばかりの初心者は、まずここでつまずきやすい。だからこそ、ルールを簡略化したビギナーズルールってのが存在するのさ。まあ、マスターズルールは大きな大会ぐらいにしか適用されないから、とりあえずビギナーズルールに慣れようぜ」


「分かった」


「んじゃ、まず先攻後攻を決めないとな」


 カイトは自分のサイコロを手に取る。


「本当は互いにサイコロを同時に振って、大きい目を出したプレイヤーが決められるんだけど。ルールを教える都合上、俺が先攻でもいいか?」


「ああ、構わないよ」


「そっか、それじゃあ」


 その後、カイトは自分のデッキからカードを1枚取り出して手元に置いた。


「プレイヤーはまず、デッキからSF【0】かSF【1】のノーマルガーディアンを1枚選択して、手元に置いておく。その後、デッキからカードを4枚ドローして、手元にあらかじめキープしておいたカード1枚を加えたのが初期手札5枚になるんだ」


「SFって、この左上のやつか?」


 イクサがカードの左上に記載されている数字を指差すと、カイトは大きく頷く。


「そうそう」


「0と1って、何か変わるのか?」


「SFの数値が大きくなるほど、カードの能力は強力になっていくぜ」


「へぇ」


 イクサがSF【1】のカードを取ろうとすると、カイトに手首を掴まれた。


「ちょい待ち」


「な、なに?」


「後攻のお前はSF【0】だ。その方が良い」


「それは俺に弱いカードで戦えってこと?」


「ちげーよ。詳しいことは後で説明するから、素直にSF【0】にしとけ。ちゃんと意味あるからさ」


「本当?」


「ああ、初心者狩りをするほど、俺は鬼畜じゃないし」


「……分かったよ」


 イクサはとりあえず、言われた通りにSF【0】のカードを手元にキープしておく。あまり釈然とした表情はしていないが。

 カイトは構わず説明を続ける。


「んじゃ、それを手元にキープしておいた上で、デッキからカードを4枚ドローしてくれ」


「了解」


 デッキからドローした4枚と、SF【0】のカード1枚を加えて、イクサの初期手札5枚が揃った。


「んじゃ、始めるぜイクサ? 準備はいいか?」


「うん。いつでもいいよ」


「なら……」



「「ダイス・セット!!」」


 自分のサイコロを置き、ゲームスタート。


「じゃあ、まずは俺の先攻ターンだ。ドローフェイズ、ドロー!」


 カイトは勢いよく山札からカードを1枚ドローし、手札に加えた。


「んでもって、フォースチャージ!」


「フォースチャージ?」


「ん? ああ、バトル・ガーディアンズには、【ドローフェイズ】の次に【チャージフェイズ】ってのがあってな、こうやってチャージゾーンに毎ターンに1枚だけ手札からカードを置ける」


 そう言うと、カイトは手札のカードを1枚選んでチャージゾーンに置いた。


「これを『フォースチャージ』と呼ぶんだ。そしてフォースチャージしたら、なんとカードをデッキからさらに1枚、追加ドローできるんだ。まあ、マスターズルールだと追加チャージと選べるんだけどな」


 そして、さらに1枚ドローした。


「なあ、カイト。フォースチャージって何か利点あるの?」


「そりゃあ、あるさ。無いなら誰もやらねえよ」


「まあ、確かにね」


「じゃ、今度はこのフォースの使い方を教えてやる」


 カイトは、チャージゾーンに置かれたカード――フォースを裏返した。


「フォースを1つ消費して、アタックガーディアン【ディヴァイン・ソルジャー】を召喚(サモン)!!」


 そして、手札の【ディヴァイン・ソルジャー】をアタックゾーンに置いた。



【ディヴァイン・ソルジャー】

SF【1】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【ディヴァイン】

DG【0】

LP【1000】



「こうやって、場にカードを出す時にフォースを使うんだよ。因みに、アタックゾーンに出すカードは総じて『アタックガーディアン』って呼ばれて、このアタックゾーンの真後ろがアシストゾーンで、ここ置けるのは『アシストガーディアン』だけなんだ」


 カイトは「それと」と言って説明を続ける。


「プレイヤーはそれぞれの第1ターン目に必ずアタックガーディアンを召喚しなきゃいけないってのも、覚えておけよ」


「もし召喚しなかったら?」


「反則負け」


「え゛……分かった、覚えておくよ」


「あと、SFの数値が召喚時に必要なフォースの枚数だ。だから俺はSF【1】のガーディアンを召喚したから、フォースを1枚消費したわけだ」


「……なるほどな。まあ、フォースの使い方は理解できたよ」


「そうか、ならターンを続けるぜ」


「あ、ちょっと待って」


 俺は手札のカードを見ている時に浮かんだ疑問をカイトに尋ねる。


「この“DG”って何?」


「DGっていうのはダメージゲージの略。このカードが受けたダメージ量のことだよ。自分のガーディアンがどれだけのダメージを受けたのかは、これを見れば一目瞭然だ。あ、フォースの使い方で、まだ説明していなかった部分があったから話を戻すぞ。フォースは召喚だけじゃなく、攻撃の時にも必要なんだ」


「攻撃の時も?」


「そう。攻撃する時は原則として、フォースを1つ支払わなきゃいけないんだ。あと、一度消費したフォースはそれっきりじゃなくて、次の自分のターンのドローフェイズ開始時に全回復する。回復する際は、裏返したフォースを表状態にするんだ」


「そうなのか……」


「じゃあ、先攻は最初は攻撃できないから、ターンエンド。イクサのターンだぜ?」


「あ、ああ」


 イクサはデッキからカードを1枚ドローし、


「じゃ、じゃあ……フォースチャージ…。そして、追加ドロー……」


 カードを1枚、フォースチャージして1枚ドロー。

 そして、


「えーと、じゃあ……ガーディアンを召喚(サモン)するよ」


 イクサが手に持ったカードはあらかじめ手元にキープしておいたSF【0】のカード、つまり召喚時にフォースを消費しなくて良いということ。


「俺は【エンシェント・リトルウィッチ】を、召喚(サモン)!!」



【エンシェント・リトルウィッチ】

SF【0】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【エンシェント】

DG【0】

LP【500】



「これで良いの?」


「そうそう。じゃあ、次は【ドメインフェイズ】だな」


「ドメイン?」


「そう、この【ドメインゾーン】にドメインカードを置くフェイズだ。ドメインカードは自分の領域全体に効果を及ぼすカードのことな」


 イクサは自分の手札を見てみる。


「ドメインカードは無いよ」


「んじゃあ、【セットフェイズ】だ」


「セットフェイズ?」


「そうだ。このフェイズでは、起動効果を発動したり、もう一度サモンフェイズを開始したり……まあ、バトルフェイズ前の最終調整を行うフェイズなんだ」


「そうか……」


 再び手札を見る。特に発動したいカードの効果は無い。


「他にセットフェイズ時に何かやっておくことはあるか?」


 カイトの問いに、イクサは首を振る。


「特にやることはないね」


「んじゃあ、いよいよバトルフェイズ………の前に、ダイスステップだ。自分のサイコロを振るんだ」


「そういえば……なんでサイコロが必要なんだ?」


「あぁ、アタックガーディアンには、【アタックアビリティ】っていう効果があってな。サイコロを振って出た目によって発動される。発動したらフォースを1枚消費して、バトルフェイズが開始されるんだよ」


「なるほど……あ」


 先ほどのカイトの説明で、バトルをする際にはフォースを1枚消費すると言っていたことをイクサは思い出した。

 そしてイクサは理解した。

 SF【0】のカードは召喚時にフォースを消費しないため、バトルのためにフォース1枚を温存することができるのだ。

 イクサの考えていることを察したのか、カイトは頷いた。


 カイトの意図に納得したイクサはゲームを続行するため、サイコロを振る。


 【3】が出た。



「【エンシェント・リトルウィッチ】の【アタックアビリティ】を見てみな」


【エンシェント・リトルウィッチ】

【2】【4】【5】………相手のアタックガーディアンに200のダメージを与える。

【1】【3】【6】………相手のアタックガーディアンに100のダメージを与える。



「さあ、フォースを1つ消費してバトルだ、イクサ!」


「うん。フォースを1つ消費して【エンシェント・リトルウィッチ】のアタックアビリティを発動……【ディヴァイン・ソルジャー】に100のダメージを与える!」



【ディヴァイン・ソルジャー】

DG【0→100】

LP【1000→900】



「こうやってバトルを繰り返して、先に相手のアタックガーディアンのライフを0にした方の勝ち。理解できたか、イクサ?」



「ああ、大体はね。俺はこれでターンを終了する」


「じゃあ、俺もそろそろ反撃開始だ。ビキナーズラックは無いと思え! ドロー!!」


 カイトはドローしたカードを手札に加え、チャージゾーンにカードを置く。


「手札を1枚フォースチャージして、追加ドロー。フォースを1つ消費して、アシストガーディアン【聖なる巫女】を召喚(サモン)!」



【聖なる巫女】

SF【1】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【ディヴァイン】

DG【0】

LP【500】



「そして、【聖なる巫女】のアシストアビリティを発動!」


【聖なる巫女】

【アシストアビリティ】

【自】(セットフェイズ開始時)

 ┗1ターンに一度だけ、自分の山札からカードを1枚ドローできる。この効果は、相手ターンにも発動できる。



「アシストアビリティにより、1ドロー!」


 アシストアビリティでドローしたカードを手札に加え、カイトはダイスステップに移行してサイコロを振る。


【5】


【ディヴァイン・ソルジャー】

【1】【4】………相手のデッキからカードを三枚、ジャンクゾーンに送る。

【3】【5】………相手のアタックガーディアンに300のダメージを与える。

【2】【6】………相手の手札をランダムに1枚、ジャンクゾーンに送る。



「フォースを1つ消費してバトルフェイズ! 【ディヴァイン・ソルジャー】のアタックアビリティ発動! 【エンシェント・リトルウィッチ】に300のダメージを与える!」


【エンシェント・リトルウィッチ】

DG【0→300】

LP【500→200】


「これで、俺のターンは終了だ。イクサ、お前のターンだ」


「ああ。俺のターン、ドロー!」


 イクサの【エンシェント・リトルウィッチ】のライフは200。つまり、このターンで何とかしなければ、負けることになるだろう。

 それなら、と。イクサは手札のカードを選択する。


「手札を1枚、フォースチャージ! そして追加ドロー!」


 よりLPが高いガーディアンを新たに召喚するしかない。


「フォースを1つ消費して、手札から【オールドスナイパー】をアタックゾーンに召喚(サモン)!」


【オールドスナイパー】

SF【1】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【エンシェント】

DG【300】

LP【1000→700】



「あ、あれ? ライフが減っ……てる? しかもDGが300って……」


「ああ、それはな……」


 イクサが困惑していると、カイトは説明を始める。


「新たなガーディアンを召喚すると、そのガーディアンは前のガーディアンが負ったダメージを引き継ぐのさ。よって【オールドスナイパー】は【エンシェント・リトルウィッチ】が負った300のダメージ分だけ、ライフが削られたんだ。んでもってダメージを引き継ぐってことは、必然的にDGの値も引き継がれるのさ。因みにダメージの引き継ぎが行われるステップはアピアステップって言うんだ」


「そうか………」


 ただLPが高いガーディアンを召喚しているだけでなく、ダメージ量にも注意しなければいけない。

 戦いが長引けば、召喚するガーディアンにも制限をかけられてしまうのだ。

 イクサは改めてゲームの奥深さを感じ、サイコロを手に持つ。


「ダイスステップに移行して、サイコロを振る!」


 出た目は【2】


【オールドスナイパー】

【2】【3】【4】………相手のアタックガーディアンに400のダメージを与える。

【1】【5】【6】………相手のアタックガーディアンに300のダメージを与える。



「フォースを1つ消費してバトルフェイズ、アタックアビリティ発動! 【ディヴァイン・ソルジャー】に400のダメージ!!」


【ディヴァイン・ソルジャー】

DG【100→500】

LP【900→500】


「くっ……中々やるな」


「よし、ライフが逆転した!」


「そうはしゃぐなよ、まだまだバトルは始まったばかりなんだからさ!」


 カイトは小さく笑うと、デッキからカードをドローする。

 カイトのターンだ。


「俺のターン、ドロー! フォースチャージして、更に追加ドロー!」


 ドローしたカードを手札に加え、チャージゾーンのフォースを2つ裏返した。


「フォースを2つ消費して、【ディヴァイン・ウィザード】を召喚(サモン)!!」



【ディヴァイン・ウィザード】

SF【2】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【ディヴァイン】

DG【500】

LP【2000→1500】


「ライフが……1500?!」


「まだまだ勝負はこれからだぜ! 【聖なる巫女】のアシストアビリティにより、1ドロー! んでもって、サイコロを振るぜ!」


 サイコロの目は【1】


【ディヴァイン・ウィザード】

【1】【3】………相手のアタックガーディアンに500のダメージを与える。

【4】【6】………相手のデッキからカードを5枚、ジャンクゾーンに送る。

【2】【5】………自分の手札をランダムに2枚、ジャンクゾーンに送る。



「アタックアビリティを発動して、【オールドスナイパー】に500のダメージを与える!!」


【オールドスナイパー】

DG【300→800】

LP【700→200】


「うっ……」


「ターンエンドだ」


 ライフ差は1300。イクサとしては、ここで挽回しておきたいところだ。


「俺のターン、ドロー! カードを1枚、フォースチャージして追加ドロー!」


 イクサのチャージゾーンにはフォースが3枚。

 イクサは手札のカードを見て「よし」と頷く。


「フォースを2つ消費して【サイクロプス・アーリー】を召喚(サモン)!!」


【サイクロプス・アーリー】

SF【2】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【エンシェント】

DG【800】

LP【2000→1200】



 まだライフ差は300。しかし、イクサは手札のカードを選択する。


「さらに、アシストガーディアン【バトラー・オブ・パスト】を召喚(サモン)!!」


【バトラー・オブ・パスト】

SF【0】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【エンシェント】

DG【0】

LP【300】


「【バトラー・オブ・パスト】のアシストアビリティ発動!」


【バトラー・オブ・パスト】

【アシストアビリティ】

【自】(セットフェイズ開始時)

 ┗自分のターンに一度、あなたは自分のアタックガーディアンのLPを100リペアできる。


【サイクロプス・アーリー】

DG【800→700】

LP【1200→1300】



「サイコロを振る!」


 サイコロを振って出た数字は、【4】!


【サイクロプス・アーリー】

【2】【4】【5】………相手のアタックガーディアンに700のダメージを与える。

【1】【3】【6】………相手の手札から2枚、デッキから3枚のカードをジャンクゾーンに送る。


「【サイクロプス・アーリー】のアタックアビリティ発動! 【ディヴァイン・ウィザード】に700のダメージを与える!!」


「くっ…700もか!」


【ディヴァイン・ウィザード】

DG【500→1200】

LP【1500→800】


「よし、これでライフ差はちょうど500!」


「ちぃ……初心者にここまで差をつけられるとは!」




――それからターンは経過し、イクサとカイトは少しずつだが互いのアタックガーディアンにダメージを与えていき、一種の均衡状態が発生した。

 だが、それが崩れる瞬間が訪れようとしていた。

 イクサのフィールドには、アタックガーディアン【アンティーク・ジャイアント】とアシストガーディアン【バトラー・オブ・パスト】が存在している。


【アンティーク・ジャイアント】

SF【5】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【エンシェント】

DG【1400】

LP【3600】


【バトラー・オブ・パスト】

SF【0】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【エンシェント】

DG【0】

LP【300】


 一方でカイトのフィールドには、アタックガーディアン【ヴァルキリー・ディヴァイン】とアシストガーディアン【聖なる巫女】が存在している。


【ヴァルキリー・ディヴァイン】

SF【5】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【ディヴァイン】

DG【3300】

LP【1200】


【聖なる巫女】

SF【1】

GT【ノーマル/アシスト】

Tr【ディヴァイン】

DG【0】

LP【500】


 しかし、カイトの【ヴァルキリー・ディヴァイン】のライフは残り1200、イクサの【アンティーク・ジャイアント】のちょうど1/3だった。

 この圧倒的な不利な状況……カイトはどう出るのか。

 カイトのターンである――


「俺のターンだ! ドロー!!」


 カイトはドローしたカードを見た直後、目を見開いた。


「(よし……) 手札の1枚をフォースチャージして1枚追加ドロー、さらに【聖なる巫女】のアシストアビリティにより、さらに1枚ドロー!!」


 カイトの手札は全部で9枚。


「俺はフォースを6つ支払い、手札からアタックガーディアン【ディヴァイン・ナイト】を召喚(サモン)!!」


【ディヴァイン・ナイト】

SF【6】

GT【ノーマル/アタック】

Tr【ディヴァイン】

DG【3300】

LP【6000→2700】



「そして、今こそ使わせてもらうぜ! 【トライブアビリティ】、発動!!」


「と、トライブアビリティ?」


「ああ。バトル前に言ったようにカードには個々の種族……トライブがある。そのトライブに所属するカードには、【トライブアビリティ】っていうのが備わっているのさ!」


「で、でも……俺が有利なことに変わりは――」


「甘いな。【ディヴァイン・ナイト】の【トライブアビリティ】、今から見せてやる! 行くぜ、【蓄積と解放チャージング・リリーズ】!!」


【ディヴァイン・ナイト】

【トライブアビリティ】

【起】(COST:自分の手札からカードを4枚選んでジャンクゾーンに送る)

 ┗あなたのターン、コストを支払うことで発動できる。そうしたら、あなたはこのターンはフォースを消費せずにダイスステップを無視してバトルフェイズに移行する。相手のアタックガーディアンにX000ダメージを与える。(Xの値はバトルフェイズ開始時の自分の手札の枚数)



「俺の手札は8枚、よって4枚捨てても手元にはまだ4枚は残っている!」


 そこで、イクサは気づいた。

 カイトの場にあるアシストガーディアン【聖なる巫女】は自分相手問わず1ターンに一度だけ、無条件でドローできるカード。

 最初はドローが多くできることに特に何も思っていなかったイクサだが、あのアシストアビリティは【ディヴァイン・ナイト】のトライブアビリティを補佐する役割であることに気づくと、思わず手を強く握る。


 だが、気づいても時既に遅し。

 カイトは声高々に宣言する。



「【ディヴァイン・ナイト】のトライブアビリティにより、【アンティーク・ジャイアント】に4000のダメージを与える!!」


【アンティーク・ジャイアント】

DG【1400→5400】

LP【3600→0】




「はい。このバトル、カイトくんの勝ちです」


 呆然とするイクサの耳に、前田店長の声が届いた。


「よっしゃ、俺の勝ちだぜイクサ!」


「……ちょっとは、手加減してくれよ」


「嫌だね! 俺、負けず嫌いだから!!」


「そうかよ……」


「でさ、どうだった? バトル・ガーディアンズ!」


 カイトがあまりにも真っ直ぐに見つめてくるので、イクサは思わず目を逸らす。

 いかにも、カイトが「楽しかっただろ?!」と目を輝かせているからだ。


「ま、まあ…悪くなかったかな」


「だろ?!」


「う、うん……」


「よーし、じゃあ早速トライアルデッキ買おうぜ!」


 一人はしゃぐカイト。

 そんなカイトに対して前田は申し訳なさそうな声を出す。


「あの〜、カイトくん? なんで僕がエンシェントトライブのデッキをイクサくんに貸したのか……覚えてる?」


「そりゃあ勿論、トライアルデッキが売り切れだったかr――……あっ……」


「イクサくん、本当にごめんなさい!」


 何度も頭を下げる前田に、イクサは苦笑しながら言う。


「いえ、気にしないで下さいよ。売り切れなのは仕方ないことだし」


 バトル・ガーディアンズの人気の高さを考えれば当然と言えるだろう。


「じゃ、じゃあ、俺はこれで帰るので!」


 そのまま逃げるかのようにイクサはカードショップから走り去った。

 途中、女の子とすれ違ったが、気にせず走る。




「お兄ちゃん、今の人、友達?」


「ん? ああ、俺の数少ない友達だな」


 イクサとすれ違った少女はカードショップに入店し、カイトと会話していた。




 それから10分ほど走った後、イクサはちょっと疲れたのか、歩いていた。


「どったの、イクサ?」


 すると、後ろから肩を叩かれた。

 振り向いてみれば、黒髪を肩まで伸ばしたショートヘアーの可憐な美少女がいた。

 イクサからすれば、あくまで“見た目は”だが。


「なんだ、ナミか」


 声をかけてきた少女は、イクサの幼馴染みである『早乙女 ナミ』だ。

 そっけないイクサの態度に、ナミは頬を膨らませる。


「なによ、その態度! せっかくこのナミ様が華麗にチョチョイノチョーイな感じで悩みを解決してあげようと思ったのに!!」


「チョチョイノチョーイのどこが華麗なんだ?」


 こいつに相談したところで、時間の無駄だ。

 イクサはそう思って、ナミに背を向けた。


「じゃあ、またな」


「ちょっと待てーい!」


 帰ろうとするイクサの行く手を、先回りして塞ぐナミ。

 思わず「うぜえ」という表情になってしまう。


「こら、邪魔だ」


「邪魔してんだから邪魔に決まってるでしょ?!」


 なぜかナミに逆ギレされてしまい、イクサは「お、おう」と言いながら一歩後退する。


「悩み言え悩み言え悩み言え悩み言え!! このスーパーウルトラグレートアルティメット美少女ナミちゃんが華麗に優雅にチョチョイノチョーイと解決するのぉぉぉ!!」


「だーもう、やかましい!! 自分で自分の事を美少女って言うな! あと、今のお前全然華麗でも優雅でもないから!!」


「悩み言え悩み言え悩み言え!!」


「分かったから! 分かったから泣き止め!!」


 小さい子のように癇癪を起こしたナミを抑え、イクサはとりあえず悩みを話すことにした。


「うむ。なるほどなるほど」


「ちょっと待て。まだ俺なにも話してねーぞ」


「皆まで言うでない、若造よ。わしには分かる。このスーパーウルトラグレートアルティメット美少女のナミちゃんならば、分かる!!」


「なら言ってみやがれ、俺の悩み」


「うむうむ。その、あれだな……君の悩みはその、あれだな! あれ!!」


「どれ?」


「分かった! イクサは今、堪らなく女子高生の脱ぎたてパンツが欲しいのね! いやん、ナミちゃん天才!!」


「そうそう、あの脱ぎたてのなんともいえない――って違う!!」


「え、違うの?」


「違うよ! お前の中の俺のイメージって一体なんなんの?!」


「ええと、思春期?」


「びっくりなくらい正解だ!」


 息を切らしながら、『こいつと居ると疲れる』と再認識するイクサ。

 そしてふと辺りを見渡せば、既に暗くなり始めている。

 時間を無駄にしたことに軽く絶望しつつ、先ほどのカードバトルの余韻がフッと沸き上がる。

 どうせ時間を無駄にするなら、もっとカードバトルをすれば良かった、と。 手元にデッキが無いことに、悔しさにも似た感情が生まれる。


「ったく……どっかにデッキ落ちてないかな…」


「え、イクサ、デッキ持ってないの?」


「……そうだよ」


「おっくれてるぅ〜」


「やかましい!!」


 本格的にもうナミには付き合いきれないと、イクサはナミに背を向ける。


「ねえねえ、イクサ」


「なんだよ!?」


「うちに、いらなくなったデッキあるよ?」


「………」


 無言で振り返り、ナミの肩を掴む。


「いやん、イクサったら強引♪」


 なははは、と笑うナミ。

 イクサはスゥーと息を吸い、


「なんでもっと早く言わなかったぁぁぁぁ?!」


「はにゃ〜ん☆」


 ナミに向かってシャウトした。




「ささっ、どーぞ」


 現在、イクサとナミが居るのは『早乙女神社』だ。

 勘の良い人はもうお気づきかもしれないが、ナミはここの神主の娘だ。

 つまりは巫女さんである。

 先ほどの会話のテンションから察すると、全くもって似合わない。

 まあ、そんなことはさておき。

 ナミが土下座しながら両手に乗せて差し出してきた1つのデッキ。

 イクサは素直に受け取れなかった。

 なぜなら………


「おい、お札貼ってあるぞ」


 思いっきり曰く付きの臭いがプンプンするからである。


「そ、ソンナコトナイヨー?」


「おい、片言だぞ」


「んもぅ、冗談だって! これじいちゃんの私物なんだけど、じいちゃんはよく自分の持ち物にお札を貼る人なの。お札が貼ってあると、誰も手出さないでしょ?」


「た、確かに……。……ってこれお爺さんの私物?! いいのか、勝手に持ち出して!?」


「美少女は正義!」


「お前は悪だ!!」


「テへぺろっ♪」


「うざっ!」


 ナミは再び「なははは」と笑ってイクサにウインクする。


「だいじょーぶ。じいちゃん、いつもそのデッキに頭を悩ませてたから。デッキがいらないじいちゃん、デッキが欲しいイクサ。ほら、利害関係成立♪」


「そ、そんなんでいいの?」


「いいのいいの! なんてったって、あたしのじいちゃんだよ?」


「お前、自分で言ってて悲しくないのか?」


「ぜ〜んぜん」


「……あっそう」


 なんとも言えなくなるイクサ。

 しかし、あまりの人気ぶりに売り切れ続出のバトル・ガーディアンズのデッキがタダで手に入るのだ。

 イクサは素直にデッキを受け取る。


「ナミ、ありがとう。これ、ありがたく使わせてもらうよ」


「なはは! 礼には及ばんぞよ〜」


「じゃあ、また明日学校で」


「うん!」


 ナミから受け取ったデッキを懐に入れ、イクサは早乙女神社を後にした。





◇◇◇



「なぁ、ナミよ」


「なに、じいちゃん?」


「わしのデッキを知らんか?」


「晩御飯ならさっき食べたでしょう?」


「はて、そうだったかのう……って違うわい! デッキの話じゃ、デッキの!!」


「それならイクサにあげたよ」


「そうかそうか。イクサくんに………」


 コーヒー牛乳を飲みながら漫画を読んでいるナミは、なんてことはないかのように答えた。

 一方でナミの祖父は顔面蒼白になり暫く放心していると、鬼気迫る勢いでナミに詰め寄った。


「なんじゃとぉぉぉぉ!?」


「じいちゃん、うるさい!」


「な、ナミよ……。お前、なんて事を……っ!!」


「どうしたの、じいちゃん。あのデッキ、そんなに大事だったの?」


「むしろその逆じゃ!」


 祖父の言葉に、ナミは首を傾げる。


「じゃあ、なんでそんなに慌ててるの?」


「あれは、呪われたデッキなのじゃあ!!」


「……マジで?」


 ナミの祖父は何度も頷く。


「え、えと……どうしよう!!」


 ナミの慌てた声に、祖父は一旦息を吐いて気持ちを落ち着かせる。


「……まあ、過ぎたことを言っても意味は無いのう。明日、イクサくんに何らかの異変があれば、ここに連れてきなさい」


「異変があればって……。無かった場合は?」


「無いのなら良い、無いのなら……な」


 最悪の事態が起きないことを、ナミの祖父は願っていた。




◇◇◇



 さて、どうしたものか。

 そういった表情で、イクサはデッキを見つめていた。

 いや、正確二は曰く付き臭が半端ないお札である。

 お札を取るべきか取らざるべきか……。

 そう悩むこと数分。


「ええい、ままよ!!」


 ついにイクサは覚悟を決めて、剥がすことにした。

 震える手でお札に手を伸ばし、思いっきり破いた。


――ピピピピッ!


「うおっ?!」


 お札を破いた瞬間、携帯が鳴った。

 こんな夜遅くに一体誰だろうか。

 そう思いながら携帯を開くと、ディスプレイには『ナミ』と映されていた。

 イクサは通話ボタンを押して電話に出る。


「なんだよ、ナミ?」


〈あ、イクサ? イクサなの!?〉


「俺以外に誰がいるの?」


〈そ、その……無事なの?!〉


「なにが?」


――ガシッ


 ………ガシッ?

 イクサは首を傾げる。

 ふと右腕に、誰かに掴まれているような感触がした。

 なんとなく目を向けてみると、


「なっ?!」


 デッキから真っ黒なおぞましい手が伸びて、イクサの右腕を掴んでいたのだ。

【号外! フィニッシュカード特集!!】


カイト「やあ、皆! 主人公の戦宮カイトだ!!」


イクサ「いや、主人公は俺だから」


カイト「まあ、それは置いといて」


イクサ「おい……」


カイト「今回紹介するフィニッシュカードは俺の相棒であり切り札! 【ディヴァイン・ナイト】だ!!」


イクサ「SF【6】のアタックガーディアンだな」


カイト「そう。イクサをフルボッコにしてやったぜ!」


イクサ「うるさい」


カイト「コイツのトライブアビリティは、手札を4枚捨てることで、手元に残った手札枚数×1000のダメージを相手のアタックガーディアンに与えるんだ!」


イクサ「強力な効果だけど、安定した火力は期待できないな」


カイト「チッチッチッ、ディヴァイントライブはドロー能力に特化したトライブ。手札を10枚以上にすることだって可能なのさ!!」


イクサ「へー。さて、次回はいよいよ俺のトライブの登場だ」


カイト「そして、俺がまたカードバトルをやっちゃうぜ! いやぁ、人気者はツラいなぁ」


イクサ「手酷く負けてしまえ」


 次回もお楽しみに☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ