プロローグ
この物語はとてつもなく長くなる予定です。それでも頑張りますので、どうかお付き合い宜しくお願い致します。
蜂蜜のような恋がしてみたかった。
瓠珀色の、あのやけるように甘い蜜のような恋。
ただ、ただあなたと、熱く、甘く溶けていたかっただけなのに。
どうして私だけがこんなにも熱く寒いのだろう。
出逢ったのは単なる偶然だ。
だけど私は、あなたとの出逢いは神様がくれた運命だって思ってる。
そのときの私は、とても愛していた人との絶対の別れを前にして自分を見失っていた。とても愛していたその人は恋人だったわけじゃない。
ただ私だけが愛していた。
その証拠に彼にはちゃんと恋人がいたし、そんな恋人の存在なんか私だって百も承知だった。彼は私を
「友達」
と呼び、私は彼の
「浮気相手」
だと自覚していた。
私達はキスだってしていたし、会えば欠かさずに抱き合った。
だけど所詮彼は私を愛してなんかいなかったから、時間が経てばやっぱり飽きてしまう。
何時かそんな日が来ることは判っていても、間近に、確実に、その瞬間を見付けてしまうとどうしても怖くなる。
そんなどうしようもない暗闇を紛らそうと、その頃私は闇雲にもがいていたんだ。あなたに出逢ったのはそんな時だった。